第3話 「故郷の匂い」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第3話



2年ぶりに亮と偶然出会ったこのみ。
二人はサンセットバレーでのあのデート以来だった。そう…あの濃厚なエールをもらった以来だ。



「え?亮、この娘知ってんの?」
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「知ってるも何も…。な?このみちゃん」



「はい、お久しぶりです、亮さん」
「久しぶり。2年ぶりぐらいかな?元気そうだ」
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「ええ、元気です♪ 亮さんも元気そうですね」
「ああ、俺も相変わらずさ」



「ちょっと、このみ。あんた宮沢亮と知り合いだったの!?」
「うん、田舎が一緒なのよ」
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「なんで言ってくんなかったのよ!私、すっごいファンだったのよ!」
「そうなの?知らなかった」



「初めまして~私、ローリーって言います。このみのマブなんですぅ~」
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「初めまして、亮です(マブ?)」



(この女…なんだ今の甘い声は?)
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(さっきのドスのきいた声はどうした?あ?)



「なに?ここで働いてんだ?」
「ええ、週に3回、ここで働いてます」
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「へえ~偶然だな。
仕事はもう終わったんだろ?せっかく会ったんだ、みんなで飯でも食いに行くか?」



「はい、はい!行きます!ローリー、超お腹がすいちゃったぁ~♪」
「よし、じゃみんなで行こう」
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「ええ!」



(ケッ!なぁ~にが『すいちゃったぁ~♪』だよ!)
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(そんなに腹が減ってんだったら豚の丸焼きにでもかぶりつけよ!)



「お前も行くだろ?それとも飲み過ぎでもう無理?」
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「全然無理じゃない!」キッパリ!



「あら…あんたも行くの?お金も持ってないくせに…」
「金なら家に帰ればある!
だいたいなんで亮は知ってて俺は知らねんだよ!俺も有名なサッカー選手だ!」
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「ごめんなさいね、私、イケメンしか興味がないの」
「くっそ~!!!」



「ちょっとローリー、やめなよ…」
「だってさ…(からかうと面白いんだもん…)」
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「ローリー!」
「分かったわよ…」



「あの…私、中山このみと言います。この子はローリーよ、よろしくね」
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「あ、ああ…お、俺はゴルゴって言うんだ、よろしく」



「ゴルゴ?ちなみに苗字は?」
「なんで言わなきゃなんねんだよ…」ブツブツ…
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「いいじゃん、教えてよ」
「しょうがねーな…。俺の苗字は……ゴニョ…墨…ゴルゴ…だ」



「え?聞こえない」
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「だから……眉…ゴニョ…墨…ゴルゴだ」



「…眉…墨…?」
「ああ、俺は眉墨ゴルゴだ」
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「ぷっ」
「あ?」



「ぷー!!!!!きゃーははは!眉墨だって!眉墨!
眉墨ゴルゴ!一発で覚えられるわ!だってあんたの眉毛…眉毛…ぷーーーーっ!」
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「このアマ~…」



「ローリーったら!失礼でしょ!」
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「ごめん、ごめん…だってさ…おっかしっくって…あーお腹痛い」



「それにしても…眉墨だって!ぷーーー!」
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(この女…いつかぶっ飛ばす。
女だろうと関係ねーや。あの尻をペシってひっぱたいてやるぜ!)



高級ラウンジ ― ブルーライト ―



「このみ~すっごく素敵ね!一度でいいからこのお店に来て見たかったの。
ここってセレブじゃないと入れないお店なのよ!」
「そうなの?全然知らなかった」
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「このみったら何にも知らないのね!今夜は亮さんがいたからフリーパスで入れたけど、
普段は絶対に入れてもらえないんだからっ」



「おい、亮。このみちゃん。超可愛いよな?まさかお前の知り合いだったとはビックリだぜ」
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「これも運命かもしんねーな?」



「もしかしてお前が恋した相手って………このみちゃん?」
「ピンポ~ン♪」
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「へえ~」
「なに?もしやお前もいいと思ったとか?」



「まさか。俺はそれどころじゃねーよ」
「ああ、麗華ね…。で、やっぱ別れ話だったんだろ?そんなに落ち込むなって!」
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「いや、落ち込んでる理由はそれじゃねーし」
「お前にはすぐにいい女が現れるさ♪」



「だから俺の話を聞けよ!」
「麗華はさ、あの通りお嬢様だろ?所詮、俺達とは住む世界が違うんだよ」
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「だから…(聞く気ゼロだな…)」
「それに麗華は我がままだしな~。別れて正解じゃん!」



