第28話 「嘘つきな恋心」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第28話


― 数日後 ―
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ようやくアルバイトにも慣れた鈴之介。
以前より食欲も増し、心なしか顔色もよくなって来たような気がする。



「あれ?鈴之介、ずいぶん食欲あんね?」
「ええ!なんだか最近元気が出てきちゃいまして。
いや~働くとお腹がすきますね~食事がこんなに美味しいなんて初めてですよ!」
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「へえ~よかったじゃん。店もだいぶ慣れたみたいだね。店長が褒めてたよ」
「そんな、褒めるだなんて!僕はまだまだです!」



「今日もバイト?」
「いえ、今日は違います。今日はこれから沙織さんと例の作戦の練習をしようと思いまして」
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「作戦?」
「ほら、あの作戦ですよ!ゴルゴさんをゲットするための!」



「ああ……。ボソ…あのバカげた作戦ね…」
「よかったらローリーさんもアドバイスをお願いします!」
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「マジでやるんだ…」



「わ~鈴之介君、美味しそう♪」
「やあ!このみさん!」
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「こっちまで美味しそうな匂いが漂って来たわ」
「ご一緒にどうですか!僕はもう丼で2杯も食べちゃってお腹がパンパンです!
このみさんもローリーさんもよかったらどうぞ♪」



「すごい、鈴之介君が作ったの?」
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「ええ。僕もやれば出来るんですね。中々面白かったです♪さ、どうぞ召し上がって下さい」



― 1時間後 ―



「す…」
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「好き…」ポッ…



クラっ
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ドテっ



「キャー!鈴之介さん!」
「あ…ああ…すみません…ちょっと夏バテ気味なもんで…」
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「大丈夫ですか!?」
「え…ええ…大丈夫です…大丈夫…。……さあ、続きを…続きを…」



「す…」
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「好き…」ポッ…


クラッ


ドテッ
「キャーーー!」
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「鈴之介さんっ!大丈夫ですか!」



「ローリー…あの二人…何やってんの…?」
「告白の練習だって…。ゴルゴをゲットするなんちゃら作戦なんだってさ…」
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「何それ…」
「ホットな作戦…」



「要はゴルゴと沙織をくっつけるための作戦って事。
鈴之介をゴルゴに見立てて告白の練習してんだろ?かなりマヌケだけど…」
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「変なの…。って言うか鈴之介君…本当に夏バテ?どう見ても違うよね…
沙織ちゃんに好きって言われるたんびに倒れてたんじゃ練習にならないんじゃ…?」
「だね…」



「鈴之介さん…大丈夫ですか…?」
「え、ええ…大丈夫です…。す、すみません…さすがにこの暑さじゃバテ気味で…」
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「今日は曇ってね?」                        「涼しいぐらい…」



「ちゃんと食事を召し上がってますか?食欲がなくても食べなくては…」
「そ、そうですね…。でもこう暑くちゃ食欲もなくて…」
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「そんな…いけませんわ…。体力がもちませんわ…」
「ええ…気をつけます…」




「ローリー…私の勘違いかな…。鈴之介君…さっきご飯…食べてたよね…」
「どんぶり二杯…」
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「店のまかないもガッツいてなかった?」
「愛に飢えてんじゃね?」



「さ、さあもう一度やりましょう!今度こそ大丈夫ですので!」
「本当に大丈夫ですか?」
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「ええ、もちろんですとも!さ、始めましょう!」
「はい!」



「す…」
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「好き…」ポッ…



クラっ



ドテッ
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「キャーーーー!鈴之介さんっ」



― 亮達が所属するホームグラウンド ―



「もう少し…もう少し待ってくれ…」
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「分かってる!分かってるがそう簡単にはいかないんだ…」



「来週までになんとかする…」
「ああ…必ず…」
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「だから君の方もすぐに移植が出来るように…」
「よろしく頼む…」



ピッ
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「………」



「監督!来てたんですか?」
「亮…。あ…ああ…一応まだチームはあるからな…」
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「俺もなんだかんだ毎日足を運んでますよ(笑)」
「そうか…」



「ところでルビーはどうですか?あの後また発作がおきたと聞きましたが…」
「なんとか持ちなおした…。今は落ち着いてるよ…」
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「そうですか…。早くドナーが現れるといいのですが…」
「ああ…」



「亮…」
「はい?」
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「来週…時間あるか…?」
「ええ、ありますけど?」



「ちょっと話があるんだ…。悪いが時間を作ってくれないか…」
「話…?それなら今でも構いませんが?」
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「いや…来週にしてくれ…。病院の方に来てくれないか…その時にお前に話がある…」
「え…ええ…分かりました…」



「じゃ、俺はもう病院に行く…」
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「はい…」



「………」
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(…すまん…)



(…監督?)
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どこか監督の様子が変だった。なぜが歯切れが悪い。
思ったよりルビーの容態が悪いのだろうか…



それに、話と言うのは何の事だろう?金の事か?だが、その話はもう終わったはずだ…。
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では話と言うのは何の事だろう…?
この時亮は、どこか腑に落ちないものを感じていた。



― ラウンジ『ブルーライト』 ―



「え?サンセットバレーに?」
「ああ…。もうチームの事情は知ってるんだろ?それにルビーの事で、
俺がどうする事にしたのかも、お前が察してる通りだ。家は売るよ」
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「マジで?まあ…お前ならそうすると思ったけどよ…。
で、でも俺は?お前がサンセットバレーに行ったら俺はどうすんだよ…」
「だからお前にいま言ってんだよ。俺と一緒に来ないか?」



「行く」←きっぱり!
「即答だな…」
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「あたりめーだろ?ってかホッとした。置いてかれるのかと思ってビビった…」
「お前は俺の女か!」



「で、このみちゃんも行くの?」
「ああ。一緒に来てくれるって言ってくれた。それこそホッとしたよ…」
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「ラッキー♪ んじゃ向こうでもこのみちゃんに会えるな~」
「会わなくていいから…」



「で、即答したのはいいけど…何か忘れもんはねーのか?」
「忘れもん?そんなんねーよ。大して荷物もねーし」
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「そう言う事じゃなくて…。ローリーの事、いいのか?」
「べ、…別にあいつは関係ねーだろ…ロ…ローリーの事がなんで出てくんだよ…」



「お?」
「なんだよ…」
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「ゴルゴ君~なんか違ってきてるね?」
「だ、だから何が…」



「雰囲気が。前はそんな風に口ごもらなかっただろ?ローリーに惚れちゃった?」
「ちっ!ちげーよ!」
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「嘘つき~」
「嘘なもんか!なんで俺があんな野蛮な女に惚れんだよ!いい加減な事言うなよな!」



「へえ~。…ま、いいけど…」
「お、俺はな~あんなんじゃなく、
このみちゃんのようなフワ~っとした女の子がいいの!ローリーなんて問題外」
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「へ~ほ~は~」
「お前…ムカつく…」



「ゴルゴ…」
「なに?」
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「後で気づいても遅いぜ?」
「気づくって?」



「何が大切か、だ。俺は昔、大切な物を無くした事があるからよく分かる。
あの時の俺も後で間に合うと思ってた。だけど時は待ってはくれなくてな…」
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「だからこそ今度は絶対に無くしたくないんだ。
もうあの時のような後悔は二度としたくない。それをお前に言いたくってさ…」



「前に惚れてた女の事言ってんの?ふ~ん、初めてだな、お前がその女の話したの。
いつものらりくらりと誤魔化してたし」
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「別に誤魔化してた訳じゃねーよ」
「このみちゃんの友達なんだろ?」



