第14話 「君に恋してる…(前編)」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第14話



何故かゴルゴとデートの約束をしてしまったこのみ。私は本当に何をやっているのだろう。
だけどムカついたのだ。亮がローリーとデートするなんて…
そんなの…あったまくる!



「亮さんのバカ…。何よ…何よ…」
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(だけど本当は分かってる…。もっとバカなのは私だ…)



「私って最低…」
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と、このみは憂鬱そうにため息をついた。



―数日後―



ツルルルルル♪
ツルルルルル♪
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(出ない…。なんで出ないんだよ…)



あれから亮から何度も電話がかかって来ていた。
そのたびにこのみは電話をジッと睨みつけ、電話のベルをシカトした。
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だって電話に出たら訳の分からない事を言いそうで怖かった。
醜い嫉妬でギラギラと心を燃やしてるなんて知られたくない。



そして今となってはリンダに嫉妬してるのかローリーに嫉妬してるのか、
自分でもよく分からなくなっていた。
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だけど、つい考え込んでしまうのだ。
亮が違う女性を腕に抱くなんて……そんなの…考えたくない!



ツルルルル♪
ツルルルル♪



「また亮さん…?違う…リンダからだ…」
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そして、電話は亮からだけじゃない、リンダからも電話が入っていた。
もちろん、その電話にも今は出たくない。



リンダ、ごめん…。リンダは何も悪くないしこんなのは私らしくない。そんなの分かってるけど…
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「ごめん…。…ごめんね、リンダ…」



恋は人を綺麗にすると言うけれど、私はその逆だ…。
どんどん醜くなって行くみたい。
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亮に恋をすればする程、周りが見えなくなって行くような気がする。



「亮さんがあんなに素敵じゃなければよかったのに…」
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「私が……もう少し綺麗でセクシーであればよかったのに…」



カチ
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「………」



カチャ
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「あーシャワー浴びたらサッパリした~」



「どうした?」
「うん…このみが電話に出ないのよ…。昨日もかけたんだけどさ…。おかしいな…。
不在着信で分かってるはずなんだけどな…」
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「忙しんだろ?」
「でも…前は着信を残すとすぐにかけてよこしてたのに…」



「このみちゃんにも色々とあんだろうよ。また絵のコンクールで忙しいんじゃねーのか?」
「そっかな…。そうかもね…」
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「それよりリンダちゃ~ん。子作りしようぜ♪ 今日あたり出来そうじゃね?」
「昨日もそんな事言ってなかった?って言うかまだ昼間だよ?」



「いいじゃん、いいじゃん♪俺達は夫婦なんだからぁ~♪昼間だろうと夜中だろうと朝だろうと♪」
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「エロいっ」
「だから何度も言わせるなっ。俺はエロい!」キッパリ



「リンダちゃん、早くいらっしゃい」
「まじで…?」
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「早くおいで!」
「もう…しょうがないな~」



「カーテン閉めるから待ってて!」
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と、真昼間から子作りに励もうとするジーンとリンダであった。



カチャ
「わ~暗い顔」
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「ローリー…」



「何その顔。最悪ね」
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「な、何よ…。って言うか何勝手に入って来てんのよ!ノックぐらいしたらどうなの!
ここは私の部屋なんだからね!」



「何怒ってんの?」
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「べ、別に怒ってないわよ…」



(あーもう…!
ローリーにあたってもしょうがないのに…!でも口が勝手にぺらぺらと動きだすんだもん…)
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(ぷぷっ…妬いてる妬いてる!このみがこんなに感情をあらわにするなんてね…。
これはいよいよ本物だな…。ゴルゴ…ご愁傷様♪)
と、ニヤリ。



「明日はいよいよ亮さんとのデートだわ~♪何着て行こうかな?」
「好きにすれば…」
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「そうね…じゃ…超ミニスカートでも履いて~胸も露出して~んで悩殺作戦ね♪」



(悩殺作戦…?)
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(って……どんな風に…?)



「妬ける?」
「え…」
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「妬けるでしょ?」



「や、妬けないわよ!な、なんで私が…」
「ふ~ん、へえ~、ほ~」
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「なによ!」
「別に~」



「そ、それに私も明日はデートだし…」
「はい?」
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「私もデートなの…」
「って…誰と?」



ゴニョ……ゴ、ゴルゴさん…と…
「はあ?ゴルゴ?なんでゴルゴ?」
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「い、いいじゃん…」
「いいじゃんって…ったく…」



「あーもう!何やってんのよ!」
「な、なに怒ってんのよ…」
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「怒りたくもなるわよ!」
「ロ、ローリー…恐い…」



(恐いじゃないわよ!それじゃ私の作戦はうまくいかないじゃない!
このみが怒ってかけつけて来るはずだったのに)
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(ゴルゴも余計な事しやがって…)



「で、どこ行くわけ?」
「え…」
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「デートなんでしょ?」
「べ、別にどこだっていいでしょ?ローリーには関係ないもんっ…」



「いいじゃん、教えてくれたって」
「…え、映画よ…」
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「映画?」
「そ、そうよ…文句ある?」



「ふ~ん…。もしかして(当然)5時からのやつ?」
「べ、別にローリーに言う必要ないじゃんっ」
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(…はは~ん…あてつけのデートって訳ね。しかも私達と一緒の映画…。
と言う事は当然、映画館の前に現れるわね…。やる事がおこちゃまだっつーの)



「ま、いいわ。じゃ明日の用意でもしよ~っと♪ じゃねん」
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(なによ…)



― 翌日 ―



「亮さ~~ん♪」
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「おう!」



「すみません、わざわざ出て来てもらっちゃって」
「いやいや、この間のお礼をしろと言われたら来ざるを得ないだろ?(笑)」
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「だけど今日のお礼もしてもらわなくちゃならないかも?」
「は?」



