第24話 「近づく嵐」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第24話



麗華に亮を渡さないと自信たっぷりと言われたこのみ。
だが、だからどうしたと言うのだ。今は彼は私のものだ。
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彼はいずれ、永遠の証をプレゼントしてくれると言ってくれた。
私はその言葉を信じてる。


だから不安になる事など一つもないのに…。
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「亮さん…」


「ん?」
「あの…何度もすみません。チームの事…本当に大丈夫なんですか…?」
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「さっきも言ったろ?大丈夫だって。君が心配する事は何もないよ。
しばらくはゴタゴタするだろうけど、そのうち落ち着くさ」
「そうですか…」


「こらこら、何をそんなに心配してるのかな?恋人が無職になったら困るぅぅ…とでも?」
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「違います(笑)それに、無職になってビンボーになっても平気ですよ。
私、ビンボーは慣れてますから(笑)」


「あのね、俺、そんなに不甲斐なく見える?
言っとくけど例え無職になってもしばらく食ってけるぐらいの蓄えはあるぜ?」
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「わ~お金持ちなんですか?」
「そこそこ」



「じゃ私、玉の輿ってわけですね?(笑)」
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「そこまでじゃないけど(笑)」



「よいっしょっと。けど、君を食わせるのには困らないし、そんな事は絶対にしないよ。
心配しなくて大丈夫だから」
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「心配なんかしてません(笑)」



「亮さん…」
「ん?」
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「本当に本当ですか?」
「なにが?」



「その…私達は本当に…。さ…さっきの永遠の証をプレゼントしてくれるって言う話です…」
「本当だよ…。これが落ち着いたら必ず君にプレゼントする。キラキラ輝くお約束の品をね…」
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「約束ですよ…」
「ああ、約束だ(笑)」



「プロポーズの前予約ってとこかな?」
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「はい(笑)」



(嘘…。キラキラ光るものなんていらない…。そんなのが欲しいんじゃない…)
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(ただ…ずっとこの腕の中にいられればそれでいい…。ずっと…)



― 数日後 ―



「………」
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(監督…)



「…どうしたんですか?」
「ああ…亮か…」
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「ルビーちゃんの具合でも…?」
「それもあるがな…。だがそうじゃなくて…そうじゃ…」



「スポンサーがいっきに降りた。ほとんどと言っていい…。
どうやらあのお嬢様が裏で手を引いてるらしい…。まいったよ…」
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「麗華が裏で…」
「ああ…。どうもそうみたいだ…」



「監督…すみません…」
「何がだ?」
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「実は…監督には言ってませんでしたが…俺…以前、麗華と付き合ってました…」
「お前が?」



「はい…。新聞にも二人でいるところを何度か載りました。なので監督も知ってるとばかり…」
「いや…全然知らなかった…」
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「そうですか…。もしかしたら今回の事は俺と麗華が別れた事に原因があるのかもしれません…」



「そんな事はないさ…」
「すみません…」
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「お前が謝る事なんかない。
例えそうだとしても、今回の事は俺の不甲斐なさが原因だ…。情けないな…俺も」



「それに、本当はもっと前に二宮家がスポンサーを降りてもおかしくなかったんだ…。
それを予想していながら俺は何の対処もしていなかった…」
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「ルビーの事があってな…。そこまで気が回らなかった…」



「すまん…。全部俺の責任だ…。俺が二宮家に頼りっきりになっていなければこんな事には…」
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「とにかく俺が麗華と会って話して来ますので…」
「そうしてくれるとありがたい…。すまんが頼むよ…」



「ルビーちゃんはどうですか?」
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「最近はちょっとはいいんだがな…だがまだドナーの順番が来ないんだ…。
ルビーの前に何人か待ってる人がいる…。そっちが優先だ…」
「そうですか…」



「あと少しなんだが…。けど…例え順番が来てもこの状況じゃ…」
「金…ですか…?」
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「ま、そんなとこだ。はは…お前にそんな事を言っても仕方がないな…」
「監督…」



「それよりお前には悪いがお嬢様の件…早めに頼む…」
「分かりました…。すぐに…」
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「悪いな…。お前にいつも頼りっぱなしで…」
「何を言ってるんですか、監督らしくもない(笑)大丈夫ですよ。
麗華もそんなに頭の固い人間じゃないんで。ではこれから連絡取って会ってきます」



(亮…すまん…)
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(金か…)



一方、沙織にかっこよく婚約破棄を言い渡した鈴之介。
言ったのはいいがやはり辛い。
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これから自分は沙織とゴルゴの恋の行方を見て行けるだろうか?
こんな事を考えてばかりで絵だって描けやしない。



(どこか遠くへ行きたいな…。僕を誰も知らないところへ…)
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(行こうか…?そしてもう一度絵を最初からやり直してみようか…?
僕はきっとこのままではダメだ。このままじゃ沙織さんどころか絵も失ってしまう…)



カタ…
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「鈴之介…」



「ローリーさん…」
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「大丈夫?」
「何がです?」



「何がって…ゴニョ…婚約解消の事とか…婚約解消の事とか……」
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「沙織さんから聞いたんですね…」
「うん…」



「はは…金賞を取れれば何も問題はなかったんですがね…。僕はどうしても金賞が取りたくて…」
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「僕の我がままです。沙織さんには本当にご迷惑をおかけ…」
「違うでしょ?そうじゃないでしょ?」



「本当は金賞が問題なんかじゃなくて違う事が原因なんだろ?
私には分かるよ。あんたが沙織より絵の方が大事なんてそんなの嘘に決まってるもの」
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「ローリーさん…」



「本当にそれでいいの?」
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「僕は……」



「いいの?」
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「ゴルゴさんの事…知ってるんですね…」
「うん…ちょっと前にね…」



「ごめん…。本当は沙織の様子がおかしい事は気づいてたんだけどさ…。
だけどあんたには言えなかった…」
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「そうでしたか…。ここ最近、沙織さんがボ~っとしてたのは恋煩いだったようです…。
そんな事も知らず僕は……金賞を取る事にばかりに気を取られていました…」



「ローリーさんは沙織さんのあの顔を見ましたか?」
「顔?」
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「はい…。彼女がゴルゴさんに向けてる時の顔です…。彼女はとても綺麗でした…」
「鈴之介…」



「僕には見せた事がないような顔でゴルゴさんを見ていました。
僕には一度も見せた事がないようなキラキラした顔で………微笑んでいたんです…」
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「それはまるで天使のようでした…。僕はあの笑顔を守りたいんです。
辛いですが…出来る事なら彼女の恋を叶えてやりたい。それが僕の願いです…」



「鈴之介…」
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「あんたはバカだね…。大バカものだよ…」



「ええ…僕は本当に大バカものです…。絵も中途半場で何をやってもうまくいかない。だから…」
「だから…?」
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「だからせめて絵だけでもちゃんとやろうと思いまして…」
「どう言う事…?」



「この町を離れ…いえ…この国を離れて海外へ一人で絵の勉強をしに行こうかと…」
「なんで…?だってあんたには家があるだろ?」
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「そうですが…。でも僕はこのままではダメなような気がするんです…。
絵も諦め、家に逃げても僕はいつかダメになるような気がします…」



「僕は自分に甘えていました。
僕以外の学生さんは、絵を描く時間がないほどアルバイトをしながら暮らしています」
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「それでも彼らは必死になって絵を描いている…。すばらしい絵を…」



「それが僕はどうですか…。親に甘えて食うに困らない。
絵を書く時間はたっぷりとある。それなのにまともな絵一つ描くことも出来ない」
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「僕にはどこか、絵に対する真剣さが足りないのかも知れません…」



「そうかな…。そんな事はないと思うけどね…」
「いいえ、僕は世の中を知らな過ぎる」
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「世の中の明と暗、ましてや人のなんたるかも まるで分かっていないのに、
人を魅せられるような絵を描く事なんて出来るわけがない…」



「もっと世界を見、経験を持ち、心を大きくしたいんです…。
僕は今まで、ただ上手に描く事にばかりにこだわっていました」
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「ですがそれじゃダメなんです。
ローリーさん、あなたの絵が佳作に選ばれたのはなんとなく分かるような気がします」
「え…?」



「あなたの表現力はすばらしい。生き生きとしていて夢があります。
多少荒削りのところがありますが、その中に…どこか人を惹きつけるものがある…」
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「僕もそんな表現が出せるよう、もっと絵を勉強したい…。
それには親元を離れるのが一番なんです…」



「マジで?マジでこの国を出るの…?」
「はい。せめて絵ぐらいは、人に頼らないでやってみたいんです…」
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「…鈴之介…」



「あんた…きっと凄い絵描きになるような気がする…」
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「とてつもない絵を描く人間に…」



「僕がですか?(笑)ローリーさんは大げさだな~(笑)」
「ううん、凄い人になるよ…あんたは…」
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「本気にしちゃいますよ(笑)」
「ほんとだよ。なんだかそんな気がするんだ…」



「ローリーさんにそんな事を言われるなんて、とても大きな太鼓判をもらったようで嬉しいです!」
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(沙織…。鈴之介がこんな男だって知ってた?)



(こんなにも男らしくて頼もしい…)
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(そんな男だって知ってた…?)



― ホテル ―



「話って何かしら?」
「何じゃないだろ?!」
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「何よ…いきなり…」
「どう言う事だ?」



「何の事かしら?」
「とぼけるのはやめてくれ。スポンサーの件だ。スポンサーをいきなり降りたのは俺のせいか?」
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「それだけじゃない。他のスポンサーにも圧力をかけてる。それも…君がやっているのか…?」



「………」
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「麗華…」



「ええ…そうよ…」
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「どうして…」



「どうして?どうしてですって?よくもそんな事が言えるわね。言ったはずよ?私と結婚してと」
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「麗華…。俺と君の間にはそんな感情はないと言ったろう?」
「あなたには無くても私にはあるわ」



「そうよ…。一度も消えた事なんてないわ…。
私はあなたを今でも愛してる…。あんな子よりも私の方が…」
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「やめてくれ!」



「やめないわ!私があれで引き下がると思った?この私が?」
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「その話は終わった事だろ…?」
「いいえ、終わってないわ!」



「あなた…私にチームの事を頼みに来たんでしょ?なら話は簡単よ。
あなたがもう一度私のところへ戻ってくるのならスポンサーの件を考え直すわ」
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「いいえ、すぐに元通りにすると約束するわ。それ以外はいっさいお断りよ」



「………」
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「俺は戻らない…」



「そう…。じゃこの話は終わりね。クスクス…これからチームはどうなるのかしら?
監督さんは?…あの監督さんは大変なんじゃなくて…?」
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「君は…それを知ってて…」
「だからどうだって言うの?私はあなたを取り戻すためならどんな事だってするつもりよ」



「最低だ…。君はそれがどんなに最低な事か知ってるのか?」
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「ええ…分かってるわ…」



「監督はどんな事があっても俺がなんとかする。君の助けは借りない」
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「そう…。せいぜい頑張ってね…」
「ああ。せいぜい頑張るさ。必ず俺が何とかして見せる」



「例え、一文無しになっても」
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「あなたならそうすると思ったわ…」



「麗華…。俺はどんな事があっても君の元へは戻らない。やっと愛する女を見つけたんだ…」
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「俺は彼女を愛してる…。何よりも…。誰よりも…」



「もう君と話すことは何もない」
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「………」



(愛してる女…) 
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(愛してる…愛してる…愛してる!)