「ああ。不思議だよな。彼女にも向こうで何度も会った事が会ったんだけど、
こんな感情が生まれるなんて思ってもみなかった」
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「運命の相手ってか?」
「かもな…(笑)」



「けどそれを言うなら俺はリンダの方が俺の運命の相手だと思ってた…」
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「でも実はその隣にいた、このみちゃんの方が俺の相手だったんだな。
そう考えると出会いって面白いな」



「だから何?俺の相手はローリーだって言いたいわけ?」
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「別にそんな事は言ってねーよ。
ただ、取り返しがつかなくなる前に、捕まえるもんは捕まえとけって事だよ」



「あんな~!お前だってそのリンダちゃんとやらを捕まえなかったから、
かえって、このみちゃんを捕まえられたんだろ?」
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「じゃ俺だっていまローリーを逃しても、違う女を捕まえる可能性だってあるって事じゃねーか!」



「逃す?って事はやっぱ惚れてんだ?」
「なんでそうなんだよ!例えばの話だよ!例えば!」
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「へ~ほ~は~」
「お前さっきからウザイ…」



「で、そのリンダちゃん……可愛い?」
「あ?」
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「可愛い?お前が惚れたぐらいなんだ。可愛いだろうな~」
「このみちゃんの次にな」



「これだよ…。ああ~ぜってー可愛いんだろうな。げー!俺、どうしよう…」
「何が?」
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「だって恋しちゃったら…」
「アイツは人妻だっつーのっ。ジーンの所に嫁に行ったよ」



「ジーン?もしかして……小泉ジーン?」
「知ってるよな。前に俺らのチームにいたし」
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「いや、俺が入った頃にはもうサンセットバレーに移ってた」
「あれ?そうだっけ?」



「だけどジーンの事は知ってるぜ。この世界じゃお前と対張るぐらい有名な男だし。
一度会って見たかったんだよな~。なんだ…あの男が旦那か…」
「そう。あの男が旦那。ジーンにスルッと持ってかれちまった(笑)」
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「と言うか、何者なんだよ?そのリンダって女。
お前とジーンを相手に…なんかスゲーな…。ますます見てみてー」
「意外と普通だって(笑)」



「ぜってーんな訳ないね。ジーンもめっちゃイケメンだし…」
「確かにイケメンだな(笑)」
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「けっ!世の中にはな~お前とかジーンよりも、
俺の方がいいって言う女だってわんさかいるのっ」←ビンゴ女とか?(笑)
「あ~いるね~。…ボソ…ローリーとか…



「だからローリーは…」
「向こうに行ったら会えなくなるぞ。
もしかしたら二度と会えなくなるかもしんねーぞ?それでもいーのか?」
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「べ、別に関係ねーし…」
「ふ~ん…」



「全然関係ねーし…」カラン…
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(関係ないって言う顔じゃないけどね…)



ピンポン♪
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「はーい!このみ?いいよ、入って!」



ピンポ~ン♪



「このみで!入って来てってば!いま手が離せないの!鍵はあいてるから!」
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カチャ…



「ね、一緒に食べる?
最近、料理に凝っちゃってさ~味見してよ♪その辺に座ってて。すぐに出来るから♪」
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「ローリー…」



「あんた…」
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「久しぶりだな…」



「やっと見つけた…。ずっとお前を探してたんだ…」
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第27話 「やっぱりお似合い?」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第27話



カチャ…
「あなた、誰か見えてたみたいだけど…どなたかいらしたの?」
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「あなた…?」



「あ…ああ…知り合いがな…。それよりルビーは?」
「今は呼吸も落ち着いてるわ」
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「そうか…」
「ルビー……大丈夫でしょうか…」



「大丈夫さ…。今までだって何度も発作はあったんだ…。それでもちゃんとよくなったじゃないか…」
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「でもだんだんと発作の感覚が短くなって来たわ…。
いくら宮沢さんが助けてくれると言っても肝心のドナーが出ない事には…」



「そうだな…」
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「そう……だな…」



「じゃ取引は成立ね。すぐに亮を説得してちょうだい。
婚約発表をした時点でドナーと現金はすぐに手配するわ」
「今すぐじゃないのか…?」

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「それはダメよ。私はまだ欲しいものを手に入れてないもの。
おたがいが欲しい物を交換して初めて、取引が完了するんじゃなくて?」




「君と言う人は…」
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「あなたの娘さんには可哀想だとは思うわ…。けれど私も必死なの…。
それに、あなたがすぐに亮を説得出来れば何も問題はないでしょ?」




「亮はすんなりとは行かない…それは君も分かっているだろう…」
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「ええ、分かってるわ。けれどあなたの言う事ならさすがの亮も聞くでしょ?
だって娘さんの命がかかってるんですもの。亮だってそれを犠牲にはしないはず…」




「君は悪魔のような女だな…」
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「何とでも言って結構よ。けれど忘れないでちょうだい。
あなたはその悪魔と取引したって事を…」




「あなたと私は共犯者なの。それを忘れないで…」
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(俺達は…共犯者…)



(亮……俺は悪魔に身を売ってしまった…。
お前になんと言えばいい?ルビーのためにあのお嬢様と結婚してくれと?)
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(やっと掴んだお前の幸せを………俺は……)



「和子…」
「え…?」
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「ルビーは助かるよ…。大丈夫なんだ…」
「だってまだドナーは…」



「大丈夫なんだよ…。数ヵ月後には元気に走り回ってるさ…」
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「あなた…?」



― 数日後 ―



「沙織?なに?私になんか用事?」
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「ローリーさん…」



「どうした?そんな顔して…」
「ええ…」
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「またゴルゴの事で相談?」
「いえ…そうではありません…」



「実は夕べ、鈴之介さんが実家へ謝罪に来たそうです。さきほど母から電話がありました…」
「そっか…」
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「私…なんだかじっとしていられなくて。
ローリーさん、これでいいのでしょうか…。すべて鈴之介さんに責任をなすりつけて…」
「沙織…」



「鈴之介さんはすべて自分の我が儘でこうなったと説明したそうです…。
けれど私の両親は本当は私のせいだと言う事を知ってるんです…」
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「だからこそ…そんな鈴之介さんに本当に申し訳なく思っていると…」
「そりゃ…そう思うだろうね…」



「彼のご両親からも私に謝罪の連絡がありました…。申し訳ないとひたすら謝って…。
でも私は……そんなご両親に対しても何も言えなくて…」
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「私は…本当にこれでいいのでしょうか…」



「いいんじゃない?」
「え…」
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「沙織は何も言わなくていいと思うよ…」
「でも…」



「鈴之介はきっとプライドを守ったんだよ。あんたのプライドも、自分のプライドも」
「プライド…?」
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「そう、プライド」



「きっとそれが鈴之介のプライドだったんじゃないかな…」
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「最後まであんたを守る事を。そして最後まで自分が男である事を。
きっとあいつはそれを守ったんだと思うよ」
「私を…守る…」


「鈴之介は絵ばかりやってるように見えて、実はちゃんと考えてる…。あんたの事も、自分の事も。
それから…自分の将来の事もね…」
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「鈴之介さんの将来…ですか?」
「うん。このまま家を継ぐ事に疑問を感じてた。ただの坊ちゃんだと思ってたけど、
そうじゃなかったな。奴は奴なりにちゃんと考えてたよ」



「今回の事も、鈴之介は自分が全部背負う事なんてちっとも気にしてない。
それどころか、沙織……あんたを守る事の方が大事だったんだ」
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「それを沙織がさ…鈴之介の両親や周りに余計な事を言い出したら、
せっかく鈴之介が守ったものが崩れちゃう」



「だから沙織は鈴之介に甘えてればいいんだよ…。
何も言わず、黙って受け入れればいい。それが鈴之介の願いだと思う…」
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「鈴之介さんの願い…」
「そう…。それが奴の願いさ…」



「って噂をすれば鈴之介じゃん。鈴之介!」
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「やあ!こんにちわ」



「あ……沙織さん…」
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「や、やあ!沙織さんも一緒でしたか!こんにちわ♪」
「こ、こんにちわ…」



「ところで鈴之介。
最近あんたアパートにいないけど、いつも何処行ってるわけ?絵も描いてないようだし」
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「ああ。アルバイトを探していたんですよ」
「アルバイト?」



「ええ…。社会見学と言うか…そんなものを経験しようかと…」
「社会見学…?…今更…?」
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「え、ええ…」



「嘘だろ……?」
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「本当は親に仕送りとか止められたんじゃないの?
急に留学なんて言い出したから…だから止められたんだろ?」



「え…」
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(留学…?)