「いえいえ、じゃとりあえず映画でも見ましょうか?」
「いいけど…って言うかなんで映画?飯とかそんなんじゃなくていいの?」
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「ええ、いいんです。ちょうど見たかったし。行きましょうよ」
「あ、ああ…分かった…」



(って…このみちゃんはマジ来ないんだ…)
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(やっぱりゴルゴと一緒か…)



(このみ達はもう映画館の中かな?ふ・ふ・ふ…映画が終わった時が楽しみだわ~♪)
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パタン



一方、このみとゴルゴはローリー達が映画館の中に入ったすぐ後に到着した。
このみは二人がいるのかとキョロキョロと辺りを見回したが二人はいない。
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(この映画館の前よね…)



「どうしたの?なんかソワソワしてない?」
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「あ、いや、別にその…」



「そう?じゃもう始まるから入ろうか?」
「はい…」
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「いや~嬉しいな~このみちゃんと映画なんて♪俺さ、昨日眠れなくさ~
今朝なんて5時起きだよ?スゲ~興奮して目が冷めちゃった♪」
「5、5時…ですか…?」



「なんか嬉しくてさ!
しかもさ、約束は夕方の5時なのに、そんなに早くから起きてバカだよな、俺(笑)」←ほんとバカ
「そんな…」
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「明日は俺、試合も休みなんだ。だからのんびりしようぜ」
「ええ…」



(どうしよう…。私…ひどい事してる…。ゴルゴさんに凄くひどい事してる…)
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(やっぱりこんな事しなきゃよかった…。
ゴルゴさんに失礼だわ。ちゃんと言った方がいいよね…ちゃんと言って断らなきゃ…)



「あの…ゴルゴさん…」
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「っともう始まっちゃう。行こうぜ!」
「あ…………はい…」



(ふ・ふ・ふ…どさくさにまぎれて手でも握っちゃう?ちょうど恋愛映画だし…。
ウルっとしてるところにギュッとすれば…)
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(うわ~すごーく刺激的♪)



― 2時間後 ―



パタン
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「………」ウルっ…



(やっべ…つい感動しちまった…。俺とした事が…)
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(しっかしあれはねーよな。死んはずの主人公の男が最後の最後に現れるなんてよ…
そんなの反則だろーが…。ちくしょう…泣けるぜ…)



(はっ…!……泣いてばっかで手も握らなかった…)
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(俺の…バカッ)



(結局映画までご馳走になっちゃった…。何やってんのよ、もう…)
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(だけど本当にこんな事してちゃダメだ。ちゃんと言おう…。もうデートは出来ないってちゃんと…)



「や、やっぱ女の子が好きそうな感じだったな~。男はそうでもねーけど、
でもああ言うのって女の子は感動するんだろうな~バリバリの恋愛ものだったし」
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「特に最後のところ。俺はぜってー生きて帰って来ると思ったぜ!
んで案の定だったから笑った笑った!もうプーってなもんよ(笑)」←泣いたくせに。



「君もやっぱ感動した?」
「あ…はい…(どうしよう…ほとんど見てなかった…)」
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「このみちゃんは恋愛ものとか好きなんだ?」
「え…ええ…まあ……」



「普段、恋愛ものなんてあんま見ないけど、ま、ちょっとは楽しかったな~
あ、でも俺はこのみちゃんと一緒ならなんでも楽しいけどぉ~♪」
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「この意味分かる?ね、分かる?」



「わ、分かる……かも?」
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(マズイ…。早く言わなきゃ!)



「さ~てと、…飯…食いに行こうか…?」
「え…」
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「あの…俺さ…すっごく素敵なレストランに予約入れたんだ…。は、腹も減ったしさ…だからその…」
「あの…ゴルゴさん…」



「ん?」
「あの…(さあ言うのよ!)」
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(でもなんて言うの?私は亮さんが好きって?だから今日のデートはあてつけですって?
そんな失礼な事をどうやって言ったらいいの?でも全部本当の事だわ…)



ちょうどその時、亮とローリーが反対側のドアから出て来ていた。



「なんか腹減ったな~。飯でも食いに行くか?」
「ええ…」
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「しっかしベタな恋愛ものだったな~。俺、途中寝ちまったかも?」



「………」
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(やば…感動しちゃった。まさか最後にあの男が帰って来るなんて。
てっきり死んだと思ってたのに…。あんなのってないわよ…。もう…泣かせるじゃない…)



「ゴルゴさん…あの…私…」
「何?」
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「え、ええ…その…」



(もしかして愛の告白?ぜってーそうだ。あんなにモジモジしちゃって)
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(そんな事、女の子から言わせる訳にはいかねーぜ!よーし、ここは一発男らしく…!)



