第7話 「誰か俺を眠らせてくれ…」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第7話



「はい…」
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「覚えています…」



そう小さくつぶやきながら、あの夜の事を鮮明に思い出していたこのみ。
思い出す?いいえ、それは違う。
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本当はずっと心の奥底にちゃんとそれはあった。
あの時からすでに心が惹かれていたのかもしれない。



だからこそ、この町に来ても亮と連絡を取る事が出来なかった。
再び再会すればすでに惹かれてるであろう心に火がつく事が分かっていたからだ。
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けれどもそれは出来ない。感情のまま、流されるわけに行かないのだ。
何故なら、亮もジーンと同様、心の中にリンダがいるのだから…。



「あ~ごめんごめん。俺とした事が。つい”うっかり”言っちまった。イケナイ口だな~」
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(な~にが”うっかり”だよ。どう見てもしっかりだったじゃねーかよ…。
って言うかどう言う事なわけ?亮とこのみちゃんが…?まさかな…)



「さ~てと」
「おい、どこ行くんだよ?」
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「ちっこ」
「トイレって言えよな…」



(へえ~亮さんがね…)
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(面白いじゃん。って言うかゴルゴ勝ち目ゼロ。告る前に失恋ってか?)



「あの…このみちゃん…」
「あ…はい…」
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「さっきの事なんだけど…」
「ああ…あれはそんなんじゃなくて…私を励ましてくれたって言うかそんな感じで…」



「そ、そうだよな…事情はよく分かんないけど時にはそう言う事もあるよな!」
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(ねーよ!)
と、自分に突っ込みを入れるゴルゴ(笑)



「それよりさ、踊ろうか?」
「え?」
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「ちょうど曲がスローだし。俺と踊って?」
「でも私ダンスはあんまり…」



「平気平気。ただゆらゆらと揺れてればいいだけだから」
「でも…」
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「俺が教えてあげるから。ね?」
「う、うん…」



「さ、行こう行こう♪」
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「じゃ…少しなら…」



カチャ
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(マっズー…俺、何をやってるわけ?)



(何だってあんな事言っちまったんだ?自分の口が信じらんねーよ)
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(なんだか無性にあったまきたんだよな。ゴルゴの奴!徐々に近づいてはベタベタ触りまくって!)



(って…だからこの怒りはなに!?)
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(やっぱあれだな…妹を取られたって言うかそんな感じなのかな?)



「ああ、そうだなきっと。彼女は俺にとっては妹のようなもんだし」
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(って言うか一瞬、俺じゃなかったよな?
俺の口が勝手にベラベラと喋りだしやがった。なんなんだよ、いったい…)



カチャ
(まったく…。妹のような彼女に何言ってんだか…。
そう言えば俺って一人っ子だったから妹とか欲しかったんだよな~♪)
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(だからつい心配であんな事を口走ったんだな♪そうだ、彼女は俺の妹だ♪)



(俺の妹…いも…)
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「………」



「あの…ゴルゴさん…。そ、そろそろ曲が終わるみたい…」
「もう一曲踊って…。俺…何曲でも君とこうして踊っていたい…」
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「でも…あの…」
「俺さ…君をあの店で初めて見たとき、息が止まるかと思ったんだよね…」



「え…」
「この間も本当は君に会いに行ったんだよ。スゲー会いたくてさ…」
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「えーと…」
「だからぁ~俺は君に一発でまいったって事。早い話が俺は君にさ…君に…君に一目惚…」



「交代だ!」
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「あ?」



「ゴルゴ。次、俺の番」
「って、なんで?」
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「なんでもクソも次は俺の番」
「意味分かんねー」



(や~ん、面白そ~♪)
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(ローリー、こう言うの大好き~~♪)



「俺が今このみちゃんと踊ってんの!って言うか交代って何!?」
「ごちゃごちゃ言ってねーでどけよ。交代の時間だ」
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「だから何で交代なんだよ!俺はこれからこのみちゃんに愛の告…」



「ゴルゴ。確かお前は俺のず~っと後にチームに入ってきたよな?」
「だから何だよ?」
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「そう言うのってなんて言うんだっけ?ああ!そうだそうだ。
俺が先に入ってお前が後に入ったって事は……俺は、『先輩』 お前は?」



「…えと…後…輩…?」
「わ~ゴルゴ君ってあったまいい~」
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「そ、そう…?」
「スゲー冴えてるって感じ~~♪ じゃ、そう言う事で」



「って、だから何がそう言う事なんだよ!」
「俺は先輩。お前は?」
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「後輩…?」
「ヒュ~♪」



「よし、じゃそう言う事で」
「な、何がそ…」
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「俺は?」
「……先輩…」



「分かったよ!いいか!一曲だけだかんな!」
「いいから、あっちへ行けよ」
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「分かったよ!」



「ったく…なんなんだよ?!せっかく俺が踊ってたのによー!」
「あれ?負けたんだ?早っ」
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「うるせーよ!」



「そんなに踊りたいの?じゃ私と踊る?」
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「やだ!」キッパリ!



「このみちゃん、踊ろう」
「あの…でも…」
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「シー…腕を俺の腰に回して」
「あ…」



「さっきはごめん…」
「い、いえ…」
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「本当にごめん…」
「亮さん…」



「で、でも確かにキスはしましたけど、けどあのキスはそんなんじゃないし、忘れてましたよ~」
「忘れてた…?」
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「はい(笑)」
「ふ~ん…」



(嘘…)
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(私の嘘つき…)



「あの…ちょっと近づき過ぎのような…」
「そう?スローダンスはこんなもんだろ?」
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「そうなんですか…。私、こんなダンスなんて踊った事なくて…」
「こんなもん、こんなもん。もっと近づいてもいいくらい…。本物のスローダンスは…」



ギュッ…
「これが本物のスローダンス…」
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「や、あのこれは…」



(困ったな、困ったな…。足がガクガクする…。どうしよう…心臓の音が聞こえちゃうよ…)
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(こんなのって…こんなのって困る…)



亮は嘘八百のスローダンスで彼女を必要以上に抱き寄せた。
いくらスローダンスとは言え、本来ならここまで密着はしない。
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ここまで密着するのは恋人同士だけだろう。



ふと…彼はこのみの耳元に唇をはわせたい衝動に駆られた。
もし彼女の耳元をそっと舌でなぞったら…そして耳たぶをそっと噛んだら…
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決してセクシーとは言えない彼女はどんな反応をするだろうか?
驚いて身を引く?それとも可愛いらしく甘い吐息をもらすのだろうか?…。



(やっべー)
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(暴走しそう…)



やがて彼は突然、体を離した。



「あ…」
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「さ、戻って一杯飲もう。飲み物取ってくる」
「はい…」



そう言いながら彼は、クルリと後ろを向き、バーカウンターへと向かった。
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彼にはどうしてもそうしなければならない理由があったからだ。



何故なら、彼のズボンの中の男の欲望が、
隠し切れないほどの大きさに変形しつつあったからだ。
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いや、すでに完成したと言った方が正しいかもしれない(笑)



数時間後  ― このみ達のアパート前 ―



「今日はありがとうございました」
「いや…。じゃ又な」
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「はい…」



「このみちゃん。来週、電話してもいいかな?一緒に食事でもしない?」
「え?」
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ピクリ



「いい?」
「あ、ええ、もちろんですよ」
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「了解。じゃ来週ね」
「はい」



「あら~ずいぶん仲良しこよしね~。ローリー、羨ましい~」
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「じゃ私もあんたに電話していい?一緒に食事なんてどうかしら?」



「電話代払ってないから繋がんない!」きっぱり!
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(ムカつく~~!!!)



― 亮の自宅 ―



「おかえりなさいませ、亮様」
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「ただいま。起きて待ってたのか?悪いな。もう寝てくれよ、俺もすぐに寝るわ」
「かしこまりました」



「亮様、何か楽しい事でもあったんですか?」
「え?」
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「お顔が明るくていらっしゃいます。
やはり、たまにお出かけになられたのがよかったのかもしれませんね」



「では私はこれで」
(俺…そんなに明るい…?そりゃ楽しかったけどよ…)
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(そう言えば今日は散々歩いたりしたのに全然疲れなかったな。なんでだ?)



一方、亮に抱きしめられ、いつになく鼓動がせわしなく動いていたこのみ。
この鼓動を一刻も早く静めなれば。早く…早く!



「………」
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(困ったな…)



(だけどまだ大丈夫…。まだ大丈夫だよね…。今ならまだ引き返せる…)
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(だって私は、もう二度とあんな恋はしたくないもの…。
そうよ…私以外の人を思ってる人に恋をするなんて…そんな恋は絶対にしないし、バカげてるわ…)



(けれど亮さん…。
さっき亮さんに抱きしめられた時の、あなたの残り香が消えてくれないんです…)
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(数時間経った今も……ちっとも消えてくれない…。本当に困ったな…)



(あーあ、つまんないな~。亮さんがもっと積極的にしてたらもっと面白かったのにな~)
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(ぷぷっ♪ ゴルゴ…可哀想~♪)



(って言うか亮さん、完璧にこのみの事を意識してたよね…。
あれ?確か亮さんにはどこだかのセレブな恋人がいたんじゃ…?)
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(ま、男と女なんてどうなるかなんて分かんないしね。
それに、彼のような熱い男にはこのみのようにポ~っとした女の方が合ってる気がする)



「来週はデートだ♪二人っきりでデートだよん♪」
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「どこに連れて行こっかな~」



(てか亮のやつ……変じゃね?あんなの初めて見たぜ…。なんであんなにムキになったんだ?)
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(変な奴だな…)



カチャ
(やっぱカイルの言うとおり、息抜きして疲れが取れたのかもしんねーな)
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(これからはたまにはああやって外に出ねーどダメだな)



(けどやっぱりさすがに疲れたな。なんだかんだ朝からだもんな。おかげで今日はぐっすりだ)
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(しっかし今日の俺、少し変だったな…)



(ティーンエイジャーでもあるまいし…。
このみちゃんに対して、あんなエロ丸出しの感情を抱くなんてどうかしてるぜ)
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(まぁ一晩寝れば収まるだろ。さ、寝るか)



と、眠りについた亮。だが…


「………」
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「…寝ろ…俺!」



なんだかどこかで見たことがあるシーンだ(笑)



ムクッ
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「寝れねー…」



「おかしいだろ?なんで寝れないんだ?
と言うか、なんで興奮してんだ?しかもこんなにも立派に…」←立派なんだ?(笑)
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「しょうがない、もう一度シャワー浴びるか…」



「そうだな!こう言う時は冷たいシャワーがいいよな。よし、シャキっとするか!」
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と、亮は本日二度目のシャワーを浴び始めた。



― 10分後 ―
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「………」



ムクッ
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「俺…たまってる…?」



「もう一回シャワー浴びてこよう…」
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「もっともっと冷たいのじゃねーと効き目がねーな…」



ザー
そして彼はさっきより、もっともっと冷たいシャワーを浴び始めた。
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だが、彼の水浴びはこれだけでは済まず、結局彼は浴室とベットを何度も行ったり来たりした。


そして…


「マジで寝ないとな。さすがの俺もフラフラだぜ」
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と、さすがの彼も疲れた様子で何度目かの眠りについた。



が、



ムクっ
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残念な事に効き目ゼロ(笑)



やがて、彼はある提案が頭に思い浮かんだ。
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それは…



(カイルって…)
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(そっち系の本とかDVDなんて持ってっかな?)



と、本気で執事のカイルを起こして聞こうかと思った亮であった(笑)





続き、第8話へ 「俺って意地悪~~♪」
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第6話 「胸の高鳴り(後編)」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第6話


ゴルゴに何故かドキドキしてしまった沙織。こんな胸の高鳴りは初めてだった。
ありえない程の鼓動の速さ。そして、ありえない程の体の熱さ。
いったい…私はどうしてしまったのだろうか?