「いや~ローリーさんは勘が鋭いな~!実はそうなんですよ!
仕送りどころか、カードもすべて止められてしまって(笑)さすがの僕もまいりましたよ(笑)」
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「笑ってる場合じゃないっつーの」



「あの…鈴之介さん…留学って…」
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「ああ、沙織さんには言っていませんでしたが、実は僕、
絵の勉強をしに留学する事にしたんです。それを言ったら両親が怒ってしまいまして…」
「そんな………まさか私のせいで…」



「まさか(笑)そんな事はありません(笑)」
「でも…」
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「本当にあなたのせいなんかじゃありません。どうしてあなたのせいなんですか(笑)
僕はどうしても絵の勉強をしたいんです。そのためにはもっと世界を見たいと思いまして!」



「で、アルバイトは見つかったの?」
「それが中々…。ローリーさん、どこか知ってませんか…?」
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「ない…事もないけど…」
「え?それは助かります!留学費用も作らなきゃならなくて、困ってたんです!」



「うちの店…来る?」
「ローリーさんのお店…?」
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「私とこのみがバイトしてるところだよ。店長に頼んであげる」
「本当ですか!」



「うん…。だけど本当にアルバイトするの?大変だよ?」
「もちろん大変なのは分かっていますがそんな事を言ってる場合じゃありません」
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「それに、いずれ海外に行ったらアルバイトをしながらの生活になると思います。
なので今のうちに経験しておかなければ…」
「そんなに…?…いくらなんでも両親もそこまではしないだろう?」



「いえ…すると思います…」
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「僕の父は意外と厳しい人なんですよ…。
自分で言い出した事の責任は必ず取れと…そう言う父です…」



「へえ~やっぱ普通の金持ちとは違うわ…。よし、分かった。
さっそく今から店長に電話してあげる。OKなら今夜からでも働けると思うよ」
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「ありがとうございます!助かります!では僕もさっそく履歴書なんぞを書いて来ますので!」



(鈴之介さんが留学…?)
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(そんな…きっと私のせいで…)



「では僕はこれで」
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「鈴之介さんっ!」



「沙織さん、どうしたんですか?」
「ごめんなさい…」
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「沙織さん?」
「本当にごめんなさい…」



「何がです?沙織さんが謝る事なんて一つもありませんよ(笑)」
「両親から連絡がありました…。……夕べ…鈴之介さんが謝罪に…」
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「ああ!その事でしたか!沙織さんのご両親には本当に申し訳ない事をしました。
ですがご両親は何もおっしゃいませんでした。お優しいご両親ですね…」



「違うんです!」
「え…」
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「違うんです…。本当は両親は婚約破棄の事を知っていました…。
あなたには、私の方から断ろうとしている事を知っていたんです…」
「沙織さん…」



「ごめんなさい…。謝らなければいけないのは私の方なんです…」
「そんな…」
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「私は……私は……鈴之介さん以外の人に…ゴ…ゴルゴさんに心を…」



「言わないで下さい!」
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「言わなくてもいいんです…」



「鈴之介さん……やっぱり知っていたんですね…」
「僕は…」
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「どうして…どうして何も言わないんですか…
私がゴルゴさんに惹かれてる事をどうして怒らないんですか?!」



「本当は全部私の責任なのに……それなのに…」
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「ごめんなさい…ごめんなさい…」



「沙織さん…泣かないで下さい…」
「ごめ……」
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「いいんですよ…。あなたがゴルゴさんに惹かれた事は悪い事でも何でもありません…。
むしろ僕は、あなたの恋を叶えてあげたいと思ってます…」



ヒック…私の恋を…?」
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「ええ…。僕が留学する前に…なんとかして叶えてあげたい…」
「鈴之介さん…でも…」



「そうだ!僕、いい事を思いつきました!」
「え…?」
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「沙織さんの恋を叶える作戦をたてましょう!」
「作戦…?ですか…?」



(なんじゃそりゃ…)
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「題して!ゴルゴさんを必ずゲットしちゃうぞ~~作戦です!」



「ゴルゴさんを…必ずゲットしちゃうぞ~~作……戦……?」
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「ええ、ローリーさんにも手伝ってもらって、
デートの練習とか、後は告白の練習とか、そう言うのをするんです!」



(鈴之介…どうみても言ってる事おかしいから…。
いっくら天然ボケの沙織でも『うん』って言うわけねーっつーの…)
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(告白の練習や…デートの練習…)



「どうですか!僕はとてもホットな案だと思います!」
「それは……」
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(だから…んな訳…)



「とっても素敵!」
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ズルっ…



「本当に手伝ってくれるんですか!」
「もちろんですとも!ゴルゴさんを必ずゲットしちゃうぞ~~作戦、頑張りましょう!」
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「はい、ありがとうございます!」



(やっぱりこいつらって……)
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(お似合いなんじゃ…?)



― 夜 ―



「さあ、言ってみな」
「はい…。…ヘ…へい…いら…いらっしゃい…いらっしゃ…」
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「へいって何?普通に ”いらっしゃいませ” でいんだって」
「あ…そうでしたか…」



「ほら、もう一度」
「…い、いらっ…いらっ…いらっさいましぇ…」
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「ましぇ…?」
「いら…いらしゃ…いら…」



「もういい。じゃお客様の注文取ったりカクテルを勧めたりしてね」
「あの…どうやって?」
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「カクテルはどうですか?とか。今はサービスタイムですよ~とか」
「は、はい、頑張ります!」



「ね、ローリー…。かなり無理があるんじゃない?」
「大丈夫だって。すぐに慣れるさ」
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「だけどさ……」
「大丈夫だから。ほら、お客さんだよ」



カランコロン♪
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「いらっしゃいま…」



「………」
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「このみ…この女…」
「うん……」



「あら…偶然ね…。ここでアルバイトをしてらしたの…?」
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(ウゲー!白々しっつーのっ)



「ええ…ここでアルバイトをしています。それが何か?」
「いえ…ただ大変そうだと思ってね…」
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「別に…」



「そこの店員さん、カクテルを一杯下さる?」
「売り切れました」
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「まあ…。では他の飲み物でいいわ」
「申し訳ありませんが、全部!売り切れました」



「あら…」
「あんたね~!何しに来たのよ!あんたのせいで亮さん達のチームが…」
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「ローリー!やめなって!」



「まあ…あなたのお友達?
クスクス…野蛮な人ね…。けど類は友を呼ぶって言うものね…」
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(ムカつく~~~!!!!!)