「ま、あの女よかはマシだけど」
「あの女?」
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「ローリーって女だよ。最悪!」
「ぷっ…」



「なに笑ってんだよ?」
「だってお前って、最悪の女程燃えるくせがあんじゃん」
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「ばっ…やめろよ!あの女だけはそんな事には絶対になんねー!
あんな口の悪いおっかねー女なんかごめんだ!」



「だ~れがおっかねー女だって?え?まさか私の事じゃないでしょうね?」
「急に顔出すなよ!ビックリするだろ!」
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「なによ?ビックリするのはやましい事があるからじゃないの?」
「なんもやましい事なんかねーよ!」



「さ、この二人はほっといてなんか飲もうか?このみちゃん」
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「はい(笑)」



「なあ、なんであの二人あんなんなの?今日会ったばかりなんだろ?」
「さあ、分かりません。何故か気が合わないみたいで」
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「そうか?俺から見れば逆に気が合ってるように見えるけど?」
「あ!そう思います?私も実はそう思ってたんですよね!
似てるって言うか何て言うか…」



「ところで何で連絡くれなかったんだ?一緒に飯食おうと待ってたのに」
「本気だったんですか?(笑)」
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「本気さ!このみちゃんのメッシーになろうとしてたのにな~」
「うわ~残念だったな~(笑)」



「電話はしようと思ったんですよ。でも、バイトとかで忙しくて」
「本当は男で忙しかったんじゃないの?」
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「あ、バレました?」
「これだよ(笑)」



「亮さんこそ新聞に出てましたよ、美人の恋人と一緒に映ってましたね?」
「美人の恋人?ああ…あれね…」
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「凄く綺麗な人でした」
「そう…?」



「そう言えば亮さん、リンダ達の結婚式に出なかったんですってね。リンダから聞きました」
「ちょうど試合があって出られなかった。え?君も出なかったの?」
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「ええ、私もちょうどコンテストの最中で」
「そっか。それじゃ仕方がねーな」



「でもしっかりお祝い金は取られました(笑)」
「やっぱり…。俺のところにもジーンから電話があってがっぽり取られた(笑)」
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「そうでしたよね、少しの間小泉君、こっちのチームにいたんですよね」
「半年程な。リンダが姿をくらましてる間だよ。
あいつ、毎日俺の家に来てはリンダから電話ない?ってうるさくてよ」



「私のところにも毎日電話がありました。
泣きそうな声で『リンダから連絡はなぁ~い?』って(笑)」
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「迷惑な奴らだよな」
「ほんと(笑)」



「そう言えば、小泉君のお休みが取れたら二人で遊びに来るって言ってましたよ」
「ああ、聞いてる。ジーンから俺の家に泊まらせろって電話があった」
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「え?亮さんの家に?」
「そう、俺の家に。ホテル代がもったいないんだって」



「きっとそう言ってるのはリンダですよ。意外とケチだから」
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「はは!確かに(笑)」



「しっかし、俺の事をこっぴどく振っといてよく俺の家に泊まるなんて言えるよな?」
「神経が太いんですよ、神経が。って、まだリンダの事を思ってるんですか?」
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「まさか…。あれからもう2年だぜ?とっくに忘れた。君は?」
「私もとっくに忘れました。これっぽっちも思ってません」



「言うね~」
「言いますよ~。自分を思ってくれない人を思い続けるなんて時間の無駄ですよ、無駄」
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「まいった(笑)」
クスクスクス…



「なんだか君とこうして飲んでると心が癒されるな…」
「え?」
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「なんでかな…」



「…なんとなく分かります。私もさっきからそう思ってましたから…」
「君も?」
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「ええ…私も心を癒されます…」



クス…。たぶん…同じ匂いがするからかな…?」
「同じ匂い…?」
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「ええ…サンセットバレーの匂いがするんです…。同じ故郷の匂い…」



「やめろよ…帰りたくなるだろ?(笑)」
「あ、亮さんもホームシックですね?」
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「かもな」
「私もちょっとホームシックかな…。なんだか無性に帰りたいです…。
誰かに甘えたくなったのかも知れませんね」



「俺でよかったら甘える?」
「嫌です!(笑)」
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「てめー」



「なんだか亮さんってお兄さんみたい」
「あ、そのニュアンス嫌いだな。お兄さんなんて一番恋愛から離れてるだろ?」
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「もう!綺麗な恋人がいるくせに!叱られますよ!」
「うるさい妹だな」