(まだドキドキしてる…。本当に変な病気なのかしら…?
いいえ、違うわ。きっとビックリしたのね…)
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(だって突然大きな声で叱られたから…。
そうよ、お父様にもあんな風に叱れた事なんて無かったからビックリしたんだわ…)



(それに、こんな山の中に来るのにヒールなんて履いて来る私がいけなかったんだし…)
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(だけどちっとも怖くなかった…)



(あんなに大きな声で叱られたけどちっとも怖くなかったわ…)
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(あの時の彼の胸…。鈴之助さんと違って凄くがっしりとしてた)



(あんなに肩が広くて硬いなんて…。もう一度…彼の胸に顔をうずめたらどんな感じかしら…?)
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(もう一度…)



「なあ…俺マジでなんもしてねーかんな」
「分かってるよ!うるさいな~。てかなんで私の隣に来んのよ?あっちへ行きなよ」
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「だってなんか釣らなきゃ昼飯が食えねんだろ?ここが一番魚がいるんだよ!」
「だったら早くなんか釣ってみせなよ」



「バカヤロ~釣りってのはな、忍耐がいるんだよ。
お前こそベチャクチャ喋ってんなよ、魚が逃げちまうだろ?」
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「あんたが先に喋りかけたんでしょ!ったく!いいから釣……あ…」



ドン!
「…痛っ……ったーい!」
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「ぷっ!」



「ちょっと!あんた今笑った?笑ったでしょ?!」
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「めっそうもございません♪ (ザマーみやがれ!)」



「このみちゃんは?釣りはしねーの?」
「私はしません。分かってるじゃないですか!私がドンくさいの!」
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「はは!そうだったよな!」
「あ、バカにしてるでしょ?そうでしょ?もう~」



「サンキューな」
「え?」
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「ずっと俺を励まそうとしてただろ?昨日も俺を笑わそうと一生懸命だったもんな。
それに…俺の疲れた顔を見て今日はここに来る事にしたんだろ?」
「べ、別に私は…」



「ありがとな」
「そ、そうですよ!もう恋人とケンカなんかしちゃダメですよ!」
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「恋人?」
「あの綺麗な人ですよ!早く仲直りして下さいね!」



「ああ…。別れた」
「え?」
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「麗華とは別れたよ。けど落ち込んでた原因はそれじゃないんだ。
俺が落ち込んでた原因はそうじゃなくて…そうじゃなくて…」



「このみちゃん…。俺さ…まだリンダの事を引きずってんだよ」
「え…」
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「君がこの前言ってた通りさ。
俺はまだリンダが忘れられない。笑えるって言うか情けないって言うか…」
「亮さん…」



「あーあ、2年も経ったのに俺はなにやってんだか」
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「笑っていーぜ」



「無理に…」
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「忘れようとしなければいいんじゃないですか?」



「ずっと思ってればいいじゃないですか…」
「ずっとって…」
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「自然と忘れるまで思ってればいいと思います…。でも…それでも苦しくなったら私、
すっごくいい方法を知ってます!」
「いい方法…?」



「あのですね、小泉君のわら人形を買うんです!」
「は?」
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「そんで夜中に釘を打ち付けるんですよ!
ジーンのバカヤロ~!リンダのバカヤロ~!って感じで!ね?いい方法でしょ?」



「わら…にん…ぎょう…?」
「そうです、わら人形です!あ、丑三つ時にやるんですよ?頭にロウソク刺して!」
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「ロウソク……俺が?」
「絶対にスカッとします!」



「俺が…わら人形…」
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「頭に……ロウソクを……刺して…?   ぷっ…」



「ぷ~~~~!!」
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「な、なんで笑ってんですか?私は真剣に…」



「真剣かよ!腹いて~~~!」
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「もう!亮さん!」



「でもいいアイディアでしょ?ね?」
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「わかった(笑)今度頭にロウソク刺してやってみる(笑)」



「あ、バカにしてる。絶対にいい方法だと思ったのにな~」
「なあ…君ってこんなに面白い娘だったっけ?」
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「だから面白い事なんてなんにも言ってませんって」
「もうやめろ…マジ腹いてー!」



「このみ~~魚をゲットしたよ!」
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「言っとくけどこれは私が釣ったのよ!あのくそゴルゴはちっとも釣ってないんだから!」



「早く焼いてよ!お腹すいた、お昼にしようよ~」
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「分かった、今いく!」



「亮さん、新鮮な魚が食べられますよ、向こうに行ってお昼にしましょう」
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「すぐに用意しますね!」



そう言い終えると、彼女は釣ったばかりの魚を楽しそうに焼き始めた。
「忘れなくてもいいか…」
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彼はこのみに言われたこの一言で、心が一気に軽くなったような気がしていた。
そうか…自分は今まで忘れようとし過ぎたのかもしれない。そう思ったらなんだか気が楽になった。



ふと気づくと、亮は彼女の姿を目で追っている事に気がついた。
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あの笑顔がやけに眩しく感じる…。眩しくてつい目を細めてしまいそうだ。



何故かあの笑顔を見てると自然と顔がほころぶ。あの笑顔をずっと見ていたい…。
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そしてクルクルとよく動く瞳の中に、自分が映っていて欲しい…。
彼はそんな事を……ぼんやりと思っていた……。



「やい!おまえ、ちゃんと焼けんのか?」
「うるさい!黙ってな!気が散るでしょ!それより鈴之助と沙織を呼んできてよ」
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「俺が?」
「後は誰がいんのよ?」



「亮だっているだろ?」
「亮さんはダメ。あんたが行ってきな」
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「なんで亮はダメで俺ならいんだよ!」
「バカね~♪ 亮さんにそんなパシリのような真似なんてさせられないでしょ?」



「いいから行ってきなって!食わせないよ?」
「すげーむかつく。俺はパシリさせてもいいのかよ?」
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「いいから早く行ってくる!」
「ったく…分かったよ!」



「なんて俺が行かなきゃなんないわけ?って言うかあの口の悪さは何?」ブツブツ
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「食わせてくんなくてもいいもんね。俺はこのみちゃんの食べるし~♪」



「お~い、飯だって!」
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「あ…はい…今行きます…」



「やあ、僕もそろそろお腹がすいたと思ってたところです」
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「とても美味しそうな匂いがしますね~」



「あれ?君、顔がまだ赤いな?やっぱ強くぶつけ過ぎた?」
「い、いえ!だ、大丈夫です!」
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「ほんと?でも結構赤いぜ?後で冷やしてやるよ」
「ほ、ほんとに大丈夫ですから…。ほんとに…」



ダッ
「大丈夫ですから!」
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「って…なぜ逃げる…」



ジーっ…
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「えーと…や、あのさ…俺マジなんもしてねーし…
か、彼女が勝手にって言うかさ…その…なんて言うか…」



「………」
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「………た!…」



ビクッ
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「あの…?」



きた!
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ビビビビビ~~っと!



きたーーーーー!
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「き、きた…?って…何が…?」



はぁ~~!来ました!
「だ、だから…何がきた…?」
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イメージがきたんです!僕の頭の中に!はぁ~~!
「はぁ~?」



ふぅーーー!
「ふぅーって……あの…飯…」
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ふぅーーーーー!は!は!は!はぁ~~~!!!
「えーと…」



「あれ?鈴之助君は?」
「なんか変な踊りを踊ってからいきなり描き始めたぜ?」
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「ああ~じゃ何を言っても無理よ。ああなると何を言っても耳に入んないの」
「へえ~。てか変わった描き方って言うかなんちゅうか…。ま、いいや。腹減ったな~」



「お~うめ~~!このみちゃん!
これ最高にうまい!やっぱこのみちゃんが作ったのは最高だな~うめ~うめ~」
「それ、ローリーが作ったのよ♪」
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「え?」
「うめ~でしょ?(笑)」



「美味しい?坊や?」
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「たんとお食べ」



「なにが坊だよ!
ガキじゃねんだ、そんな言い方すんなよな!って言うかお前、絶対に嫁に行けねー!」
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「お前みたいな口の悪いー女なんて誰も嫁にもらってくんねーぞ!
俺が保障してやる!」



ボソ…ゴルゴがもらったりして…」
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(なぁ~んちゃって)



「沙織ちゃん、どう?美味しい?」
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「…??…沙織ちゃん?」



「あ、は、はい…美味しいです、とっても…(どうしよう…ついゴルゴさんに目がいっちゃう…)」
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(まるでタコの吸盤のようにグイグイと吸い寄せられちゃうわ……。
だめよ、沙織。もう見ちゃ駄目…。もう見ちゃ駄目なんだから…そうよ見ちゃ…)



ジー
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(俺…見られてる?絶対に見られてるよな…)



そして食事も終わり、それぞれが楽しい時間を過ごした。
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ただ、彼女だけはいつまでもボ~としていたが。



― 夕方 ―



「さあ~てと。このみ、そろそろ暗くなりそうだから帰ろうか?」
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「そうだね。夜になると寒くなるから早く引き上げた方がよさそう」



「沙織、鈴之介を呼んで来て」
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「いえ…私達はもう少しここにいます。鈴之介さん…何を言っても今は聞こえないと思うので…」



「そっか…それがあるか。で、帰りは?この辺りじゃタクシーを拾えないよ?」
「さっき実家に電話してお迎えを頼みました。2時間ほどで到着すると思います」
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「それなら安心だね。じゃ私達は先に帰るよ」
「ええ」



「じ、じゃな…」
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「はい…」



「よし、まだ時間が早いからブルーライトでも寄るか?」
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「賛成!あの高級ラウンジですよね!ローリー、超感激ィ~~♪」
「ローリーったら(笑)」



「………」
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(さようなら…ゴルゴさん…)



「鈴之介さん…後2時間ほどでお迎えが来ますから。
けど、お昼も食べないでお腹はすかないんですか?朝、食事したっきりですよ?」
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「鈴……」



(何を言っても今は無駄よね…)
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「………」



(私…今日はずっとゴルゴさんの事ばかり見てたわ…。
だって自然に目がいってしまうんですもの…)
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(やだ…彼の事を考えたら又顔が熱くなってきたわ…。いいえ、違う。今日はずっと熱かった。
あの時からずっと………熱かった…)



(あの時の彼の広い胸に顔をうずめた時の感触が忘れられない…。
がっしりとして硬くて…それでいてとっても安心出来そうな…そんな感じ…)
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(もし、もう一度あの胸に抱かれたら…そして…)



(やだ…私ったら…何を考えてるの…私には鈴之介さんがいるのに…)
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(だけど…もしも…もしも彼の胸にもう一度抱かれ…
そして…もし…彼の唇と私の唇が出会ったら…出会ったら…そしたら…)



(そし……たら…)
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クラッ…



ドテッ
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と、彼女は倒れた。



そして彼女は2時間あまりこのままの状態が続いた。
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そう、残念な事に鈴之介にはまったく気づかれなかったのだ(笑)



だが、彼女は何故か幸せそうに気絶していた。
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口元をほころばせ、まるで恋を夢見る少女のようにうっとりとしながら気絶していた。



― ブルーライト ―



「や~今日はこのみちゃんの作った料理、最高にウマかったな~」
「え~?違いますよ~ローリーが釣ってくれたお魚が新鮮だったんです」
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「そんな事ないって!塩加減とかがさ、抜群にちょうどよかった」
「ありがとうございます(笑)」



「今度さ、俺の家でパーティーしない?その時にまた食べたいな~このみちゃんの料理」
「わ~パーティーですか?いいですね~やりたいです!その時は是非呼んで下さいね!」
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「もちろんさ!もしかしたらこのみちゃんしか呼ばないかもしんないよ?
俺とこのみちゃん二人だけのパーティーさ♪」
「え~?」



(ケッ!)
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(な~にがこのみちゃんしかよ。私も付いて行っちゃお~っと)



「亮さんは家でパーティーはしないんですか?」
「俺の家?たまにするよ。仕事の仲間とかね。今度来る?」
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「ええ、是非!」
「じゃその時は是非、セクシードレスでお願いしたいね」



「ええ!もちろんですよ!亮さんのためなら水着でだって行っちゃいます」
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「水着かよ(笑)」



「ね、このみちゃんはサンセットバレーにいたんだろ?」
「はい、実家がそこなんです。今でも両親はそこにいますよ」
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「へえ~じゃ学校は向こうだったんだ。可愛いかったろうな~このみちゃんの制服姿」
「普通ですよ、普通(笑)」



「あのさ、このみちゃん。せっかくお友達になったんだし、
今から告白ごっこなんてどう?お互いの事を知るのにいいと思わない?」
「なんですか、それ?」
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「例えばぁ~初恋の相手は○○君でした~とか言うの。俺、君の事が凄く知りたいんだ。ダメ?」
「え~!」



「じゃ俺から。俺の初恋の相手は中学の先生でした!このみちゃんは?」
「私ですか?私は小学生の時です♪近所の男の子に一目惚れしました(笑)」
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「うお~~!なんだか妬けるな~すげームカつく」
「なんでですか?変なゴルゴさん(笑)」



「なんでって…(このみちゃんって結構鈍いのな…。こんだけアピールしてんのに…)」
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「じゃ次は俺のファーストキス。初めてのファーストキスは高校の時の同級生でしたぁ♪
さ、次はこのみちゃんだよ♪」



「うわ!マジで言うんですか?」
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「いいじゃん、いいじゃん」



(ガキかっつーの!)
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「ちょっと!私にも聞いてよ」



「は?」
「それ、私にも聞いてよ。ファーストキスの告白の事。面白そうじゃない、私にも参加させなさいよ」
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「ったく…分かったよ。いつ?」



まだ!
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「はい♪ 次はこのみちゃんの番だよん♪」
「ちょっと!何とか言いなさいよ!」



「それにしてもこのみちゃんって小せーな~」
「そうですか?ゴルゴさんが大き過ぎるんですよ(笑)」
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「そんな事ないって!すげ~小せ~」



「ほら、俺の腕の中にスッポリ」
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と徐々に近づくゴルゴ。



「可愛いな~。食べちゃいたいっ」
「や、あの…ちょっと近いって言うか…」
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「近くない、近くない。全然近くないし~♪」
「あの…でも…」



と、盛り上がってるゴルゴだが、ちっとも盛り上がっていない男がここに。
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「………」



亮はこの光景をさっきから黙って見てはいたが、実は内心、ムカっ腹が立っていた。
ゴルゴのくだらない話に腹が立っていたのではない、
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このみの肩に何気なくおかれてるゴルゴの腕に。
息がかかる程彼女に近づいてる事に。そのすべてにムカっ腹が立っていた!