「こ、このみちゃん…」
「え?」
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「あの…俺さ…あの…ほ、ほんとはレストランで言おうとしてたんだけどさ…
あの…俺…俺君の事…その…す…好き…」



「ゴルゴじゃん!」
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「あ?」



「な~にやってんの?」
「なにって……」
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「このみも一緒じゃん♪ 偶然ね~」
「…って…え?亮も一緒?って言うかお前こそ何してんだよ?」



「ちょっと!お前って言うのやめてよ!私はあんたの女でも何でもないんだからね!」
「当たり前だ、バーカ!」
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「バカですって…?この間たんまりとご馳走してやったの覚えてないの?
そんなに言うんなら今すぐあの時の酒を出しなさいよ!」
「出すってお前な…。出せるわけねーだろ!」



「よう…」
「亮さん…」
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「…デートなんだって?」
「……はい…」



「りょ、亮さんこそデートなんですってね?」
「ああ、そうだけど?君と一緒。俺もデートさ。なんで?」
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「いえ、別に…」
「ふ~ん…」



(やっぱりデートなんだ…。何よ…何よっ…!)
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(クッソ~!まさか映画館の中でキスとかされてねーよな?
もしそうなら……あのろくでなしをぶちのめすっ)



「ね、せっかく会ったんだしさ、一緒にご飯食べに行こうよ」
「やだね」
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「むっ。何がやだねよ。いいから行くのよ」
「なんでお前らと行かなきゃなんねんだよっ!俺はこれからこのみちゃんとレストランに行くのっ!」



「どこのレストラン?」
「教えない」
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「いいじゃん、教えてよ~。あ、分かった!あそこでしょ?
最近出来た若者に人気のレストラン!単純な男はだいたいそこに予約すんのよね~」



「違うよ!バーカ!俺が予約したのは町の外れの湖に面したしっとりしたレストランだ!
んな単純なデートコース選ぶかっつーのっ!」
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「あ、そこね。じゃ私達もそこに行くぅ~」



「はっ…」
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(俺って……ほんっとバカ…)



(バカな奴。ローリーにかかったら赤ん坊だな…って…
ローリー、ひょっとしてこいつらがここに来んの知ってた?確信犯?)
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(借りが高くつきそう…)



(嘘…これからみんなで…?)
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(なんか変な事になって来ちゃった…)



「さ、行くよ!」
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(バカな男!あまりにも単純過ぎて憎めないわ~)



と、それぞれの思いが空に舞い、夜は更けて行く。





続き、第15話へ 「君に恋してる…(後編)」
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第13話 「俺の名はミスター単純男」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第13話



― 翌日、美術学校 ―



カチャ
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「あ、いたいた♪ このみ、おはよ~」



「ローリー…。おはよ…」
「あら、なんか元気ないわね?」
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「そ、そんな事ないわよ…」
「ふ~ん…」



「ロ、ローリー、これから授業でしょ?もう始まるよ。行かなくていいの?」
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「ローリーってば…早く…」
「寝たの?」



「え?」
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「昨日の夜よ。亮さんと寝ちゃった?」



「ね、寝てないわよ!」
「じゃキスは?」
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「キ、キス?キスは……キスは…」
「した?」



「そ、それは……」
「キスはしたんだ。(正直なやつ…)舌は?舌は入れた?って逆か。入れられた?」
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「し、舌?…舌はね…う、うん…ちょっとだけ…って…」



「ちょっと!なんでローリーにそんな事言わなきゃなんないのよ!」
「いいじゃん、教えてくれたって」
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「嫌よ!」
「で、よかったの?」



「え?」
「亮さんとの熱~~いキスよ!よかった?」
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「な…なに言って…」
「どうなのよ!」



「亮さんとのキスは…」
「キスは?」
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「キスは…とっても素敵だった…」
「ヒュ~♪」



「や、やめてよ…そんな風に口笛吹くの!」
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「よかったじゃん。これで熱~い恋が出来るね?亮さんとならそんな恋が出来るわよ~」



「で、でも…亮さんは私の事は…」
「あのね、このみ。亮さんはあんたに惚れてんの。それが分からないの?」
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「だ、だって亮さんは幼馴染のリンダの事が好きなのよ?
わ、私の事はきっとリンダの代わりなのよ…」
「はあ?いつまでそんな事言ってんのよ?だから亮さんは…」



「ううん、亮さんはまだリンダの事を忘れてないんだと思うの…。
だから淋しくて私にあんな事をしたんだと思うわ…」
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「ほ、ほら…そう言う時ってあるでしょ?
なんとなく淋しくてどうしようもない時って…。だから亮さんは…」



「じゃあんたはどうなの?亮さんに惚れてんでしょ?」
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「わ、私は別に…」



イラっ…!
「へえ~惚れてないんだ?キスまでしといて?
あんたって好きでもない男とそんな事出来る子だったっけ?」
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「わ、私だってそれぐらい出来るわよ…。それにキスぐらい今時珍しくないでしょ?
って言うかなんでローリーが怒ってんの?」
「イライラすんのよ!」



(ったく!これだからとっぽい子はイラつくのよ!惚れてるくせに…
四の五の言ってないでガバっと行けばいいのに!私だったら絶対にそうするわ!)
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(めんどくさっ!    ……しゃーないな…)



(私は…何をそんなに意地を張ってるの?だって亮さんはリンダを…)
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(そんなの…嫌なんだもん…)



「そう。そうかもね。亮さんはそのリンダちゃんとやらを忘れてないかもしれないね~」
「そ、そうよ…きっとそう…」
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「それじゃ私が忘れさせてあげよっかな~。ね、じゃ私に亮さんをちょうだい?」
「え?」



「それいい!いいわ~♪どうせあんなたは惚れてないんでしょ?だったら私に亮さんをちょうだいよ」
「ロ、ローリー…」
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「私の熱~い愛で亮さんを包み込んであげれば、
亮さんもそのリンダちゃんとやらを忘れられるわね♪よーし、さっそくデートに誘っちゃおーっと♪」
「デ、デート…?」



「そう。デートに誘うの。本当に!…惚れてないのね?」
「う、うん…ゴニョ…そうよ…。って言うかなんで電話?」
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「さっそく行動に移すに決まってるでしょ?
私はあんたとは違うのよ。獲物は早いうちに仕留めなくちゃね」
「獲物って…」



ピッポパッポ
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「あのね、恋は弱肉強食なの。
ヨダレをダラダラ垂らして見てるだけじゃ美味しい獲物にはありつけないのよ」



