第5話 「胸の高鳴り(前編)」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第5話


― 数日後 ―



「ハッハッ…」
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「亮様、麗華様がお見えでございます」



「分かった、すぐ行く」
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「かしこまりました」



亮はあれから、自分の意思をきっちり伝えようと麗華に何度か電話で話をしたが、
肝心の部分になるといつものらりくらりと話をはぐらかされていた。
勘のいい彼女の事だ…きっと何を言われるのか分かっていたのだろう。
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だがそれも今日までだ。今日は何が何でも決着をつけなければならない。
彼女も亮の強い言い方に圧倒されたのか、渋々来る気になったようだ。



もちろん、一筋縄では行かないだろう事は分かっている。
けれど失敗すると分かってる結婚なんてごめんだ。
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「麗華!」
「亮…」



「話を聞きに来たわ…どうぞ、言って」
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「俺が何を言うのかは分かってるだろ?」



「ふふ…私達の将来についてかしら?それともあなたと私の結婚式についての相談かしら…?」
「冗談はやめてくれ」
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「あなたこそ何を言うつもり?私はイエスの返事しか聞かないと言ったはずよ」



「俺は君と結婚はしない。君と俺とはそんな風な付き合いじゃなかったはずだ」
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「私を抱いたじゃない?何度も何度も。それがどんな付き合いだと言うの?
友人のような付き合いだと?友人同士はベットを共になんかしないんじゃなくて?」



「麗華…俺は確かに君を何度も抱いた。けど俺達はおたがいに結婚なんて頭になかったはずだ」
「勝手に分析しないてちょうだい。あなたにはなくても私にはあったわ」
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「嘘だ。君は結婚なんて望んでいない、気楽な相手が欲しかっただけだ。
君がそんな風に思ってるなら俺は最初から君を抱いたりなんかしなかった」



「亮…何をそんなにイライラしてるの…。そんな事はどうでもいいじゃない。
子供が出来たのよ?あなたはこの子の父親なの、それとも子供を殺すの?」
「今の状態で子供が生まれても幸せになれるとは思えない。それに子供は本当に…」
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「私はあなたと結婚する。いずれあなたは二宮家の当主になれるのよ?
興味がないの?私達はベットでの相性もよかったわ。何も問題ないじゃない」



「俺は君の家には興味がない」
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「それに…君以外にもベットでの相性がいい女性はいた。
俺が抱いた女性は君一人だなんて思わないでくれ」



「あなたほどの男ですもの…それはいたでしょうね。
けど私はそんな事は気にしないわ。私達は結婚するのよ」
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「麗華…もうやめてくれ…。俺達が結婚しても絶対にうまくなんか行かない。
俺達には愛がないんだ、絶対に無理だ」



「愛がない…?」
「ああ…俺達には愛がない。少なくとも俺は君を愛してはいない」
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「愛してない…」
「ああ…俺は君を愛してない…」



「そう…あたなたがそこまで言うのなら分かったわ、私達は終わりにしましょう。
残念ね…あなたならりっぱな二宮家の当主になれたのに…」
「麗華…本当に分かったのか…?」
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「ええ、分かったわ。私だってそこまで言われてしがみつくなんてみっともない真似は出来ないわ」



「子供の事は後で相談しましょう。私はこれで失礼するわ」
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「麗華!」



「………」
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(おかしい…。素直すぎる…)



そう、こんな事はありえない。こんなに素直に彼女が諦めるなんて…。
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亮は嫌な予感に顔を強張らせた。



(そう…興味がないのね、二宮家には…。そして私にも…。よーく分かったわ。
だったら…興味が沸くようにしてあげる…)
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(二宮家にも……私にもね…)



― その夜 ―



カランコロン♪
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「いらっしゃいませ~♪」



「って…亮さん!」
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「よっ」



「どうしたんですか?こんな時間に?」
「こんな時間ってまだそんなに遅くねーよ。一杯もらえる?」
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「え、ええ…どうぞ…」