(なぜあの子は何の努力もなしにその言葉を貰えるの!?)
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(私が喉から手が出るほど欲しいその言葉をいとも簡単に…)



(そう…分かったわ…。
やってみればいい。だけど亮…世の中にはどうにもならない事があるのよ…)
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(いくらあなたにだって…どうにもならない事が…)



ピンポン♪



「亮さん!」
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「よっ…」



「どうしたんですか?今日は仕事ですよね?」
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「あれ、来ちゃいけなかった?まさか違う男と逢引でもしてるんじゃ?」
「わ!バレちゃった(笑)紹介しますのでどうぞ中へ(笑)」



ギュッ…
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「亮さん…?」



「このみちゃん…」
「はい…?」
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「俺…マジで貧乏になってもいいかな…?」
「え…」



「少しの間、ちょっとだけ貧乏になるかも知れない…」
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「ど、どうしたんですか…?」
「実はさ…監督の事なんだ…」



「え!監督の娘さんが心臓病を…?」
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「うん…。それには移植しかないんだ。もちろん莫大な金がかかる…」
「そうだったんですか…」



「だから俺の家を売ってでもなんとか助けてやりたい…」
「チームはやっぱりダメなんですか…?もう麗華さんはスポンサーには…?」
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「ああ…。麗華と話したがダメだった。チームもこのままではすぐにダメになる…。時間の問題だ…」
「そんな…」



「ごめんな…」
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「亮さん…」



クス…亮さんッたら…。私に謝らなくてもいいのに(笑)」
「だけど当分は結婚どころの話じゃなくなる。
住む家も探さなくちゃならないだろうし…。本当にごめん…」
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「私の家へ来ますか?」
「ここへ?」



「ええ。狭いですけど二人ぐらいならなんとか住めますよ♪
それに、狭い方が何かと便利じゃありません?」
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「ん?」



ギュッ…
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「ほら…いつでもこんな事が出来たり。わ~スーパースターの亮さんを独り占め~ラッキー♪」
「ぷっ…」



「私なら平気…。お金なんかなくても構いません。
私がやりくりしてみせます!貧乏暮らしをナメたらいけませんよ?」
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「そっか(笑)」



「ここに住むかどうかは別にして、君の肝っ玉が座っててよかった(笑)」
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クスクスクス…頼り甲斐がある恋人でしょ?」
「まいった(笑)」



(平気…。貧乏なんて少しも怖くない)
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(それにこれが済めば不安が消える…。きっと…)



このみはこの時、麗華がスポンサーを降りた事にホッとしてさえいた。
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これであの人と関わらなくて済む…。
そしてあの瞳を二度と見る事もなくて済む…。



― 翌日 ―



「すみません…結局なにも出来なくて…」
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「いや、いいんだ…。俺の方こそすまなかったな…」



「それより、このチームがダメになったらどうする?移籍を考えなきゃならんぞ。
たぶん時間の問題だろう。行くあてはあるのか?」
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「はい…一応あります。…地元のチームへ行こうかと…」
「ジーンがいるところか…」



「ええ…。前から来ないかと誘いが来ておりましたので…」
「お前ならどこでも欲しいだろうよ。…で、ゴルゴも一緒に連れてってくれるのか?」
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「アイツにはまだ言ってませんが、それを条件に出そうと思っています。
もっとも…アイツさえよければの話ですが…」



「はは!ゴルゴは絶対について行くに決まってんだろ?
お前が行くところならアイツは一も二もなくついてくさ(笑)」
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「俺もそう思います(笑)」
「俺もそれを聞いて安心したよ。お前とゴルゴの事だけが気がかりだったんだ」



「けれどそれはあくまでも最後の手段です。
ここのチームがあるかぎり、俺はここにいます…。あなたがいるかぎり…ここに…」
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「亮…」
「俺はまだ諦めたわけではありません」



「…さんきゅ…」
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「…で、監督は…?もし…そうなった場合…。俺にはそれが心配で…」



「俺か…。はは…俺はこのまま引退だろうな…。
せめてルビーの手術代だけでも何とかしたかったんだが…。情けねーな…」
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「…その事なんですが…」



「ん?」
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「実は俺…」



バンッ!
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「監督!」



「どうした?」
「びょ…病院から連絡が…」
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「なに?」
「…ルビーちゃんの容態が……容態が…急変したそうです…」



「なん…だって…」
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続き、第25話へ 「それぞれの愛…」
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第23話 「魅惑的な微笑み…」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第23話


今回の物語は、ちょびっとだけですが18禁がはいっております。(ほんとうにちょっとだけです)
なので別館でのアップになります。
18才以下の方や、不快と思われる方は閲覧をご遠慮下さいますよう、
お願いいたします。      まことん


それではどうぞ
第23話(別館)へ 「魅惑的な微笑み…」                         





続き、第24話へ 「近づく嵐」
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第22話 「金賞受賞?パーティー(後編)」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第22話



「ぼったりと落ちました!」
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(嫌な予感が当たった…)



「…イ、イエーイ…」
「ゴルゴ…うるさい…」
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「やっぱり…?」



金賞を取れなかった鈴之介。まさか自分が取れないなんて思っても見なかった。
何がいけなかったのか…どこがいけなかったのか…。



「あの…でも気にしないで下さい。いつもの事ですから…」
「でもさ…」
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「本当に僕なら大丈夫です。
それよりせっかくこんなパーティーを開いてくれたのに申し訳ありません…」
「そんな事…」



「じゃ…じゃさ…残念会って事でこのままパーティーを続けようぜ…。人生にはこんな事もあるさ。
酒でも飲んでパーッとやれば気も晴れるだろ?」
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「はい、僕もなんだか飲みたい気分です」
「よし!じゃ残念会に変更だ!」



「ええ(笑)それとローリーさんの佳作を祝って!」
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そう…人生には色々な事がある。こんな事でくよくしててもしょうがないではないか。
鈴之介は自分にそう言い聞かせ、精一杯の笑顔を見せた。



そして、かろうじて賑やかにパーティーが始まった。
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そうだ、くよくよしててもしょうがない。また次がある。
それよりも早く気持ちを切り替えなければならない。



けれど悲しいかな…時に人生は残酷だ。
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この日、鈴之介にはもっと衝撃的な事が待っていた。



パーティーは思いの他盛り上がり、
やんややんやとそれぞれの話に花が?咲いていた。



「おい…」
「なによ…」
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「亮にバレた…」
「え?」



「俺らの事が亮にバレちまった。さっきの話を聞かれたんだよ」
「マジで?…ったく…あんたが大きい声で怒鳴るから…」
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「お前だってデケー声で怒鳴ってましたぁ~」
「ふんっ」



「ま、あれはちょっとした事故だと思えばいいよな」
「当たり前じゃない。私なんかとっくの昔に忘れたわよ」
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「ムッ。…忘れた?」
「もちろん!あんたもでしょ?」



「あ、あったぼうよ!あんなもん、蚊に食われたようなもんだぜ!」
「ムッ。なによ…私が蚊だって言うの?私が蚊ならあんたはダニよ」
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「ムッ。ダニってなんだよ、ダニって!
ダニってーのはしつこいんだぜ!そんなんと一緒にするな!」



「あんたはダニで十分。ダニ野郎のふにゃ○○野郎なんて最高ね!」
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「このやろ~~」



(ほんっと!いけすかない女だぜ!)
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「…ああ~痛てーな~」



「は?」
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「俺さ、つい最近、蚊だと思って食われたとこが腫れてんだよね。あれはヤブ蚊だったんだな~。
超痛てーのなんのって…」



「ちょっと!」
「いや~まいったまいった。しつこいヤブ蚊でまいっちゃうぅ~~」
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「ふ、ふざけんじゃないわよ~~~!」



「見て見る?」
「ど、どこをよ…」
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「どこって…ローリーちゃんったらエッチなんだからぁ~」と、ニヤリ
「バッカじゃない!?」



(なにがヤブ蚊よ!ほんっと!ムカつく男!)
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「…あんたさ…私のおっぱい、異常に吸ってたわね?
実はまだ乳離れしてないんじゃないのぉ~?ママのおっぱいと間違えた?」



「ばっ!何がママだよ!」
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「おいちかった?」
「は?」



「おいちかったでちゅか?」
「うっ…」
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「な、なんで黙ってんのよ…」



「…ゴニョ…ちょっとだけおいちかった…から……」
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「や、やめてよ!」



「あの二人…」
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「目くそ鼻くそだな…」



「やあやあ!亮さん!今日はわざわざありがとうございます!」
「いーえ…」
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「いや~金賞だと思ってたのが入賞もしなかったなんてお恥ずかしいかぎりで。
本当に僕はマヌケだな~~はっはっはっ~!」



「あの…鈴之介君…少し飲み過ぎなんじゃ…?」
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「いえいえ、これぐらい大丈夫です!もっともっともっともっと飲めますとも!もっと…」グビグビ…



「それより僕に君なんてつけないで下さい!僕なんて呼び捨てで構いません!
鈴ちんとでも呼んでくれると嬉しいな~!」
「鈴ちん…?…いや…俺は呼び捨てでいかせてもらいます…」
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「いやだな~遠慮しちゃって!」
「そう言う問題じゃなくて…」



「僕も亮ちんって呼びますから!さあ僕を鈴ちんと呼んで下さい!」
「は?」
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「さあさあ亮ちん!僕を鈴ちんと呼んで下さい!」
「えーと…」



「どうしたの?」
「鈴ちんとちょっとね…」
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「鈴ちん?」
「なあ…彼…大丈夫か?ちょっと飲み過ぎじゃね?」



「そうね…かなりまずいかも…」
「もうお開きにした方がいんじゃ?」
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「そうよね…」
「俺が鈴之介を部屋に連れて行くよ」



「鈴之介、そろそろ部屋に…」
「嫌です!」
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「嫌って……」
「亮ちん!僕は次こそは頑張りますよ!ええ、ええ!必ず次こそは!」



「う、うん…分かったから…だからそろそろ…」
「いいえ!今日飲まなくていつ飲むんですか!僕はまだまだ!」
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「いや…でもね…」
「よーし!一気飲みって言うのをやります!掛け声をお願いします!」



「え?」
「掛け声ですよ!あの、イッキ、イッキとか言うやつですよ!
なんとかの吐くとこ見て見たい!でしたっけ?僕も一度やってみたくて!」
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「えーと…ちと古いんじゃ…?」



「さあ、亮ちん、お願いします!」
「その呼びかたやめて……」
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「亮ちん!さあさあ!」
「聞いちゃいねーな…」



「行きます!」
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「さあ、掛け声をどうぞ!」



「亮ちん…掛け声は…?」
「そうね…」 
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「鈴ちんが待ってますよ…」
「そうね…」



「では…。……鈴ちんの吐くとこ見て見たい…」
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「…それ…いっき……いっき……」



グビ…グビ…グビ…
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クビ……



グビ…グ………グフっ…
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「グフっ?」



「グへッ……」
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「グへッ?」



「…うっ…………」
「おい…」
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「…な…なぜか……す…すっぱいものが…こみあげ…あげ…」
「…マジで?…」



「うっ……」
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「ちょっ…ちょっと待て!ここではやるな、ここでは!」



「亮ちん……僕ちょっと失礼して……うっ…」
「早く(吐きに)行った方がいいんじゃ…?」
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「すびばせん!」
ダッシュ!



