第10話 「切ない夜を乗り越えて…」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第10話



「俺のベットへ運ぶからいい」
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気がついたらその言葉が口から出ていた亮。
何故自分のベットなのか、彼自身、よく分かってはいなかった。



ただ彼女を自分のベットへ寝かせ、もっと身近に感じたかったのかも知れない。
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そして例えカイルと言えども、水着姿のまま、彼女を違う男に抱かせるわけにはいかない。



彼女は、自分はローリーのようにスタイルもよくなければセクシーでもないと言っていた。
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だがそれは大きな間違いだ。



彼女は俺にとっては十分にセクシーだし、実にヤバイ存在だ。
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「さてと…」



「よいっしょっと」
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(軽いな…。子供のように軽い)



その時、このみが急にしがみついてきた。
体は眠っていても本能が誰かに抱かれている事が分かったのだろう。
落とされまいと必死に亮にしがみついてきた。



ギュッ…
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亮はなんだかクスぐったかった。
そして…なんだかとても愛おしかった…。



パサ…
「…や…ね…むい…」
「シー…。分かったから…まだ寝てろ…」
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「ん…」



「…って…この角度…すげーやらしい…」
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「なんだかイケナイ事するおっさんみてー…」



(あーあ…無防備な顔しちゃって…。いいのか?俺は優しい狼なんかじゃないぜ?
それどころか今すぐにこの邪魔な布をはがしたい程、ヤバイ男だ)
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(だけど今は我慢する…。…あくまでも今は…だ!)



― 伊集院家 ―



一方、このみとのデートがダメになり、パーティーに無理やり出させられたゴルゴ。
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こうなったら片っ端からうまいもんでも食って帰らなきゃやってられない!
ふざけんじゃねーよなー?



「あ~食いすぎた。腹きっつー」
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「もう帰ってもいいかな?いいよな?」



「監督、もう帰ってもいいですか?」
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「駄目に決まってんだろ!」



「ええ~~!もういいじゃないですか~だって朝からですよ?」
「おまえな~」
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「だいたい、いい年したおっさんのバースデーなんてつまんないですよ!
そんなの、ロウソクをフ~と吹けばお終いでしょ?俺はもう限界」



「あのな!メインはこれからなんだよ!とにかく伊集院家のお嬢様に挨拶しとかないと」
「お嬢様?」
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「ああ、そうだ。それに今日はお嬢様の婚約者、芦屋家のお坊ちゃんも来てるんだ。
顔を覚えてもらわない事には帰れん」



「芦屋家ってあの芦屋家?」
「そうだ。二宮家と肩を並べる財閥さ。芦屋家と伊集院家がくっつくんだ。相当な力になるはずだ」
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「へえ~。やっぱ金持は金持ちと結婚すんだな」
「お前には縁がない話だ、心配すんな。とにかく挨拶するぞ。お嬢様はどこだ?おい、探して来い」



「へいへい…ったく…」
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「探して来いったって顔も知らねーのにどうやって探せっつんだよ…」



「ゴルゴさん!」
「あ?」
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「ゴルゴさんじゃありませんか!」



「おお!鈴之介じゃん。なに?なんでここにいんの?」
「なんでって沙織さんのお父様のお誕生日ですからね、今日は」
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「はあ?」
「ここは沙織さんの家ですよ!」



「マジ!?」
「ええ、そうです」
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「って事は…え?お前が芦屋のお坊ちゃま?」
「ええ、僕は芦屋鈴之介ですが…。それがなにか?」



「ゲッ!そんな大金持ちの息子だったんだ!すげー」
「僕は大金持ちじゃありませんよ、両親がたまたまお金持ちなだけです」
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「でもいずれは家を継ぐんだろ?じゃお前もいずれ大金持ちじゃん」
「まだまだ先の話です(笑)」



「あ、沙織さん!」
「はい?」
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「ゴルゴさんがいますよ!ほら、この間一緒に山へ行ったゴルゴさんです」
「あ…」



「よ!」
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「こ、こんばんわ…」ポッ



(ポッって…)
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(だからなんで赤くなる…)



「き、君、ここのお嬢様だったんだってな、ビックリだぜ!
そう言えばどこか普通の人と、ちょっと違う雰囲気だったもんな~」
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「そ、そんな…私は別に…モゴ…」



「沙織さん、どうしたんですか?お顔が赤いようですが?」
「え?あ、ええ、ちょ…ちょっと暑くて…ひ、人が多過ぎて逆上せてしまったのかも知れません…」
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「それはいけませんね。少し風にあたった方がいいですよ。
でも困ったな…。僕はちょっとご挨拶しなければならない方がいますので…」



「そうだ!ゴルゴさん、沙織さんをちょっとお庭の方まで連れて行っていただけますか?」
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「え?」
「お願いします、僕は後で行きますので」



「いいけど…」
「すみませんが、お願いします」
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「あ、でも鈴之介さん…私はだいじょ…」



「大丈夫じゃありませんよ。ゴルゴさんと一緒にお庭の方で休んでて下さい」
「けど…」
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「さ、行って下さい。僕は知人へのご挨拶が済んだらすぐに行きますので」



「ではゴルゴさん、お願いします」
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そういい残し、鈴之介はパーティーへと戻って行った。



「あの…」
「行こうか?」
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「え…」
「庭。行こうか?」


「俺が一緒に行ってやるから。行こうぜ」
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「はい…行きましょう…」



「それにしてもデっカい家だな~」
「そ、そうですか…?」
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「ああ、俺の家が何軒も入りそう。さっきトイレも行ったけど俺の部屋より広いぜ?」
「え?」