「あれ?今日はもう一人の子は?」
「ローリーですか?今日は入ってないんです。今頃は踊りにでも行ってると思います。
亮さんこそ一人ですか?あの人は?」
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「ゴルゴの事言ってんの?毎日ゴルゴと一緒にいるわけじゃないぜ(笑)
俺だってたまには一人で飲みたい時もあるさ…。なに?ゴルゴの事気になる?呼ぼうか?」
「そんな事言ってませんよ~(笑)」



(又だ…。
この間もそう思ったけど…亮さん、なんだか淋しそう…。それになんだか疲れてるみたい…)
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(やっぱり恋人とケンカでもしたのかな…?)



「そうだ!この間はご馳走になったんで今日は私がご馳走します!
もうすぐ終わりますので一緒に飲みますか!?と言ってもここで…ですけど(笑)」
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「君がご馳走してくれんの?俺、遠慮しないぜ?」



「3杯までならOKです」
「5杯」
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「じゃ4杯で手を打ちます!」
「分かった(笑)」



― 数分後 ―



「いや~悪いな~結局亮さんが頼んだお料理を頂いちゃって♪」
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「てめー本当はちっとも悪いと思ってねーだろ?」



「食べない亮さんが悪いんですよ~~!あ~美味しい♪」
「こんなに遅く食ったらデブるぜ?」
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「いいんです、後で必死に腹筋しますから(笑)」
「ははっ!」



「ところで明日の約束覚えてる?何時に迎えに行こうか?」
「何時でも♪ ローリーが凄くはりきってるんですよ!」
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「分かった。じゃ10頃に君のアパートに迎えに行くよ」
「はい」



「そう言えば私と同じアパートに住んでる人なんですけど、すっごく面白いんですよ!」
「面白い?」
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「はい、すっごく!」
と、このみは鈴之介と沙織の事を楽しそうに説明した。



彼女はそれが済むと今度は、自分の失敗談を笑って話し始めた。
まだ乾いてない絵に手をついてしまった事、コンテストへの応募作品を間違えた事。
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彼女は俺に何かあった事を察したのかもしれない。
だから俺を笑わせようと冗談を言い、何度もおどけて見せたのだろう。



亮はなんだか楽しかった。こんなたわいもない話が何故だか凄く楽しい。
女性とこんな風に駆け引きのない話をするのは久しぶりだった。
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今まで彼に近づいてくる女性はだいたいが何らかの含みを持っていた。
もちろんそのほとんどがベットへの誘惑だ。



上目使いもない、駆け引きもない彼女と過ごす時間は彼に安らぎを与えていた。
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そして何故か居心地がよかった。
彼女がもたらすこの優しい空間がとても居心地がよかったのだ。



「結局ごちそうになってしまってごめんなさい」
「いいよ、今度倍にして返してもらうから」
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「怖いですね~(笑)」
「じゃ明日な」



「明日なんですけど、食事はやめてどこか遠出しません?山でもいいし海でもいいし。
新鮮な空気を吸いに行くのはどうですか?」
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「俺はいいけど…でもうまい飯がいんじゃないのか?
せっかく高級なレストランに連れてってやろうと思ったのに」
「ええ、今回はいいです!私もちょうど息抜きをしたいと思ってたんで。どうですか?」



「分かった。じゃ飯は又今度な。いや~高級レストランじゃなくて助かったな~」
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「助かってません。そのうち絶対に連れてってもらいますので」
「はいはい(笑)」



― 翌日 ―



「ローリー、支度出来た?亮さん達がもう来ちゃうよ?」
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「ちょっと待ってよ!いま支度してる!」



「だいたいこのみが悪いんじゃない!
レストランだと思ってたら急に海とか山とか言い出すんだものっ」
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「いいじゃない、そんなところで食べる食事も美味しいよ♪」