「亮ちん………」
「はい?……」
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「ほんとに吐くとこ見ちゃいそうでしたね…」
「そうね…」



ぬっ
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「りょうちん?なにそれ?なんの事?」



「僕ちんの事…」
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「は?」



「あれ?なんか元気ないな~」
「え?」
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「どうした?鈴之介が金賞を取れなかったのがそんなに残念だった?」
「そ、そんなんじゃ…」



「君、挫折した事ってある?」
「挫折?…ですか?」
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「ああ。男はさ、何度も何度も挫折して大きくなるんだよ。
これもいい男になるための試練って事かな」
「試練…」



「そう。何度挫折してもまた立ち上がればいい」
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「そうすればいつか必ず報われる時が来る。それを信じるんだよ…。
だから君もさ、あいつを応援してやれよ」



「…はい…」
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「そんなしょぼくれた顔すんなって」



「はは!俺なんか挫折だらけさ!んでも慣れちまってよ~ちっとやそっとじゃ落ち込まないぜ?」
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「挫折だらけなんですか(笑)」



「うん。最悪の時もあったけどな…。けど明けない明日はない!」
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「あ、今のかっこよかったろ?な?な?な?」
クスクスクス…



「なんか飲む?作ってやろうか?」
「あ…じゃ私が…」
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「いいって。俺が作ってやるから。見てろよ…俺はこう見えても中々うま…」



ガシャン!
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「あ…」



「ぷっ!」
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「笑ったな?てめー!」
「笑ってません(笑)」



カチャ
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「さあ!もう一度飲み直しですよ~~!」



「鈴之介君…そろそろ…」
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「いいえ、まだ飲み足りません!僕ならまだまだ大丈夫ですので!」
「でも…」



「このみ…。いいさ…飲ましてやろうよ…。鈴之介も結構キツイんだよ…」
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「そうだよね…」



(…今日だけ…ハメを外させて下さい…。また明日から頑張れるように…)
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(そうだ…きっと大丈夫だ…。沙織さんも分かってくれる…。次のコンクールこそきっと…)



カチャ
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「ちょうどよかった。僕にもいっぱ…」



「よーし、今度こそちゃんとやるから見てろよ!」
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クスクスクス…



「やっぱり次は私が作ります!」
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「いいって!」
「いいえ、私が(笑)」



フラ…
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「あ…」



「こらこらこらこら!酔ってんじゃねーの?フラついてんで?」
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「私…ごめ……」



「絶~対っ酔ってんね~(笑)そうだろ?な?」
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「ご、ごめんなさい…」かーーーーー!
「いいって(笑)」



「あれ?また顔をぶつけちまった?」
「い、いいえ、違います!」
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「だって顔が赤いぜ?」
「こ、これは…」



「だ…大丈夫です…」
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トクン…トクン…



「沙織…さん?」
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「大丈夫か?」
「あ……」



「俺って案外鍛えてるからな~♪ 胸が厚いのよ!かっこよくて惚れちまった?」
「え!?」
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「冗談にきまってんだろ(笑)」
「あ…は…はい…分かっ…分かってま…す…」



「………」
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(お願い…静まって…)



「さ、もうい一回作るぜ。見てろよ!」
「…はい…」
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「いいか…これをこやって回してだな…」



この時鈴之介は、沙織の父親のバースデーの時の事を思い出していた。
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あの時も彼女ははにかみながら笑っていた…。
自分には見せた事がないような笑顔で楽しそうに…。



カチャ…
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そう…僕にではなく彼に…その笑顔を向けていた…。



ストン…
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彼女は……彼女は……



彼に…
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恋をしている…



そして彼女は僕があんなに側にいたのにちっとも気づかなかった…。
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月の明かりで僕の姿が十分見えたはずなのに…



― 二宮家 ―



そして亮とこのみにも残酷な試練が動き出していた。
それはジワジワと少しずつ二人に偲びよる。



「麗華様、吉田様からお電話が入っておりますが」
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「…いないって言って…」
「ですが今日は何度も…」



「そう…分かったわ…」
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「今行くわ…」



ピッ
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「………」



「はい…。ええ…お久しぶりです…」
「ああ…その件でしたか…。申し訳ありませんがその件でしたら決めた事です…」
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「吉田さん…何度言われましても変える気などございません…。
残念ですが…スポンサーを降りさせていただきます。ではこれで…」



「待ってください!どうして突然スポンサーを!」
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「二宮さん!二…」



ツーツーツ…
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「どうして…」



「今夜はもう取り次がないでちょうだい」
「はい、かしこまりました」
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「あなたももう休んでいいわ」
「ではお先に休ませていただきます」



「………」
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(亮…あなたがいけないのよ…)



「このみ、鈴之介は?」
「あれ?さっきまでそこにいたけど?部屋に帰ったかな?」
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「鈴之介もさすがにダウンしちゃったかな?」
「そうかな…」



「ちょっと様子を見てくるわ」
「そうね…」
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「あ…様子なら私が…」



「お願いできる?」
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「はい…」



「さ、君も眠いだろ?君の部屋に行く?それとも俺の家?」
「なんですかそれ(笑)」
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「だって今夜も一緒に寝るから」
「もう!(笑)」



「おいで…」
「亮さん…ダメ…こんなとこでダメですよ…」
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「平気…誰も見てない見てない…」
「だって…」



「見てないから…」
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「でも…」



「………」
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(見てるっつーの!だいたいこんな狭い部屋でやるか?けっ!どこへでも行きやがれってんだ!)



「俺はまだ飲んでよ~~っと」
「ちょっと!あんたも飲み過ぎなんじゃないの?」
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「大丈夫だよ、こんぐらい。お前がよく知ってんだろ?だってこの間、相当飲んでても役にたっ…」
「声がでかい!」



「なになに?なんの話?」
「俺が立派だったって話」
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「え?」
「ゴルゴ!」



「こ、このみ…ここはいいから亮さんと部屋に帰っていいよ」
「いいの?」
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「いい、いい。後片付けは明日にするから」
「分かった。じゃお言葉に甘えて」



コンコン…
「鈴之介さん…大丈夫ですか?……鈴之介さん?」
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(大丈夫かしら…?)



カチャ
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「鈴之介さん、入りますね」



「あ…」
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「鈴之介さん…」



「あの…大丈夫ですか…」
「ええ…大丈夫です…」
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「そうですか…。あ、あの…ベットへ横になった方が…」
「沙織さん」



「はい?」
「あなたにお願いがあるのですが…」
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「お願い…ですか?」
「ええ…。あなたには申し訳ありませんが…」



「あの…?」
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「本当に申し訳ありませんが…僕と…」



「婚約を解消してください…」
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「え…?…」



カタ…



「僕のわがままです…。
僕はどうしても金賞を取りたいんです…。それは何年先になるかは分かりません…」
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「なので、結婚はいつ出来るとも分かりません。
それに…今は結婚より絵の方が大事なんです。あなたよりも…絵の方が…」



「あの……」
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「本当に申し訳ありません…。あなたのご両親には後ほど僕から謝罪にお伺い致します…」



「おたがい…別々の道を歩みましょう…」
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「鈴之介さん…」



著作権者様から許可を得て、お借りしているBGMです。
よろしかったらお流し下さい。音量にご注意ください。






「それぞれの道へ…」
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「それぞれの……道へ…?」



「僕はこれで休みます。すみませんが出て行っていただけませんか?」
「え…」
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「出て行って下さい…」



「はい…分かりました…」
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カチャ…



ドサッ
「…ん…」
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「亮さん…」



「…ん?」
「私…どんどんエッチな女の子になっていくみたい…」
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「俺は別にいいけど?」
「もう…全部亮さんのせいですよ…」



「…ああ…全部俺のせいだ…」
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「…あ…」
「だから…もっとエッチになって…」



― 病院 ―



「こら!もう寝なさい!言うこと聞かないと明日痛いお注射されちゃうわよ~?」
「嘘よ!明日はお注射はないも~ん」
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「もう(笑)じゃあと一冊呼んだら寝るのよ?」



「は~い」
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「返事だけはいんだから(笑)」



「………」
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「ルビー…」



「俺も帰るわ」
「私も寝るわ。疲れた」
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「ほんじゃお開きとしますか」
「そうね」



「ローリー」
「え?」
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「うまかったぜ?」
「って…何が?料理の事?」



「いいや…」
「は?」
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「お前のおっぱい」
「なっ…」



「マジでうまかった」と、ニヤリ
「な、何言ってんのよ…」
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「癖になりそう…」
「え…」



「結構ヤベーし…」
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「な~んちゃって…」



「冗談だよ!じゃな!」
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「も、もう!」



(…冗談じゃなかったりなんかして…?ってだからそうじゃねーし…)
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「なによ……バカっ…」



「ママ、その後お姫様はどうなったの?」
「うふふ…もちろん、素敵な王子様と幸せに暮らしたのよ」
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「ルビーも大きくなったら素敵な王子様に出会えるかな?」
「さあ、どうかしらね?(笑)」



「……くそっ……」
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それぞれの人生が大きく動き出そうとしていた。



(沙織さん…。君が彼に向けてる笑顔はまるで天使のようだ…)
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(僕はその笑顔を壊したくはないんです…)



例え、どんな形であれ…
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あなたが幸せならば僕は……僕は……





続き、第23話へ 「魅惑的な微笑み…」
二度目の恋…タイトル一覧は 「こちら」   
ストーリー別一覧は       「こちら」 

第21話 「金賞受賞?パーティー(前編)」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第21話



今日は鈴之介の受賞パーティーだ。
沙織も鈴之介の受賞を祝うため、今朝早くにアパートへ戻って来ていた。



だが、心は憂鬱だ…。
そう、いずれ鈴之介に言わなければならない。
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このパーティーが終わったらきちんとけじめをつけなければ…。
ローリーに指摘された通り、これは自分で決める事なのだから…。



「ね、このみ。これだけ準備しとけば大丈夫かな?」
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「大丈夫じゃない?お肉とかはみんなが集まったら焼けばいいしね」
「そうね♪」



「ところでローリー…」
「ん?」
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「沙織ちゃん、どうしたの?なんか様子がおかしくない?」
「…そう?」