「帰っていただけませんか。ここはあなたのようなお嬢様が来るような場所ではありません」
「そうね…飲み物も売り切れたようだし…」
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「ええ、売り切れました。ですから帰って下さい」
「相変わらず気が強い事…」



「あなた…」
「何ですか…?」
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「私も来ないけど……亮も来なくなるかもしれないわね…」
「え…」



「きっと来なくなると思うわ。こう言うお店…私達には合わないんですもの…」
「私達?それはどう言う意味ですか?亮さんとあなたを一緒にしないで下さい」
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「そうね、まだ一緒じゃないわね…。でもそのうち私達は一緒になるわ…。きっとすぐにね…」
「なっ…」



「あんた、なに訳の分からない事言ってるのよ。頭がおかしんじゃないの?」
「頭がおかしいかどうかはもうすぐ分かるわ」
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「なにこの女…」
「私はこれで失礼するわ。
それにしても…お店の飲み物がなくなるなんて、ずいぶん繁盛してるお店ね?ふふ…」



「だからどうだって言うのよ!」
「きっとあなた達のような同じ人種の人で賑わっているのね…」
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「同じ人種って…あんた…何様なのよ…」
「ローリー…」



「では失礼」
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「………」



「このみ、気にする事ないよ!」
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「うん…」



(大丈夫…気にしてなんかいない…。でも…彼女はなぜあんな事を…?
まるで亮さんとすぐにでも一緒になるみたいに…)
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(ううん…きっと単なるはったりよ…そうに決まってる…)



「あ…」
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「ヘ…ヘイ…!いらっ…いらっ…いらっしゃいましぇ!カ、カクテルはいかがですか?
い、今はちょうど大売出し中です!ぜ、是非、この機会に…機会に…」



「………」
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「結構よ」



「あ、あの…でも……一杯ぐらい…」
「そこをどいて下さらない?」
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「あの…」



「失礼」
「あの…お客様~~!本当にお得なんです!飲まなきゃ損でございます!」
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(あの…バカっ…)



「お客様~~!お待ちを~~!」
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「ローリー…今すぐクビにするって言うのは…どう?」
「その考えに一票…」


 


続き、第28話へ 「嘘つきな恋心」
二度目の恋…タイトル一覧は 「こちら」   
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第26話 「悪魔の囁き」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第26話



― 数日後 ―
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小児科病院
 


カチャ
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「ルビー♪」



「あ!亮お兄ちゃんだ!」
「おいおい、ずいぶんと元気だな~」
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「ルビーね、ずっといい子にしてたからすぐに元気になったのよ!」
「そうか(笑)」



「お兄ちゃんたら全然来てくれないだもん!顔を忘れそうになっちゃったわよ!」
「悪い悪い(笑)」
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「ところで今日は紹介したいお姉さんを連れて来たんだけどな~」
「お兄ちゃんの後ろにいる人?」



「そう、ルビーに紹介したくってさ」
「誰?」
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「さて、誰でしょう?」
「お兄ちゃんのお友達?」



「はずれ」
「じゃチームのマネージャーさん?」
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「それも違う(笑)」
「え~誰かな~」



「あ、分かった!お兄ちゃんの新しい家政婦さんでしょ?」
「こらこら、家政婦をルビーに紹介してどうすんだよ(笑)」
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「彼女はね、俺の恋人。&未来のお嫁さん。どうだ、凄いだろ?」



「えーーーー!おっどろき~!」
「何でだよ?(笑)」
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「だって!パパが、亮お兄ちゃんはモテるけど恋人が出来ないんだよって言ってたもん!
だからルビーが大きくなったら恋人になってあげようと思ってたのに~~」



「それはそれは(笑)残念だな~」
「私は残念じゃないも~ん」
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「こいつ~(笑)」



「こんにちわ♪ 私はルビーって言うの、よろしくね♪」
クスクス…よろしくね。私はこのみよ」
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「わ~可愛い人ね~」
「え?」



「すっごく可愛いわ!お兄ちゃんにはもったいないぐらい!」
「そう?(笑)」
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「でもよかった!お兄ちゃんに恋人が出来て♪ これで私の肩の荷も降りたって感じよ!」
「おい、ルビー!どう言う意味だよ?(笑)」



「あのね、ルビーね、お兄ちゃんが大好きだけど、恋人にはちょっとって思ってたの。
だって年が離れ過ぎてるでしょ?やっぱり恋人は若くなくっちゃ!だからよかったわ!」
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「ぷっ!」



「な?ませてるだろ?」
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「うん(笑)」



「ね、お姉ちゃん、私の宝物を見せてあげよっか?」
「わ~いいの?」
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「いいわよ。特別なんだから!」
「ありがとう(笑)」



「俺、ちょっと監督のとこに行って来るから」
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「分かったわ。私は特別な宝物を見せてもらってるから♪」



カチャ…
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(ルビー…元気になってよかったな…)



(後はドナーさえ出れば…)
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(大丈夫だ…あんなに元気なんだ。ルビー…もう少し頑張ってくれな…)



「あなた…」
「ん…?」
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「あの子…これからどうなるんでしょう…」
「もちろん大丈夫さ…」



「そんな事言って…ルビーの手術代はどうするつもりなんですか…」
「俺がなんとかするよ…お前は心配しなくていいから…」
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「でも!チームがこんな事になってどうやってなんとかするんですか!
銀行だってもう貸してはくれないわ!」
「それは…」



「もし今日にでも移植出来る事になったらどうするんですか…。
すぐにお金を用意なんて出来ないじゃないですか…そうなったら…そうなったら…」
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「大丈夫だ…大丈夫…」



「私…ルビーがこのまま死ぬなんて耐えられない…」
「当たり前だ…そんな事には絶対にならない…」
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「あなた…お願いです…なんんとかして…なんとかあの子を…」
「和子…」



カタ…
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「監督…」



「亮か…。来てたのか…」
「はい…彼女を紹介しようと思いまして…。今はルビーと遊んでます…」
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「そうか…。今行く…」



「あの…監督…」
「なんだ?」
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「手術代の事なんですが…」



「聞いてたのか…」
「すみません…」
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「はは…心配しなくても大丈夫だから…。親戚にも頼んであるし、なんとかなるさ」
「俺に……俺に助けさせて下さい…」



「なに?」
「俺が残りの足りない分を用意します…」
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「用意するってお前…どんな額が知ってるのか…?」
「ええ、知っています…」



「ありがたいけどな…
けどいくらお前でもどうやって用意するんだ?あんな金額…ポンと出せる額じゃないぞ…」
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「家を売ります。あの家は土地柄もいいし結構な額になります。もうその手配もしました。
それでも足りない場合はもう一つある口座も解約します」
「亮…」



「お願いです…。俺にどうか……助けさせて下さい…」
「すまん…それは出来ない…」
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「監督…」



「例え、お前に借りたとしても返せるあてはない…。
それに…お前にすべてを失わせる訳にはいかないんだ…」
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「だが気持ちだけはもらっとく…。ありが…」



そんな事を言ってる場合ですか!
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いま大事なのはルビーの命です!俺の事はどうでもいい!