どうしてこんなにもイライラするのか自分でも説明がつかなかった。
ただあの二人の間に割って入り、ベリっと二人を引き離してやりたい。
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そして、彼女を自分の横にピタリと座らせ、
ゴルゴのようにあのくだらない話で彼女を笑わせてやりたい。



やがて…彼はおもむろに口を開いた…。



「キスって言えばさ…」
「あ?」
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「俺…したぜ…」
「は?別にお前のキスの話なんか聞きたくねーよ」



「したんだよ…キス」
「だからお前の話は…」
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「俺と………このみちゃんがしたの…。そうだよな?このみちゃん」
「え…」



「このみちゃんと…?って…またまた~したっつってもホッペにチュッぐらいだろ?
そんなのはキスって言わねーよ(笑)」
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「いや、唇。俺とこのみちゃんの唇がしっかりと重なった濃厚なキス」
「なんの話だよ…」



「覚えてるよな?このみちゃん」
「あの…」
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「キス、したよな?」
「亮さん…」



「それとも忘れちゃった?
俺に抱きしめられてキスされた事。まさかだよな?まだそんな経ってねーし」
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「すげー濃厚なキスだった。もっとしたかったなって話をしたんだったよな」



「君も覚えてるだろ?」
「あ、あの…でもあれは…」
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「”はい”は?」
「え…」



「”はい”でしょ?」
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「亮さん…」



「”はい”って言いなさい」
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(へえ~面白くなってきた…)



「早く。はいは?」
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(ゴクリ…)



彼女はこの時、あの夜の事を鮮明に思い出していた。
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ふいに抱きしめられた時の胸の硬さ。彼の男っぽい匂い。



そして…
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やわらかな唇の感触。



そのすべてを鮮明に思い出し、
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ドクンと…胸の中心が大きく鼓動を打った。



「このみちゃん、言いなさい」
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「”はい”だろ?」



やがて彼女は大きく息を吸い…



「はい…」
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「覚えています…」



と、小さくつぶやいた。





続き、第7話へ 「誰か俺を眠らせてくれ…」
二度目の恋…タイトル一覧は 「こちら」   
ストーリー別一覧は       「こちら」 

第5話 「胸の高鳴り(前編)」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第5話


― 数日後 ―



「ハッハッ…」
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「亮様、麗華様がお見えでございます」



「分かった、すぐ行く」
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「かしこまりました」



亮はあれから、自分の意思をきっちり伝えようと麗華に何度か電話で話をしたが、
肝心の部分になるといつものらりくらりと話をはぐらかされていた。
勘のいい彼女の事だ…きっと何を言われるのか分かっていたのだろう。
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だがそれも今日までだ。今日は何が何でも決着をつけなければならない。
彼女も亮の強い言い方に圧倒されたのか、渋々来る気になったようだ。



もちろん、一筋縄では行かないだろう事は分かっている。
けれど失敗すると分かってる結婚なんてごめんだ。
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「麗華!」
「亮…」



「話を聞きに来たわ…どうぞ、言って」
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「俺が何を言うのかは分かってるだろ?」



「ふふ…私達の将来についてかしら?それともあなたと私の結婚式についての相談かしら…?」
「冗談はやめてくれ」
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「あなたこそ何を言うつもり?私はイエスの返事しか聞かないと言ったはずよ」



「俺は君と結婚はしない。君と俺とはそんな風な付き合いじゃなかったはずだ」
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「私を抱いたじゃない?何度も何度も。それがどんな付き合いだと言うの?
友人のような付き合いだと?友人同士はベットを共になんかしないんじゃなくて?」



「麗華…俺は確かに君を何度も抱いた。けど俺達はおたがいに結婚なんて頭になかったはずだ」
「勝手に分析しないてちょうだい。あなたにはなくても私にはあったわ」
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「嘘だ。君は結婚なんて望んでいない、気楽な相手が欲しかっただけだ。
君がそんな風に思ってるなら俺は最初から君を抱いたりなんかしなかった」



「亮…何をそんなにイライラしてるの…。そんな事はどうでもいいじゃない。
子供が出来たのよ?あなたはこの子の父親なの、それとも子供を殺すの?」
「今の状態で子供が生まれても幸せになれるとは思えない。それに子供は本当に…」
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「私はあなたと結婚する。いずれあなたは二宮家の当主になれるのよ?
興味がないの?私達はベットでの相性もよかったわ。何も問題ないじゃない」



「俺は君の家には興味がない」
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「それに…君以外にもベットでの相性がいい女性はいた。
俺が抱いた女性は君一人だなんて思わないでくれ」



「あなたほどの男ですもの…それはいたでしょうね。
けど私はそんな事は気にしないわ。私達は結婚するのよ」
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「麗華…もうやめてくれ…。俺達が結婚しても絶対にうまくなんか行かない。
俺達には愛がないんだ、絶対に無理だ」



「愛がない…?」
「ああ…俺達には愛がない。少なくとも俺は君を愛してはいない」
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「愛してない…」
「ああ…俺は君を愛してない…」



「そう…あたなたがそこまで言うのなら分かったわ、私達は終わりにしましょう。
残念ね…あなたならりっぱな二宮家の当主になれたのに…」
「麗華…本当に分かったのか…?」
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「ええ、分かったわ。私だってそこまで言われてしがみつくなんてみっともない真似は出来ないわ」



「子供の事は後で相談しましょう。私はこれで失礼するわ」
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「麗華!」



「………」
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(おかしい…。素直すぎる…)



そう、こんな事はありえない。こんなに素直に彼女が諦めるなんて…。
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亮は嫌な予感に顔を強張らせた。



(そう…興味がないのね、二宮家には…。そして私にも…。よーく分かったわ。
だったら…興味が沸くようにしてあげる…)
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(二宮家にも……私にもね…)



― その夜 ―



カランコロン♪
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「いらっしゃいませ~♪」



「って…亮さん!」
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「よっ」



「どうしたんですか?こんな時間に?」
「こんな時間ってまだそんなに遅くねーよ。一杯もらえる?」
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「え、ええ…どうぞ…」



「あれ?今日はもう一人の子は?」
「ローリーですか?今日は入ってないんです。今頃は踊りにでも行ってると思います。
亮さんこそ一人ですか?あの人は?」
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「ゴルゴの事言ってんの?毎日ゴルゴと一緒にいるわけじゃないぜ(笑)
俺だってたまには一人で飲みたい時もあるさ…。なに?ゴルゴの事気になる?呼ぼうか?」
「そんな事言ってませんよ~(笑)」



(又だ…。
この間もそう思ったけど…亮さん、なんだか淋しそう…。それになんだか疲れてるみたい…)
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(やっぱり恋人とケンカでもしたのかな…?)



「そうだ!この間はご馳走になったんで今日は私がご馳走します!
もうすぐ終わりますので一緒に飲みますか!?と言ってもここで…ですけど(笑)」
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「君がご馳走してくれんの?俺、遠慮しないぜ?」



「3杯までならOKです」
「5杯」
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「じゃ4杯で手を打ちます!」
「分かった(笑)」



― 数分後 ―



「いや~悪いな~結局亮さんが頼んだお料理を頂いちゃって♪」
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「てめー本当はちっとも悪いと思ってねーだろ?」



「食べない亮さんが悪いんですよ~~!あ~美味しい♪」
「こんなに遅く食ったらデブるぜ?」
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「いいんです、後で必死に腹筋しますから(笑)」
「ははっ!」



「ところで明日の約束覚えてる?何時に迎えに行こうか?」
「何時でも♪ ローリーが凄くはりきってるんですよ!」
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「分かった。じゃ10頃に君のアパートに迎えに行くよ」
「はい」



「そう言えば私と同じアパートに住んでる人なんですけど、すっごく面白いんですよ!」
「面白い?」
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「はい、すっごく!」
と、このみは鈴之介と沙織の事を楽しそうに説明した。



彼女はそれが済むと今度は、自分の失敗談を笑って話し始めた。
まだ乾いてない絵に手をついてしまった事、コンテストへの応募作品を間違えた事。
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彼女は俺に何かあった事を察したのかもしれない。
だから俺を笑わせようと冗談を言い、何度もおどけて見せたのだろう。



亮はなんだか楽しかった。こんなたわいもない話が何故だか凄く楽しい。
女性とこんな風に駆け引きのない話をするのは久しぶりだった。
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今まで彼に近づいてくる女性はだいたいが何らかの含みを持っていた。
もちろんそのほとんどがベットへの誘惑だ。



上目使いもない、駆け引きもない彼女と過ごす時間は彼に安らぎを与えていた。
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そして何故か居心地がよかった。
彼女がもたらすこの優しい空間がとても居心地がよかったのだ。



「結局ごちそうになってしまってごめんなさい」
「いいよ、今度倍にして返してもらうから」
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「怖いですね~(笑)」
「じゃ明日な」



「明日なんですけど、食事はやめてどこか遠出しません?山でもいいし海でもいいし。
新鮮な空気を吸いに行くのはどうですか?」
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「俺はいいけど…でもうまい飯がいんじゃないのか?
せっかく高級なレストランに連れてってやろうと思ったのに」
「ええ、今回はいいです!私もちょうど息抜きをしたいと思ってたんで。どうですか?」



「分かった。じゃ飯は又今度な。いや~高級レストランじゃなくて助かったな~」
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「助かってません。そのうち絶対に連れてってもらいますので」
「はいはい(笑)」



― 翌日 ―



「ローリー、支度出来た?亮さん達がもう来ちゃうよ?」
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「ちょっと待ってよ!いま支度してる!」



「だいたいこのみが悪いんじゃない!
レストランだと思ってたら急に海とか山とか言い出すんだものっ」
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「いいじゃない、そんなところで食べる食事も美味しいよ♪」



「もう…せっかく素敵なドレスを用意したのに…」ブツブツ…
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「早くしてってば」
「分かったわよ!」



― 10分後 ―



「お待たせ。もう来た?」
「まだなの。車が混んでるのかな?」
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「そうかもね。って、どこへ行くか決まったの?」
「まだ。どこにしようか?海もいいけど山もいいよね~」



「絶対に海ね。水着も用意したもの」
「え?水着も用意したの?ローリーったら!だから支度に時間がかかったのね!」
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「まーね。私のセクシーな水着姿を見たらきっと亮さんもクラっときちゃうわね。
あんたも持っていきなよ」



「私はいいわよ。足を濡らして遊んでるからいいわ」
「あ、自信がないんだ?」
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「当たり前でしょ?私のお子様体系をさらすくらいなら死んだ方がましよ!
ってだからさ、海じゃなくて山にしない?」



「あれ?このみさん、ローリーさん♪ どこかへ出かけるんですか?」
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「ええ、ちょっと遠出よ!海か山にするかで今悩んでる最中なの」
「わ~いいですね~♪今日はお天気もいいし、とっても楽しそう♪」



ピクッ…
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(山…)



「沙織ちゃんも鈴之助君とたまにはどこかへ出かけたらいいのに」
「そうですね!鈴之助さんの次の絵が仕上がったらそうします♪
ところでこのみさん、どこに行くか決まったんですか?」
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「どうしよっかな~風のふくままってのもいいかもね!」
「それも素敵っ」



ぬっ
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   が、いいです」
「なに勝手に決めてんのよ?行くのは私達なんだからね!」
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「僕はちょうどデッサンに詰まっていました。次のテーマーは山の風景画に決定です。
なので   がいいです」
「は?」



「今着替えて来ます。5分お待ちを」
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「って…ちょっと!鈴之介!」



「なにあれ?鈴之介も行くって事?」    「たぶん…そうだと思う…」
「何考えてんの?」               「絵の事しか考えてないと思う…」
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「って…沙織は?」                「さあ…」



「あの…私も行きます…」
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「だって…鈴之介さんが行く所にはすべてついて行きなさいって…」



「お母様が」                      「お父様が」
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「言ったんでしょ?」                  「言ったんでしょ?」



「わ~お二人ともどうして分かったんですか!まるでエスパーですね!」
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「凄いです!尊敬しちゃいます!」



「………」                        「………」
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「エスパー…」                      「伊東…」



やがて、亮達が到着し、結局は6人で山へ行くことになった。
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なんだか不思議な組み合わせのメンバーだが、ゴルゴはこのみさえいればどうでもいいようだ。