「おかしいよ。なんか元気がないって言うかさ…。何かあったのかな?」
「あれじゃない?鈴之介の受賞の事で緊張してんのよ、きっと」
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「そっか…それもそうよね。
金賞受賞って事は沙織ちゃんにとっては結婚って事だもんね」
「…と、思うよ…?」



「わ~結婚か~♪ いいな~」
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「あんたももうすぐじゃないの?」



「なんで私がもうすぐなのよ?」
「だって亮さんと結婚するんでしょ?」
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「ま、まだ付き合ったばかりよ!そんな事考えてるわけないでしょ!」
「そう?亮さんは結構考えてんじゃない?
あんたみたいなタイプの子と付き合うって事は考えてると思うよ?」



「な、何言ってんのよ…。だから私達はまだ付き合ったばかりで…」
「でもやる事はやったんでしょ?」
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「え?」
「亮さんとはもうやったんでしょ?」



「や…やったって…」
「亮さんは頭がいい人だよ。あんたに手を出すって事はそれなりに考えての行動だって」
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「そ、そっかな…」
「あんたは遊びで付き合えるような女じゃないってちゃんと分かってるさ」



「で、よかった?」
「は?」
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「よかったの?」
「な、何が…?」



「な~にぶっこいてんのよ…。 ”何が”よ」
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「…ぶっこいてないし…」
「よかった?」



「…うん…」
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「やる~♪」



「ね、ね!どんな風によかった?」
「…んとね…」
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「もう~!じらさないでよ!どうだったのって!」
「凄く……熱かった…」



「ピュ~ピュ~♪」
「やーね…ローリーったら…」
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「じゃさ、じゃさ、めっちゃ上手なんだ?」
「たぶん…。って言うか凄く上手だと思う…。なんかもう…ふわ~って言うか…」



「って、何でローリーにそんな事を言わなきゃなんないのよ!」
「いいじゃん、教えてくれたって」
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「そ、そんな事は人に言うものじゃないでしょ!」
「なによ…カマトトぶっちゃってさ」



「べ、別にカマトトぶってるわけじゃないもん…」
「どうせあんたの事だから可愛い声を出してさ…」
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「私…こんなの初めて…」



「とか言ったんでしょ?!そうでしょ!?」
「い、言ってないもん…」←言った
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「嘘つき~~♪絶~~対っ、言ったね!」
「ち、違う!」



「もうダメ…ダメ…」
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「死んじゃうぅぅぅぅぅぅぅぅ~~」



「そ、そんな事言ってない!」←近い事は言った
クスクス…分かった分かった(笑)あんたからかってると面白いわ(笑)」
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「もう!」
「ごめんごめん(笑)」



「夕べも泊まったんでしょ?」
「うん。朝早くに帰ったよ」
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「ラブラブっすね」
「うん(笑)」



「な、なんで俺も行くわけ?! 別に俺が行かなくてもいいだろ?!」
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「どうせ暇だろ?付き合えよ」
「いや、でもさ…」



「なに?なんか不都合でもあるわけ?」
「な、なんだよ、それ!」
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「行きたくない理由でもあるとか?」
「べ、別になんもねーし!」



「ふ~ん…。例えば……誰か会いたくない人がいる…?」
「だ、誰かって…?」
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「最初が”ロー”で最後は”リー”だったかな~?」
「まんまだっつーの…」



「その人に会いたくない理由でもあるのかな?」
「な、何が…」
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「例えば…何かイケナイ悪さをしちゃったりなんかしちゃって?
ゴロゴロニャンニャンっ♪ …的な悪さ…みたいな?」



「ばっ!何言ってんだよ!
なんで俺がローリーに悪さするんだよ!言っとくけどあれは合意…合…」
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「合意?」
「合………ご…」



「何が合意?」
「えーと…」
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「何が”合意”なの?」
「な、なんでもねーし…」



「あ、そう(絶対に怪しい…)」
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「分かった、行くよ、行くよ!行けばいんだろ!ほら、早く行くぞ!」



(あぶねー…)
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(もう少しで口がすべるとこだった…)



「沙織ちゃん、そろそろお皿を並べてくれる?」
「あ、はい…」
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「ゴルゴさんも来るから6人分ね」
「え?ゴルゴ…さん…?」



「あのね、沙織ちゃんには言ってなかったけど、私、亮さんとお付き合いしてるの」
「え?そうなんですか!?」
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「うん(笑)」



「わ~素敵♪ とってもお似合いの二人だと思います!」
「ありがとう…」
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「ほんとにほんとに素敵なカップルですね!」
「沙織ちゃんったら(笑)」



「だから今日は亮さんと一緒にゴルゴさんも誘ったのよ」
「そ、そうですか…」
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「ん?どうかした?」
「い、いえ!なんでも…なんでもないです…」



(ゴルゴさんが来る…)
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(…やだ…また心臓が…)



ピンポ~ン♪



「あ、噂をすればだわ!亮さん達がきたみたい♪」
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「はい…」



カチャ
「いらっしゃい♪」
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「いらっしゃいました♪」
クスクスクス…



ガバッ!
「このみちゃん!会いたかった~~~!」ムギュウ~
「え?あ…」
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「愛してるぜ!」



「ゴルゴ!テメー!」
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「あの…ゴルゴさん…」



「な~んてうっそ~ん♪」
「何がうっそ~んだよ!このやろ~~」
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「冗談だよ、バーカ。…でもちょっとだけ胸に触っちった♪ テヘ♪ やわらか~い♪」
「お前…」



「ふざけるな~~~!やい!ゴルゴ!」
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「ふんっ。トイレ貸して~~ちっこした~い」←聞いちゃいねー



「よっ!」
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「…よ…よっ…」



「なんだよ、元気がねー”よっ!だな~」
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「あっ!ご、ごめんなさい…私までつられて…よっ…なんて…」
「別にいいよ(笑)」



「ところでこの間は悪かったな。俺、寝ちまったみたいで」
「いえ……」
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「いや~気持ちよくてつい寝ちまってよ~イビキかいてなかった?」



「いいえ、大丈夫でした(笑)」
「マジで?本当は俺のイビキがうるさくて先に帰ったんだろ?」
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「違いますよ~(笑)」
「嘘くせー」



「どうぞ座って下さい」
「あ、その前に」
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「トイレどこ?先に行かせて。もれそう」
「右にあります(笑)」



「このみちゃん、後で消毒しなさいね」
「冗談ですよ(笑)」
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「冗談でも何でもダメなもんはダメだから」
「もう!(笑)」



「ところで、金賞はもう決まった?」
「まだなんですよ。そろそろ発表の頃だと思います」
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「金賞が受賞したらこっちに来る事になってますので。それまでもう少し待って下さいね!」
「ああ…」



(…本当に金賞なの?)
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(おっかねーな……)



ジャー
(あ~スッキリした♪ 中々綺麗なトイレだな~。
俺の家のトイレも誰か掃除に来てくんねーかな~。そろそろマジで女でも捕まえ…)
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シャ~~~ン!ご対面♪



「………」
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「………」



「ど~~も~ふにゃ○○野郎ですぅ~」
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「ごきげんよう…ほほ…」



「ちょうどよかった。お前にちょっと話があんだけどぉ~」
「私は何にもないけどぉ~」
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「お前にはなくても俺にはあんだよ!」
「なによ…」



「お前なんだよあの置手紙はよ!」
「何って…正直に書いたまでよ」
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「ふざけんな!何が正直にだよ!」
「ちょ…声がデカい!」



「ちょっと来いよ…」
「や、やめてよ…っ」
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「いいから来いって!」
「もう…なに!」



「お前な~~!なんで俺がふにゃ○○なんだよ!ふざけんじゃねーよ!」
「ふんっ。ふにゃ○○なもんはふにゃ○○なのよ。あれが私の感想よ」
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「このやろ~~!言いたい事を言いやがって!」
「なによ!私を満足させられないアンタが悪いんでしょ!?」



「何が満足させらんないだよ!おめーあの夜、白目むきながら
『ダメ!ダメ!死んじゃぅぅぅ~私こんなの初めて~~』っつってただろーが!」
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「なっ…そ、そんな事言ってないわよ!」
ローリーも言ってたんだ?(笑)



「言ってたね!俺はあの後全部思い出したんだ。お前はひ~ひ~言ってた!」
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「言ってないわよ!」



「言ってましたぁ~♪ 超感じちゃうぅぅ~って言ってたも~ん♪」
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「なっ…」
「へへ…正直に言っちまえって。ひ~ひ~言ってただろ?」



「亮さん、ローリーを見ませんでしたか?」
「ローリー?」
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「ええ、ローリーがワインを閉まったんですけど、どこに閉まったから分からなくて」
「あれ…確かさっきそこで…。そう言えばゴルゴもいねーな…。向こうの部屋かな?
分かった、俺が呼んでくるよ」



「ここか?」
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「ローリー?ロ…」



「なによ!ひ~ひ~なんか言ってないわよ!勝手な事言わないでよ!」
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「言ってたも~ん♪」
「あったま来る~~!」



(ひ~ひ~?)
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(…って…何の事?)



「じゃあ私だって言わせてもらうけどね!あんただってあの夜、鼻の穴を大きく膨らませながら」
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「『スゲーぜベイビー…最高だぜベイビー…』って連発してたじゃないのよ!」



「ばっ…言ってねーよ!」
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「言ってたわよ!」



(最高だぜ…)
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(ベイビー…?)



「そんであんたはね!『俺はこんなの初めてだ!たまんねーぜベイビー!』
って大きな声で吠えてたじゃないの!」
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「ふ、ふざけんな~~!!!!!」



(たまんねーぜ…)
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(ベイビー?……ぷっ…)



「ぷーーーーーーー」
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(マジかよ~~(笑))



「言ってねーよ!」
「言ってました!」
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「言ってねー!」
「言った!」



「ゼイ…ゼイ…ムカつく女だぜ…」
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「ゼイ…ゼイ…あんたこそ…超ムカつく…」



「クックックッ…」
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「亮さん?どうしたんですか?……亮さん?」



一方、金賞の受賞を今か今かと待っていた鈴之介。
やっと…やっとこの日がきたのだ!