「俺は…あなたに助けてもらってここまで来ました…。
そのあなたのためにすべてを無くすのなら構いません。そんな事はどうでもいいんです…」
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「それに、金を返してもらおうとも思ってません。
金はまた稼げます。俺はまだまだ十分やれますから」



「それは…あたなが俺をここまで大きくしてくれたから…」
「亮…」
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「お願いです…」
「俺は…お前に頼ってばかりいるな…」



「昔は俺の方が監督に頼ってばかりいました…。
次は俺が恩返しをする番です…。だから…どうか…」
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「すまん…すまんっ…」



「宮沢さん……ありがとうございます…ありがとうございます!」
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「奥さん…どうか頭をお上げください…」



「さ、俺の彼女を見てくれませんか?あまりにもいい女なんで嫉妬しないで下さいよ!」
「そんなにか?(笑)」
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「ええ!そんなにです!」
「分かった、さっそく見ようじゃないか(笑)」



(亮…お前に一生かかっても返せないほどの借りが出来ちまったな…)
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(ほんとうにすまん…。すまん…)



「はじめまして、中山このみです」
「お~!君が我がヒーロー殿を射止めた姫君だね?亮にはもったいないな~。
考え直すんなら早い方がいいぞ?」
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「そうですか(笑)」
「いや~亮はよくモテはするんだが、どうも真剣になれなくてな~」



「監督!余計な事は言わないで下さい!こう見えても怖いんですから…」
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「はは!亮をビビらせる女性が現れるとはね(笑)」



「パパ、私ね、ホッとしてるの」
「なんでだ?」
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「だって亮お兄ちゃんに誰もお嫁さんが来なかったら可哀想でしょ?私、不憫に思ってたの」
「なんだって?」



「不憫よ、ふ・び・ん。気の毒な人の事をそう言うんでしょ?」
「こいつ~どこからそんな言葉を仕入れて来たんだ?」
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「看護婦さんが喋ってるのを聞いたも~ん」
「こら!(笑)」



「亮さん、気の毒がられてたんですね(笑)」
「ルビーのやつ…後でおしおきだ!」
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「ぷっ!」



「ね、パパ、アイス食べたい!いい子にしてたらか食べてもいいでしょ?」
「いいよ。約束だもんな」
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「じゃ早く買いに行こう!売店までなら歩いても平気でしょ!」
「分かった分かった(笑)」



「亮、ちょっと行ってくる。その辺でくつろいでてくれ」
「はい(笑)ごゆっくりどうぞ♪」
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「このみさん、亮の悪口は後でたっぷりと聞くから」
「はい(笑)」



「あ兄ちゃんとお姉ちゃんの分も買って来るからね!」
「うまいやつ買って来いよ~」
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「まかして!」



「ルビーちゃんって大人ですね…」
「ああ…小さい頃からずっと入院生活なのに文句の一つも言わない子でな…」
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「早くドナーが見つかるといいのに…」
「大丈夫だ…。きっとすぐに見つかるさ…」



「パパ!ママ!早く早く!」
「ルビー!走るな!」
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「平気よ!これぐらい!」



「ルビーは絶対に大丈夫だ…絶対に…」
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(頼む…。どうかあの家族の幸せを奪わないでくれ…)



― 夕方 ―



「あ…」
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バッタリ



「よう!鈴之介じゃねーか!」
「こんにちわ…」
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「なに?買い物?」
「ええ…」



「ちょうどいいや。俺、腹減ってんだよね。せっかく会ったんだ、一緒になんか食いにいかね?」
「いえ、僕は………あ…いや…はい…」
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「なんだよ、どっちなんだよ?」
「行きます…。行かせていただきます…」



「なにがいい?あ~でもお前はお坊ちゃんだからな~高級な物しか食えないとか?」
「そんな事はありません」
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「じゃその辺でハンバーガーでも食うか?」
「ええ、それで結構です」



「残念だったな」
「え?」
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「落ち込んだろ?」
「落ち……そ、そりゃ…落ち…落ち込みましたが……」



「だけど人の心はどうしようもない訳で…」
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「は?」
「心だけはどうしようもないじゃないですか…」



「でも僕は決してあなたをうら…恨んでる…じゃなくて…ぶっとばしたい…
じゃなくて…そうじゃなくて…」ブツブツ…
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「…えーと…とび蹴りを食らわしたい…じゃなくて…
その髪の毛を掴んでぶんぶんと振り回したい…じゃなくて…」ブツブツ…



「何ブツブツ言ってんの?金賞の事だよ」
「え?…あ、ああ…その事ですか…。いえ…それは仕方がない事なので…」
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「まあ、お前はまだ若いんだ。次があるじゃねーか…」
「ええ…」



「ところでゴルゴさん」
「あ?」
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「ゴルゴさんにはいい人がいるのでしょうか?」
「いい人?」



「はい。…その…ゴルゴさんのステ…ステディーの事です…」
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「ああ、残念ながら、いねーいねー。欲しいけどさ、これが中々な~。
この間もナンパしてベットまで連れ込んだんだけどよ、ありゃダメだわ~」
「ベット…?」



「ああ。結構簡単につかまってよ~ラッキーって思ったんだけどな(笑)
んでラブホまで行ったんだよ。あ、ラブホって分かる?男と女が『何』するところ」
「…『何?』」
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「だ・か・ら~エッチな事をするとこだよ!」
「エッチ…」



「その女がよ~ビンゴとか言い出すんだよ…。まいったぜ…」
「ビンゴ…?」
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「だから~、俺がさわさわした所がズキュンと来てビンゴって事だよ」
「…ズキュン…」



「あーあ…途中まではよかったんだけどな~」
「ゴ、ゴルゴさんは見知らぬ女性とそんないかがわしい所へ…」
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「まあ、いかがわしいっちゃいかがわしいけどよ…。
てかお前が言うとスゲーいかがわしいように聞こえるね…」



「けどさ、最近はそうでもないぜ。結構おしゃれでカラオケまであったりすんだぜ?
ったく…ラブホまで来てカラオケってか?」
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「あれだな、テクに自信がねー男がとりあえずカラオケでも…って感じだよな(笑)
ま、俺はテクに自信があっからそんなもんいらねーけどな~」



ガタっ
ゴ、ゴルゴさん!
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あ、あなたと言う人は!!!!!



「なに、いきなり…」
「あなたはそんな事をしてはいけません!
あなたにはこれから、とってとってもいい人(沙織)が待っているのですから!」
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「は?」



「いいですか!もう二度と!そんな事をしてはいけません!
ちゃんと身を清めていい人(沙織)との未来に備えて下さい!」
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「身を清める?意味分かんねー…」



「ぼ、僕は今回の事には目をギュッとつぶります!」
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「ええ、ええ、誰にも言いませんとも!
言ったらあなたのいい人(沙織)が傷ついてしまう!そんな事はしちゃダメだ!」



「だから何の話だよ…」
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「も、もう…さわさわとか…エッチとか…ズキュンとか…ぬ…濡れ濡れとか…
そんな事は言ってはいけないしやってもいけません!分かりましたか?!」



「…濡れ濡れ…俺…それは言ってないけど…」
「分かりましたね!?」
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「てかお前…意外とドスケベなんじゃ…?」



「ぼ、僕はこれで帰ります!不愉快だ!」
「おい!」
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「失礼します!」



「何あれ…」
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「…って言うか…俺のいい人って何?」



(沙織さんっ!大丈夫です、僕がちゃんと言い聞かせましたからね!
彼はもう二度とそんな事はしませんよ!)
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(そうさ…さわさわとか…ズキュンとか…濡れ濡れなんて…そんな事……そん…な事言っちゃ…)



(ダメ…)
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つーーーーーーーーーっ



― 亮の自宅 ―



「ところでお嬢さん、俺、もう少しで一文無しになる。俺を養ってくれる?」
「う~ん…どうしようかな…」
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「てめーこの間言ってた事と違うじゃねーか」
クスクス…



「でもマジで。かなり貧乏になる。悪いな…」
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「いいえ…平気です。
でもチームはまだあるんですよね?だったらまだ分からないじゃないですか」