「もう…せっかく素敵なドレスを用意したのに…」ブツブツ…
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「早くしてってば」
「分かったわよ!」



― 10分後 ―



「お待たせ。もう来た?」
「まだなの。車が混んでるのかな?」
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「そうかもね。って、どこへ行くか決まったの?」
「まだ。どこにしようか?海もいいけど山もいいよね~」



「絶対に海ね。水着も用意したもの」
「え?水着も用意したの?ローリーったら!だから支度に時間がかかったのね!」
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「まーね。私のセクシーな水着姿を見たらきっと亮さんもクラっときちゃうわね。
あんたも持っていきなよ」



「私はいいわよ。足を濡らして遊んでるからいいわ」
「あ、自信がないんだ?」
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「当たり前でしょ?私のお子様体系をさらすくらいなら死んだ方がましよ!
ってだからさ、海じゃなくて山にしない?」



「あれ?このみさん、ローリーさん♪ どこかへ出かけるんですか?」
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「ええ、ちょっと遠出よ!海か山にするかで今悩んでる最中なの」
「わ~いいですね~♪今日はお天気もいいし、とっても楽しそう♪」



ピクッ…
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(山…)



「沙織ちゃんも鈴之助君とたまにはどこかへ出かけたらいいのに」
「そうですね!鈴之助さんの次の絵が仕上がったらそうします♪
ところでこのみさん、どこに行くか決まったんですか?」
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「どうしよっかな~風のふくままってのもいいかもね!」
「それも素敵っ」



ぬっ
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   が、いいです」
「なに勝手に決めてんのよ?行くのは私達なんだからね!」
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「僕はちょうどデッサンに詰まっていました。次のテーマーは山の風景画に決定です。
なので   がいいです」
「は?」



「今着替えて来ます。5分お待ちを」
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「って…ちょっと!鈴之介!」



「なにあれ?鈴之介も行くって事?」    「たぶん…そうだと思う…」
「何考えてんの?」               「絵の事しか考えてないと思う…」
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「って…沙織は?」                「さあ…」



「あの…私も行きます…」
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「だって…鈴之介さんが行く所にはすべてついて行きなさいって…」



「お母様が」                      「お父様が」
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「言ったんでしょ?」                  「言ったんでしょ?」



「わ~お二人ともどうして分かったんですか!まるでエスパーですね!」
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「凄いです!尊敬しちゃいます!」



「………」                        「………」
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「エスパー…」                      「伊東…」



やがて、亮達が到着し、結局は6人で山へ行くことになった。
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なんだか不思議な組み合わせのメンバーだが、ゴルゴはこのみさえいればどうでもいいようだ。



「わ~すっごくカッコいい車ですね!私、こんな車にのったのなんて初めてです!」
ボソ…俺の彼女になれば毎日乗れるじゃん…
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「え?」
「独り言さ♪」



(このみちゃん、可愛いな~。マジで付き合ってくんねーかな…。
このみちゃんとなら俺…結婚だって考えちゃうよ?可愛い奥さんになるだろうな…)
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『おかえりなさいあなた。ご飯を先にする?お風呂が先?それともわ・た・し?』
『君を先に食べるに決まってるだろ?俺の可愛いハニー』『ゴルゴさん…』『このみちゃん…』




(な~んちゃって、うぷぷっ。ヤバいヤバい、運転に集中集中)
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と、バカな妄想に走ったゴルゴ。



「いい絵が描けそうだ。きっと次こそは金賞を取ってみせるよ」
「もちろんですよ!鈴之助さんなら絶対にやれます!私、信じてますから」
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「ありがとう。今まで待たせてしまってすみませんでした。
金賞が取れたらすぐにでも結婚しましょう」
「はい…」



(うわ~マジいい男)
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(ヤバい…ヤバいわ…。世の中にこんないい男がいたなんて…)



(ローリー…まいっちゃう…)
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(間違って一回だけでも抱いてくんないかな…)