「芦屋君、そんなに緊張しないでちょうだいな(笑)」
「で、でも…やはり緊張しますよ…」
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「大丈夫よ。さあ、そろそろ発表の知らせがあるはずよ」
「はい…」



(いよいよだ…)
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(大丈夫だ…。今度は絶対に自信がある…)



そして、運命の電話が鳴る。



ツルルルルルル♪
ツルルルルルル♪
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ゴクリ…



カチ
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「はい…。ええ、そうです。それで…どうでしたか?」
「…え…」



「はあ…あの…でもあの何かの間違いじゃ…。…では入賞は…?そんな…。そ、そうですか…」
「え?ええ…葉山ローリーはうちの生徒ですが…」
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「まあ…彼女が佳作に…。大変未来のある作品?はい、わざわざありがとうございます…」



(ローリーさんが佳作に…?)
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(って…僕はどうしたんだろ…。なんだか先生の様子が…。…まさか…)



カチ
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「………」



「あの…先生…僕の絵は…」
「え、ええ……おかしいわね…」
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「おかしい…?」
「そうね…その…」



「…ダメ…だったんですね…」
「それが…その……」
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「そうですか…ダメでしたか…。佳作にはローリーさんが?」
「そうみたいなの…」



「それはよかった…。…で、僕は入賞も…?」
「ええ…」
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「そ、そうですか…」
「な、何かの間違いかしら?でも…」



「いえ…間違いではないと思います…。…僕は…今回もダメだったんです…」
「そ、そのようね…。でも私は芦屋君の絵がいちば…」
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「帰ります…」



「すみませんがお先に失礼いたします…」
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「分かったわ…」



カチャ…
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(また落ちた…。落ちたどころじゃない…佳作にも入らなかった…)



(どうして!今度ばかりは自信があったのに!)
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(それなのにどうして…)



(なぜ…僕は何をやってもダメなのだろう…)
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(……沙織さん…。僕はまた…ダメでした…)



「さあ、そろそろお肉でも焼くか!このみはサラダをお願い」
「分かったわ♪」
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「ね、このみ。鈴之介さ、きっと今頃走ってるんじゃない?(笑)」
「そうね(笑)」



「…なあ…ゴルゴ…」
「あ?」
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「ローリーって結構何でも出来るんだな?料理もうまそうだし」
「普通だろ?あれぐらい」



「いやいや、なかなかどうして…。ほら…あの手つき…」
「たいした事ねーよ」
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「んな事ないって。そうだな…一言で言うと…」



スゲーな?
「だから女なら普通だろって!」
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「そんな事ねーよ。いいね~中々様になってるね…。一言で言うと…」



最高だな?
「だから女なら…てか、なんで俺に聞くんだよ!」
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「いいね~スゲーね~最高だね~。…一言で言うと…たまんねーな?
「だからなんだよさっきから!お前ウザい!何が最高でたま……はっ」



「お前…もしやさっきの俺らの会話…」
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「さあ…」



「ちょっと~ゴルゴ!グラス出して~~!」
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「ついでにワインも出してよ~」



「ほら…お前のたまんねーベイビーちゃんが呼んでるぜ?」
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「テメー…」



「さあ、僕も自分のたまんねーベイビーちゃんのお手伝いでもしてこよ~っと♪」
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「あのヤロ~…」



一方、金賞どころか、佳作にも入らなかった鈴之介。どうして自分はいつもこうなのだろう。
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あんなに頑張ったのに…。
どうやって沙織に報告したらいいのか…。



(みんなに悪い事しちゃったな…。せっかくパーティーの準備をして待っててくれてるのに…)
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(けど…正直に報告しなくちゃ…。そうだ…くよくよしててもしょうがない…。また次がある…)



(沙織さんには、またしても待たせる事になってしまうけど…次こそは…)
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(だけど…待っててくれるのだろうか…)



「なあ…腹減ったんだけど?」
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「もうちょっと待ちなって。いい?鈴之介が帰って来たらパア~っと盛り上げてよ?
あんたはそういうのだけは得意でしょ?」



「だけって何だよ、だけって!」
「あら、だって頭が悪い奴ってそう言うのだけは得意って相場が決まってるじゃん」
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「なんだよ、それ!」
「違うの?」



「そ、そりゃ…得意だけどよ…」
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「じゃお願いね」
「へいへい…」



(いちいちムカつくんだよな…。
あれが俺の腕の中で喘いでた女か?…ま…確かに胸は最高だったけど…)
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(って…そうじゃねーし…)



「ローリー…でも本当に遅いと思わない?」
「そろそろ来るって!」
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「そうかな…」



(もしや…)
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(俺の勘が当たった訳じゃあるめーな…)



ちょうどその時、鈴之介はドアの前まで来ていたが中々入れないでいた。
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けれど、いつまでもこうしていても仕方がない。



(よし、入ろう)
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(ダメなものはダメだったんだ。あまり待たせたら申し訳ない…)



その気配にいち早く気づいたローリー。



「来たわ!ゴルゴ、頼んだわよ!」
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「分かった、分かりました。よっしゃ、じゃいっちょ盛り上げっか!行くぜ!」



そして、鈴之介は静かにドアを開けた。



カチャ…
「遅くなりまし…」
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「イエーイ!」



「ピューピュー!よっ!大統領!」
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「よっ!社長!」



プ~~~!
「鈴之介!おめでとう~~!あんたなら絶対にやれると思ってたよ!」
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「………」



(なんか顔つきが微妙…)
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(そう思うのは俺だけ…?)



「鈴之介君、おめでとう~~!」
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「鈴之介さん!おめでとうございます!」



(沙織さん…)
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「…あの…」



「なんだよ、鈴之介。もっと嬉しそうな顔しろよ!せっかく俺様もかけつけてやったんだぜ!」
「そうよ!鈴之介!」
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「僕…」



「おい…なんかちょっと雰囲気が違うぜ…」
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「イエーイ!」
「おいって!」



「すみません!違うんです!」
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「僕は…僕は…」ゴクリ…



「ぼったりと落ちました!」
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し~~~ん



「落ち…た?」
「はい…今回もダメだったんです…」
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「ダメって…」
「お恥ずかしい話ですが…またダメだったんです…」



「嘘…」
「はい…」
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「佳作とかは?」
「それが…佳作どころか入賞も出来なくて…。はは…本当に恥ずかしいですよね…」



(って…どうすんだよ、このテンション…)
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(俺…かなりマヌケ…)



「佳作と言えばローリーさん…。
あなたの作品が佳作に入りました…。後日先生のところへ行って下さい…」
「え?私が?」
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「はい…。大変未来ある作品だそうです…」
「まじ?…」



「おめでとうございます…」
「まさか…」
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し~ん…



「えーと…」
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「とりあえず…」



「イ、イエーイ…」
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続き、第22話へ 「金賞受賞?パーティー(後編)」
二度目の恋…タイトル一覧は 「こちら」   
ストーリー別一覧は       「こちら」 

第20話 「嵐の前触れ」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第20話



― 翌日 ―



ゴルゴに思わずキスをしてしまった沙織。人生で初めてのキスだった。
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お父様やお母様にするような、挨拶代わりのキスとは全然違う。
ドキドキしてとても胸が痛くて苦しかった…。



そして…自分の気持ちがどこにあるのか気づいてしまった。
ううん…本当はとっくに気づいてた…。
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初めて会ったあの日から、彼が恋しいと、心が訴えていた。



コンコン♪
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「沙織ちゃん、入るわよ」



「お母様…」
「父様から聞いたわ…。鈴之介さんと結婚したくないんですって?」
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「はい…」
「そう…。本気なのね?」



「ごめんなさい…」
「やーね、謝る事はないのよ」
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「でも…」



「沙織…。私はあなたに幸せになって欲しいの。したくない結婚はさせたくないのよ…。
あなたは私の可愛い一人娘ですからね」
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「それに、結婚は愛する人とするものよ…。
母様はあなたにもそんな人と結ばれて欲しいって思ってるわ…」



「けどお父様が…きっと怒ってるわ…」
「私がちゃんと説得するわ。
お父様にも色々とあるのよ。向こうのご両親とのお付き合いとかね」
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「でもお父様だっていずれ分かってくれるわよ。
だからそれまで鈴之介さんに言うのは待ってやってちょうだい」
「はい…」



「それで、アパートにはいつ帰るの?」
「まだ…」
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「結婚しないんだったらこっちに帰って来た方がいいわね」
「ええ…。もう少し休んだら決めます…」



「そうしなさい」
「はい…」
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「じゃお茶でも入れるから下に下りて来なさいね」
「ええ…すぐ行きます…」



(鈴之介さん…ごめんなさい…)
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(私…あなたになんて言って謝ったらいいのか…)



カチャ
(でもこのままの気持ちで結婚なんて出来ないんです…)
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(彼を思うと胸が苦しくて…。そんな気持ちで結婚なんて…)



(ゴルゴさん…。私あなたが好きです…)
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(あなたと重ねた唇が…今も熱くてたまりません…)



― 数日後 ―



「このみ~ちょっといい~?」
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「ローリー。なに?どうしたの?」



「あのさ、鈴之介の金賞の発表がもうすぐだよね。みんなでパーティーでもしない?」
「そうだった♪ 今回は金賞間違いなしね!いいな~鈴之助君っ。
って、あれ?ローリーも提出したんじゃなかった?」
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「バカね~私なんか無理に決まってるでしょ?私の事はいいの」
「それもそうか」



「否定しろよ…。ってだからさ、亮さんとかも呼んでパーティーしようよ♪」
「とか?」
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「え?」
「今 ”とか”って言った?っていう事はゴルゴさんもって事ね?」



「べ、別にあいつは呼ばなくていいよ!」
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「どうして?人数が多いほうが楽しいじゃない?」



「呼ばなくていい!」
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「なんで~?変なの…」



「だいたアイツはね~!やる事だけやって違う女のなま…」
「名前?」
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「そうよ!名前よ!信じられる!?」
「やる事ってなに?」



「や、やる…やるってのは……」
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「なに?」



「えーと…トランプ?…な~んちゃって…」
「ローリー…この間から絶対変だから。ゴルゴさんと本当は何かあったんじゃない?」
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「な、何にも……ない…し…」
「ふ~ん…でもなんかおかしいし…。やっぱりなにかあ…」



「もうしつこい!」
「だって…」
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「あーもう!いいからあんたは黙って亮さんの事でも考えてなよ!」
「そっか…。それもそうね!」



「なにその元気はつらつな返事…。しかもめちゃくちゃ幸せそうじゃん」
「だって幸せだも~ん♪」
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「この間までウジウジしてたくせに…。なんかムカつくのよね…」
「いいでしょ?幸せなんだから♪ 私、人生で一番幸せかもしんない」



「はいはい、よかったね、ご馳走様でした。あんたと亮さんはお似合いだよ。
これであのくそゴルゴにも言い寄られなくてすむね。私も安心したわ」
「なんでローリーが安心すんのよ?」
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「え?あ、いや…その…お、お母さんのような感じで…あははは…は…」
「お母さん?誰の?」



「あんたの…」
「なんか変なの。やっぱり変よ。さては…」
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「な、何よ?」



「本当は違う意味なんじゃないの~?な~んか怪しいのよね。特にあの夜から」
「あ、あの夜って…?」
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「あの夜よ!ローリーがゴルゴさんを追いかけて行った日。
実は実は追いかけて行ったついでにマジでなにかあったとか?」



「バ、バカこくでねーー!」
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「…こくでね~?」



「と、とにかく!何にもないから!変な勘ぐりはよしてよね!」
…ボソ…どうみても変だから…
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「なによ、その笑いは!?」
「別に…」



「さ、じゃパーティーの準備をしなくっちゃね!鈴之介には私から言っておくから」
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「分かった…」