「あ、亮さんですか?ローリーです、こんにちわ~。昨日はどうもご馳走様でした~♪」
「いえ、すっごく楽しかったです!はい」
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「そのお礼と言ってはなんですけどぉ~
えーと週末なんですけど暇ですか?ええ、土曜日の夜とか?」
「やだな~デートですよ、デート♪私と二人で映画でもどうかなと思いまして~♪」



「ヒソ…亮さん、昨日、このみと二人っきりにさせてあげた貸しを返して下さい」
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「ヒソ…ええ、約束したじゃないですか。かならず!…来てください」



「わ~いいんですか?じゃ映画館の前に。5時に」
「忘れないで下さいよ?土曜日の5時に映画館の前で!
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(嘘!亮さんがローリーと?…断ると思ったのに…どうして…)



「さっそく約束しちゃった♪」
「…り…亮さんは本当に来るって?」
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「来るって言ってたわ。もしかしたら熱~いキスを私にもしてくれるかも?ラッキー」
「そ、そう…」



「じゃ、これから授業だから」
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「あ~土曜日は何着て行こうかな~映画館の前で5時ね!忘れないようにしなくっちゃ♪」



(うぷぷぷぷ!私っていい友達~♪)
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(このみったら、絶対にいてもたってもいられなくて飛んで来るわよ!)



「って…何故ローリーと映画…?」
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「でも借りを返さなきゃならないから仕方ねーか…。あれ?でも二人でデートって言ってたような…
ま、いっか…。ちゃんと彼女も連れて来てくれるんだろう…?」



(な、何よ…ローリーのバカッ…!)
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(亮さんも亮さんよ!昨日、私の事が好きって言ったくせに!
キスでもデートでも何でもすればいいじゃない…。…亮さんのバカ…)



(あーあ、本当に面倒くさい奴らだな~。って…私も人の事言えないけどぉ)
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(な~んでか夕べからゴルゴのクソバカの事ばっかチラチラ…チラチラ…。
まさかまさかだよね。あんなクソ生意気なガキ…。絶対にありえない!)



「って…鈴之介じゃん」
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「なにやってんの、あいつ?確か次の授業が一緒だったんじゃ…?」



「鈴之介、行かないの?」
「………」ボ~
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「鈴之介ったら!」



「あ…ローリーさんでしたか…」
「なにボ~としてんのよ?授業が始まるよ。教室に入んないと」
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「もうそんな時間でしたか…。先に行ってて下さい、後から行きますので」
「早く来た方がいいよ。あの先生は遅れるとうるさいからさ」



「そうですね…すぐ…行きます…」
「あんた…大丈夫?」
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「何がですか?」
「いや…普段、あんたが授業を忘れる事なんてないからさ」



「ま、いいわ。まじ遅れるわ、先に行くね」
「ええ…本当にすぐ行きますので…」
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(なんかヤバイな、アイツ…。沙織となんかあった?)



(授業か…。そうだ…授業を受けないと…。だけどデッサンが思い浮かばないな…)
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(何を描けばいいのだろう…)



「ウイーッス」
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「あー頭痛てー吐きそう…」



「お前か…。昨日はご苦労だったな」
「ほんとだよ!マジ大変だったんたぜ?もう二度と行かねー」
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「はは!スターの宿命だろ?」
「何がスターだよ…。絶対に監督に騙されたんだ…」



「ところで具合悪そうだな?パーティーで飲みすぎた?」
「いや、ローリーと飲んでたんだよ。あいつ酒が強くてさ」
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「ローリー?なんでローリー?いつの間にそんな仲になったわけ?」
「そうじゃねーよ、勘違いすんなよ。昨日、パーティーの後でこのみちゃんの所に行ったんだ」



「このみちゃんの?」
「ああ。したら彼女が居なくてさ。んでローリーの部屋で待たせてもらったって訳」
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「へえ…」
「結局深夜になっても帰って来なくてさ。つい飲み過ぎちまったんだよ」



「なるほどね…」
亮はゴルゴにこのみとの事をどう言おうか迷っていた。早めに言わなければならない。
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けれど、彼女はまだ分からないと言っていた。
今ゴルゴに言えば、こいつは必ず彼女に白か黒か答えを求めるだろう。



そんな風に彼女を追い込むのは嫌だった。
彼女が自分を好きだとはっきり言うまでは待った方がいいかもしれない。
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そう、こいつは必ず彼女に、俺か、自分か、どっちなんだと詰め寄るに決まっている。
何故なら、彼のあだ名は…



(それにしても…。夕べのローリーはちょっとだけしおらしかったな…。
まさか俺のタキシード姿にしびれちまったとか?)
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(俺って罪な男…)



そう、彼のあだ名は……ミスター単純男なのだから…。



「さ~てと、このみちゃんに電話しよ~っと♪」
「え?」
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「デートの誘いだよ、デートの誘い!昨日は俺の都合でダメになっただろ?
さっそく次の約束をしなくちゃな♪」



「ふ~ん…」
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(いやいや、やっぱりダメだ。すぐに言おう。
ゴルゴには悪いがデートの可能性はゼロなんだとすぐに言った方がいい)



「ゴルゴ…」
「なんだよ、ちょっと待ってくれよ」
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「あのさ…」
「電話が終わってからにしろって」



ツルルルルル♪
ツルルルルル♪



「ん?」
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「ゴルゴさんだ…」



「いや、電話の前の方がさ…」
「お前うるさい。あ、このみちゃんだ♪」
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「このみちゃん?だ~れだ?」
「うぷぷぷっ♪最初がゴで最後がゴだよん♪ついでに真ん中がルさ♪」



「ウケた?ね?ウケた?」
「このみちゃんの笑い声は可愛いな~」
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「………」



「ところでさ、昨日はごめんな。んで昨日の埋め合わせと言ってはなんだけどさ、
土曜日とかはあいてる?」
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「おい…ゴルゴ…!」
ヒソ…後にしろって!