「わ~すっごくカッコいい車ですね!私、こんな車にのったのなんて初めてです!」
ボソ…俺の彼女になれば毎日乗れるじゃん…
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「え?」
「独り言さ♪」



(このみちゃん、可愛いな~。マジで付き合ってくんねーかな…。
このみちゃんとなら俺…結婚だって考えちゃうよ?可愛い奥さんになるだろうな…)
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『おかえりなさいあなた。ご飯を先にする?お風呂が先?それともわ・た・し?』
『君を先に食べるに決まってるだろ?俺の可愛いハニー』『ゴルゴさん…』『このみちゃん…』




(な~んちゃって、うぷぷっ。ヤバいヤバい、運転に集中集中)
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と、バカな妄想に走ったゴルゴ。



「いい絵が描けそうだ。きっと次こそは金賞を取ってみせるよ」
「もちろんですよ!鈴之助さんなら絶対にやれます!私、信じてますから」
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「ありがとう。今まで待たせてしまってすみませんでした。
金賞が取れたらすぐにでも結婚しましょう」
「はい…」



(うわ~マジいい男)
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(ヤバい…ヤバいわ…。世の中にこんないい男がいたなんて…)



(ローリー…まいっちゃう…)
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(間違って一回だけでも抱いてくんないかな…)



― 山の里 ―



「マジでここでいいの?なんもなさそうだぜ?」
「全然全然ここでいいです!すっごく空気が綺麗ですね!」
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「飯は?飯はどうする?」
「大丈夫です。釣りも出来るし材料も持って来ましたから私が作ります」



「前に作ったように俺がまた作ってやろうか?」
「遠慮します(笑)」
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「あ、その言い方可愛くねー」
「亮さんに可愛いと思ってもらわなくてもいいも~ん」



「沙織さん!ここの山は素晴らしい!これはいい絵が描けそうですよ!」
「ええ、本当に素敵です!今度こそ金賞ですね!」
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「もちろんですよ!今度こそ金賞を必ず取ってみせます!
沙織さん、もっと向こうに行ってみましょう。きっと素敵な景色が見えますよ!」



「ええ!行きましょう」
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(鈴之助さん、とっても嬉しそう…。今度こそ金賞が取れますように…)



「さ、こっちです、沙織さん!」
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「あ…待って下さい、鈴之助さん!」



「待って…まっ」
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「あっ!…」



「キャッ!」
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「おい!」



「ちゃんと下を見ろよ!石がいっぱい落ちてるだろ!顔面からすっ転ぶとこだったぜ!」
「す…すみません…」
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「大丈夫か?走らないで歩けよ!」
「はい…」



「だいたい山に来くんのになんでヒールなんだよ?
運動靴かなんか履いて来なくちゃダメだろ!?」
「そ、そうですよね…本当にごめんなさい…」トクン…トクン…
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「別に謝らなくていいって」
「はい…」



(やだ…なんでこんなに心臓が…)
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(苦しいわ…。心臓が今にも破裂しそう…)



「どうした?顔が赤いけど?あ、俺の胸に顔を強くぶつけちまった?」
「いえ…」
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「悪い悪い。けど顔面からスっ転ぶよりかはマシだろ?(笑)」
「え、ええ…」



「あ、ありがとうございました…」
「いいっていいって」
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(どうしよう…鼓動が…鼓動がどんどん大きくなる…。こんなの初めてよ…)



「ちょっとゴルゴ!沙織になにしたのよ!」
「あ?」
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「沙織にはね、あの鈴之助がいんのよ!
二人は婚約者同志なんだからね!手なんか出したら承知しないわよ!」
「何言ってんの?俺は彼女が転びそうになったのを助けてやっただけだよ!」



「ほんと~?じゃなんで沙織の顔がこんなに赤いのよ?」
「むっ。助けた時に俺の胸に顔をぶつけたんだよ!」
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「あんた、なんか信じらんないのよね。超あやしい」
「なにお前、この間から。俺がお前になんかした!?」



「ローリーさん!違うんです!」
「え?」
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「あの…本当にゴル…ゴルゴさんでしたよね…。その…ゴルゴさんの言う通りなんです…。
わ、私が転びそうになったところを彼に助けてもらって…」



「そ、それで私の…か、顔が赤いのは…赤いのは…」
「赤いのは?」
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「赤いのは…」



ダッ!
「私がゴルゴさんに勝手にズキュンズキュンしてるだけです!」
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「変な病気なんです、きっと!」



(そうよ…きっと変な病気なんだわ…。こんな風にドキドキするなんて絶対変よ…)
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(けど…どうして彼に触れられたところだけがこんなにも熱いの…?。
その場所だけ燃えるように熱いのはなぜ…?)



「なんだあれ?」
「さあ…」
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「俺、マジでなんもしてないぜ?」
「ふ~ん…」



「勝手に俺にズキュンズキュンするって言われてもな…はは…は…。
…おい、何とか言えよ?」
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「おいって…」



「ローリー…わかんなぁ~い」
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「お前がそんな言い方しても………ちっとも可愛くねー」





続き、第6話へ 「胸の高鳴り(後編)
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第4話 「熱い男」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第4話



このみ達と別れ、帰途についた亮。
久しぶりに彼女の顔を見て懐かしさが込み上げてきた。
サンセットバレーの潮風の匂いを、あの町独特の匂いを思い出していた。



(ホームシックか…)
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(確かにそうかもな…)



彼女はクルクルとよく動く目を回しながら、サンセットバレーの思い出話をしていた。
なんだか以前よりも明るくなったように感じる。
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そしてユーモアを交えて自分の今の大変さを語っていた。
アルバイトをしながらの美術学校への通学。コンテストに毎回応募しては落ちている事。



それらを面白おかしく言って聞かせた。だが、実際には大変だろう事は察しがつく。
それでも一生懸命暮らしている事に感心すると同時に自分のふがいなさに腹が立った。
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彼女はすっかり失恋の痛手からは立ち直ったのだろうか?
ジーンの事は今では本当に何とも思っていないのだろうか?



少なくとも自分の時間はまだ止まったままだ。動き出せないでいる。
自分はこんなにも執念深い男だったのか?
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彼女にリンダの事をまだ思っているのかと、冗談交じりで聞かれた時は、正直ギクリとした。



他の男の妻となってもなお、恋しさがつのる自分がいたからだ。
いや、手が届かない存在になったからこそ尚更なのかも知れない。
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彼女がジーンの腕に抱かれ、自分には見せた事がないような顔を見せるのかと思うと
頭をブルブルと振るいたくなる。



だがそれももう終わりにしなければ。いつまでも立ち止まってる訳には行かない。
いま動き出さなければ一生抜け出せないだろう。
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けれどそれが麗華との結婚と言う形なのだろうか?それが動き出すための一歩だと?
いや、そうではないと本能が告げている。



カチャ
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「亮様、お電話が入っております」



「電話?」
「はい、麗華様からお電話です」
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彼はこの家の執事、カイルだ。亮は彼にこの家の中の事はいっさい任せている。
余計な事は言わず、そして温かみのある男性だ。



「麗華から…」
「いかがなさいますか?こちらにまわしましょうか?」
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「いや…俺は寝たと伝えてくれ…。明日、俺から電話するから…」
「かしこまりました」



「亮様、お疲れのようでございますね。今夜はもう休まれては?」
「ああ、ありがとう…これを飲んだら寝るよ。カイルももう寝てくれ」
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「はい、ではおやすみなさいませ」
「おやすみ」



そう、はっきり彼女に伝えなければならない。結婚は出来ないと。
彼女が急に結婚を持ち出したのは何故だろうか?
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大方、彼女の気まぐれだろう。彼女ならさもありなんだ。
そんな彼女の気まぐれに自分の人生を犠牲にする訳には行かない。



だが、麗華は容赦なくつついてくるだろう事は分かっていた。
彼女はそんなにスンナリ行くような女性ではないからだ。
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そして、妊娠が嘘だと言う事も決して認めはしないだろう事も分かっていた…。



― このみの部屋 ―



(うわ~今日はビックリしたな~。まさか亮さんと会うとは思ってなかったもんね。
相変わらずカッコよかったな。前から素敵だったけどもっと素敵になってた)
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(そう言えば新聞に載ってた亮さんの恋人、凄い美人だったよね。
まさしくセレブって感じ。すっごくお似合いの二人だった。美男美女のカップルってか?)



(でも亮さん、なんだか元気なかったな…。あの素敵な恋人とケンカでもしたとか?)
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(ま、付き合ってればケンカぐらいするわよね)



「きっと結婚するんだろうな~。あーあ、みんな結婚しちゃって私はいつ出来るんだろう?
ってまだローリーがいるか。あ…また独り言を言ってる…」
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「つい声を出しちゃうんだよな~。女が独り言を言うようになったら終りね」



「考えても仕方がない!寝よう、寝よう」
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と、彼女はぶつぶつと独り言を言い、眠りについた。



その夜、彼女は懐かしい夢を見た。その夢は二年前の夏の終わりだった。
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そう、亮の硬い胸に抱きしめられ…熱い口づけをしたあの夜の夢を…。



― 翌朝 ―



「このみ♪」
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「おはよう」



「ローリー、おはよう。ずいぶん早いじゃない?普段ならまだ寝てる時間でしょ?」
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「私だってたまには早く起きる時もあるわよ」



「ね、夕べは素敵だったわね~♪」
「ほんと。貧乏な私達はあんな所には二度と行けないわね」
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「違うわよ!亮さんの事を言ってるの!」
「亮さん?」



「素敵じゃない?大人の魅力って言うかさ…物静かでクールで…
あ~ん、あんな人から一度でいいから愛されてみたいわ」
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「バカね~、亮さんには素敵な恋人がいるわよ?」



「もう!分かってるわよ!ちょっと夢を見ただけじゃないっ」
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「無駄よ、無駄(笑)」



「このみったら…もう少し早く私に亮さんを紹介してくれたらよかったのにっ!
そしたら今頃は私が恋人だったかもしれないのよ?」
「それはそれは失礼しました(笑)」
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「あ、バカにしてるでしょ?ね?ね?」
「してない(笑)」



「そうだ。亮さんが来週、食事をご馳走してくれるって。ローリーも一緒にって言ってたわよ」
「嘘!」
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「行くでしょ?」
「絶対に行く!何があっても絶対に行くわよ!」



「ハっ…」
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「もしやあの男も来るんじゃ…?」



「そう言えば洩れなく着いて来るって言ってたわね。でも来たっていいじゃない?
何か都合が悪いの?」と、ニヤリ
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「…ちょっと!なんでニヤニヤしてんのよ?」
「別に(笑)」



「あんた、なんか変な勘違いしてんじゃないわよね?」
「変なって?(うぷぷぷっ)」
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「何よ?てか、なにその意味深な笑い。気持ち悪いっつーの…」
「ローリー…本当はタイプでしょ?」



「は?」
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「ローリーってああ言う男の子、好きよね。ナマイキそうでキャンキャンしてるような感じの男の子」



「やめてよ!あんなクソナマイキなガキなんて冗談じゃないわ!
私はね、亮さんのように大人の男性がいいの!二度とそんな事は言わないで!」
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クスクス…♪
「だからなんなのよ、その笑い!」



(私がタイプ?このみったら…隆君に振られて頭がおかしくなったんじゃないの?)
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(あんな眉毛が太いのなんて話にもならないっつーの)



「このみさん!ローリーさん!ちょっと来て下さい!」
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「鈴之介さんが…鈴之介さんが!!!」



「はあ…はあ…ローリーさん…鈴之介さんが…」
「又なの…?ほっとけばいいのよ。すぐに甘やかすからつけあがるのよ」
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「そんな事言わないでお願いします!助けて下さい!」



「鈴之介さんったら頭をがんがんイーゼルにぶつけてて…あれじゃどうにかなってしまうわ!
私がいくらやめてって言ってもやめないんです!ローリーさん!お願いします!」
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「しょうがないな~」



鈴之介の部屋



「くっそ~~!!!僕には才能がないんだ!
こんなカラッポの頭なんか壊れてしまえばいいんだ~~!!!」ガンッ!
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「僕は生きてる価値なんてない!僕は…僕は…うお~~!!!」ガンガンッ!