(絶対におかしいよ…。だって妙にゴルゴさんの名前に反応するし…。
それにローリーったら最近綺麗になった。もしかして誰かに恋でもしてる?)
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(誰かって…ゴルゴさん……とか?ローリーとゴルゴさんか。うわ~~…似合い過ぎ…)



― 金賞受賞、前日 ―



カチャ
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「鈴之介~入るよ~おつかれ~」



「ローリーさん、どうしたんです?」
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「明日の事よ。あんたの受賞、明日でしょ?みんなでパーティーしようよ」
「え?僕のために…いいんですか?」



「もちろんさ。それに金賞を取ったらあんたは家に帰るんだろ?
そうしたらみんなで集まる事なんて早々出来ないしさ」
「あり…ありがとうございます…」
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「ところで、最近沙織を見ないけど?」
「ああ…実家に帰ってるようです…」



「実家?…なんでまた…」
「きっと家が恋しくなったんでしょう…」
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「ふ~ん…ま、いいけどさ…」
「ローリーさん…。ちょっと相談に乗っていただきたい事が…」



「相談?なに?」
「ええ…」
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「なによ?」
「実は沙織さんの事なんです…」



「沙織の?沙織がどうしたの?」
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「じ、実は…この間の夜、沙織さんに…キ…キ…キ…」
「キ?」



「キ…キッスをですね…しようとしたんですよ…」
「キッス?…へえ~…あんたにしてはよく頑張ったじゃん。それがどうしたの?」
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「で、でもですね……ちょっとした邪魔(アブ)が入って出来なかったんですが…。
でも…どうもその辺の夜から彼女の様子がおかしくて…」



「…おかしい?どんな風に?」
「その…ボ~っとしてると言うかその…。ローリーさんもそう思いませんでしたか?」
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「全然!(思ってる。正確にはあの山に行った日から)」
「そうですか…。僕の気のせいでしょうか…。
でもどうもそうではないような…。やはりキッスをしようとしたのがいけなかったのかな…」



「まさか…」
「な、何かその…沙織さんからそれとなく聞いてませんでしたか?」
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「いや、別に(聞いてはいないけど見てはいる)」
「そ、そうですか…」



「あれじゃないの?ほら…結婚前のマリッジブルーとか言うやつ。
女はさ、結婚前には何かとナーバスになったりするもんよ(たぶん違うと思うけど)」
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「はあ…」



「心配いらないって。
あんたが金賞を受賞してパーティーでパ~っと騒げばケロリとするさ(無理かも?)」
「そうだといいんですが…」
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「とりあえず沙織には私から電話しとくよ。明日は私の部屋で準備して待ってるから」
「はい…分かりました…」



「じゃね明日ね」
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「はい…」



(あーあ…。沙織はやっぱりゴルゴにのぼせてんのか…)
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(困ったお嬢様だな…)



(本当にそうなんだろうか…?何かが腑に落ちない…。
もしかしたら僕は待たせ過ぎてしまったのではないだろうか…)
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(確かに長かった…。それで沙織さんも呆れて…。きっとそうだ。そうに違いない…)



(すみません沙織さん…。でも今度こそ本当の本当ですから…)
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(金賞を受賞したらすぐに僕たちは夫婦になりますから…)



一方、あれから実家に帰ったまま、家にこもりっきりの沙織。
自分の口から婚約破棄と言う言葉を言う勇気はどうしてもない。
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勝手な事だとは思うが、どうしても言い出せない。それに、父親もまだ反対している。



(早く言わなくちゃいけないのに…。早く…)
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「沙織ちゃ~ん、お電話よ~」



「私にですか?」
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「ええ、アパートの方からみたい。ローリーさんとかおっしゃってたけど?」
「ローリーさん?あ、はい、今行きます」



(…彼女に相談してみようか?彼女ならどうすればいいのか教えてくれるかもしれない…)
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(だって私じゃどうしたらいいのか分からないもの…。
そうよ…彼女ならきっと何かアドバイスをしてくれるかもしれないわ…)



「え?相談?」
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「まあ…いいけど…。どこで?」
「分かった、後で行くよ。うん、じゃね」



カチ
(相談?鈴之介に続いて沙織からも相談?)
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(なんだかな…)



その日の夕方 ― 公園 ―



「ローリーさん、すみません、わざわざ…」
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「別にいいよ、どうせ暇だったし」



「何?相談って。って言うか私も話があったんだよね。それで昼間あんたに電話したのさ」
「え?」
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「鈴之介の金賞受賞のパーティーをしようって言う話。明日だよ?」
「あっ…」



「忘れてた?」
「はい…」
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「そっか…。まあいいや。とりあえず明日、私の部屋でパーティーするから、あんたも参加してよ」
「わ、分かりました…」



「で、なに?」
「え?」
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「相談。なに?」
「え、ええ…」



「あの…私…私…」
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「どうした?モジモジしてないて言ってみなって。なに?何かあった?」



「はい…。ローリーさん…私…鈴之介さんとは結婚しません…」
「は?」
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「結婚をやめようと思ってます…」
「やめるって…なんで?」



「私…私…」
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「ゴルゴね…」



「え…」
「原因はゴルゴでしょ?」
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「ど、どうしてわかっ…あっ…」
「やっぱり…」



「あんたを見れば分かるよ。あんた、あの日から様子がおかしかったもん。
あのみんなで山に行った日からさ…。ゴルゴに恋しちゃったんでしょ?」
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「…恋って言うか…ドッキンドッキンって言うか…ズッキュンズッキュンって言うか…」
「それを恋と言わずなんと言う?しかもズッキュンっ……てか?」



「あの…ど、どうすればいいんでしょう…」
「どうすればって…。そんなのは自分で決めるしかないでしょ?結婚だよ?
しかもあんた達は親同士のつながりがあるんだ。簡単にはいかないって」
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「それは分かってます…」



「とは言え…もしかして初めてのズッキュン?」
「…はい…ズッキュンって言うかバッキュンって言うか…」
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「もっと違う表現の仕方があるんじゃね?」



「ふー…。そっか…初めてか…。それは辛いね…」
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「私…ゴルゴさんの事を考えると胸が苦しくて…」



「完璧に惚れてんね…。胸が苦しい……か…」
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この時ローリーは、何故か自分の胸も苦しくなった。
沙織のゴルゴへの気持ちが痛いほど分かったからだ。



何故なら、自分もゴルゴに対して胸の高鳴りを感じていた…。苦しい程に…。
それは、あのくそ生意気なガキに抱かれた日からだろうか?
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それとも…君は悪くないよ…と、そう言ってくれたあの夜からだろうか…?
奴には何故か惹かれるものがある…。



気がつけば…いつもアイツの事を考えてる自分がいる。
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憎らしいけど……いつも考えてしまう…。



「ゴルゴに……気持ちを伝えれば?」
「え?!」
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「ゴルゴに好きって言ってみたら?」
「そ、そんな事!」



「そんな事…」
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「出来ません…」



「じゃ見てるしかないね」
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「それは…」



「沙織。あんたの気持ちも分かるけどさ、だけどただオロオロしてても何も始まらないよ?
鈴之介との結婚をやめるにしても、泣いてるばかりじゃちっとも前に進めない」
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「自分がどうしたいか、胸に手を当てて聞いてごらん」



「胸に…」
「本当はゴルゴの心が欲しいんでしょ?人を好きになったら、それが自然だよ」
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「ゴルゴさんの心…」
「思い切ってゴルゴに気持ちを伝えるか、それとも…ただ泣いて指を加えて見てるか…。
それはあんたが決める事なんだよ。私じゃない、沙織がだ」



「私が決める…」
「そう…。自分で決めるんだよ…」
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「私が……決める…」



確かにそうだ。こんな事をローリーに相談してどうしようと言うのか。
すべて自分が決めなくてはならない。自分の胸に手を当て…自分で決めるのだ…。
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「本当にそうですよね…本当に…」



「ローリーさん…私…決めました!」
「え?って…早っ」
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「私…ゴルゴさんに気持ちを伝えます!すぐに伝えに行きます!」
「すぐって…」



「では行って参ります!」
ダッ
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「ちょっ…沙織!」



「ちょっと待ったーー!」
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「沙織!ちょっと待って!」
「え…」



「ちょっと待ちなって…」
「でも…早いほうが…」
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「そうだけどさ…。だけど明日は鈴之介の金賞受賞のパーティーだよ?
鈴之介はどうすんのさ?」



「あ…」
「でしょ?物事には順序ってものがあるんだよ。まずは鈴之介の事を先に解決しなきゃ」
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「私ったら…ついあせって…」
「分かるけどさ…」



「とりあえず金賞を取るまで待ちなよ…。
せっかくの受賞パーティーなんだ、何も水を差す事ないだろ?」
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「はい…」
「それが終わったらまずは鈴之介にちゃんと言った方がいい」



「私…本当に自分の事ばかりで恥ずかしい…」
「しょうがないさ…。恋をすればみんなそんな風になるのよ…」
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「すみません…」
「私に謝んなくていいって」



「そんな世界が終わったかのような顔しないの(笑)なるようになるんだから。
とりあえず明日はパーティーだから準備を手伝ってよ」
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「はい…。明日、一番で帰ります」
「分かった。じゃ明日ね」



「はい…。では明日…。さよなら…」
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「じゃね…」



(なにが胸に手を当てて考えてみればよ…)
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(私は沙織にそんな事言う資格なんてないのに…)



(沙織…あんたは見る目があるね…。
よく考えれば、あんたの方が先にアイツの良さに気づいたって事だもんね…)
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(アイツには可愛いあんたがお似合いかもしれないね…。
私みたいな気が強くて可愛げのない女よりさ…)



(だけどゴルゴ…。あの夜のあんたから伝わった熱がまだ覚めないんだよね…。
あの熱い一夜が毎晩私を苦しめてる…)
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(ムカつく程に…覚めやらない…)



ローリーは自分がゴルゴとベットを共にした事は言えなかった。
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あんな風に、恥ずかしそうに初めての恋を打ち明ける彼女にどうして言えただろう?