「だからトイレ。あそこに俺のベットが4つは入るな」
「4つ…」
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「いや、5つかな?」
「トイレにベットが…?」



「ぷっ!」
「あ、な~にがおかしんだよ?だって本当に入るぜ?」
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クスクス…
「よし!俺ももっともっと稼いでこの家!  …とは行かないけど、デッカイ家を建てるぜ」



「ゴルゴさんはサッカーをやってらっしゃるんですよね?」
「ああ。テレビで見た事ない?これでも結構有名だぜ?ま、亮ほどではないけどさ」
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「実は私…亮さん達が出てる試合をこの間初めて見たんです…。
あ、たまたまテレビをつけたらやってたから…。ほ、本当にたまたまなんですが…」
「じゃ俺も見た?」



「ええ、見ました。ゴルゴさん、凄い勢いで転んでましたね?(笑)」
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「な~んだよ、そんなとこかよ。もっとかっこいい場面を見てくれよな。
って言ってもこの間の試合は全然かっこよくなかったけどな(笑)」



「いいえ…」
「え?」
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「かっこよかったです…。汗がキラキラ光っててとっても素敵でした…」
「素敵?マジで?」



「てか君さ、違う人と間違えてんじゃないの?」
「間違えてませんよ(笑)」
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「ほんとかよ?俺と似たような髪形の奴が何人かいるからな。
そいつを見て、あれがゴルゴさんね…とか思って見てたんだろ?そうだろ?」
「違いますよ(笑)」



「怪しい」
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「絶対に間違ってません(笑)」



カサ…
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(…沙織さん?)



(沙織さんがあんなに笑ってる…。凄く楽しそうだ…)
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(珍しいな…彼女があんなに大きな声で楽しそうに笑うなんて…。
ゴルゴさんがよっぽど楽しい話でもしたのだろうか?)



「お!ナイトの登場だぜ」
「え…」
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「鈴之介が来たぜ。じゃバトンタッチな」
「あ、はい…」



「やあ、すみませんでした」
「いいよ。挨拶はすんだのか?」
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「ええ、ほぼ終わりました。後は沙織さんのご両親にご挨拶するだけです」
「そっか。じゃ俺ももう帰るわ。じゃ又な!」



「さ、僕達も行きましょう。沙織さんのご両親が探しておられましたよ」
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「沙織さん…?」



「あ、はい…」
「ついでに両家のご両親に婚約式の事を話しましょうか」
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「…ええ…そうですね…」
「さ、行きましょう」



「ええ…」
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「行きましょう…」



「監督、俺もう帰ります」
「って、おい!さっき言っただろ?!ここのお嬢…」
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「もうした」
「は?」



「もう挨拶はしましたよ。お坊ちゃまにもね」
「え?どこにいた?じゃ俺も挨拶を…」
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「俺がちゃんとしときましたから大丈夫ですってば!もう帰りますよ」
「おい、でも…」



「さ~帰ろ~っと♪」
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「おい、ゴルゴ!」



(ちょっと遅いけどこのみちゃんの家に行ってお茶でもご馳走になろうかな~ついでに、
今夜はもう遅いから泊まってく?な~んて言われちゃったりなんかしちゃって?うぷぷっ)
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(よし!このみちゃんちに行こ~っと♪)



― 亮の部屋 ―



一方、このみは亮のベットでスヤスヤと眠っていた。
なんだかとっても気持ちがよかった。
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ふかふかのベット。甘い香り。
その匂いは、ずっと求めていた物のように思えていつまでも包まれていたかった。



亮は彼女の側でずっと寝顔を見ていた。
ローリーに指摘された通り、そして昼間気づいたように俺は彼女に惹かれている。
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恋と呼ぶにはあまりにも気恥ずかしいような気もするが、それしか言いようがない。
彼はそれを否定するほど子供ではなかった。



ふと、彼は気づいた。
この数日間、亮はリンダの事を思い出しもしなかった。
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それどころか、頭の中はいま目の前にいる、愛しい彼女の事でいっぱいだ。
ああ…そうか…。こうやって人は乗り越えるのか…。



しゃかりきになって忘れようとしてもダメなはずだ…。
時の流れに身をまかせ、自然と構えていればよかっただけなんだ。
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それは、こんな風に思わぬ時に思わぬタイミングでちゃんとやってくるのだから。
けれどその反面、どこか淋しさを覚えていた。



リンダはあまりにも長く自分の心の中に住んでいたからだ。
彼女を忘れると言う事は少年の頃から始まった初恋を断ち切ると言う事だ。
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初めて人を愛し、がむしゃらに走って来たあの頃を…。
あの時の自分も消えて無くなりそうで…なんだか淋しかった…。そして…



「忘れるのではない…思い出す日が減るんだな…」
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と、彼はそう小さくつぶやき、淋しそうに笑った。



「…ん…」
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このみは少しずつ眠りから覚めてきていた。
でもまだ目を開けたくない。もっともっと眠っていたい。



だが、少しずつ今の状況が少し変な事に気がついた。寝心地がいつもと少し違う。
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(あれ?私…どうしたんだっけ?えと…)



「起きた?」
「え?」
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「まだ寝てれば?朝にはまだ早いぜ?」
「亮さん!」



そう言いながら、彼女はすぐにベットから飛び降りた。



「ビックリした?」
「って…あの…ここは…」
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「俺の部屋」
「えと…(俺の部屋って事は…このベットは亮さんの…)」



「す、すみません!」
「いいよ(笑)」
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「わた、私寝ちゃったんですね!本当にすみません…」
「いいって(笑)」