「こんな腕ももげてしまえばいい!こんな腕なんか…腕なんか~~!」
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「キャ~鈴之介さん!お願い、やめて!」



熱い男、芦屋鈴之介
彼も同じアパートに住む住人であり、同じ美術学校の生徒でもある。
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彼はこんな身なりをしているが、実は芦屋財閥の一人息子。
芦屋財閥と言えばこの町で知らない人はいないほど、指折りの資産家だ。
そう、あの麗華の家と一、二を争うほどの名家である。



彼は将来、家を継ぐことになってはいるが、その前にどうしてもやりたい事があった。
それは幼い頃からの夢、絵のコンクールで金賞を取る事だ。
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両親から3年の猶予をもらい、このみ達と同じ美術学校へ入学した。
が、しかし…彼は時々こんな風におかしく?なる(笑)



そして彼女は鈴之介の許婚、伊集院沙織。
彼女も同じアパートの住人だ。
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鈴之介の許婚と言うぐらいだ、もちろん彼女の家も大変なお金持ちである。
沙織は鈴之介を支えるために同じアパートにわざわざ引越して来た。



このアパートは左から、このみ、ローリー、鈴之助、沙織。
この4部屋が入っている。
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そして沙織はせっせと鈴之介の世話をやいていた。



だが…鈴之介がこんな風になるとどうしていいか分からなくなり、
いつもこのみとローリーの手を借りては鈴之介をなだめている。
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まあ、これはいつもの行事と言っていいだろう(笑)



「鈴之介!いい加減にしな!」
「ほっといて下さい、ローリーさん!」
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「やめなって!ほんとうに頭がバカになるよ!」
「もう…いいんです…元々僕はバカなんですから…いいんです!」



バシッ!
バカ!
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うっ



いい!?よく聞きな!あんたには誰にも真似出来ないような表現力がある!
「僕…僕に表現力が……」
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そうさ!それは鈴之助の才能なんだよ!
それに…そんなあんたを支えてくれる沙織がいるじゃないか…。それを忘れたの?」
「沙織さん…」



「そうだよ。沙織のためにもあんたが頑張らないでどうすんのよ?
それとも絵なんかやめて家に帰る?今までつちかって来たものをすべて捨てて?」
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「そりゃあんたの家は大金持ちさ。家に帰れば楽な人生が待っているだろうよ。
けど夢はどうすんだ?金賞を取る夢は?あんたにとって絵はそんなもんだったの!?」
「僕にとって絵は…絵は…」



「そうよ、鈴之介君…。鈴之介君にとって絵は大事な夢なんでしょ?
だから両親にたてついてまでもこの学校に来たんでしょ?」
「このみさん…」
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「ローリーの言うとおり、鈴之介君には誰にも真似出来ないような表現力があるわ」
「僕には誰にも負けない…」



「それ……それが仕上がった絵ね?……凄い……その草…素敵…」
「え?」
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「草…すっごく素敵…」



「花なんだけど…?」
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「え?」



「あ、ああ…そうよ、花よ…花!
「ほんとに素敵…?」
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「凄く素敵! この……くさ…じゃなくて…花!最高だわ!」
「どんな風に感じる…?」



「えーと…そうね…枯れてるっぽいから…水。そうよ!水をたくさんくれって泣いてるわ!
水をくれたら元気になって青々と立派に茂るぞ~~って感じ!」
「茂る…?」
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「あ、違った…咲く、咲くよ!だって花だもんね!」



「このみ…それ以上言わない方が…。もっと苦しくなるよ…」
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「やっぱり…?」



「このみさん!僕嬉しいよ!…そっか…そんな風に感じてくれたのか…。
それはまさしく僕の思惑通りだよ…。やっぱり僕には才能がある…特別な才能が…」
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 「………」                             「………」



「沙織さん…」
「鈴之介さん…」
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「ごめんよ…僕…僕…」
「いいのよ…いいの…」



「ほら…こんなにあんたを思ってくれる沙織のためにも頑張らなきゃ…。
沙織ぐらいだよ?そんなあんたの側にいてくれるのは。そうだよね?沙織?」
「はい…。ずっと側にいます…」
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「グス…沙織さん…」
「だって…」



「そうしなさいって………お父様が…」
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(親父に言われてかよっ)



「で、でもさ…いくらお父様に言われたからって…ねえ?
それだけでかいがいしくお料理を作ったりなんて出来ないじゃない?ね、沙織ちゃん?」
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「はい…。鈴之介のさんのために一生懸命栄養のバランスを考えて作ってます…」
「わ~凄いじゃん! ヒュ~ヒュ~♪ローリー、羨ましい~♪ こりゃ愛だね、愛」



「だって…そうしなさいって………お母様が…」
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「はは…」



「沙織さんっ…」「鈴之介さんっ」
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「…もう行こっか、このみ…」                     「そうだね…」





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第3話 「故郷の匂い」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第3話



2年ぶりに亮と偶然出会ったこのみ。
二人はサンセットバレーでのあのデート以来だった。そう…あの濃厚なエールをもらった以来だ。



「え?亮、この娘知ってんの?」
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「知ってるも何も…。な?このみちゃん」



「はい、お久しぶりです、亮さん」
「久しぶり。2年ぶりぐらいかな?元気そうだ」
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「ええ、元気です♪ 亮さんも元気そうですね」
「ああ、俺も相変わらずさ」



「ちょっと、このみ。あんた宮沢亮と知り合いだったの!?」
「うん、田舎が一緒なのよ」
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「なんで言ってくんなかったのよ!私、すっごいファンだったのよ!」
「そうなの?知らなかった」



「初めまして~私、ローリーって言います。このみのマブなんですぅ~」
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「初めまして、亮です(マブ?)」



(この女…なんだ今の甘い声は?)
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(さっきのドスのきいた声はどうした?あ?)



「なに?ここで働いてんだ?」
「ええ、週に3回、ここで働いてます」
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「へえ~偶然だな。
仕事はもう終わったんだろ?せっかく会ったんだ、みんなで飯でも食いに行くか?」



「はい、はい!行きます!ローリー、超お腹がすいちゃったぁ~♪」
「よし、じゃみんなで行こう」
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「ええ!」



(ケッ!なぁ~にが『すいちゃったぁ~♪』だよ!)
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(そんなに腹が減ってんだったら豚の丸焼きにでもかぶりつけよ!)



「お前も行くだろ?それとも飲み過ぎでもう無理?」
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「全然無理じゃない!」キッパリ!



「あら…あんたも行くの?お金も持ってないくせに…」
「金なら家に帰ればある!
だいたいなんで亮は知ってて俺は知らねんだよ!俺も有名なサッカー選手だ!」
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「ごめんなさいね、私、イケメンしか興味がないの」
「くっそ~!!!」



「ちょっとローリー、やめなよ…」
「だってさ…(からかうと面白いんだもん…)」
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「ローリー!」
「分かったわよ…」



「あの…私、中山このみと言います。この子はローリーよ、よろしくね」
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「あ、ああ…お、俺はゴルゴって言うんだ、よろしく」



「ゴルゴ?ちなみに苗字は?」
「なんで言わなきゃなんねんだよ…」ブツブツ…
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「いいじゃん、教えてよ」
「しょうがねーな…。俺の苗字は……ゴニョ…墨…ゴルゴ…だ」



「え?聞こえない」
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「だから……眉…ゴニョ…墨…ゴルゴだ」



「…眉…墨…?」
「ああ、俺は眉墨ゴルゴだ」
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「ぷっ」
「あ?」



「ぷー!!!!!きゃーははは!眉墨だって!眉墨!
眉墨ゴルゴ!一発で覚えられるわ!だってあんたの眉毛…眉毛…ぷーーーーっ!」
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「このアマ~…」



「ローリーったら!失礼でしょ!」
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「ごめん、ごめん…だってさ…おっかしっくって…あーお腹痛い」



「それにしても…眉墨だって!ぷーーー!」
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(この女…いつかぶっ飛ばす。
女だろうと関係ねーや。あの尻をペシってひっぱたいてやるぜ!)



高級ラウンジ ― ブルーライト ―



「このみ~すっごく素敵ね!一度でいいからこのお店に来て見たかったの。
ここってセレブじゃないと入れないお店なのよ!」
「そうなの?全然知らなかった」
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「このみったら何にも知らないのね!今夜は亮さんがいたからフリーパスで入れたけど、
普段は絶対に入れてもらえないんだからっ」



「おい、亮。このみちゃん。超可愛いよな?まさかお前の知り合いだったとはビックリだぜ」
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「これも運命かもしんねーな?」



「もしかしてお前が恋した相手って………このみちゃん?」
「ピンポ~ン♪」
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「へえ~」
「なに?もしやお前もいいと思ったとか?」



「まさか。俺はそれどころじゃねーよ」
「ああ、麗華ね…。で、やっぱ別れ話だったんだろ?そんなに落ち込むなって!」
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「いや、落ち込んでる理由はそれじゃねーし」
「お前にはすぐにいい女が現れるさ♪」



「だから俺の話を聞けよ!」
「麗華はさ、あの通りお嬢様だろ?所詮、俺達とは住む世界が違うんだよ」
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「だから…(聞く気ゼロだな…)」
「それに麗華は我がままだしな~。別れて正解じゃん!」



「ま、あの女よかはマシだけど」
「あの女?」
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「ローリーって女だよ。最悪!」
「ぷっ…」



「なに笑ってんだよ?」
「だってお前って、最悪の女程燃えるくせがあんじゃん」
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「ばっ…やめろよ!あの女だけはそんな事には絶対になんねー!
あんな口の悪いおっかねー女なんかごめんだ!」



「だ~れがおっかねー女だって?え?まさか私の事じゃないでしょうね?」
「急に顔出すなよ!ビックリするだろ!」
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「なによ?ビックリするのはやましい事があるからじゃないの?」
「なんもやましい事なんかねーよ!」



「さ、この二人はほっといてなんか飲もうか?このみちゃん」
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「はい(笑)」



「なあ、なんであの二人あんなんなの?今日会ったばかりなんだろ?」
「さあ、分かりません。何故か気が合わないみたいで」
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「そうか?俺から見れば逆に気が合ってるように見えるけど?」
「あ!そう思います?私も実はそう思ってたんですよね!
似てるって言うか何て言うか…」



「ところで何で連絡くれなかったんだ?一緒に飯食おうと待ってたのに」
「本気だったんですか?(笑)」
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「本気さ!このみちゃんのメッシーになろうとしてたのにな~」
「うわ~残念だったな~(笑)」



「電話はしようと思ったんですよ。でも、バイトとかで忙しくて」
「本当は男で忙しかったんじゃないの?」
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「あ、バレました?」
「これだよ(笑)」



「亮さんこそ新聞に出てましたよ、美人の恋人と一緒に映ってましたね?」
「美人の恋人?ああ…あれね…」
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「凄く綺麗な人でした」
「そう…?」



「そう言えば亮さん、リンダ達の結婚式に出なかったんですってね。リンダから聞きました」
「ちょうど試合があって出られなかった。え?君も出なかったの?」
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「ええ、私もちょうどコンテストの最中で」
「そっか。それじゃ仕方がねーな」



「でもしっかりお祝い金は取られました(笑)」
「やっぱり…。俺のところにもジーンから電話があってがっぽり取られた(笑)」
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「そうでしたよね、少しの間小泉君、こっちのチームにいたんですよね」
「半年程な。リンダが姿をくらましてる間だよ。
あいつ、毎日俺の家に来てはリンダから電話ない?ってうるさくてよ」



「私のところにも毎日電話がありました。
泣きそうな声で『リンダから連絡はなぁ~い?』って(笑)」
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「迷惑な奴らだよな」
「ほんと(笑)」



「そう言えば、小泉君のお休みが取れたら二人で遊びに来るって言ってましたよ」
「ああ、聞いてる。ジーンから俺の家に泊まらせろって電話があった」
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「え?亮さんの家に?」
「そう、俺の家に。ホテル代がもったいないんだって」



「きっとそう言ってるのはリンダですよ。意外とケチだから」
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「はは!確かに(笑)」



「しっかし、俺の事をこっぴどく振っといてよく俺の家に泊まるなんて言えるよな?」
「神経が太いんですよ、神経が。って、まだリンダの事を思ってるんですか?」
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「まさか…。あれからもう2年だぜ?とっくに忘れた。君は?」
「私もとっくに忘れました。これっぽっちも思ってません」



「言うね~」
「言いますよ~。自分を思ってくれない人を思い続けるなんて時間の無駄ですよ、無駄」
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「まいった(笑)」
クスクスクス…



「なんだか君とこうして飲んでると心が癒されるな…」
「え?」
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「なんでかな…」



「…なんとなく分かります。私もさっきからそう思ってましたから…」
「君も?」
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「ええ…私も心を癒されます…」



クス…。たぶん…同じ匂いがするからかな…?」
「同じ匂い…?」
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「ええ…サンセットバレーの匂いがするんです…。同じ故郷の匂い…」



「やめろよ…帰りたくなるだろ?(笑)」
「あ、亮さんもホームシックですね?」
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「かもな」
「私もちょっとホームシックかな…。なんだか無性に帰りたいです…。
誰かに甘えたくなったのかも知れませんね」



「俺でよかったら甘える?」
「嫌です!(笑)」
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「てめー」



「なんだか亮さんってお兄さんみたい」
「あ、そのニュアンス嫌いだな。お兄さんなんて一番恋愛から離れてるだろ?」
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「もう!綺麗な恋人がいるくせに!叱られますよ!」
「うるさい妹だな」



「よし、じゃお兄ちゃんと来週、どっか行くか?ちゃんとした飯おごってやるよ」
「え~今日でも十分なのに。でも助かります、貧乏なんで(笑)」
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「あの娘も誘えよ、うまい飯をおごってやる」
「二人ともいいんですか?」