そう、恋する気持ちは誰にも止める事なんて出来ないのだ。
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例え、それで誰かが傷ついたとしても…



― その日の夜 ―



「じゃ~ん♪ ピザ屋で~す♪」
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「亮さん!」



「今日は仕事じゃなかったんですか?」
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「いや、今日はちょっとしたミーティングだけだから。それより飯食った?
一緒にピザ食わない?」



「わ~嬉しい!ちょうどお腹がすいたな~と思ってたとこです♪」
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「ピザでこんなに喜んでくれる、なんて安上がりな俺の彼女♪」
「だって嬉しいんだも~ん」



モグ…モグ…
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「もっとゆっくり食えって(笑)」
「だってお腹がすいて…」



「そうだ!」
「ん?」
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「亮さん、あの夜の事なんですけど…」
「あの夜って?」



「ほら…ゴルゴさんをローリーが追いかけて行った日」
「ああ。ゴルゴとローリーがケンカしたかもって言ってた日?」
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「はい…。…あの日ローリーとゴルゴさん…やっぱり何かあったんじゃないでしょうか?」
「やっぱりって…ケンカじゃなく?」



「ええ…。ケンカって言うよりもっとこう…違う感じの…」
「ってどんな?」
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「ん~~なんて言うかな…男と女の何かって言うか…」
「男と女?……二人がデキテる…的な事?」



「ええ…そんな感じ」
「まさか(笑)」
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「でも…ローリーの様子が本当に変なんです」
「様子がね…。まてよ…そう言えばゴルゴもちょっとおかしかったな…」



「え?ゴルゴさんも!」
「ああ…なんか隠してるようなそんな感じで…」
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「もしかしてローリーとゴルゴさん、あの夜…」
「かもな…。でもまさか寝たわけじゃないだろよ…」←そのまさか



「まさか!いくらなんでもそれはナイですよ~(笑)」
「だよな~(あるかも?)」←正解
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「そうですよ(笑)」
「ま、あったとしても酔ってキスとかぐれーかもな」←不正解



「そう思います?私もそう思ってたんですよ!実は酔ってキスとか…
わ~なんだか熱くなってきた」
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「君が熱くなってどうすんだよ(笑)」



「あの二人か…。中々お似合いかも知んねーな」
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「お似合いなんてもんじゃないですよ!すっごく素敵なカップルになると思います!」
「かもな(笑)」



「んで明日なんですけど~鈴之介君の受賞パーティーをローリーの部屋でやるんですが、
ゴルゴさんも連れて来てくれませんか?」
「受賞?ってなんの?」
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「もちろん絵のコンテストです。明日が金賞の発表の日なんですよ。
なのでみんなで盛大に祝おうと思いまして」



「って……それって金賞受賞が決定したの?」
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「まだ!」キッパリ



「おいおい…まだって…大丈夫なの?」
「何がです?」
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「何がって…。普通さ…そう言うのって決まってからやるんじゃないの?」
「大丈夫ですよ!もう決まりも同然なんですから!」



「…ボソ…結構無謀だね…
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「だから明日ゴルゴさんを連れて来てくださいよ!」



「ああ…いいけど…(なんか嫌な予感が…)」
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「わ~ローリーとゴルゴさん!なんだかドキドキしちゃいますね!」
「俺は違う意味でドキドキする…」



「ところで俺、風呂入りたい」
「え?お風呂って…家に帰るまでに湯冷めしちゃいますよ?」
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「平気。だって泊まるもん。パンツも持ってきた」
「パンツ?」



「準備ぱっちし。お泊りセットも持って来たから」
「あー初めからそのつもりだったんですね!」
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「うん」キッパリ
「もう!この間、当分お預けって言いませんでしたか?」



「もう当分経ったもん」
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「亮さんったら(笑)私の前では子供みたいになるんだから(笑)
しょうがないな~♪ じゃお風呂の用意をしますね♪」



「だけど…」
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ガタ…



「おいで…」
「あ…」
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「だけどベットの中では大人の男になるだろ?」
「亮さん…」



「立派な大人の男に…」
「んっ…」
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「すぐに証明してやろうか…?」
「だ、だめ…お風呂…」



「一緒に入る?」
「や…」
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「なんで…?君の体はすべて見てるけど?」
「もう…ん…」



「感じちゃった…?」
「ちが…」
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「嘘だね。感じてる」
「違うもん…」



「嘘つき~」
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「嘘つきじゃないもん…」



「さ、行こう」
「あ、こら!亮さん!」
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「エロイ親父に捕まった君が悪い」
「もう!(笑)」



「俺が体を洗ってやろうか?」
「嫌です!」
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「遠慮すんなって」
「結構です!(笑)」



そして、パーティーは明日に迫っていた。
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そう…まだ受賞もしていないパーティーが始まろうとしていた…。





続き、第21話へ 「金賞受賞?パーティー(前編)」
二度目の恋…タイトル一覧は 「こちら」   
ストーリー別一覧は       「こちら」 

第19話 「幸せなひと時」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第19話



― 翌朝 ―



(綺麗…。凄く綺麗…)
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(昨日までの景色と違って見えるのはなぜ?周りの景色が明るく見える…。
不思議ね…。世界が変わった訳じゃないのに…)



クス…亮さん効果かな?」
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「私って単純(笑)」



(夕べの私…凄く変だったよね…)
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(あんな風になるなんて思わなかった…。どうしてあんな風になったのかな?
凄く不思議な感じだった…。あの行為が、あんなにも熱いものだったなんて…)



(なんか癖になりそう…)
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「それにしても亮さんったら…凄く意地悪だった。ほんとにもう…意地悪なんだから…」



「だ~れが意地悪だって?」
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「え?亮さん!」



「おはよう、赤ずきんちゃん」
「赤ずきんちゃん?なんですか、それ(笑)」
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「夕べの俺は狼だったから。君をガブっと食べちゃった」
「わ~怖い(笑)」



「ご馳走様でした…」
「お粗末様でした…(笑)」
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「いいえ、絶品でした…」
「プッ」



「初エクスタシー?」
「え?」
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「初エクスタシーだったろ?」
「あ、あれがエクスタシー…?」



「凄く可愛かった。それに…凄くセクシーだった…。君のあの瞬間の顔が忘れられない…」
「やだ…見てたんですか?!」
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「うん(笑)」
「もう…!」



「それより、赤ずきんちゃん。僕はお腹がすきました。何か食べさせて下さい」
「あ、そうだ…。カイルさんに頼まれたんだった。すぐに何か作りますね」
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「夕べは俺、頑張ったから」
「エロい~~」



「俺はエロい」キッパリ
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「君でもいいけど?」
「あ…こら…」



「もう!ダメ!」
「ケチっ」
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「亮さんったら(笑)絶対にキャラが違いますよね(笑)」
「そう?前からこんなんだよ。ただ、他の人間の前では出さないだけ」



「君の前だけだよ、こんなんは。後は今まで通りムッツリでいく」
クスクスクス…
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「じゃご飯の後のデザートは君で決まりね?」
「考えときます(笑)」



「約束してくんなきゃ離さない」
「ダーメ」
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「いーの」
「ダーメ」



「よーし、分かった。俺は狼なんだ。このまま君を食べちゃう」
「キャッ!」
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「覚悟はいいかな?」
「もう、亮さんったら!(笑)」



「お嬢さん、僕は甘い食べ物を見つけたよ?」
「私は苦いかも知れないですよ?」
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「いいや、甘かった。すご~く甘くてトロトロだったもんね~♪」
「なんかエロいですね(笑)」



「あ…」
「え?なんですか?」
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「なんか今日の俺のセリフ…全部ゴルゴっぽい…」
「え~~?(笑)」



「恋する男はみんなこんな風になるんだな。俺がこんな風になるとはね。
ぜ~んぶ、君のせいだかんな」
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「私のせいじゃないも~ん♪」
「君のせいだも~ん♪」



ドサっ



「二度目のエクスタシー……体験してみる?」
「亮さん…」
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「今度はもっと長く…持たせる事を誓います…」
「誓うんですか?」



「はい。……たぶん…」
「たぶんですか?(笑)」
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「きっと…」
「あ、きっとに変わってる~~。自信ないんだ~~」



「このやろ~~」
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「きゃっ(笑)」



そして、二人は甘くて楽しい時間を過ごした。
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「てめー笑いすぎ」
「だって(笑)」



「今度さ…」
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「二人で田舎に帰らないか?」
「二人で…?」



「ああ…。帰ってジーン達に報告したい…。俺達の事を」
「私達の事を…。…きっと、リンダがビックリしますね(笑)」
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「だろうな(笑)」
「ええ…一緒に行きます。亮さんと一緒にあの町へ…」



「よし!じゃ休みを調節するか」
「はい(笑)」
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「あ、でもリンダに妬いちゃわないかな~。亮さんはリンダの事好きなのね!とかって」
「言いません(笑)」



「なんで?言えよ?」
「言いません(笑)私はそんな事で妬くような女じゃないんですう~」
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「ふ~ん…妬かないんだ?へえ~。…リンダどうしてるかな~♪
人妻になって色気たっぷりになっただろうな~」



「だからどうしたんです?」
「会いたいな~なんて♪」
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「そんな事言っても妬きませんよ(笑)」
「なんかムカつく…」



「ところで亮さん」
「ん?」
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「私、ノーパンだって知ってました?」
「はい?」



「パンツはいてないんですよ。替えを持って来なかったから」
「はいてないって…マジで?」
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「はい、マジです」
「ヒュ~~♪」



「どれどれ…」
「ダメ!」ピシッ!
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「ってー!いまマジでひっぱたいただろ?な?な?」
「さあ(笑)」



「人妻のリンダに会いたいんですよね?」
「え?」
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「私、亮さんが思ってるほど大人しい女じゃないですよ」
「や、やだな~このみちゃんたら。じょ…冗談、冗談♪ はは…」



「当分、おあずけです。この意味、分かってます?」
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「僕…分かんない…」



― 数日後 ―



ようやくこのみと抱き合った亮。なんだか幸せな気分だ。
見るもの、触る物、そのすべてが嬉しくて笑いたくなって来る!
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「部屋の模様替えでもしよっかな~♪それともどこかに家を買っちゃう?
この家を誰かに貸して~♪ んで可愛い部屋にこのみちゃんと住んじゃう?」



「住む?俺とこのみちゃんが?」
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(毎朝あの子と朝を迎える…。そして夜は……)



「ムフっ♪」
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「や~ん、俺ってやっぱキャラ変わった~~♪ 早くこのみちゃんが来ないかな~♪」
と、バカ面をさらす亮。



ジー
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(バカ面こきやがって…。なに、あの浮かれよう…。
さてはあいつ…このみちゃんと…。くっそ~~!バレバレなんだよ!)