「あの…誰がここへ…?」
「カイル」
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「うわ~重かっただろうな…悪い事しちゃったな…」
「大して重くないけど?」



「亮さんならそう思うでしょうけどカイルさんはそうは思いませんよ~!」
「全然重くないって」
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「もう!だから亮さんは…」
「運んだのは俺だもん。すげー軽かった。もっと飯食った方がいんじゃね?」



「りょ…亮さんが運んだんですか…。や、やだな~人をからかって…」
「俺の首にしがみついてくんだもん。苦しかったな~」
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「え?し、しがみついたんですか?」
「ああ。ギュッって」



「嘘!?」
「嘘」
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「もう!」
クス…(ほんとだけど)」



「あれ?亮さん…サングラス…」
「ああ、外してるよ。変?」
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「いえ…全然変じゃないです…」
「ほんとかよ?怪しいな~」



「ほんとはサングラス取ったら超変な顔ぉ~~とか思ってんじゃねーの?」
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「そ、そんな…ほ、ほんとに…」



(本当です…。全然変じゃない…。それどころか凄く綺麗な目をしてる…。
薄いコバルトブルーの瞳…。亮さんがこんな綺麗な瞳をしてたなんて…)
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(吸い込まれそう…。どんどん吸い込まれて行きそう…)



(ダメだ…。これ以上見たらダメ…。
これ以上見たら私の心臓がおかしくなる。今でもクラクラしてるのに…。)
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「わ、私帰ります…」



「このまま寝て行けば?」
「や、でもあの…明日は学校だし…」
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「ビビってる?」
「え…」



「俺にビビってる?」
「ビ、ビビビってなんかいませんよ!」
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「ビビビ?(笑)」
「もう!からかわないで下さい!」



「もう少しここにいてくれないか?」
「え……」
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「もう少しいてくれ…。君と一緒にいたい…」
「亮さん…」



著作権者様から許可を得てお借りしているBGMです。
よろしかったらお流し下さい。音の音量にご注意ください。






このみはこの時、何故か亮を抱きしめてあげたくなった。
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一緒にいたいと言う彼は、とても淋しそうに見えたからだ。
淋しそうで今にも泣きそうに見えた。



そして思った。彼はずっと一人だったのではないだろうか?
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リンダと離れてからずっと一人だったのではないのだろうか?
誰にも癒される事なく、一人の夜を過ごして来たのだろうか?



そう思ったら胸が締め付けられた。何度淋しい夜を過ごして来たのだろう?
この町へ一人で戻って来た最初の夜は?リンダの結婚式の夜は?
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二人が抱き合ってるであろう夜を思って何度こぶしを握りしめたのだろうか…?
そのどうしようもない刹那に涙がにじみ出た。



「泣いてるのか?」
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「いいえ…」



「ごめん…俺…ちょっと強引だったよな…悪かった」
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「送るよ、行こう」



やがて、彼女は顔をあげ、真っ直ぐに亮の顔を見上げた。



「亮さん…」
「ん?」
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「亮さんを抱きしめてもいいですか…?」
「抱きしめる?」



「私、亮さんを抱きしめてあげたいんです…」
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「このみちゃん……」



「抱きしめさせて下さい…」
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そう言いながら、彼女はふわりと彼を包み込んだ。



自分より、頭一つ分も小さい彼女が両手を広げて包み込んでくれる。
そして、子供をあやすように頭をなでてくれた。
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亮は体が溶けていくようだった。



「君って…あったかいな…」
「そうですか?普通ですよ(笑)」
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「いや…凄くあったかい…」



ギュッ…
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「あったかい…」



そこには何人もの女性とベットを共にしても得られなかった安心感があった。
ただ抱き合ってるだけなのに…
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それは、裸になって親密な行為をするよりも、遥かに強く彼の心を暖めていた。



ふと気づくと、まつげに縁取られた彼女の瞳が濡れていた。
彼は気がついたらそこにキスをしていた。



チュッ…
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「あ…」



そして…



「あの…」
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「君は俺の妹なんかじゃない…」



「りょう…さ……」
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「よかった…君が本当の妹じゃなくて…」



そう言いながら、亮は彼女の唇を捕らえた。





続き、第11話へ 「それぞれの夜」
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第9話 「動き出した時間」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第9話



「頼む!代わって!」
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「無理!」キッパリ!



「何でだよ?いいだろ?お前はどうせ暇だろうが」
「忙しいから無理」
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「何が忙しんだよ!麗華とも別れたんだろ!なら暇だろってば!」
「俺も色々と忙しんだよっ」



「だから何が忙しんだよ?その色々とやらを言ってみろよ?」
「えーと…それはだな…」
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「ほら、なんもねーだろ?」
「あるのっ」



「えーとだな……。あ、そうそう、歯医者の予約…………ゴニョ…とかがある…」
「は?」
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「お、うまいね~ゴルゴ君。引っ掛けたの?は?と歯を?さすが!」
「そう?…って、そうじゃなくて!」



「お前は虫歯なんか一本もねーだろ!なんで歯医者なんだよ!」
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「今日は検診だもんっ」



「だもんって…検診なんか違う日にいくらでも変えられんだろうよ!」
「わ~ゴルゴ君、凄い顔。とっても素敵よ~」
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「からかってんなよ!」
「だから無理なもんは無理なの!検診は一年も前に予約したんだ!絶対に無理!」



「一年も前に検診の予約するやつなんか聞いた事ねーよ!」
「ここにいる。さ~てと、来年の予約もして来なくっちゃな~」
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「バッカじゃねーの?」
「お前も もう出た方がいんじゃねーのか?早く来いって言われてんだろ?監督にどやされるぜ?」



「ったく!分かったよ!ちくしょう…せっかくこのみちゃんとデートだったのによ…。
しかもなんで朝からなんだよ…」ブツブツ…
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「行ってらっしゃ~い♪」



(今日は天気がいいな~。お友達でも呼んでプールで遊ぶってのもいいかも?)ニンマリ
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(例えばローリーとか…このみちゃん…とか呼んだり?)←歯医者は?