(ったく…!彼女に断られる前に言ってやろうとしてんのに!)
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(このみちゃんは俺のもんなの!お前なんかとデートなんてする訳ねーし。
しかも土曜日だって?残念でしたぁ~土曜はローリーと一緒に映画に来るもんね~♪)



「土曜日?でも……」
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「…り…亮さんは本当に来るって?」
「来るって言ってたわ。もしかしたら熱~いキスを私にもしてくれるかも?ラッキー」




「あの…」
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「では行きたい所があるんですが…」



「Ok!?マジで!?もちろん!そこでいいよん♪ところでさ…」
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(なん…だと?OK?確か今そう言ったよな。このみちゃんがOKした?なんで?
まだ分からないと言うのはゴルゴに気持ちがあったからそう言ったのか?まさか…)



ピッ
「うお~~!やったね!土曜日はデートだ!あ、悪い~悪い~。さっきの話って何?」
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「…いや…やっぱいい…」
「なんだよ、変な奴だな~」



「さ~てと!プールに入らせてもらうねん♪」
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「そのうち俺の美しい裸体をこのみちゃんに披露するのかと思うと燃える(萌える)ぜ!
もしかしてそれは土曜日だったりして?キャ~!ゴルゴ、困っちゃうぅぅ♪」



「………」
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そして亮は、ゴルゴをキッとひと睨みし、
このミスター単純男のあだ名を、ミスターろくでなしのクソヤロ~男に脳内変換した。




続き、第14話へ 「君に恋してる…(前編)」
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第12話 「素直になれない私」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第12話



亮に唇を奪われたこのみ。
頭の中はふわふわとしていて、いったい何が起きたのかまだ分かっていない。
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だが、この甘い口付けは決して夢なんかじゃない。
夢か幻か…この突然の出来事をどう理解すればいいのだろう…



ああ…いったい私はここで彼と何をしているのだろうか…。
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この光景が信じられない。



彼の手が背中をさすっている。その動きは怪しくエロティックに動き、思わず声をもらしてしまった。
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こんなキスは初めてだ。キスだけでこんなに熱くなるなんて…。



時折、彼は私の唇を舌でそっとなぞり、優しく噛んだりを繰り返していた。
その行為にゾクゾクする。
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ああ…このまま彼に身を投げ出してしまいそうだ…。



お腹のあたりに彼の興奮の高まりが伝わる。
それを感じたとたん、自分の体の中心部ももっと熱くなる。
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嫌だ…。絶対に知られたくない…。
こんな恥ずかしい事…絶対に知られたくない…!



「もっとして欲しい…?」
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突然、亮が耳元で囁いた。その低い囁き声にこのみはビクリとした。
見透かされてるようで顔が赤くなる。



「俺はもっとしたい…。だけどもっとしたらそれだけでは収まらなくなる…」
「亮さん…」
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「今日はこれで我慢する…。でもこの次は保障出来ない…」
「あの…どうして…」



「どうして…?理由は簡単さ。さっき言ったろ?君が本当の妹じゃなくてよかったって。
なんなら、もう一回キスしようか?」
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「だ、だって亮さんはリンダを…」



「シー…」
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「君がずっと気になってた…。ゴルゴと踊ってた時はぶち切れそうだった…」



「えと…つまり亮さんは…」
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「そう、つまり俺は君に惚れてるって事。
リンダとの事はもう過去の話だ。アイツの事はもう忘れたよ…」
「忘れた…?」



「ああ…忘れた。そんな風に思ったのはいつからか分からない。だけど…今はもう分かってる」
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「そ、そうですか…。そう…ですよね…」



(って…なにがそうです…なの!
もう何がなんだか分からなくて自分でも何を言ってるのか分からない…)
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「君は…?」
「え…?」



「君は俺の事は好き?俺の事をどう思ってる?」
「わ、私ですか…?」
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「そう君。もちろん、お兄さんのようだなんてのはなしだ」
「わ、私は…私は…」



(亮さんがお兄さん?そんなの…そんなのとっくに思ってない…)
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(ううん…。本当は一度もそんな風に思った事なんてなかった…。
今も…昔も…思った事なんてなかった…)



「私は?」
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「私は…」



「私は…(ゴクリ…)」
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「私は……まだ分かりません…」
「分からない…?」



「分からないけどでも…」
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「でも…亮さんとのキスは……嫌じゃありませんでした…。全然嫌じゃなかった…」
「このみちゃん…」



ギュッ…
「あ…」
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「いいよ…。今はそれで十分だ。スゲー嬉しい…」



(分からない?それは嘘…。私はすでに彼に捕まっている。身も心もすべて捕まってしまった…)
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(私は亮さんが好き。もうこんなにも惹かれてる…)



(だけど亮さんは本当にリンダを忘れたの?私はリンダの代わりじゃないの?)
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(もうあんな恋はしたくないのに…したくないのに…この腕の中から離れたくない…)



「さ、じゃもう遅い。送って行くよ。下の暖炉の側で着替えたらいい。それじゃ寒いだろ?……ん?」
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「はい…」
「行こう…」



嫌だ…まだ帰りたくない…。
もう一度キスをしたい…
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もう一度抱き締めて欲しい…。
そしてもう一度あの情熱を感じたい…。



彼にキスをされ、舌で愛撫を受けた時は頭がクラクラした…。
その時の事を思い出したらドキドキして倒れてしまいそうだ。
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自分がこんな風に、男性に性への興味を持ったのは始めてだ。
私はこんなにもいやらしい女だったの?