「さ~てと、さっそく不動産屋にでも行こうかな~」
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「あ、でもこのみちゃんにどんな家がいいか聞いた方がいいよな?だよな~ランラランラ~♪ラ~…」



ビクッ



「お幸せそうね…亮くん……」
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「ゴ、ゴルゴ…え…ええ…お陰様で…って
ビックリさせんなよ!しかもどっから入って来てんだよ…ちゃんと玄関から入って来いよな…」



カチャ
「すご~く…お幸せそうね?」
「まあ…ね…」
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「へえ…どんな風にお幸せなの?」
「どんな風にって…」



「もしかしてあの可愛い可愛い(俺の)このみちゃんとニャンニャンしちゃった…?」
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「………」



「しちゃった?」
「えーと……ゴニョ……ニャンッ♪ …ぐらいかな…?
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「へえ~…いいわね…。ちょっとだけぶっとばして……いいかな?」
「やめて…」



「くそ…。なんかムカつくんだよな…。あのこのみちゃんとニャンなんて…ニャン…。
ったくよ~~!あー腹たつったらねーよなー!」
「すまん…」
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「別に謝んなくていいって!ま、俺の魅力に気づかないこのみちゃんも気の毒だけどなっ」



「ゴルゴ…」
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「あーあ!やってらんねーな~」



「ゴルゴ君…。君を見捨てるつもりだった訳じゃないんだ…。許してくれ…」
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「亮…」



「すまん…許してくれ…」
「いや…許さない…」
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「そんな事言わないでくれ…。君の事は一生忘れない…」
「亮ったらそんな事言って…そんな事言って…」



「わ~~!僕の事は遊びだったのね!いいわよ!亮なんて嫌いよ!」
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「そんな風に泣くなよ…抱きしめたくなるだろ?」
「うっうっ…」



「ゴルゴ…」
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「亮…」グス…



ギュッ…!
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「亮の胸……あったかい…」



「ってやめろよ、亮!その気になりそうになっただろ!ボケ~!」
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「なるんじゃねーよ!ボケ~!」



「はあ~ったくよ~~!お前はいいよな~~!それに比べ俺はよぉ~」
「ゴルゴ…この間はマジで…」
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「ああ!マジで言わんでいい、言わんで」
「って…あれ?お前いま…”俺はよぉ~”って言った?え?お前もなんかあったわけ?」



「え?」
「なんかあったの?てか、誰かと何かあったんだ?」
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「い、いや別に…」
「もしかして…お前も誰かとニャンニャンしちゃった…とか?」



「…ニャンニャンって言うよりギャンギャンって感じ…」
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「は?」



「べ、別に誰ともなんもしてねーよ!」
「ふ~ん…(怪しい…)」
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「そ、それより、ちゃんと大事にしろよ!彼女の事!
このみちゃんは今までの女と違うんだぜ!分かってんだろ?」



「ああ…分かってるよ…。ちゃんと考えてる…。お前にはマジで悪かった…」
「いいって事さ。恋は弱肉強食なんだ。勝ったもん勝ちだよ」と、ローリーと同じ事を言うゴルゴ(笑)
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「だけど…もっと早く言うべきだった。本当にすまん…」
「マジでやめろって。俺もやっとの事で立ち上がったんだ!だからもう言わないでくれ」



あの夜はパンツに引っかかるほどすんなりと立ち上がったくせに(笑)



「それよりさ、ジョギング行かね?」
「あ、悪い。これからちょっと用事があるんだ」
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「用事?また歯医者とか?」
「よく覚えてんな…。いや、歯医者じゃない(ウソだから)」



「ちょっと家を見にね…」
「家?」
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「ああ…。引越そうかな~~なんて…」
「お前…」



「なんだよ?」
「このみちゃんと一緒に住む家でも探しに行くんだろ?」
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「一緒にって言うか……一つ屋根の下って言うか…」
「んだよ…。はっきり言えよ…。そうなんだろ?」



「うん、そう」キッパリ
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「本当にはっきり言うね…」



「へいへい、さいですか。どうぞ家でもなんでも探して来てくれよ!」
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「じゃ俺はジョギングにでも行ってくるわ」
「悪ーいな」



(ケッ!な~にが一つ屋根の下だよ!どうせ、
『家を買ったんだ…。君と一緒に住みたい…。俺と暮らさないか…?』)
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(な~んてかっこよく言うつもりだろ?)



(ほんとはただ単に毎晩イケナイ事をしたいだけのくせに!
俺は知っている。亮はみんなが思うよりもエロ男なんだっつーの!)
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(ふんっ!これで亮の人気はガタ落ちだな!んで俺様の人気がうなぎ昇りよ!)



(へへん♪ ザマーみやがれってんだ!主役だって代わっちゃうよ?
お!それいいな!亮…残念だが君には降りてもらう…)
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(主役が代わると言う事は、俺がこのみちゃんの相手役になるわけで…。ぷぷっ♪)



と、喜んでるゴルゴだが…
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そうなると当然、相手役のヒロインはローリーになるわけで…(笑)



一方、ゴルゴに密かな思いをよせてる沙織。その思いは日に日に強くなるばかりだ。
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一体、この気持ちはどうすればいいのだろうか?
やり場のない思いに心は沈み込むばかりだ。



(…なんだか鈴之介さんと顔を会わせられないわ…。
分かってる…。こんな気持ちを持つ事はいけない事だって分かってる…)
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(だけど…私にもどうしたらいいのか分からない…)



(私…本当にこのまま鈴之介さんと結婚してもいいの?)
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(本当に……いいの……?)



「ゴルゴ…さん…」
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「呼んだ?」



「え?ゴ、ゴルゴさん!」
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「君って凄いな~後ろにいても誰か分かるんだな。やっぱ金持ちは違うぜ!」
「あ、あの…う、後ろにいたんですか…?」



「そう。公園を走ってたら君に似てる子がいたからさ」
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「そ、そうなんですか…」



(やだ…独り言を聞かれちゃったかしら…?)
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(どうしよう…)



「今日は一人?」
「え?」
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「いつも一緒にいる鈴之介だよ。君の婚約者なんだろ?今日は一緒じゃないの?」
「あ…はい…。今日は私一人です…」



「そっか。それにしてもなんだか暑くなってきたな~。こう暑くっちゃやる気もおきねーし」
「そ、そうですね…」
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「俺も今日は走るのやめた。なんだかカッタリーぜ。つって、いっつもサボってんだけどよ」
クスクス…そうですよね、こんな天気のいい日はボ~としていたいですよね(笑)」



ゴロン♪
「だよな。なんだか毎日眠くてよ~。ああー気持ちいい。君も寝てみ?」
「え…」
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「ほら、こうやってゴロンとしてみって。スゲー気持ちいいから」
「ゴロン…とですか?」



「大丈夫だよ、虫なんていないから」
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「はい(笑)」



「わーほんとだ!凄く気持ちいい!」
「だろ?なんだかあの空を見てると吸い込まれそうだよな」
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「ほんと…。なんだかスーっと飲み込まれて行くみたい…」
「ああ…スーッとな…」



「スーっと…」ZZZ…
「ふふ…私、こんなところに寝転ぶなんて初めてです(笑)ゴルゴさんはよくやるんですか?」
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「ZZZZZ…」
「…?ゴルゴさん…?」



「…う…ん…ZZZ…」
(寝ちゃって……る…?)
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(嘘…ほんとうに寝ちゃってる…)



クス…気持ちよさそう…。…わ~まつ毛が長いわ…。肌も綺麗…)
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(唇の形がとっても素敵…)



(あの唇に触れたら…触れたらどんな感じかしら?…。きっとやわらかくて……)
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「………」



(ほ、ほんの少しだけ…)
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(少しだけ…)



「少し……だ……け……」
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そして、沙織はそっと唇を重ねた…



(ハッ!わた…私ったら何を…何をしてるの!)
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(信じられないわ…。恥ずかしいっ!)



(でも…いま少しだけ触れた…?)
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(ゴルゴさんと私の唇が…)



(触…れ…た…)
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カーーーーーっ!



そして沙織は何を思ったのか、
何故か体をゴロゴロと動かし、どんどんどんどん、池の方へと向かっていった。
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恥ずかしさのあまり、どうしたらいいのか分からなくなってしまったのだ。



やがて…



ドボン!
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っと、落ちた(笑)



ユラユラ…ユラユラ…
沙織は、そのままただユラユラと揺れていた。
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水の中は冷たいはずなのに…一部分だけが燃えるように熱い…。



そう…彼に触れた唇が…
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熱くてたまらない…



「わー人が落ちたぞ!」
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「おーい!大丈夫か~!」



パチっ
「ん?…いまなんか…唇に触れた?…ふにゃって言うか、ぷにって言うか…」
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「はっ!」



ガバッ
「もしや鳥の……フン?うっそ…。けど唇になんもついてねーし。
まさかだよな…。ピチャって言う感覚じゃなかったぞ」
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「って…俺、寝ちゃった?しかも沙織ちゃんは帰っちゃっていねーし…。結構寝てたのかもな」



「さ~てと、じゃ、俺も帰りますか~♪ あーよく寝た~。なんか腹減ったな~」
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「たまには町に繰り出してナンパでもしよっかな~♪」



「おい!大丈夫か!」
「はい…大丈夫です…」
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「無茶するな~!まだ泳ぐには早いぜ?」
「そうですよね…」



「ほんとにそう…ですよね…」
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「ほんとに…」



― 数時間後 ―



「くっしゅん!」
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「寒い…」
(私ったら…本当に何をやってるのかしら…?もう何もかもが嫌になっちゃう…)



(だけど一つだけ分かった事があるわ…。
私…ゴルゴさんが好き…。どうしようもないくらい彼の事が…)
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(だからこのまま鈴之介さんと結婚なんて出来ない。
そうよ…このままの気持ちじゃ結婚なんて出来る訳がない…!)



スク!
(無理だわ…)
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「鈴之介さん、ごめんなさい!」



― 沙織の実家 ―
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バンッ!
「お父様!」



「おや?沙織じゃないか!どうしたんだ?突然に!」
「お父様…」
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「なんだ。どうしたんだ?」
「私…」



「はは~ん、さては家が恋しくなったんだろ?はは!ホームシックかな?
ささ、すぐに母様にもお顔を見せてあげなさい。母様も寂しがってたからな」
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「そう言えば母様が結婚式の事でお前に話があるとか言っておったぞ?」
「結婚式…」



「おーい、沙織が来たぞ~~!」
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「お父様…私…」



「ん?」
「私…出来ません…」
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「何がだ?それより、式場は玉姫殿に決まったからな!あそこは一流の結婚式場だ!
景気がいいのか、意外と人気でな!ようやく取れたよ!」
「私…出来ないんです…」



「さっきから何を言っておるんじゃ?聞こえてるのか?玉姫殿だぞ!」
「お父様!私!私…鈴之介さんと結婚出来ないんです…」
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「は?」
「結婚できません…」



「本当に!ごめんなさい!」
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ダッ!



「えーと……あれ?」
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「玉姫殿は?」



「まあ、沙織が見えたの?」
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「ちょうどよかった!式場から電話なのよ。
卓上の花が黄色がいいか、ピンクがいいか選んで欲しいって」



「でもね、ピンクはちょっとお高いらしいのよ。
でもいいわよね、うちはよそ様の家より余裕があるし。あら、沙織は?」
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「部屋…」
「そう。着替えにいったのかしら?」



「じゃあなた、ちょっと電話に出てピンクにしますって伝えて下さいな」
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「あなた?」
「はーい…今出ま~す…」



「沙織ちゃ~ん♪ 母様にお顔を見せてちょうだいな♪ 沙織ちゃ~ん」
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ピッ



「お待たせして…」
「ええ…花の事ですね…。そうですね…ピ…じゃなくて…黄色の花の方を…」
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「よろしくお願いします…。ええ、そうです、そちらの…ゴニョ…安いほうで…ええ…」
「ところで…」



「キャンセル料って払わなきゃダメ?」
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続き、第20話へ 「嵐の前触れ」
二度目の恋…タイトル一覧は 「こちら」   
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