「電話、誰から?」
「ゴルゴさんよ。今日急な用事でダメになったんだって」
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「へえ~」
「何よ?」



「ちょっとだけホッとしてるとか?」
「何で?」
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「だって亮さんを裏切るようで心が痛むわ~って感じで?」
「なに言ってるのよ…」



「ま、いいわ。じゃやっぱり私と映画に行く?」
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「そうね、行こうか?せっかくのお休みだしね」



「沙織も誘おっか?たまには女同士だけでさ。このみ、沙織のとこ行こうよ」
「沙織ちゃん?だけど確か今日はお父様のお誕生日パーティーって言ってたよ?」
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「あ~そう言えばなんか言ってたね。しゃーない、たまには二人でデートでもするか」
「そうね」



ツルルルルル♪
ツルルルルル♪



「誰?」
「うん…。…亮さん…みたい…」
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「ヒュ~♪」
「なに?そのヒュ~は?」



「別に。たんなるヒュ~よ。出ないの?」
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「出るよ…」



カチ…
「はい…こんにちわ…」
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「あ…この間はご馳走様でした…」
「え?今日ですか?…あ、いえ!…でも私はこれからローリーとふたりで映画を…」



「はい、そうなんですよ、たまには女同士でデートでもと思って映画でも…」
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「ええ、映画なんてずっと見てなかったから、見たい映画がたくさ…」



バクッ!
「はいはい、ローリーで~す♪」
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「ちょっ…ローリー!」



「ええ、ええ、暇ですよ~~!全然暇です!」
「え~!いんですか?もちろんお伺いします!」
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「え?プールに?わ~楽しみ!ええ、水着を持参で行きます!」
「はい、はい、ではすぐに出ますんで♪」



カチ
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「なにすんのよっ!」



「あのね、亮さんが家に遊びにおいでって。これから行こう。映画はまた今度ね」
「って、何勝手に決めてんのよ!」
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「プールもあるんだって。こうしちゃいられないわ!水着をすぐに用意しないと!」
「だから…」



「さ!用意して来よ~っと!あんたも水着を用意しなね。じゃすぐに着替えて来るから待ってて!」
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「もう!ローリー!」



「って…え?水着?」
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「嘘…。マジで?」



―亮の自宅―



「ローリー…やっぱずうずうしくない?」
「亮さんから誘ってくれたのよ?なんにもずうずうしくないじゃんっ」
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「でもさ…」
「あんたは気にし過ぎなのよ!いいから行くわよ。それにしてもデカい家ね」
そう言いながら、ローリーは玄関のチャイムを鳴らした。



ピンポン~♪



「いらっしゃいませ。このみ様にローリー様ですね」
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「ようこそおいで下さいました。亮様がお待ちしています」



「どうぞこちらへ」
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ヒソ…うわ…このみ…この人ってひつじじゃない?
それを言うならしつじ!って、そんなベタなギャグやらすな!



(ぷっ! クスクスクス…
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ヒソ…ほらっ笑われちゃったじゃないっ
なによっちょっと間違えただけでしょっ



「亮様、このみ様とローリー様がお見えです」
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「おー!こっちこっち!」



「亮さん、こんにちわ~♪ 今日はお誘い、ありがとうございます♪」
「俺の方こそ悪かったな。映画に行くつもりだったんだろ?」
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「ああ、あんなの別にいいんです!それにしてもすっごく素敵なお住まいですね~。
さっそくですがプールに入ってもいいですか?」
「どうぞどうぞ。着替えは向こうの部屋でしておいで」



「こ、こんにちわ…」
「よ!」
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「君も着替えてきたら?」
「や、私は…その…」



「水着、持って来なかった?」
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「そ、そうじゃなくて…」



「亮さん!このみったら亮さんに水着姿を見られるのが恥ずかしいんですよ~」
「ローリー!」
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「俺に見られるのが?じゃ目隠しでもしてようか?」
「べ、別に亮さんだからって訳じゃなくて…」



「いいから行くよ!」
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「もうローリーったら、余計な事言わないでよ!」



―10分後―



「早くおいでって」
「でも…」
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「いいからっ」
「あ…」



「お待たせ~♪ どうですか?」
「これはこれは♪ 最高にセクシー」
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「これで亮さんを悩殺しようと思いまして♪」
「ははっ」



「あの…」
「君も…最高にセクシー……」
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「わ、私はローリーのようにスタイルがあんましよくないから……」
「そう…?」



(見てる見てる…。て言うか私は目に入んないってか?)
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(こんな水着を選らんだ私はいったい…)



「あ、あの…じゃプールに入りますね!」
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「あ、ああ…」



「………」
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(失敗した…。プールなんて言うんじゃなかった…。
俺も今すぐにプールに飛び込まないと大変な事になりそう…)
 


(ズボンがきっつー…って、俺は飢えた狼か!)
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(てか何なんだよ!この間から!)