「それがな…。チームはあるけどメンバーのほとんどの移籍が来まっちまったんだ…。
残ってるのは俺とゴルゴと後2、3人ってとこだな…」
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「そうなんですか…」



「とりあえずルビーの手術を見てから動こうと思ってる。
ひょっとしたらジーンのところに行くことになるかも知れない」
「え?じゃサンセットバレーに?」
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「ああ。向こうの監督からはすでにオファーがきてるんだ」



「なんだ!じゃ何も心配する事ないじゃないですか!」
「俺が心配してるのは君のこと」
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「え?私の?どうしてです?」



「君はこの町に絵の勉強に来てるんだろ?学校だってあるだろうし。
この町を離れる訳には行かないんじゃないのか?」
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「あ、そっか…」



「だろ…?」
「そう…ですよね…」
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「それともなに?俺についてきてくれる?」
「え…」



「俺と一緒にサンセットバレーへ…来てくれる?」
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「…亮さん…」



「な~んてな…。うっそ。冗談」
「冗談なんですか?」
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「え?」
「冗談なんですか?」



「いや…けっこうマジ…」
「じゃ行きます」
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「は?」
「行きます。どこへでも」



「マジで?」
「はい。絵はどこでも出来るし。行きます、一緒に。
だってピカピカした物をプレゼントしてくれるって言いましたよね?」
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「はい…言いました…」
「それをもらわなくっちゃ!」



「ぷっ!」
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「でしょ?」
「ああ…そうだな(笑)」



「おいで」
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「あ…」



「本当にそうだな…。君との約束を守らなきゃな…」
「そうですよ(笑)」
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「よかった…」
「え?何がです?」



「君に出会えてよかった…」
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「亮さん…」
「なんでこんな宝物がすぐ側にいる事に気づかなかったかな…」



クスクス…それはね…」
「それは?」
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「まだ磨いてなかったからです(笑)」
「いつ磨いたんだよ?(笑)」



「亮さんに出会って磨かれたんです…。いつの間にかピカピカ光ってた…。
って普通、自分で光ってるとか言いますかね?(笑)」
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「言わない(笑)」
「もう!」



「……愛してる…」
「……やだ…」
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「何が?」
「だって…心臓がドキドキしてきちゃった…」



「君を愛してる…」
「倒れそう…」
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「愛してる…」
「もうだめ…」



「普通、私も…とか言わない?」
「無理…もうバクバクしちゃって…」
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「言えよ(笑)」
「無理…。部屋が明るすぎる…」



「なんだよそれ(笑)」
「………いしてます…」
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「…ん?」
「…あなたを………愛してます…」



「もう一度…」
「だから無理…」
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「無理じゃない…」
「無理なの…」



「よし。ベットの中で聞く。言うまで苛めるかならな」
「やだ~」
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「やだじゃない。スケベなお兄ちゃんとニャンニャンしよ~ね♪」
「やだぁ~!(笑)」



「あなた…本当に宮沢さんにはなんとお礼をしたらいいのか…」
「そうだな…。でも今はルビーの事だけ考えよう。亮にはいずれちゃんとするつもりだ…」
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「でも…どんなにお礼しても足りないわね…」
「ああ…」



「だけどよかった…。本当によかった…」
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「後はドナーさえ出れば…」



「…マ…マ…」
「あら、どうしたの?お腹でもすいた?」
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「…る……し…」
「え…」



「マ…マ………くるし……の…」
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「はあ…はあ…」



「ルビー!あなた!先生を呼んで!」
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「分かった!」



「…マ…はあ…はあ…」
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「ルビー!しっかりしなさい!ルビー!」



「お母さん、外へ出てて下さい!」
「ルビー!」
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「和子…出るんだ………和子!」
「ルビー!」



― 数時間後 ―



カチャ…
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「先生…」



「とりあえずは落ち着きました…」
「あ、ありがとうございます!」
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「どうぞ…側についてあげて下さい…」
「はい…」



「先生…」
「ルビーちゃんはとてもよく頑張っています。一刻も早くドナーの順番が来る事を祈りましょう…」
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「ええ…」



「では私はこれで…」
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「ありがとうございました…」



「………」
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「ルビー…」



ドサッ
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(…何度……苦しめばいいんだ…)



(…何度…娘を苦しめたら気が済むんだっ!)
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20110708164637.jpg
カタ…



「………」
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「こんばんわ…」



「お嬢様…」
「ごきげんよう…」
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「どうしてここへ…」
「今日はあなたに提案があって来たのよ…」



「提案…?」
「ええ…」
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「…チームの事ですか…。今更あなたに言われても遅すぎます…。
チームはもう全滅だ…。金持ちお嬢様の気まぐれですべてお終いだ…」



「あら…でもまだ間に合うものがあるんじゃなくて?私はそう思ったからここへ来たのよ…」
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「え…」
「あなたの娘さんを助けるための提案よ…」



「…何の事だ?」
「私と取引なんて…どうかしら…?」
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「取引…?」
「そう…取引よ…。あなた…娘さんの手術代が欲しくない…?」



「何が言いたいんだ…」
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「だから取引よ…。…あなたに手術代を用意する代わり…」



ガタっ
「どう言うつもりだ?!金と引き換えに何を求めてる?!」
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「分かってるでしょ?」
「いいや、分からないね」



「嘘よ…。亮との事…知ってるでしょ?
私、彼とやり直したいの。そのためだったら何だってするつもりよ」
「君はやはりお嬢さんだな…。考えが甘い…」
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「そうかしら…?」



「俺が金と引き換えに君の用件を聞くとでも?
俺が亮を説得して君とやりなおすよう言うとでも思ってるのか?冗談じゃない!」
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「私も冗談じゃないのよ…」



「残念だったね、お嬢さん。俺はいくら金を積まれても断る」
「あら…でも今はお金が必要なんじゃなくて?」
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「必要だとも。けれどあいにくその心配はいらないんだ。金ならある。
君の計画は失敗に終わったと言う事だよ」
「あら…そうだったの…。きっと亮が用立てたのね…」



「はは…残念だったな。君は亮を甘く見過すぎてる」
「そうね…そうかも知れないわ…。でも…あなたも私を甘く見過ぎてるわ」
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「どう言う事だ…?」
「うふふ…」



「とにかく帰ってくれないか…。今更君と話す事など何もないはずだ」
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「お金だけじゃないのよ…私のプレゼントは…。
あなたが今一番欲しいものをあげると言ってるの…。とても…素敵なプレゼントよ…」
「何を言ってるんだ…?」




「心臓」
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「…え?」



「心臓よ」
「心臓…?」
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「ええ…心臓…。欲しくない?」
「どういう事だ…」



「あなたが手を貸してくれたらすぐにでも移植手術が出来るよう手配するわ…」
「手術…?」
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「そう…。すぐにでも」
「だがそんな事は出来るわけ…」



私を誰だと思ってるの?二宮家の人間よ!
裏に手を回すことぐらい出来ないと思って?!