「いいとも♪ 彼女も連れておいで」
「ではお言葉にあまえて」
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「ああ、迎えに行くよ。たぶん、ゴルコも洩れなくついてくると思うけど
(たぶんじゃなくて絶対だな)」
「楽しみにしてます」



こうして、二人は食事の約束をした。
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だが、その日を堺に二人の気持ちが微妙に変わる事になろうとは、
この時はまだ、おたがい知る由もなかった。



同時刻  ― 二宮家 ―



「失礼いたします。麗華お嬢様、旦那様がお呼びでございます」
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「父が…?」
「はい」



「もしかして又信也さんが見えてるの?」
「ええ、先ほど見えられました」
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「そう…」



「悪いけど頭痛がするって伝えてくれる?私、疲れたみたい。もう休むわ」
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「かしこまりました」



(お父様ったら…又彼を呼んだのね…)
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(信也さんを何度呼んでも無駄なのに…。困ったお父様…)



「奥様、お嬢様は頭痛がするとかでもうお休みになられるそうです」
「まあ…頭痛が?嫌だわ、風邪かしら?」
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麗華の母、二宮頼子。



「大方遊び疲れたんだろう。ほっときなさい」
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麗華の父、二宮金治。



「信也さん、ごめんなさいね、せっかく来ていただいたのに」
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「いえ、お気になさらないで下さい」



「まったく困った奴だ。毎日遊びほうけてばかりいる。一人娘だからと言って甘やかし過ぎたのかもしれんな」
「はは!麗華さんはお友達がたくさんいらっしゃるから」
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「すまんね、信也君。どうだ?うまいワインがあるんだ。一杯やらんかね?」
「こりゃいい。僕ものどが渇いてたところです」



笹宮信也。
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彼の家も大きな会社を経営している。
二宮家ほどではないが、それなりの財産もあり由緒ある家柄の次男だ。



彼は最近、毎日この家へやってくる。
彼が勝手にやって来るのではない、父が呼んでいるのだ。
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私は父の魂胆を知っている。
父はあの男と私を結婚させようとしているに違いない。



そしていずれはこの二宮家を継がせようとしているのだろう。
だが、私は親と金がなければ何にも出来ないような男はごめんだ。
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そう…この家にはあんな男よりも亮の方が何百倍もふさわしい。
私は必ず亮を手に入れる。



私は今まで色んな男と付き合ってきた。
だが、近づいてくるのはすべてこの家の財力があってこそだ。決して私の魅力ではない。
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けれど亮は違った。彼は私と二宮家とを完全に切り離して考えている。
亮は二宮家の財力に興味も無ければ執着もない。



その証拠に、彼は私と別れようとしていた。私にはそれが分かっていたのだ。
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私を何とか繋ぎ止めようとする男はいても、離そうとする男なんて初めてだった。
だからこそ、彼が欲しい。私に媚びたりなんかしない、あの男が。



何よりも、彼とのベットでの中での行為は最高だし、そして彼はとても上手だ。
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そう、彼は自分だけさっさと絶頂に達して満足し、
女性もさぞや満足しているだろうと勝手に思い込んだりするような男なんかじゃない。



彼は私をじわじわと高みへと連れていき…
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そして狂わせる。



その時の彼のクールな瞳。怪しく光る輝きはまるでダイヤモンドのようだ。
つい引き込まれてしまいそうな冷たく光る輝き。
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あの瞳に見つめられただけで昇りつめてしまいそうになる。
彼は最高にセクシーな男だ。



彼の魅力に今更ながらに気づいたのは私の失敗だ。
いや、本当は気づいていた。ただ認めたくなかっただけだ。
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この私が一人の男に心を奪われるなんてありえない。
しかし、それに気づいた今、私は必ず彼を手に入れる。



父が信也との縁談を決める前より先に手を打たなければならない。
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それは早い方がいいだろう。



ただ問題は、亮は二宮家にも執着がないが私にも執着がないと言うことだ。
だからこそありもしない妊娠をでっちあげた。
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彼を説き伏せるのは簡単な事ではない。



だけど私は今まで欲しいものは必ず手に入れて来た。
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そしてそれはこれからも変わる事はないし諦める事もしない。



私は必ず亮と結婚する。
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絶対に。





続き、第4話へ 「熱い男」
二度目の恋…タイトル一覧は 「こちら」   
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第2話 「再会」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第2話


隆に別れを告げられた翌日、
このみはローリーからの質問攻めを避けるように教室の隅で授業を受けていた。
何と言えばいいのだろう?
プロポーズが一転して振られたなんて絶対に笑われそうだ。



(嫌だな…。知らんぷりして帰っちゃおうか?でもダメだ。どっちみちバイトで会っちゃうし)
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(はあ…なんとか見逃してくんないかな…?)
 


隆との別れが辛くなかった訳ではない。
一年も付き合ったのだ。それなりに淋しさはある。
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だが、ジーンに恋した時のように隆を繋ぎとめようとは思わなかった。
夕べ気がついたように、熱くなれない自分がいる。



そう、隆と付き合った理由も今なら分かる。
私は恋なんかしていなかった、ただ淋しかったのだ。
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絵をやりたいと意気込んで出て来ては見たが、ちっともうまく行かない。
自分より上手な人がわんさかいる事に驚いた。



それでもなんとか自分を振るい立たせ、必死に絵を書き上げてもどこか違う。
幼い頃、画用紙に向かって書いたような純粋な絵がどうしても書けない。
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何もかもを放り出して故郷に帰りたかった。
仲間がいるサンセットバレーに帰りたい…。



彼と出会ったのはちょうどそんな時だったのだ。
私は…彼に逃げていただけだ…。
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「振られるのも当然よね…」
と、彼女は小さなため息をついた。



「こ・の・み♪」
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「うふふふ…」



「ローリー…」
「なに朝から逃げてんのよ?」
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「逃げてなんかいないわよ…」
「幸せを一人占めしようってわけ?」



「ローリー…あのね…」
「はいはい、言わなくても結構。で、結婚式はいつですか?」
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「だから違うの…」
「何が?まさか結婚式はしないとか?それは絶対にダメよ!」



「だから…」
「あのね、このみ!よく聞きなさい。
友達の結婚式は私にとって最高の出会いの場なのよ!それを取り上げる気?!」
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「そうじゃなくて…結婚は出来ないの、振られたから…」
「そうよ、結婚は……って…」



「え?」
「振られちゃったの…。…隆君に好きな子が出来たんだって」
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「嘘…」
「ほんと…」



「なにそれ…」
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「しょうがないよ…こればっかりはさ…」



「って、あんた!隆君にバージンまであげた…」
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「ローリー!声がデカイ!」



「だってさ…あんた、隆君と寝たって言ってたじゃないっ!
バージンまであげたのよ!これじゃやり逃げじゃないの!」
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「そんな言い方やめてよ!私はもう子供じゃないのよ!
ちゃんと私は自分の意思で隆君とそういう風になったんだからっ」



「そうだけどさ…」
「もういいわ。それに、私も悪かったから」
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「なんであんたが悪いのよ?悪いのは浮気した隆君じゃない!?」
「浮気なんかじゃないってば。
隆君はちゃんと誠意を持って私に正直に話してくれたもの」



「私ね…勘違いしてたの…」
「どう言う事よ?」
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「隆君に別れてくれって言われた時にさ、正直仕方がないって思ったんだよね」
「何で?」



「私ね、隆君に言われたの、何を考えてるのか分からない時があるって…。
自分の事を好きなのかどうか分からなくて会社の女の子に相談したって」
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「それを言われた時に分かったの…。彼が不安に思うのも無理ないって。
だって私…本当は隆君に恋なんてしていなかった…」



「もちろん、一緒にいて楽しかったし、ドキドキもしたりもしたわ…。ただね…」
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「何て言うかな…切ないって言うかさ…恋しくてどうしようもないって言うかさ…
そんな風に感じた事が一度もなかったの…」



「だから悪いのは私なの。隆君が違う子を好きになるのも当然よ」
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「最低でしょ?私って」
「このみ…」



「でも…何となく分かるな、それ…」
「分かる?」
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「うん、分かる。狂おしいほどの切ない恋をしてみたいんでしょ?
胸が締め付けられるような恋をさ…。確かに、隆君とじゃ無理かもね。彼はおだやかだもん」
「ローリー…」



「私だって思うもの。女に生まれたからには嵐のように突然素敵な男性が現れて、
情熱的な恋をしてみたいって!」
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「嵐ってほどでもないわよ(笑)」



「ま、いいわ。こうなったら合コンに片っ端から参加して、情熱的な恋を探すか!」
「ローリーったら(笑)合コンの前に今夜はバイトでしょ?」
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「そうだった(笑)このみも今日は入ってるよね?」
「うん、入ってる。働かなきゃね。次のコンテストに使う絵の具代を稼がなくっちゃ」



その日の夜
― パブ『ウオンテッド』 ―



カランコロン♪
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「いらっしゃいませ~」



(今日はいるかな?)
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と、彼はキョロキョロと周りを見回した。



「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」
(あの可愛い子ちゃん、いないのか?)
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いらっしゃいませ!お一人様ですか!?



「あ、ああ…はい、お一人様です…」
「ではカウンターへどうぞ(普通、自分に様なんてつける?変な奴)」
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「はい…(この女…声がデカイんだよっ!)



(ゲー!マジいないよ…。辞めちゃったとか?)
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(嘘だろ…せっかく来たのに…)



「あの…」
「はい?」
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「ちょっとお伺いしますが、このお店に凄く可愛い娘がバイトしてるでしょ?
髪が肩ぐらいまであってちょっと幼い感じの娘」
「すんません…僕、昨日から入ったばかりで分からないんです…」



「そうですか…分かりました」
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(最悪…。どうしよう?帰ろうか?居ないんならしょうがねーもんな…)
「……うもんは…?」



(そうだな、明日また出直すか!)
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ご注文は!



「ああ、すみません、やっぱり帰ります…」
「席に座ったら必ず何か頼んで下さい。何になさいますか?」
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「…えーと…(仕方ねーな…)じゃカクテルを下さい」
「何のカクテルですか?ちゃんと言って下さらないと分かりません」



「むっ。…ボソ…それが客に対する態度か?…」
「何かおっしゃいましたか?」
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「いいや、何にも」



「そうだな…じゃ俺にお似合いの、”夜の銀狐”を一杯下さい」
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「プッ…」



(この女…今笑った?笑ったよな?何がそんなにおかしいんだ?あ?)
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「かしこまりました。お客様にお似合いの、”夜の銀狐”をすぐにお持ちします」



(何、今の女?ムカツク女だな…)
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ボソ…きっとあの日だな…



(むっ。聞こえてるってーの!
あの日ってどの日かちゃんと口で説明して見なさいよ?! え?!)
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と、ローリーは客の耳元で大声で怒鳴ってやりたいのを必死で堪えた。



「このみ~もうダメ!」
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「最悪~!!!」



「どうしたの?」
「腰が痛い…」
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「ああ…あの日か…」
って、ゴルゴ、正解じゃん(笑)



「休んでれば?後は私がやるからローリーは少し座ってなよ」
「ごめん…」
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「いいよ、もう少しすれば客足も引くから」



(あーあ…失敗したな…。
初めて会った日に思い切って電話番号とか聞いとけばよかった…)ブツブツ…
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「お客様、お飲み物をお持ちしました」



「ああ、はい。…って、え?」
「こちらをご注文されましたよね?」
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「は、はいはい!注文しました、しました!」



「ではどうぞ」
「は、はい…」
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と、『はい』しか言えないゴルゴ。



(ラッキー♪あの娘いるじゃん♪どうする?どうやって誘う?)
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(四の五の言ってねーでズバリ、名前を聞けばいいんだな!そうだ、まずは名前だ…。よし!)



そして彼はゴクリとツバを飲み、彼女を呼び止めた。



「あの…」
「はい?」
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「えーと…」
「ご注文ですか?」



「え?」
「何をお持ちしますか?」
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「あ、うん…あの…では… ”夜の銀狐” をもう一杯!」



「かしこまりました♪」
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(うっ…可愛い…。やべやべやべ…やべー!!!)



(マジ可愛い…)
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「って…」



(違うだろ~~!なに注文してんだよ!)
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(俺の意気地なし~~!)