― プール ―



「もう!亮さん!」
「ははっ!」
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「お返ししちゃいます!」
「うわっ!てめー鼻に入っただろ!」



「ぷっ!亮さんが先にやったんだも~ん♪」
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「このやろ~~!」



「あははははは」
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「クスクスクス!」



「…って言うか」
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「ローリー、つまんな~い…」



― 昼食 ―




「わ~凄いご馳走♪ローリー~感激~」
「カイルは料理が上手で何でも器用に作るんだ。ずっと泳いでたからオレもさすがに腹が減ったよ」
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(そりゃ~亮さんとこのみはお腹がすいてるでしょうよ…。二人だけ! で
あはは、うふふって楽しそうにず~っと泳いでたんだから)



「そう言えば亮さんってサングラスは外さないんですか?」
「俺?外すよ。時と場合によって」
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「え?なんか意味深な発言!例えばどこでですか?」



「例えば…ベットの中……とか?」
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「わ~お~♪」



ドキッ…
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(な、なんでドキッとしてんのよ…)



「ね、このみ、聞いた?ベットの中では外すんだって!」
「き、聞いてるよ…」
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「なんだか意味深ね~!」
「冗談だよ(笑)」



「午後は昼寝でもする?夕飯も食ってけばいいじゃん」
「わ!いんですか!」
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「いいよ。俺もどうせ暇だし」←だから歯医者は?
「ラッキー♪」



― 午後 ―



「グウ~」
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「Z Z Z Z Z…」



「ローリーったらぐっすり眠っちゃってる」
「だな。君は?疲れた?」
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「いいえ、私はまだ大丈夫です♪久しぶりに泳いだから凄く気持ちがよかった!」
「そっか、よかった」



「絵の方はどう?」
「最近はあまり進んでません。この間のコンテストに落ちたのが効いたのかも?」
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「ショックだった?」
「はい…ちょっぴり自信があったから…。けどそう簡単には行かないって事がよ~く分かりました」



「そんなもんだよ。すぐに手に入れられないから人は追いかけるのさ」
「そっか…そうですよね…。簡単に手に入ったら私も追いかけるのをやめたかも知れません」
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「だろ?けどいつかは報われる時が必ず来る。それを信じて突き進む事が大事なんじゃないかな」



「わ~なんだか勇気が湧いて来ました!やる気が出て来ました!」
「その調子だ(笑)」
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「やっぱり持つべきは頼りになるお兄ちゃんですねっ」



ピクリ
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(お兄ちゃん…?)



「…このみちゃんはこっちに来て彼氏は?」
「いました…」
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「へえ…いたんだ…」
「ええ、いました。一応(笑)」



「で、今はその人とは?」
「この間振られました。つい最近です。さすがにちょっと落ち込んだかな…」
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「落ち込む…?なんで?まだ惚れてるから…とか?」
「正直まだ分かりません…。振られてからそんなに経ってないし…」



「…どんな奴?」
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「え?」
「そいつ。どんな奴?(誰か俺の舌を止めてくれ!)」



「えと…普通のサラリーマンです。でも凄く優秀な人でした。
将来は出世コース間違いなしの人です。それにとっても素敵な人でしたよ」
「それはそれは…。で、どれくらい付き合ったの?(だから俺の舌は何言ってんだよ!)」
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「一年ぐらいです」
「一年…」



(という事はキスは当然…体も?体も許した?)
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(この体を?その男に組み敷かれて?)



(彼女はどんな顔してその男に抱かれたんだ?声は?どんな声を洩らしたんだ?)
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亮はそう思ったとたん、とてつもない嫉妬感に襲われた。
本当にどうかしている。昔の男に妬くなんて!



(妬く?俺…妬いてる?)
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(嫉妬?)



スクっ
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「シャワー浴びて来る」
「あ…はい…」



彼はそういい終えると、急くようにその場を離れた。
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妬いてる?俺は妬いてる…。



この間からのモヤモヤはこれだ…。信じられない…。
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生まれてからこのかた、リンダ以外の女に嫉妬なんて感情は抱いた事なんてなかった。
一度も。



俺は彼女に惹かれてるのか…?
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きっとそうだ…。俺は彼女に惹かれてる…。
その証拠に、俺は今すぐにその素敵な男とやらをぶん殴りたい!



「なんて事だ…。」
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(もう二度と人を愛する事はないだろうと思ってた俺に、そんな感情がまだ残ってたなんて…」



― 夕方 ―



「亮さん、私帰りますね」
「え?夕飯は?」
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「いえ、家に帰ってから食べます。今度またご馳走になりに来ますので」
「って…このみちゃんは?」



「ああ、寝てます」
「あ?」
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「水着を着たまま寝ちゃってますよ。置いて行きますので後はよろしく」
「よろしくって…」



「今夜は泊まらせてあげたらいいじゃないですか」
「簡単に言うね…」
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「亮さん…」
「ん?」



「この借りは大きいですよ?」
「って…何が?」
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「私が知らないとでも思ってるんですか?亮さんのこのみを見る目、普通じゃないです。
気づかないのはゴルゴのバカぐらいのもんですって」



「亮さんの過去に何があったか、少し聞きました。余計な事かも知れませんが…
でももう動き出してもいんじゃないですか?」
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「って言うかもう動き出してますよね?」



「動き出してる…?」
「ええ、動き出してます。
本当は亮さんも気づいてるんじゃないですか?亮さんはこのみに惹かれてます」
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「そんな風に見えた…?」
「ええ、見えました」



「だって亮さんはゴルゴに嫉妬してたもの♪」
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「恋の第一歩は嫉妬からですよ♪」



「では私はこれで。ご馳走様でした~♪」
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「………」



「俺ってそんなにバレバレだった?」
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「マジで?…」



「亮様…このみ様をいかがいたしましょうか?あのままではお風邪をひいてしまわれます」
「あ、ああ…」
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「客室のベットへお移しいたしましょうか?」
「そうだな…客室に…」