「よし、じゃお兄ちゃんと来週、どっか行くか?ちゃんとした飯おごってやるよ」
「え~今日でも十分なのに。でも助かります、貧乏なんで(笑)」
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「あの娘も誘えよ、うまい飯をおごってやる」
「二人ともいいんですか?」



「いいとも♪ 彼女も連れておいで」
「ではお言葉にあまえて」
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「ああ、迎えに行くよ。たぶん、ゴルコも洩れなくついてくると思うけど
(たぶんじゃなくて絶対だな)」
「楽しみにしてます」



こうして、二人は食事の約束をした。
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だが、その日を堺に二人の気持ちが微妙に変わる事になろうとは、
この時はまだ、おたがい知る由もなかった。



同時刻  ― 二宮家 ―



「失礼いたします。麗華お嬢様、旦那様がお呼びでございます」
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「父が…?」
「はい」



「もしかして又信也さんが見えてるの?」
「ええ、先ほど見えられました」
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「そう…」



「悪いけど頭痛がするって伝えてくれる?私、疲れたみたい。もう休むわ」
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「かしこまりました」



(お父様ったら…又彼を呼んだのね…)
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(信也さんを何度呼んでも無駄なのに…。困ったお父様…)



「奥様、お嬢様は頭痛がするとかでもうお休みになられるそうです」
「まあ…頭痛が?嫌だわ、風邪かしら?」
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麗華の母、二宮頼子。



「大方遊び疲れたんだろう。ほっときなさい」
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麗華の父、二宮金治。



「信也さん、ごめんなさいね、せっかく来ていただいたのに」
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「いえ、お気になさらないで下さい」



「まったく困った奴だ。毎日遊びほうけてばかりいる。一人娘だからと言って甘やかし過ぎたのかもしれんな」
「はは!麗華さんはお友達がたくさんいらっしゃるから」
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「すまんね、信也君。どうだ?うまいワインがあるんだ。一杯やらんかね?」
「こりゃいい。僕ものどが渇いてたところです」



笹宮信也。
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彼の家も大きな会社を経営している。
二宮家ほどではないが、それなりの財産もあり由緒ある家柄の次男だ。



彼は最近、毎日この家へやってくる。
彼が勝手にやって来るのではない、父が呼んでいるのだ。
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私は父の魂胆を知っている。
父はあの男と私を結婚させようとしているに違いない。



そしていずれはこの二宮家を継がせようとしているのだろう。
だが、私は親と金がなければ何にも出来ないような男はごめんだ。
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そう…この家にはあんな男よりも亮の方が何百倍もふさわしい。
私は必ず亮を手に入れる。



私は今まで色んな男と付き合ってきた。
だが、近づいてくるのはすべてこの家の財力があってこそだ。決して私の魅力ではない。
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けれど亮は違った。彼は私と二宮家とを完全に切り離して考えている。
亮は二宮家の財力に興味も無ければ執着もない。



その証拠に、彼は私と別れようとしていた。私にはそれが分かっていたのだ。
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私を何とか繋ぎ止めようとする男はいても、離そうとする男なんて初めてだった。
だからこそ、彼が欲しい。私に媚びたりなんかしない、あの男が。



何よりも、彼とのベットでの中での行為は最高だし、そして彼はとても上手だ。
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そう、彼は自分だけさっさと絶頂に達して満足し、
女性もさぞや満足しているだろうと勝手に思い込んだりするような男なんかじゃない。



彼は私をじわじわと高みへと連れていき…
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そして狂わせる。



その時の彼のクールな瞳。怪しく光る輝きはまるでダイヤモンドのようだ。
つい引き込まれてしまいそうな冷たく光る輝き。
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あの瞳に見つめられただけで昇りつめてしまいそうになる。
彼は最高にセクシーな男だ。



彼の魅力に今更ながらに気づいたのは私の失敗だ。
いや、本当は気づいていた。ただ認めたくなかっただけだ。
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この私が一人の男に心を奪われるなんてありえない。
しかし、それに気づいた今、私は必ず彼を手に入れる。



父が信也との縁談を決める前より先に手を打たなければならない。
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それは早い方がいいだろう。



ただ問題は、亮は二宮家にも執着がないが私にも執着がないと言うことだ。
だからこそありもしない妊娠をでっちあげた。
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彼を説き伏せるのは簡単な事ではない。



だけど私は今まで欲しいものは必ず手に入れて来た。
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そしてそれはこれからも変わる事はないし諦める事もしない。



私は必ず亮と結婚する。
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絶対に。





続き、第4話へ 「熱い男」
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