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「まさか…」
「現にもう…手は回してあるわ…」



「けれどそんな事は違法だ…」
「ええ、いけない事ね…。けれど娘さんを助けたいでしょ?」
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「…あんたって人は…」
「あら…やっぱりこれもダメだったかしら?…そう…残念ね…。
私もやっぱり甘かったわね…。それじゃ今のは聞かなかった事にして下さらない?」



「失礼するわ」
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「あ…」



(…まさか…出来るのか?そんな事が…。…だが…もし出来たとしたら…)
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「ルビー…」



「………」
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「………ってくれ……」



「待って…」
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「待ってくれ!」





続き、第27話へ 「やっぱりお似合い?」
二度目の恋…タイトル一覧は 「こちら」   
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第25話 「それぞれの愛…」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第25話



ダッ!
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「和子!」



「あなた!」
「ルビーは!?ルビーは!?ルビーはどうなんだ!」
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「大丈夫よ…大丈夫。ルビーは今はICUに入ってるわ…」



「ICU?!おい!本当に大丈夫なのか!?」
「大丈夫よ…落ち着いて」
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「だけどっ!」
「本当に大丈夫なのよ!今はぐっすりと眠っているわ!」



「寝てる…?」
「ええ…ぐっすりと…」
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「そうか…。よかった…よかった…」



「あなた…先ほど先生がお話があるとおっしゃってたわ…」
「話が…?」
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「ええ…。あなたが来たらすぐに来るようにと…」
「分かった…。すぐに行ってくる」



(とうとうこの時がやってきたのか?恐れていたこの時が…?)
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(ダメだ…そんな事には絶対にならない…!)



「監督…」
「ちょっと行って来る…。すまんが妻に付いててくれないか…?」
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「はい…」



「………」
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「行ってくる…」



カチャ
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「失礼します…」



「吉田さん…お待ちしておりました…」
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「先生…。ルビーは…ルビーは…」



「残念ながらもう時間がありません…」
「な、なんとかならないんですか!?金ならすぐに用意します!だから…」
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「申し訳ありません…。
ルビーちゃん以外にも同じ状況で待ってる子が数人いるんです…」



「私たちはただ…ドナーの順番を待ってるしか出来ないんです…」
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「そんな…」



「これ以上時間が経つと移植も出来なくなります…。
万が一ドナーが間に合わなかった場合…覚悟を………しておいて下さい…」
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「まさか…」
「あくまでも万が一です…」



(ルビー…)
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きっとこれが最後通告なのだろう。
覚悟していた事とは言え、早すぎる…!



頼む…どうか連れて行かないでくれ…。
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娘はまだ何もしていないんだ…。
まだ…一歩も人生を歩んでいないんだ…。



「もちろんドナーが早まる事もあります。そのための準備はしておかねばなりません」
「ええ、それはもちろん…」
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「ただ…」
「え…?」



「あの…大丈夫なんでしょうか…?よからぬ噂があるようなので…」
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「ああ…チームの事ですね…。大丈夫です…心配はいりません。手術代はかならず…」



「そうですか。それを聞いて安心しました。なにせ移植には莫大な費用がかかりますので…」
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「大丈夫です…」



「かならず…」
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「用意いたします…」



― 夜 ―



「嘘!なにそれ!」
「うん…いきなり亮さんは渡さないって言われちゃってさ…」
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「げ~!どんだけな女なのよ!で、あんた、すごすごしながら逃げたんじゃないでしょうね?」
「まさか!ちゃんと言い返したわよ。私も絶対に渡しませんって」



「よく言った!」
「でも心臓がバクバクだった…」
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「だろうね…」



「ローリー…」
「ん…?」
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「私ね…亮さんにプロポーズの予約………されちゃった…」
「予約?なにそれ?」



「だから、前予約よ。後で必ずプロポーズするよって言う感じの…」
「めんどくさっ。それって早い話がプロポーズでしょ?」
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「そっかな…」
「そうでしょうよ。ったく…回りくどい事すんね…」



「でもね…今はスポンサーの件でバタバタしてるから当分先の話になりそう…。
それに、もしかしたら違う町のチームに移籍するかもしんないし…」
「移籍…」
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「もしかしたらね。詳しい話は私も聞いてないの。って言うか聞けなくてさ…」
「そっか…」



「そうなったらたぶん…ゴルゴさんも一緒に行く事になるかも?
亮さんは絶対に連れ行くと思うのよね…」
「ゴルゴも…?」
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「うん…そうなると思うよ…」
「そう…」



「淋しい…?」
「え!?」
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「淋しいでしょ?」



「な、何が…」
「ローリー、ほんとのところ、どうなの?」
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「どうなの…って?」
「ゴルゴさんの事。ほんとに何とも思ってないの?」



「お、思ってないわよ!」
「嘘ね」
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「嘘ってあんたね~~!」
「すっごい動揺してる」



「ど、どどどど動揺なんか…」
「してる」
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「…し、してない…して……して…る…かな…」
「やっぱり(笑)」



「あーあ…このみには嘘つけないや…」
クスクス…!何も隠す事ないじゃんっ。好きなんでしょ?ゴルゴさんの事」
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「好きって言うか…気になるっていうか…」
「それが好きって事でしょ?(笑)」



「はあ~まいったな…」
「どうして?何もまいる事なんかないじゃない?」
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「それがあるんだって…」
「何で?」



「何でって…ちょっと色々とさ…」
「何よ?」
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「まあ、あんたにはいずれバレるしね…」



「沙織ちゃんが…?」
「うん…。ゴルゴに惚れちゃってんの…」
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「だ、だって沙織ちゃんは鈴之介君と結婚するんでしょ?なのに…」
「あいつらは婚約解消したよ…」



「うそ…」
「ほんと。…沙織がさ…いつになくマジなんだよね…。
あのおっとりしてる子が、ゴルゴにちゃんと自分の気持ちを言うって言い切った…」
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「そんな…」
「鈴之介は鈴之介でさ、そんな沙織の気持ちを察して自分から婚約解消したんだよ…」



「自分から?なんでまたそんな事…」
「沙織の事を思ったんだろうよ。沙織が自分からは言い出せないだろうと思ってさ…」
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「なんか正直ビックリ…。鈴之介君がそこまで沙織ちゃんの事を思ってたなんて…」
「あいつはマジで惚れてるよ。
あげくのはて、沙織の恋を叶えてあげたいなんて抜かしやがった…」



「まったく…。いい男だらけでまいるわ…」
「え?まいるってそっちの事?
もしや鈴之介君に心を動かされてゴルゴさんとの狭間で悩んでるとか?」
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「違うから」
「やっぱり?」



「でもゴルゴにはさ、私なんかより沙織の方が合ってると思うし、
もしうまくいけばそれが一番いいのかな…なんて思ったりもするんだよね」
「そうかな…」
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「そうだよ。鈴之介には可哀相だけどさ…
それに鈴之介だって愛がない結婚はやめた方がいいと思うし…」



「だけどローリーはそれでいいの?ローリーのゴルゴさんへの気持ちは?
私は沙織ちゃんよりローリーの方が合ってると思うけどな…」
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「んな訳ないって…」
「んな訳あるって。別に沙織ちゃんがどうのこうのって訳じゃないの。
ただ二人はさ…ローリーとゴルゴさん、何故か同じ匂いがするのよね」



「匂い?」
「匂いって言うかなんて言うか…。うまく言えないけど二人は似合ってると思った」
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「まさか。いつもケンカばかりしてるのに…」
「そのケンカを見てるとさ、夫婦に見えたよ。長年一緒にいる夫婦って感じ(笑)」



「一言で言うと犬も食わない夫婦喧嘩?のように見えたよ(笑)」
「そ、そう…?」
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「うん(笑)いつもケンカしてる二人だけど夜になるとベットで仲直りする…みたいな(笑)」
「ベット…ってか?」



クスクス…おかしいよね(笑)
キスもしてない二人なのに、そんな風に見えるなんて私もどうかしてるね(笑)」
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ゴニョ……やったからね…



「でも本当にそう見えたのよ。あ、あの日からかな~
ほら、ゴルゴさんを追いかけていった日。あの日を境にそう見えたんだよね」
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ゴニョ……だからやったからね…