小泉君とキスをした時も、隆君とキスをした時も…こんな風に感じた事は一度もなかったのに。
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それなのに、ほんのちょっと抱き締められてキスをされただけなのに…どうして…



「用意出来た?」
「はい」
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「じゃ行こう」



ああ…困った…。本当に困った。亮さんはどうしてこうもセクシーなんだろう…。
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前を歩く彼の姿にばかり目が行ってしまう。私はさっきまであの腕に抱かれていたのだ…。



あの時私は感じていた…。そう…感じていたのだ。
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そして女である事の歓びをもっと感じていたかった…。



― このみのアパート前 ―



「じゃ又な…」
「はい…」
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「電話するから…」
「分かりました…」



(失敗した…。送るなんて言わなければよかった。
何にもしなくていいからあのままベットへ一緒に…)
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(いやいや…やっぱそれは自信ねーな…。ベットに入って何もしねーなんて無理…。
と言うか、それは拷問に近けーし…)



「じゃ…」
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「はい…」



(まだ…)
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(帰りたくないんだけど…)



「マジで…じゃ…」
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「…はい…」



バタン
(あー帰りたくねー…。しゃーねーな…)
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そして亮はスネたようにぶつくさと文句を言い、グッとアクセルを踏んだ。



「さよなら…」
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(あーあ…。やっぱり朝までベットに寝てればよかったな…。亮さんのベットで一緒に…)



(一緒に?亮さんと?…私ったら…どんどんおかしくなる…。
亮さんが素敵過ぎるからいけないのよ…。どうしてあんなに素敵なの?)
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(でもあんな風なキスをされたら誰だっておかしくなるわ。
そうよ…あんな情熱的なキスをされたら誰だって…)



カチャ
ふと…このみはある事を考えた。彼はリンダにもキスをしたのだろうかと…。
したのだろうか…。さっきのようなキスを?リンダに?
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不思議な事に、前の恋人の事はまったく考えなかった。何故かリンダとの事を考えたのだ。



何故なら、彼にとってリンダは特別な存在だったからだ。
何年も愛し、忘れられなかった唯一の女性だ。
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彼がリンダの側を離れる前は、二人はいつも一緒にいたのだ。
二人の間にはきっと私の知らない時間があったはず。



「そうよ…リンダにもあんな情熱的なキスをしたんだわ…。あんな風に抱き締めて…情熱的な…」
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(きっとリンダは今も彼の一番大事な部分を占めている…。
分かってる…。私はリンダの代わりに過ぎないって事は…)



だけどそう考えたら腹が立ってきた。今更ながらに無性に腹が立ったのだ。
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「リンダの代わりなんて嫌だ…。そんなの…絶対に嫌よ…」



―亮の自宅―



「分からないけどでも…」
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「でも…亮さんとのキスは……嫌じゃありませんでした…。全然嫌じゃなかった…」




亮はこのみのあの言葉に満足していた訳ではなかった。だが、急ぎたくはない。
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けれどいつまで我慢出来るだろうか…。
またあんな風に抱き締めてキスをしたら我慢が出来なくなってしまう…。



キスをした時の甘い感触。
舌をすべり込ませた時の彼女の可愛らしい声…。
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もう少しであの小さなヒップに手を伸ばしそうになった。



「ちょっとヤバかったな…」
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(あの先に進んだらどうなってた?もっとあの声を聞かせてくれた?)



「………」←妄想中。
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「………」←まだ妄想中。



亮は自分の体がふわふわと浮いているような気がした。
こんな風にドキドキするのは久しぶりだ。
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さっき別れたばかりなのにもう会いたくなる。
この感覚は、初恋をした時のように甘酸っぱい。



会って彼女を抱き締めたい。
そしてもう一度あのやわらかい唇を愛撫したい…。
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やがて亮はあの時の感触を思い出し…



「まるでティーンエイジャーだな…」
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と、クスリと笑った。





続き、第13話へ 「俺の名はミスター単純男」
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第11話 「それぞれの夜」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第11話



― さかのぼる事1時間前 ― 



パーティーをとっとと抜け出し、このみの家へとやって来たゴルゴ。
少し遅いような気もするが、お茶ぐらいご馳走になれるだろう。
そしてあわよくば……と、想像し、ニヤリとしながらチャイムを鳴らした。



ピンポ~ン♪



「こ・の・み・ちゃ~ん♪ 俺だよ~ん♪」
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ピンポン~♪



「このみちゃ~ん♪」
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「??…あれ?…いない?…そう言えば真っ暗だな。もう寝ちゃったとか?」



このみならいないよ!
わっ!ビックリした~!
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「なによ…人をお化けみたいに…」
「急に声かけんなよ!驚くだろ!」



「このみはお出かけ中よ」
「え?どこへ?」
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「さあ…」
「なんだ…せっかく来たのに…」



「ここで待たせてもらうよ」
「いつ帰るか分かんないよ?(帰んないかも?)」
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「つってもそんなに遅くなんないだろ。もう少し待ってみるよ」



「ふ~ん…」
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(…ちょっと可哀想かな…)



「お茶」
「あ?」
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「飲んでく?」
「茶?」



「別に嫌ならいいけど」
「なんも嫌だなんて言ってねーだろ?」
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「じゃ来れば。安い酒もよければあるよ。それ飲んで待ってればいいじゃん」
「…もらうよ」



「へえ~意外と女らしい部屋なんだな?」
「なによ、なんか言いたそうね?」
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「いや、結構綺麗に片付いてるなと思って」
「あのね、私はこう見えても綺麗好きなのよ。
お料理はいまいちだけど、お掃除は得意よ。そんなに意外?」