「はい、かしこましました。ではすぐにご用意してお移しいたします」
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「ああ…悪い…」



(動き出してる…。確かに動き出してる…。
惹かれてるなんてもんじゃない。俺はすでに彼女に惚れてる…)
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「俺は…」



「待って!」
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「待ってくれ…」



「はい?」
「俺が運ぶ…」
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「え…」
「俺が彼女を運ぶから…」



「かしこまりました。では私は客室の用意をしておきますので」
「いや…客室の用意はいい」
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「と言いますと?客室以外のどこへ?」



「俺のベットへ…」
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「俺のベットへ運ぶからいい」



「はい、かしこまりました」
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と、カイルは何食わぬ顔で微笑んだ。





続き、第10話へ 「切ない夜を乗り越えて…」
二度目の恋…タイトル一覧は 「こちら」   
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第8話 「俺って意地悪~~♪」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第8話



―数日後―



あれから数日が過ぎ、胸の鼓動がやっとの事で落ち着いた沙織。
あれは何だったのだろうか。今思い返してもこの間の私は普通じゃなかった。
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きっとちょっとした気の迷いだったのだろう。
もうあんな事には二度とならない。



沙織はそう自分に言い聞かせ、鈴之介との未来に意識を集中した。
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「鈴之介さん」



「はい?」
「明日は私のお父様のお誕生日パーティーがあるのですが…」
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「ああ!そうでしたね。もちろん一緒に行きましょう。僕の家へ迎えの車を頼みますので」
「そうして下さると助かりますわ!」



「ところで絵の方はどうですか?」
「ええ!もう仕上がって提出しました!後は発表を待つばかりです!」
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「わ~ほんとですか!よかった!私、鈴之介さんならやれるって信じてましたわ」
「まいったな~♪」



と、すでに金賞を取ったかのように喜ぶ二人。



「発表の日が待ち遠しいですわ!」
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「ええ、僕もです!さあ、婚約式の日取りをそろそろ決めないといけませんね!」



「婚約…?」
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「ええ!僕と沙織さんの婚約式ですよ」



「そ、そうですよね…私と鈴之介さんの婚約…」
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「そうですよね…」



午後  ― 町のジム ―



「このみちゃん♪ 俺だよん♪」
「やだな~ゴルゴだよ!俺の声を忘れるなんてつれないな~」
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「はは!冗談、冗談。元気だった?」
「俺は相変わらずさ♪」



「あ、でも一つだけ…」
「あのさ…このみちゃんに会えなくて淋しいな~なんて…あは…はははは…(って…何故黙る…)」
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「と、ところで明日、行ける?」
「飯食いに行こうって約束したじゃん♪」



「あ~ダメダメ。俺の車は一人しか乗れないんだよね~。
(あの女をロープで引きずってもいいってんなら連れてってもいいけど)」
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「残念だけど隣の女は又今度ね!」
「OK~♪ じゃ明日な!」



カチ
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「二人っきり…」



(これってデートって事かな?でも食事をするだけならデートって言わないよね)
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(いや、やっぱデートか…)



「どうしたの?真面目な顔して?」
「ローリー…。別に真面目な顔なんてしてないよ…」
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「そう?…」



「ね、明日は暇?一緒に映画でも見に行かない?」
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「え…」
「暇でしょ?」



「そ、それが…さっきゴルゴさんから電話があったの…。食事しようって…」
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「な~んだ、デートか」
「デ、デートかな…やっぱり…」



「二人で行くんでしょ?ならデートじゃん」
「そうだよね…」
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「なに?何か気になる事でもあんの?(例えば亮さんの事とか?)」
「別に何もないわよ…」



「ふ~ん…」
「ふ~んて何よ…」
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「このみ…」
「ん?」



「あんたさ、亮さんに惹かれてるでしょ?」
「え?」
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「この間から変だもん、あんた」



「そ、そんな事ないよ!」
「ほら、ムキになってる」
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「ち、違うわよ!変な事言わないで!」
「このみ…。私はあんたと亮さん、合ってると思うよ?
あんたには亮さんのように強く引っ張ってくれる人が合ってる気がする」



「やめてよ…。それに亮さんには心の中に思ってる人がいるんだから…」
「ああ、あのセレブの恋人の事?」
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「ううん、恋人とは別れたんだって…。亮さんの思ってる人はその人じゃなくて…
ほら、前に話した事があったでしょ?私の幼馴染のリンダの事」
「ああ、そう言えばなんとなく聞いた事あったね」



「亮さんが思ってるのはそのリンダなの…。もちろんリンダもそうだったわ。
少なくとも二人は愛し合ってる時期があったの…」
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「だけどタイミングが悪かったのかな。二人とも色々な事が起きてね…。
結局、二人は思いを伝える事もなく離れて暮らしてたの」



「けど亮さんが数年後に彼女を迎えに来たのよ。そう…あれはきっと迎えに来たんだわ…。
だから私は二人が結婚するもんだと思ってた…」
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「けど悲しいかな…その時はすでに遅くてさ…。リンダには亮さん以外に愛する人が出来てたの…」



「まあ…ありがちっちゃ~ありがちだけどね」
「もう!真面目に聞いてよ!」
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「聞いてるって。んで?」
「彼は小泉ジーンって言うの。聞いた事ない?」



「小泉ジーン…。はて…?」
「彼もサッカー選手よ。少しの間亮さんと同じチームだったの」
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「…ん?」



「もしかして亮さんと対張ってたイケメン?」
「そう、そのイケメンがリンダの愛した人よ」
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「うわ~私ならどっちも選べないわ~!
って言うかそのリンダって何者?!イケメン二人を相手に凄いね~」
「凄いでしょ?(笑)」