「二人がうまくいけばいいな~なんて思ってるからそう見えるのかな?(笑)」
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ゴニョ……だからやっちまったんだっつーの…



「ローリー、さっきから何ぶつぶつ言ってんの?」
「別に…」
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「とにかくさ、一番大事なのはゴルゴさんの気持ちじゃない?
肝心なゴルゴさんの気持ちが誰にあるか…そこが大事だと私は思う」
「ゴルゴの気持ち…」



「あいつの気持ちか…」
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「君、一人?」



クスクス…一人ですぅぅ」
「うおっ!マジで?じゃさ…俺とデートなんて…してみる?
君、スゲー俺の好みなんだけどな~」
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「わっ!ほんとですか!
実は私もさっきから気になって声をかけようかな~なんて思ってたんです♪」



「へえ~奇遇だね~。もしや運命の出会い?なんちゃって」
「やだ~~上手なんだから~クスクスクス…
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「分かんないぜ?見知らぬ男女の出会いがどこにあるかなんてさ…」
「うふふ…。でも私…前からあなたの事知ってます(笑)」



「え?俺の事知ってんの?感激だな~~」
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「みんな知ってますよ~♪ だってサッカー選手の眉墨ゴルゴさんですよね?
私、前から大ファンでした!友達もかっこいいって言ってましたよ♪」



「へえ~俺って結構有名人なんだな~」
「ええ、超有名人ですよ!なので声をかけてもらえて凄く嬉しいです!
私…ゴルゴさんとならどこへでも行きたいって感じです…」
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「あれ?そんな事言ってもいいのかな~?俺、マジでどこでも連れてっちゃうよ?」
「え~~どこってどこですかぁ~?(笑)」



「例えば…ベットがあるお部屋…とか?」
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「キャーーーーー!エッチ!」バシッ!バシッ!
「イテ…」



「マジで行く?行く?行っちゃう?」
「え~どうしよっかな~
でも…行っても…いいかな…なんて…やんっ恥ずかしっ」バシッバシッ!
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「はは……(言ってみるもんだな…)」



「よ~し、じゃまずは飯でも食おうか?何がいい?君の好きなものご馳走するよ」
「え~~いいんですかぁ?私、ご馳走してくれるのなら何でもいいですぅぅぅぅ」
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「何でも?OK。じゃハンバーガとかは?それをちゃちゃっと食ってからさ…」
「え~~ハンバーガーって言うより~ナイフとフォークが使えるところがいいって言うかぁ~」



「え?ナイフとフォーク…?」
「あ、でも何でもいいんですけどぉ~」
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「でもでも出来れば夜景が綺麗な所とかぁ~
ワインも飲みたい気分だし~おしゃれなフレンチもいいなぁ~なんてっ!えへっ♪」



「それ…いいね…」
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ボソ…何でもいくねーし…



― ラブホ ―



「あ…」
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「ゴルゴさん…」



「本当にいい?」
「はい…」
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「マジでいただいちゃうよ?」
クスクス…いいですよ…。ゴルゴさんに食べられるなんて夢のようですぅ…やんっ」



「じゃ遠慮なく…」
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「いただきま~す♪」



「あっ!」
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「あ~~~ん!すごーい!やんっ!あっ!」



「素敵っ!やんっ!えっち!あっあっ…いいっ…すごい…すごいっ…やんっ!」
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(…この女…うるせー…)



「あっ…ゴルゴさん!そう!そこよ!ビンゴよビンゴ!
いいわ!感じちゃうぅぅ!とってもビンゴなのぉ~ビンゴビンゴビンゴ~!」
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「………」



(なんか…萎える…。って言うかもっと可愛い声出せよな…)
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(例えば……あの夜のローリーのように…)



「あ……ん……あっ…そこは…」
「…んだよ…もう感じちゃった?…」
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「だってそこ弱いから…あ…」
「感度抜群…」



「もっと感じさせてやる…」
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「は…あっ……」



「ゴルゴさん、早くぅぅぅぅぅぅ」
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「…ローリー…」



「早くってば~~」
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「…ごめん…」



「ああんっ…早く来てくれないとや~ん……私、もっとビンゴが欲しいのぉ~」
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「ビンゴはもうお終い。ってゆーか、全部ビンゴなんじゃねーの?」
「やだんっ!…全部なんて……って…え?」



「悪い。今日はやめた。俺、帰るわ」
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「あの…?」



「一人で盛り上がってくれ」
「…は?」
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「じゃな」
「ゴ、ゴルゴさぁぁぁぁん…」



「…って…」
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「また中途半端だし…。ちくしょう…」



鈴之介の実家
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一方、沙織との婚約解消を両親に伝えた鈴之介。
両親はただただ唖然とするばかりだ。



「なん…だって?いったい何があったんだ…?」
「すみません…。僕の我がままです…」
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「お前…何を言っているのか分かっとるのか?」
「はい…分かっています…」



「鈴之介!結婚は子供のお遊びとは訳が違うんだ!先方にどう言い訳するつもりだ!」
「僕が!僕がきちんと謝罪にお伺いします…」
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「それでいいと思っておるのか!謝ればそれで済むと!?」
「申し訳ありません…。それともう一つ伝えたい事があります…」



「何だ!?」
「ぼ、僕は留学する事にしました。…この国を離れて海外へ…」
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「なん…だと…?」
「絵の勉強をしに…海外へ行かせて下さい…」



「お前…!」
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「僕は!……僕はどうしても納得の行く絵を描きたいんです…。
そしていずれは金賞を…。…それだけはどうしても…」



「…よーく分かった…。お前にはほとほと呆れたわい…」
「あなた…」
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「好きにすればいい」
「お父さん…」



「海外に行くと言うのなら行かせてやろう。
ただし、この家にもう二度と戻って来られるとは思わない方がいい」
「あなた!何もそこまで…」
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「お前は黙ってなさい。私はこいつを少し甘やかし過ぎた。こんな事じゃこの家は任せられん!」



「鈴之介…。私の肩には何千人もの社員を守るという責任がかかっている。
その家族も含めると万と言う人数だ。いずれ…お前もそれを背負う事になる」
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「だが…お前のような甘っちょろいお坊ちゃんには無理だ。
お前の我がままでその家族を路頭に迷わせる訳にはいかないんだ…」



「私にも夢がなかったと思うのか?ただこの家を守るためだけを生きがいにしていると…?
そうじゃない。私にも夢はあったしやりたい事が山程あった!」
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「だがな…これが私の宿命なんだよ…。芦屋家に生まれた宿命なんだ…。
お前もそれを分かっていたんじゃなかったのか?違うのか…?」



「僕は…」
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「お前には私のような思いはさせたくはなかった。
だから絵の事も許してきたつもりだ。それが次はどうだ?留学だと?」



「申し訳なく思っています…。それでも!僕は絵をやりたい…。絵を………やりたいんです…」
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「よかろう。お前にはこの家を継ぐ資格なぞない…。どこへでも行きなさい…」



「寝るぞ」
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「あなた…」



(ふんっ。やれるものならやってみればいい)
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(今までどれだけこの家に守られて来たのか思い知るだろう…)



(だが……私もあれぐらいの根性があったならな…。
私は父親にたてつく事など出来なかった…。私はお前が羨ましいよ…)
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(まったく…いつの間にあんなに大きくなったんだ?
クス…あの頑固さは親父にそっくりだ…)



(知ってるか?鈴之介…この家をこんなに大きくしたのは他でもない、その頑固爺さんだ…)
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(これからの時代、あれぐらいの頑固さが必要かも知れんな…)





続き、第26話へ 「悪魔の囁き」
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