「意外」キッパリ
「ムカつく~~!ったく…!」
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「お茶でいいの?それとも酒?」
「酒!」



「ところであんた、なんでそんな格好してんの?」
「パーティーだったんだよ。それがビックリでよ、鈴之介とあの許婚がいただろ?
今日はあの子の家のパーティーだったんだよ。親父のバースディーだとさ」
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「え?沙織?そう言えば今日は沙織のお父様のお誕生日だったけど…
なに?そこに行ってたんだ?」
「ああ、会社の命令でな」



「つーかあの鈴之介が芦屋の坊ちゃんなんだってな。すげービックリ」
「ああ、鈴之介はあそこの一人息子さ」
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「その一人息子がなんでこんなちんけなアパートに?」
「ちんけってあんたね…」



「何でか知んないけど…どうしても絵のコンテストで金賞取りたいんだってさ。
そんで親に無理言って美術学校に通わせてもらったらしいよ」
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「このちんけなアパートに住んでるのは、家に居ると集中出来ないんだってさ。
で、このアパートに少しの間住んでるって訳。それにここは学校にも近いしね」



「変わった奴だな。俺なら豪邸の方がいいけどな」
「ま、変わってるって言えば変わってるでけどさ。
所詮、金持ちはそんなもんよ。てかそれについてくる沙織も変わってるかもね」
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「ああ、あのお嬢様ね。あの二人、もうすぐ結婚すんだろ?」
「でしょ(たぶん)」



「結婚か~いいな~。俺もしたいな~」
「誰と?てか相手いんの?」
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「…このみちゃん……とか?」
「無理じゃね?」



「むっ。分かんねーだろ!」
「まーね…。何が起こるか分かんないしね…。あーあ…結婚か…」
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「なに?お前も一応夢見てんだ?お前こそ無理じゃね?」



「むっ。何よ!私だって結婚願望ぐらいあるわよ!」
「つうかお前だってその前に相手がいねーだろ?」
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「なんかムカつくっ」
「お前が先に言ったんだかんなっ」



―沙織の部屋の前―



「遅くなってしまいましたね。疲れたんじゃないですか?」
「ええ、少し…。今夜はもう休みますわ」
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「そうしましょう」
「はい」



(ゴルゴさんと話してた時の沙織さん…なんだかとっても楽しそうだったな…。
僕ももう少し沙織さんと打ち解けた方がいいのではないだろうか…)
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(そうだ…僕達はいずれ結婚するんだし…)



「バッカじゃないの?いったい何時代の事言ってんのよ?あのね、今は昔じゃないの!
今時キスぐらい、小学生だってしてるっつーの!」

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「小学生…」
「そうよ!いい?おやすみのキスとか何でもいいからキスの一つでもしてやんなさいよ!
チュッ!でいんだから。分かった?」





(おやすみのキス…。よ、よーし…今日はおやすみのキスを一発…)
ゴクリ…
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「さ、沙織さん…」
「はい?」



「あ、あの……その…」
「どうなさったのですか?」
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「ええ…その…お、おやすみのキスをひとつ…」
「え?」



「キ、キスをしてもいいですか?」
「…キス?…」
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「お、おやすみの…」
「あ、ああ…おやすみのキス……ですね…」



「………」
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「…はい…どうぞ…」



「…は、はい…では…」
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「し、失礼して行かせていただきます…」



「では行きます!」
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「ん~~~」


(さあ…沙織…瞳を閉じるのよ…)
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(そうよ…そう、瞳を閉じて鈴之介さんのキスを受け止めるの…。鈴之介さんのキスを……)



「ちゅぅぅぅぅぅ…」
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「キス……を…」



はっ!
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バシっ



「え?」
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「バシ?」



「えーと…沙織さん?」
「あ…」
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「あの…私……ごめんなさい…」



「い、いえ…あの……?」
20110323125641.jpg
「アブ…」
「え?」



「そう、アブが飛んでたんです!い、今にも鈴之介さんを刺そうとしてたので!」
「アブ…ですか?」
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「え、ええ…怖いですね…。刺されたら死んでしまうかもしれませんわ。
あの…私もう疲れましたわ!ごめんなさい、私はもう休みます」



「ではおやすみなさい!」
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「沙織さん!」
バタバタバタ…



「………」
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「…アブ?」



「しっかしお前顔がまっかだぜ?
そんなにガブガブ飲んでたんじゃ、いい男なんか捕まえらんねーな」
「あんたも相当赤いっつーの!」
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「俺は男だも~ん♪」



「いい男ね…。本当に見つかんないな…」
「は?なに急に?」
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「ふふ…私さ…男を駄目にするタイプなんだよね…。
友達にも言われちゃった。ローリーは男を駄目にするタイプねって」
「なんだ、それ」



「なんでかしんないけど私の付き合う男はロクデナシばっかって事。
浮気されるか、さもなければ借金男か」
「どう言う意味だよ?」
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「付き合った男はほとんどがそんな感じの男だったけど…中でも最悪なのがいたな…
浮気や借金なんて当たり前…」
「どんな奴だよ?」



「昔さ…めっちゃ惚れた男がいたんだけどさ…最初はいんだ、最初は。
でもだんだんと浮気されたり博打に走ったりしてさ…」
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「不思議な事に、その時はそれでもその男が嫌いになれなかった…。
結局、そうなると当然、男は決まってお金をせびりに来る」