「お待たせいたしました」
「ありがとうございます。次は ”君の瞳にノックアウト”を一杯下さい」
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と、意気地なしのゴルゴは結局この行動を何回も繰り返した(笑)



そうなると当然、アルコールは体内にグルグルと回り出す。
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7回目ぐらいまでは覚えていたが、その後の記憶はほとんどない。



― 数時間後 ―



「ちょっと…」
「ん…」
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「ちょっと!」
「…ん…」



「起きなさいよ!」
「んん…」
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「もう店は終わりよ!とっとと帰ってちょうだい!」



「ローリー…もうちょっと小さい声で言いなよ…」
「だってデカイ声でも出さなきゃ起きやしないじゃん!」
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「……うるせー…」
「うるせーじゃないわよ!店はもう終わったの!早くお勘定を払って帰ってよ!」



「うるせー女だな!耳元で怒鳴んなよ!」
「だったら早く起きて帰んなさいよ!」
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「言われなくても帰るよ!いくら?」
「300シムオリオンでございます」



「300?高くねーか?」
「あんた、いったい何杯飲んだと思ってんの?え?」
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「分かった、払うよ!ったくよ…」ブツブツ…
「つべこべ言わないで早く払いなさいよ!」



「まじムカツク……払えばいんだろ、払えば。いま…払…」
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「あれ?」



「なによ?」
ない
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「は?」
「ズボンのポッケにいれてあった財布が…ない!



「ちょっと~!最初から飲み逃げしようとしてたわね!このみ、警察を呼んで!」
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(このみ…?あの娘、このみちゃんて言うのか…ってそうじゃなくて…)



「ちょっと待てよ!何が警察だよ!俺はちゃんと財布を持って来たぞ!」
「ほんと~?」
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「ほんとだよ!ちゃんとズボンの後ろに入ってた!」



「嘘くさ~い」
「むっ。何が嘘なんだよ!だいたい、俺はここまでタクシーで来たんだ!
タクシー代だってちゃんと払ったんだかんな!」
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「そんな事知らな~い。私、見てないも~ん」
「このアマー…」



「ロ、ローリー、信じてあげようよ…。きっと本当だと思うよ…」
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「信じてくれる?君はいい娘だな~♪ ボソ…この女と大違い…



「むっ。聞こえてんだけど?」
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「俺は何も言ってないけど?」



「あの…じゃ明日にもお金を持って来てもらえますか?それまで私が立て替えておきますから…」
「必ず、必ず持ってくるよ!」
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「このみ!あんたがそんな事する必要ないよ!」



「ローリー、そんなたいした金額じゃないんだからいいわよ。
明日は必ず持って来てくれるって言ってくれてんだから…」
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「ダーメ。私はそんなに甘くないわよ!」
「ローリーったら!」



「分かったよ。今すぐ俺の知り合いに持って来てもらう。
俺もこのままだと気が収まらねーぜ!」
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「なんだ、じゃすぐに持って来てもらってよ!」
「分かったよ!」



(ったく…本当にムカツク女だな…)ブツブツ…
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(亮、いるかな?)



ヒソ…ローリーったら…いいじゃない…
「このみは人が良過ぎるのよっ。それでなくても私達は貧乏なんだからっ。
それにもし明日持って来なかったらどうすんのよ!バカを見るのはアンタなんだかんね!」
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「でもそんな人には見えないよ…」
「いいから、立替なんてダメよ。いいじゃない、知り合いが持って来てくれるって言ってるんだから」



「すぐに来るよ。もう少しだけ待ってくれ」
「10分よ、10分。それを過ぎたら警察ね」
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「おー!警察でもどこでも突き出せよ!」
「ふんっ」



― 10分後 ―



「10分経ったけど本当に来るの?嘘ついてんじゃないの?」
「後50秒残ってる」
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「41秒よ」
「43秒だ」



(なんかこの二人…凄く似てない?)
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(性格が似てるって言うか…)



バタン
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「ゴルゴ!」



「な?ちゃんと来ただろ?」
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「俺は嘘なんか言ってねーよ」



「あら、残念。今夜は留置場のふわふわのベットで眠れるはずだったのにね~」
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「それはそれは残念。俺もふわふわのベットで寝たかったな~」



「ゴルゴ、どうしたんだ?財布をなくしたのか?」
「悪いな、亮。どっかに落としちまったらしい」
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「バカな奴(笑)いくら?」
「300シムオリオン」



「ちょっとこのみ…」
「ん?」
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「あの人さ…有名なサッカー選手に似てない?」
「あの人って?」



「あのバカな男にお金を持って来てくれた人よ。ほら有名なイケメンの選手がいるじゃない…」
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「イケメンって…」



(あれ?)
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(え?)



「このみちゃん?」
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「亮さん!」



二人は二年ぶりの再会だった。




続き、第3話へ 「故郷の匂い」
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第1話 「アンラッキーな日」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第1話


―ジーンとリンダの結婚式から半年後ー
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リバービュー美術専門学校



「中山さん…残念だけど今回はダメだったの…」
「そうですか…」
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「そう落ち込まないで。本当におしかったと思うわ。
けどまた次があるじゃない。次こそは必ずいけるわよ!頑張って!」



「ありがとうございます。でもすみません…
先生に色々とアドバイスまでしてもらったのに結果がこんな事になってしまって…」
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「何を言ってるのよ。私はあなたの絵が好きなのよ。だからあなたを応援したいの。
今回は残念だったけど、だからと言って落ち込んでたらキリがないわよ」



「さあ、元気を出して。そんなにしょげてる暇なんてないわよ。
すぐに次の作品に向けて頭を切り替えなくちゃならないんだから」
「はい、そうします」
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「じゃ次のコンテストの時までに又一点仕上げてね」
「ええ」



カチャ
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(あーあ…又ダメだったか…)



(今回がダメだったじゃなくて毎回ダメなんだけどな…。
でもそんなに簡単には行かないわよね。私より上手な人なんていっぱいいるもの)
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(いいわ、次があるわ!先生も言ってたじゃない?毎回落ち込んでたらキリがないって!
そうよ、絵で食べて行けるようになるなんて、早々簡単じゃないわ!さ、次、次!)



中山このみ。この物語のヒロインだ。
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彼女は以前、サンセットバレーのオレンジ荘に住んでいたが、
2年ほど前にここ、リバービューに移り住んでいた。
そして現在、リバービュー美術専門学校に通っている。



「このみ~!」
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「ちょっと待ってよ、一緒に帰ろう!」



「ローリー!授業は終わったの?確か午後は特別授業に出るって言ってなかった?」
「ああ、やめたの。人数が多すぎてさ、とてもじゃないけど息が出来ないわ。
ね、それよりコンテストどうだった?もちろんバッチリだったんでしょ?」
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「だめ。落ちた」
「え?」



「落ちたって……入選は?」
「それも出来なかった」
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「ちょっと…何かの間違いなんじゃないの?ちゃんと確かめた?」
「先生から直接聞いたわ、今回はダメだったって」



「マジなの!?金賞は無理としても入選は絶対にすると思ったのに!」
「しょうがないわよ。画家への道はそう簡単じゃないって事ね」
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「ゲー!このみのあの絵がダメなら私なんかどうすんのよ!
一生かかっても画家になんかなれっこないわ!」



「ローリーったら(笑)
ところでローリーも次のコンテストに応募するんでしょ?作品はもう出来たの?」
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「全然。イメージがわかないの。あーあ、私はこのみと違って才能がないからな~」
「そんな事ないわよ!私はローリーの作品って好きよ。
なんて言うかな…元気が出るっていうかさ」



「この間のなんか凄く楽しい気分になったわ!」
「楽しい…?」
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「そうよ!ローリーの絵って人を楽しませてくれるわ!」
「私は悲しみを表現したつもりだったんだけどな…」



「え…あ…えーと…そ、そう…悲しみも伝わってきたわ…。…淋しいって言うか…」
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「プッ!このみったら(笑)無理しなくてもいいわよ(笑)」
「無理じゃないわよ!」



葉山ローリー。彼女も同じ美術学校に通っている。
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偶然にもアパートも隣同士で彼女とはすぐに気が合った。



この美術学校の周りには学生たちが暮らす、
値段が手ごろなワンルームのアパートがたくさんある。
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そのアパートはほとんどが同じような作りで、まるで団地のような感じだ。
そしてこのみとローリーもそのアパートの一つに住んでいる。



「ね、このみ。今夜は飲みに行かない?バイトも休みでしょ?二人で残念会しようよ」
「ごめん、今夜は無理なの。隆君が来るのよ」
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「これだから男持ちは…」
「ごめんって。今朝急に来るって電話があったのよ。なにか話があるみたい」



「話?」
「うん。なんの話かな?そう言えば最近、なんとなくソワソワしてんのよね。
私に何か言いたそうな……そんな感じ」
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「バッカね~!」
「何よ?」



「相変わらずあんたはトロいんだから!結婚よ、結婚!」
「結婚?」
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「このみにプロポーズしようとしてんのよ!」
「嘘…」



「それしかないでしょ!」
「でも…だって私たちは付き合ってまだ一年だし…」
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「一年も付き合えば十分だって!
いいじゃない、隆君!優しいし素敵だし。それに…彼の家はお金持ちだしね(笑)」
「やーね」



「いつまでもアルバイトしながらなんて大変よ。
隆君ならこのみの夢の事も理解してくれてるんだしさ」
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「結婚しても学校には通わせてくれるわよ!」
「そうかな…」



「あーあ、このみもとうとう結婚か~いいな~。
誰か私にもいい人紹介してくんないかな~。このみ、隆君に言っておいてよ」
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「うん…」



― アパート前 ―



「じゃ隆君によろしくね」
「OK~♪」
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「もちろん明日は質問攻めよ?分かってるわね?」
「分かってる(笑)」



「じゃね!」
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(プロポーズ…?私が隆君に…?)



そう、彼女には恋人が出来ていた。 
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ローリーの言ってた通り、とっても優しくて素敵な人だ。
理想の恋人と言えるだろう。



金城 隆。会社員。
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二人は付き合ってちょうど一年が経っていた。



出会いはこのみがこの町に来てすぐの事、彼女がアルバイトをしてるお店、
パブ『ウオンテッド』でしつこいお客にからまれている所を彼に助けてもらった。
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「彼女をはなせ!」



パブと言ってもそこは町の小さな居酒屋&食事所のようなお店だ。
昼間のアルバイトが一番理想だが、昼は学校があり、それに昼のバイトは収入が少ない。
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とてもじゃないがそれだけでは生活なんか出来やしない。
美術学校の生徒達は、たいがいが夜のバイトをして生活をしている。



いくら食事所と言ってもそこはアルコールを出すお店。
時には嫌な客にからまれたり、
耳をふさぎたくなるような下世話な言葉を投げかけられる事もある。
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だがしかし、今はグッと我慢の時だ。
苦学生たちは我慢を堪え、自分の夢に向かって日々努力をしている。



そしてローリーも苦学生の一人だ。彼女もここでアルバイトをしている。
それもそのはず、このみはローリーの紹介でこのお店に入ったのだ。
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彼女にもしつこいお客がつきまとう時がある。
だが、彼女は強かった。



彼女はしつこいお客もなんのその、鋭い目でキッと睨み、
うるさいお客を一発で追い払う目力を持っていた。
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「私の尻に触るなんざ100万年早いっつーの!」



このみと隆はこれを機に会って食事をするようになり、
それから半年後、二人は付き合い始めた。
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おだやかな時間が二人を包んでいた。



「よし、じゃ何か作るか!」
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「隆君の好きなパスタにしようかな?」



「材料はと…」
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「私が結婚か~。リンダもビックリするかな?」



― 夜 ―



ピンポ~ン♪
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(来たわ…。なんだかドキドキする…)



(しまった!洋服を着替えればよかったかな?でももう遅いか…。
…って、私、凄く緊張してない?だってプロポーズなんて初めてなんだもん…)
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(息を吸って…落ち着くのよ…)
と、彼女は大きく深呼吸した。



カチャ
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「いらっしゃい、隆君」
「やあ」



「どうぞ、入って」
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「うん…。ごめんよ、急に…」



「ううん、いいのよ。バイトも休みだったし」
「そうだ。コンテスト、どうだった?」
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「ああ…又ダメだったわ。でも次があるから平気よ!次こそは頑張るわ!」
「そっか…」



「食事はまだでしょ?隆君の好きなパスタを作ったの。一緒に食べない?」
「そ、その前にさ…君に話があるんだ…」
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「話…?(いよいよだわ…)」ゴクリ…
「あのさ…あの…」



「なあに?(プロポーズね…。落ち着くのよ…このみ…!)」
「単刀直入に言うよ…。…僕と…」
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「僕と…?」
「僕と…」



「ごめん!僕と別れてくれないか?」
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「え?」



「好きな娘が出来たんだ…」
「あの…(プロポーズは…?)」
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「本当にごめん…」
「ごめんって…(…どうしよう…顔が戻らない…)」



「君の事は本当に好きだった…。
ただ…ときどき君が何を考えているのか分からない時があるんだ…」
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「だから…本当に僕の事が好きなのか分からなくて会社の女の子に相談してたんだ…。
そしたらその相談に乗ってくれた女の子が僕の事を好きだって言い出して…」



「最初は僕には君がいるからってずっと断ってた…。
けど…僕も彼女が気になり始めてしまって…。彼女がほっとけないんだ…」
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「いつの間にか僕も彼女を好きになってた…。本当にごめん…」



「………」
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(プロポーズどころじゃないじゃない…)



「このみちゃん…君とは今日で終わりにしたい…」
「………」
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「本当に悪かったと思ってる…」
「…分かったわ…」



「もう分かったから…そんなに何度も謝らないで…」
「ごめん…」
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「正直に言ってくれてありがとう…」
「このみちゃん…」



「一年間、ありがとう…楽しかったわ…」
「君…大丈夫かい?」
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「大丈夫よ、心配しないで。さ、もう行って。私も一人になりたいから…」
「分かった…。じゃ僕は行くよ…」



「さよなら、このみちゃん…」
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「さよなら、隆君…」



(振られちゃった…)
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(なぁ~にがプロポーズよ!ローリーのバカッ!)