「二人はまるで運命の出会いのように惹かれて行ったわ…。
ふふ…きっと運命の相手だったのね。二人の愛に私も亮さんも適わなかった…」
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「へえ~。…って、え?」



「どういう事?あんたもって?」
「彼は私が初めて真剣に恋をした人よ。小泉君は私の恋人だったの」
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「ゲっ!複雑~~!」
「ふふっ…。リンダと小泉君はこの間結婚したわ。要は私と亮さんは二人仲良く振られたってわけ」



「なるほどね…。で、亮さんはその彼女がまだ忘れられないと……。そう言う事か…」
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「それはちょっと辛いね…」



「ね?!だから私が入る隙間なんてないのよ」
「って、やっぱ亮さんが好きなんだ?」
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「だからそんな事言ってないでしょ!」
「あんたは?あんたは忘れられたの?そのもう一人のイケメンの事は?」



「私は…う~ん…今でも思い出すと胸が痛むけど…けど…何て言うかさ…バカらしくなっちゃってさ」
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「なんで?」
「だって二人は本当に愛し合ってるのよ?私がいくら思っても無駄だもの」



「そう思ったら私も次へ進まなくちゃって思ったの。
いつまでも泣いてなんかいられないしさ。だから隆君とも付き合おうと思ったのよ」
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「結局振られちゃったけどね(笑)」



「あんたって意外と強いね…。けどさ、その結婚した二人が運命の相手なら、
亮さんにだって運命の相手が待ってるって事じゃない?」
「え?」
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「逆に言えば亮さんの運命の相手はリンダちゃんじゃなかったって事でしょ?
って事は他にいるって事よ、彼の運命の相手がさ」
「そんな事考えて見た事もなかった…」



「ふふ…案外近くにいるのかもね~運命の相手が♪(例えばこのみとか?)」
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(運命の相手…)



「あ、そうだ、絵の具貸してくんない?ちょっと切れちゃってさ。白なんだけどいい?」
「ごめん、私もちょうど切らしてる。鈴之介君なら持ってるよ。借りてくれば?」
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「そっか鈴之介がいたか。じゃそうするわ」
「うん」



「運命の相手か…。私の運命の相手はいつ現れるのかな…」
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「今度こそロクデナシに捕まりませんように…」



(婚約式…。私と鈴之介さんの婚約…)
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「…織…」



(ボ~…)
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「沙織ったら!」



ガタッ
「あ、はい…」
「どうしたの?ボ~として」
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「え?そ、そんな…私…ボ~っとしてなんか…」
「してる。大丈夫?」



「え、ええ…大丈夫です…」
「ま、いいわ。鈴之介は?ちょっと絵の具を借りたくて」
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「どうぞ、中にいますので」
「分かった」



「………」
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(もしや…ゴルゴの事を考えてるとか?だとしたらかなり重症じゃね?)



「鈴之介、絵の具貸してくんない?ちょうど切れちゃってさ」
「ええ、どうぞ。適当に持っていって下さい」
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「サンキュ~」
「絵の具ぐらい、いつでも言って下さいよ!」



(のんきな顔して…。分かってんのかね?絶対に沙織はゴルゴにのぼせてるってのに)
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「ねえ…」
「はい?」



「あんたらさ、キスとかした事あんの?」
「は?」
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「は、じゃなくて。キスだよキス。沙織とあんたの事言ってんの。どうなの?」
「キス…」



「体はまだとしてもキスぐらいはしてんだろ?」
「そ、そんな事はした事なんかありましぇん!」
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「しぇんって…」
「ぼ、僕と沙織さんはいずれ…け…結婚するのだし…
そ、それに…そ…そう言う事は…け…結婚してからじゃないと…」



「バッカじゃないの?いったい何時代の事言ってんのよ?あのね、今は昔じゃないの!
今時キスぐらい、小学生だってしてるっつーの!」
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「小学生…」
「そうよ!いい?おやすみのキスとか何でもいいからキスの一つでもしてやんなさいよ!
チュッ!でいんだから。分かった?」



「でも…」
「でもじゃないの。何も舌を使えっつってんじゃないんだから!」
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「し、舌…ですか?」
「そうよ、舌なんかいいからちょっと唇を触れるフレンチキスぐらいしなさいよ!」



「し、舌…」
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「そこに引っかかるな!」



(し、舌…?お互いに舌を出してくっつけるんだろうか…?
僕の記憶が正しければ、キスとは唇と唇とを触れ合わせる事なはず…)
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(舌同士とは…。最近のキスはずいぶん進化したな…)



― 町のジム ―



「明日はデート♪ デート♪」
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「うぷぷぷっ!楽しみだな~」



「海かな?ドライブかな?それともプールとか?ワオ~♪このみちゃんの水着姿…うひょ~♪
って、あれ?亮じゃねーか?」
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「おい、亮!」



「ゴルゴか。いやに機嫌がいいじゃない。なんかあった?」
「あったあった、大有り!」
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「なんだよ?」



「ふ・ふ・ふ…。明日はこのみちゃんとデートだもんね~♪」
「このみちゃんと…?」
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「そ、このみちゃんと!さっき電話で約束しちゃった♪どこ行こっかな~」



「ふ~ん…」
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「彼女…一人で来るのか?ローリーも一緒とか?」



「まさか!なんでデートなのにあの女を連れて来るんだよ?勘弁しろよ!
二人っきりで出かけるに決まってんだろ?」
「二人っきり…」
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「海なんていいかもな?夕暮れの海とかさ。夕暮れの海は雰囲気あるからな。
もしかして気分が盛り上がってチュウなんてしちゃうかもな~」
「チュウ…」