「もっと悪い事に、私は言われるがままにお金を渡しちゃうんだ、これが…。
すると決まって連絡が取れなくなって結局泣きを見る。お決まりコースって訳」
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「んで友達には男を駄目にしてるのはあんたよ!とか言われてね…。
私が男を甘やかすからそう言うめにあうんだってさ。ふふ…確かにそうだ…」



「お前、バッカじゃねーの?」
「え?」
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「バカだよ、お前」
「なによ…分かってるわよ…バカなのは…」



「そうじゃなくて…勘違いすんなよって事」
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「どう言う意味?」



「いいか!悪いのはその男だ。
お前はなんも悪くない。惚れた奴を助けたいって思うのは当たり前の事だろ?」
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「その男から困って金をくれって言われたら、惚れてたら渡すだろ?
その男のためにならないとかそんな事いちいち考えてられっかよ」



「ゴルゴ…」
「だってそうだろ?困ったのを見たくない、助けたいって思うのは自然な感情だ。
そりゃ時と場合にもよるけど、たいがいがそうすると思うぜ」
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「もちろん、その男のためには確かに助けない方がいいとは思うけどよ…。
けどそれをキッパリと断れる人間はいったい何人いると思う?」



「男と女は愛情だけで繋がってんだ。
それを失うかもしれないと思ったらビビって絶対にお前と同じ事をする」
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「悪いのは、惚れた弱みに付け込んだその男だ。
勘違いすんなよ?悪いのはお前じゃねー、その男だ」



「その駄目にするっつった友達?その友達がお前と同じような状況に追い込まれた時、
惚れた男の前でどんだけ気丈に振舞えるか見てみたいもんだね」
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「もしキッパリと断れるような女だったらそれは情がねー女だ。俺はそんな女はやだね」



「ゴルゴ…」
「なんだよ?」
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「あんた…なんだかカッコよく見えるよ…」
「バカヤロ~俺はいつでもカッコいんだよ!」



「ぷっ!」
「なに笑ってんだよ」
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「それがなきゃね(笑)」
「なんだよ!」



クスクスクス…
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(ほんと…カッコいいよ…)



私は誰かにそう言って欲しかったのかもしれない…。「君は悪くないよ」と。
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それを言ってくれたのが、顔を付き合わせればムカつく事ばかり言うこの男だったなんて…。



どうしてこの男は私の欲しい言葉をいとも簡単に言うのだろう。
ほんとうにムカつく男だ。
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だけどもっとムカつくのは私だ。
またバカな恋をしそうでムカつくったらない。



著作権者様から許可を得てお借りしているBGMです。
よろしかったらお流し下さい。音の音量にご注意ください。







博打好きな男に惚れるよりも、女好きな男に惚れるよりも、
自分に振り向いてくれない男に惚れる方がもっと始末が悪い。
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私は……そんなヘマはしない。絶対に。



カチャ
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「ちょっと強引過ぎたのだろうか…。僕とした事が…」



「沙織さん…僕は…僕はあなたに初めて会った時からあなたに恋をしました…」
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「そう…ずっと昔…幼い頃…
あなたに初めて絵を褒めてもらったあの時から僕の恋は始まった…」



―鈴之介8才―



「わ~素敵~!」
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「この絵、凄く素敵だわ!」



「この絵、あなたが描いたの?」
「う、うん…。あの…君は…?」
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「こんにちわ、初めまして。あなたが鈴之介さんね?」
「う、うん…そうだけど…」



「私は沙織よ。私達はね、許婚同士なんですって。パパとママが言ってたわ。
鈴之介さんも聞いてるでしょ?」

「き、君が沙織…さん…」
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「そうよ、私が沙織。私達は将来結婚するのよ。よろしくね」
「う、うん…よろしく…」



「この灯台の絵も鈴之介さんが描いたの?」
「そ、それは違うんだ…。それは去年、金賞を取った作品で…」
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「金賞?」
「うん…。この絵はコンクールで金賞を取ったんだ。とても凄い事なんだよ」



「じゃ将来は鈴之介さんも金賞を取るのね!だってとても上手なんですもん!」
「ぼ、僕なんか…」
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「ほんとうよ!凄く上手だわ!」
「あ、ありがとう…」



「いつか私にプレゼントしてくれる?」
「え?」
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「金賞を取ったらその絵を私にプレゼントしてくれる?
そうだわ!私と鈴之介さんの結婚の記念にどうかしら?」

「も、もちろんだよ!プレゼントするさ!」



「わ~ほんとにほんと?」
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「う、うん…ほんとにほんとうさ」



「沙織、嬉しい!」
「あ…」
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「約束よ!」
「う、うん!約束する。必ず金賞を取って君にプレゼントするよ!」




「君にプレゼントするよ…」




「あの時の約束を覚えていますか…?」
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「あなたに金賞をプレゼントすると…あの時の約束を覚えていますか…?」



「……」
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「ゴルゴさん…」



ヒック…いまらんじ…?」
「12時…ヒック
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「やっべ…もう帰るわ。それにしてもころろちゃん、遅いら~」
「ころろちゃんだって!ころろちゃん!キャハハハハハハ!」



「え?俺、ころろちゃんっていっら?」
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「いっら~!」



「あんたさ…このみの事マジなの?」
「マジマジ…大マジ~~!」
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「へえ…」



「じゃ帰るれ~~!ごっそ~さん♪」
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「気をつけてね…」



(そうか…マジか…)
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クス…変なの…。今日はやけにあいつがカッコよく見えるな…)



「へっくしゅんっ!う~~」
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「…亮…さん…」



「唇…もっと開いて…」
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「開いて…」



「あ…」
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「君の唇は甘いな…」



「最高に甘い…」
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続き、第12話へ 「素直になれない私」
二度目の恋…タイトル一覧は 「こちら」   
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