(あーあ、料理が無駄になっちゃったな…)
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(何を考えてるか分からない…か…)



プロポーズだと思っていたのが別れ話だなんてとんだ笑い話だ。
さっきまでの浮ついた気分は一気に奈落の底に落ちた。
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だが…彼女は気づいていた。



隆の言ってる事はまったくの的はずれではなかったのだ。
彼の言っている事は正しい。
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彼と一緒にいて、トキメキやドキドキを感じてなかったわけではない。
けれど、彼に切ないほどの情熱を感じた事は一度もなかったのだ。



彼と初めてキスをした時も…
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そして、初めて彼に身をまかせた夜の時も…。



私は彼に一度も熱くなった事はない…。
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その事に、本当はずっと前から気がついていた…。




同時刻
― 高級ラウンジ『ブルーライト』 ―



「よ!」
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「何だよ、話って?」



「俺、恋した」
「は?」
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「恋したんだよ、恋」



「恋ならいつでもしてんじゃん」
「今回は真剣なんだよ!」
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「毎回そんな事言いやがって。で、それを言うために俺を呼んだのか?」



「な、その娘に会いに一緒に行ってくんね?」
「会いにって…家に行くのか?」
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「違うよ。その娘さ、町の小さなパブでアルバイトをしてるんだ。
たまたまこの間入ったら彼女がいてさ。一発でノックアウトさ」



「へえ~一目惚れなわけ?」
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「そ、人目惚れ。超可愛いんだって!な、付き合ってくれよ」



「悪い、今夜は付き合えない。これから麗華と会うんだ」
「麗華?ここに連れてくればよかったじゃん」
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「俺もそう言ったんだけど静かな所がいいんだってよ。
何か話があるらしいぜ。これから俺の家に来るんだ」



「話?話ってもしかして別れ話だったりして?」
「かもな。そろそろ俺に飽きたんだろ」
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「マジかよ…。お前はそれでいいわけ?」
「いいも何も最初から俺と麗華はそんな付き合いだ」



「それに…俺もそろそろ別れようと思ってたし。潮時だな…」
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「麗華は一人の男で我慢出来るようなタイプじゃねーよ」



「確かに麗華じゃ無理だな。所詮、金持ちお嬢様の火遊びってか?」
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「そんなとこ」



「ま、お前も麗華もすぐに次が見つかるからいいわな。
けどお前もそろそろ誰かと真剣に付き合った方がいいんじゃねーの?」
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「まだ引きづってる訳?初恋の可愛い娘ちゃんの事」



「ゴルゴ、余計な事言ってねーで自分の事だけ考えとけよ」
「へいへい」
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宮沢 亮。
彼はこの町で有名なサッカー選手だ。



彼は2年ほど前、
幼いころから思い続けてきた彼女(リンダ)に最悪の失恋をした。
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そしてその彼女が半年ほど前、めでたく愛する男と結婚したと言う知らせを聞いた。
彼女の愛する男の事もよく知っている。



彼は(小泉ジーン)一時期、一緒のチームにいた事がある。
彼を知れば知るほど、彼女がジーンに惹かれた訳が分かったような気がした。
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ジーンは最高にいい奴だ。今ではジーンともよき親友になっていた。



だが…心はまだ重い…。
人の心はそんなに簡単に割り切れるものではない。
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確かに今は一人の女性と付き合っている。だが、真剣とは程遠い付き合いだ。
その彼女とも今日でおさらばだろう。



そして彼はゴルゴ。
彼も亮と同じサッカー選手で同じチームに所属している。
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彼はいつも惚れたはれたとやっては女性に振られっぱなしの人生を送っている。
だが、彼はそんな事にはちっとも負けていない。前進あるのみだ。



ガタ
「じゃ俺は行くわ」
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「麗華に振られたら慰めてやっから戻って来いよ」
「サンキュー(笑)」



(さあ~てと、では引導を渡されに行きますか…)
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(お互い楽しんだんだ。引き際はサラリと行くぜ)



(あーあ…俺は何やってんだか…)
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と、彼は深いため息をついた。



― 亮の家 ―



パタン
「麗華!」
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「早かったな?もう来てたのか?」



二宮麗華
ただ今現在、亮の恋人だ。
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しかしそれも数分までの事、
数分後にはお互い他人同士になっているだろう。



彼女の父親は大手コンピューター会社を経営している。
そして彼女はそんな父を持つお嬢様である。
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いわゆるセレブと言う人種だ。



「亮…」
「ごめん、ちょっとゴルゴに呼び出されて飲んでた」
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「ううん、私もさっき着いたばかりよ…」
「そっか。…で、話って?中で話す?それともここで?」



「ここでいいわ」
「OK」
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「亮…私…私ね…」
「麗華…言いづらいなら俺から言おうか?」



「…いいえ、私から言うわ」
「分かった…」
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「私ね…」



(さあ、来るぞ…。あなたとはもう終わにしたいの…って。
それともズバリ、もう飽きたわ!…かな?)
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「私、妊娠したの」
「了解。俺も引き際はサラリと……って……(あれ?)」



「妊娠したのよ、私…」
「妊娠…?」
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「子供が出来たの。あなたの子よ」
「なん…だって……」



「私は絶対に生みたいわ。私と結婚してちょうだい」
「麗華…」
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「あなたが思うほど私はもう若くないのよ。
あなたもそろそろ結婚してもいいんじゃなくて?」



この時、亮は彼女の言ってる事が嘘だと思った。
もちろん赤ん坊が出来るような行為はしている。
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本当に子供が出来たのなら結婚だってするつもりだ。
そんなに自分は卑劣な男ではないつもりでいる。



だが、何かがおかしい。



彼女は最初、結婚なんか興味がない、
ましてや子供なんて絶対に産みたくないと言っていた。
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体系が崩れるのが我慢がならないからだ。
だから気軽に付き合うのが自分には合っていると。



彼女と出会ったのはちょうど半年前。
彼女は会社が主催するパーティーに友人と来ていた。
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そう、リンダとジーンの結婚の知らせを聞いた直後だった。



忘れたはずの感情が胸にうずき、やるせなさを感じていた。
忘れた?いや…まだ忘れてなんかいない、思い出さないようにしていただけだ。
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彼はそんな女々しい自分が嫌になっていた。
そんな時に出会ったのが麗華だった。



彼だって生身の男だ。
魅力的な女性に言い寄られ、ついふらふらと暖かい素肌に温もりを求めた。
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気軽な付き合いが自分にはちょうどよかった。
愛などなくとも楽しかった。もちろん彼女もそのつもりだっただろう。



それがなぜ急にこんな事を…?
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彼女が嘘を言っていると思ったのは単なる直感だ。
それが間違いかもしれない。避妊に100パーセントなんてないからだ。



「亮?聞いてる?」
「ああ…聞いてる…」
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「驚くのも無理は無いと思うわ、私もまさかと思ったもの。
でもやっぱり子供を殺すわけには行かないわ…。あなたもでしょ?」



「とにかく、私はイエスの返事しか聞きたくないわ」
「…何か月?」
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「え?」



「赤ん坊。何ヶ月?病院に行って調べたんだろ?」
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「え、ええ…そう…調べたわ。2ケ月……ですって…」



「麗華…」
「亮、私はあなたと一緒に子供を育てたいの…。
それに、私はあなたの結婚相手に申し分ないはずよ」
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「そして…私の結婚相手にもあなたなら申し分ないわ…」



「話はそれだけよ。じゃ今夜はもう遅いから私はこれで失礼するわ」
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「………」



やはり彼女は嘘をついている。
何故なら、彼女は嘘をつく時は必ず右の眉が上がるからだ。
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そして今も又…彼女の右の眉は上がっていた。




続き、第2話へ 「再会」
二度目の恋…タイトル一覧は 「こちら」   
ストーリー別一覧は       「こちら」

登場人物紹介

タイトル
『二度目の恋 君に逢いたくて…』
この物語はオレンジ荘物語の続編とも言える、中山このみと宮沢 亮の物語です。
ジーンとリンダの結婚式から半年後。と言う設定です。
まずは登場人物紹介から。



中山このみ
と1
髪型を変えての登場です。
彼女は2年ほど前にサンセットバレーからここ、リバービューに移り住んでいる。
サンセットバレーではオレンジ荘に住み、
幼馴染の小泉リンダ(旧姓 永井)とは同じオレンジ荘の住人、
小泉ジーンを巡って恋のバトルを繰り広げた。
だが、結局は恋に破れ、彼女は失恋した。
この町に移り住んだのは恋に破れたからではない。
彼女は幼い頃から絵を書くのが好きだった。将来は画家になりたい。
その夢をかなえるため、現在はリバビュー美術専門学校に在学中。



宮沢 亮
と3
サッカー選手。彼も以前はサンセットバレーに住んでいた。
彼もリンダとの結婚を決意し、彼女を迎えに行くが振られてしまう。
切ない胸の痛みを堪え、彼女の幸せを願いながら身を引いた。
現在はリンダの夫、小泉ジーンとも良き友人だ。



葉山ローリー
と2
同じ美術学校に通う、このみの友人。
アパートも隣同士。



眉墨ゴルゴ
と4
亮と同じサッカーチームに在籍している。



二宮麗華
と5
父親が大手コンピューター会社を経営している。
亮のサッカーチームのスポンサーでもある。



芦屋鈴之介
と9
二宮家と肩を並べる程の財閥家の一人息子。
現在は幼い頃からの夢を叶えるため、このみ達と同じ美術学校に通っている。
そしてアパートもこのみ達と一緒だ。



伊集院沙織
と8
鈴之介の許婚。
鈴之介をサポートするため、同じアパートにわざわざ越して来て住んでいる。



笹宮信也
と7
麗華の父親が麗華と結婚させたがっている。



金城 隆
と6
このみがアルバイト先
でからまれてるところを隆に助けてもらった。



吉田ゴロウ
と10
亮とゴルゴが所属するサッカーチームの監督



吉田和子
と12
ゴロウの妻



吉田ルビー
と11
ゴロウの娘。
心臓病を患っている。



まだ登場人物はいますが、後で追加していきます。
このみと亮の恋の行方を是非見てくださると嬉しいです♪






第1 話へ 「アンラッキーな日」
二度目の恋 君に会いたくて… 『タイトル一覧(更新中)』
ストーリー別一覧は        『こちら』






二度目の恋 君に会いたくて…  一覧

登場人物紹介
第1 話  「アンラッキーな日」
第2 話  「再会」
第3 話  「故郷の匂い」
第4 話  「熱い男」
第5 話  「胸の高鳴り(前編)」
第6 話  「胸の高鳴り(後編)」
第7 話  「誰か俺を眠らせてくれ…」
第8 話  「俺って意地悪~~♪」
第9 話  「動き出した時間」
第10話  「切ない夜を乗り越えて…」
第11話  「それぞれの夜」
第12話  「素直になれない私」
第13話  「俺の名はミスター単純男」
第14話  「君に恋してる…(前編)」
第15話  「君に恋してる…(後編)」
第16話  「天国&三途の川までGOー!」
第17話  「あなたが好きだから…(前編)」
第18話  「あなたが好きだから…(後編)」
第19話  「幸せなひと時」
第20話  「嵐の前触れ」
第21話  「金賞受賞?パーティー(前編)」
第22話  「金賞受賞?パーティー(後編)」
第23話  「魅惑的な微笑み…」
第24話  「近づく嵐」
第25話  「それぞれの愛…」
第26話  「悪魔の囁き」
第27話  「やっぱりお似合い?」
第28話  「嘘つきな恋心」
第29話  「決戦は明日」
第30話  「告白」
第31話  「長い夜」
第32話  「僕の初体験」
第33話  「止められない恋心」
第34話  「男は辛いよ(前編)」
第35話  「男は辛いよ(後編)」
第36話  「願いが叶うなら…」
第37話  「童心に帰りたい」
第38話  「突きつけられた現実」
第39話  「突然の告白」
第40話  「怒りの連鎖」
第41話  「運命の分かれ道」
第42話  「悲しみの午後」
第43話  「続、男は辛いよ」
第44話  「別れの季節」
第45話  「空回りする粉雪」
第46話  「通り過ぎる過去」













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