「あ、お前この前このみちゃんとキスしたとか何とか言ってたけど、
あれはそんなんじゃないってこのみちゃんが言ってたぜ?」
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「まぎらわしい言い方すんなよな!」



「さ~てと、体でも鍛えよ~っと♪」
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「まぎらわしいね…(キスにまぎらわしいもクソもねーと思うけどな…。だって本当にしたんだし…)」



「お、亮じゃねーか」
「監督」
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「来てたのか」
「ゴルゴもいますよ」



「監督こそ病院じゃないんですか?」
「ああ、たまには体も鍛えないとな」
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「ところでどうですか?ルビーの容態は?」
「ああ、相変わらずだ。けど日に日に体力が落ちてる事は確かだな…」



「そうですか…。早くドナーが見つかるといいですね…」
「それが中々な…」
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「子供の臓器は中々出ないんだよ。出たとしても順番待ちだ。
厳しい状態にあるのはルビーだけじゃないからな…」



吉田ゴロウ 
彼は亮とゴルゴが所属しているチームの監督だ。
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話でも分かる通り、彼には8才になる娘、ルビーがいる。
だが残念な事にルビーは心臓病を患っている。



それが分かったのはルビーが3才の頃だった。
ルビーの異変に気づき、そして原因を知り、妻の和子と呆然とした。
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すぐに手術をするにはルビーの体はまだ小さく、とても手術に耐えられるような体力はなかった。



そしてその手術とは移植しかない。
ルビーは病気が分かってからは入院生活を余儀なくされた。



月日が過ぎ、ルビーがようやく手術に耐えられる大きさにはなったものの、
今度はドナーがすぐには現れなかった。
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どうする事も出来なく、時は過ぎて行くばかりだ。



だが、それもそろそろ限界が近づいていた。
彼女の心臓は体が大きくなるにつれ、働きが悪くなってきていた。
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心臓が体についていけなくなってきているのだ。今やれる事は心臓の負担を少なくするため、
出来るだけ体を動かさないようにするのが精一杯だ。



しかし、ルビーは8才という遊び盛りの年頃だ。
いつまでもベットにじっと抑えてつけて置くのはあまりにも可哀想だ。
20110302150403.jpg
かと言って他の子と同じように走り回れるわけでもない。
そして体力は日に日に弱まっていた。



一刻も早く体力があるうちに手術をしなければならない。
20110302150453.jpg
時間が過ぎれば過ぎるほど、体力が無くなり手術が難しくなるだろう。



そう…医者から宣告されたタイムリミットが近づいている。
20110302150526.jpg
20110302150540.jpg
20110302150556.jpg
死へのカウントダウンは容赦なく時を刻み続けていた。



「けど希望は捨ててないさ。大丈夫だ、まだ時間はある」
「監督…」
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「それまで一生懸命働かないとな!
なんせ移植に莫大な金がかかるんだ。俺はまだ休むわけにはいかない」



「そうですよ!監督にはまだまだ頑張ってもらわないと」
「ああ、けれど頑張るのは俺じゃなくてお前らだ。
お前らに頑張ってもらわないと俺はクビになっちまうからな(笑)」
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「次の試合も頼んだぜ!我がチームのヒーロー殿」
「ええ、分かりました(笑)」



「そうだ、お前、明日は暇か?」
「明日?どうしたんですか?」
20110302150945.jpg
「お前、伊集院家って知ってるか?
そこの家でパーティーがあるんだ。それに出席しなければならない」



「伊集院?聞いた事あるな…。あれ?あそこってうちのスポンサーでしたっけ?」
「違うさ。けどなってくれそうなとこには顔を出しときたいんだ」
20110302151024.jpg
「うちのチームの財政状態も厳しくてな…。
一つでも多くのスポンサーがつくように打診しとかないと」



「選手を何人か連れて行きたいんだ。お前、行けるか?」
「明日…明日か…」
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「ダメならいいんだ。違う奴を連れて行くから」
「違う奴…?違う奴ね…。そう言えば…暇そうな奴を一人だけ知ってるな…」



「ゴルゴならあいてる…かも?」
「ゴルゴ?」
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「確か明日は暇って言ってたな~~なんて」
「そうか、あいつなら調子いいからパーティーに連れて行くならちょうどいいな。
分かった、ゴルゴを連れて行くよ」



「おい、ゴルゴ!ちょっといいか?ゴルゴ!ちょっとストップ!」
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「さ~てと♪明日はお友達でも呼んで遊ぼっかな~♪」



「え!ダメダメ!明日は絶~~対ダメっすよ!」
「うるせー!いいから来い!」
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「あの…監督…明日はそのデートって言うか…」
「お前…俺に逆らうのか?あ?」



「そ、それは…」
「いいか?チームの一大事なんだぞ?
お前のような大、大、大スーパースターに活躍してもらわないで誰に活躍してもらんだ?」
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「大、大、大…ス、スーパースター…?」



「おうよ!お前は我がチームのスーパースターだろうが!」
「でも…だって亮の方が…」
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「ここだけの話、俺は亮よりお前の方がスーパースターの素質があるって思ってんだ!」
「マジで…?」



「いや~ゴルゴ君、悪いな~。やっぱ君は我がチームの英雄だ!」
「や、でもやっぱり明日は…」
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「ヒュ~ヒュ~、よ!スーパースター!」
「ま、まいったな~」


そして亮は…


「では僕はお先に失礼しま~~す♪」
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ニンマリ♪


と、満足そうな笑みを浮かべ、とっととズラかった。





続き、第9話へ 「動き出した時間」
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