― 山の里 ―



「マジでここでいいの?なんもなさそうだぜ?」
「全然全然ここでいいです!すっごく空気が綺麗ですね!」
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「飯は?飯はどうする?」
「大丈夫です。釣りも出来るし材料も持って来ましたから私が作ります」



「前に作ったように俺がまた作ってやろうか?」
「遠慮します(笑)」
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「あ、その言い方可愛くねー」
「亮さんに可愛いと思ってもらわなくてもいいも~ん」



「沙織さん!ここの山は素晴らしい!これはいい絵が描けそうですよ!」
「ええ、本当に素敵です!今度こそ金賞ですね!」
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「もちろんですよ!今度こそ金賞を必ず取ってみせます!
沙織さん、もっと向こうに行ってみましょう。きっと素敵な景色が見えますよ!」



「ええ!行きましょう」
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(鈴之助さん、とっても嬉しそう…。今度こそ金賞が取れますように…)



「さ、こっちです、沙織さん!」
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「あ…待って下さい、鈴之助さん!」



「待って…まっ」
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「あっ!…」



「キャッ!」
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「おい!」



「ちゃんと下を見ろよ!石がいっぱい落ちてるだろ!顔面からすっ転ぶとこだったぜ!」
「す…すみません…」
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「大丈夫か?走らないで歩けよ!」
「はい…」



「だいたい山に来くんのになんでヒールなんだよ?
運動靴かなんか履いて来なくちゃダメだろ!?」
「そ、そうですよね…本当にごめんなさい…」トクン…トクン…
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「別に謝らなくていいって」
「はい…」



(やだ…なんでこんなに心臓が…)
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(苦しいわ…。心臓が今にも破裂しそう…)



「どうした?顔が赤いけど?あ、俺の胸に顔を強くぶつけちまった?」
「いえ…」
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「悪い悪い。けど顔面からスっ転ぶよりかはマシだろ?(笑)」
「え、ええ…」



「あ、ありがとうございました…」
「いいっていいって」
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(どうしよう…鼓動が…鼓動がどんどん大きくなる…。こんなの初めてよ…)



「ちょっとゴルゴ!沙織になにしたのよ!」
「あ?」
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「沙織にはね、あの鈴之助がいんのよ!
二人は婚約者同志なんだからね!手なんか出したら承知しないわよ!」
「何言ってんの?俺は彼女が転びそうになったのを助けてやっただけだよ!」



「ほんと~?じゃなんで沙織の顔がこんなに赤いのよ?」
「むっ。助けた時に俺の胸に顔をぶつけたんだよ!」
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「あんた、なんか信じらんないのよね。超あやしい」
「なにお前、この間から。俺がお前になんかした!?」



「ローリーさん!違うんです!」
「え?」
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「あの…本当にゴル…ゴルゴさんでしたよね…。その…ゴルゴさんの言う通りなんです…。
わ、私が転びそうになったところを彼に助けてもらって…」



「そ、それで私の…か、顔が赤いのは…赤いのは…」
「赤いのは?」
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「赤いのは…」



ダッ!
「私がゴルゴさんに勝手にズキュンズキュンしてるだけです!」
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「変な病気なんです、きっと!」



(そうよ…きっと変な病気なんだわ…。こんな風にドキドキするなんて絶対変よ…)
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(けど…どうして彼に触れられたところだけがこんなにも熱いの…?。
その場所だけ燃えるように熱いのはなぜ…?)



「なんだあれ?」
「さあ…」
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「俺、マジでなんもしてないぜ?」
「ふ~ん…」



「勝手に俺にズキュンズキュンするって言われてもな…はは…は…。
…おい、何とか言えよ?」
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「おいって…」



「ローリー…わかんなぁ~い」
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「お前がそんな言い方しても………ちっとも可愛くねー」





続き、第6話へ 「胸の高鳴り(後編)
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