第8話 「俺って意地悪~~♪」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第8話



―数日後―



あれから数日が過ぎ、胸の鼓動がやっとの事で落ち着いた沙織。
あれは何だったのだろうか。今思い返してもこの間の私は普通じゃなかった。
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きっとちょっとした気の迷いだったのだろう。
もうあんな事には二度とならない。



沙織はそう自分に言い聞かせ、鈴之介との未来に意識を集中した。
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「鈴之介さん」



「はい?」
「明日は私のお父様のお誕生日パーティーがあるのですが…」
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「ああ!そうでしたね。もちろん一緒に行きましょう。僕の家へ迎えの車を頼みますので」
「そうして下さると助かりますわ!」



「ところで絵の方はどうですか?」
「ええ!もう仕上がって提出しました!後は発表を待つばかりです!」
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「わ~ほんとですか!よかった!私、鈴之介さんならやれるって信じてましたわ」
「まいったな~♪」



と、すでに金賞を取ったかのように喜ぶ二人。



「発表の日が待ち遠しいですわ!」
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「ええ、僕もです!さあ、婚約式の日取りをそろそろ決めないといけませんね!」



「婚約…?」
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「ええ!僕と沙織さんの婚約式ですよ」



「そ、そうですよね…私と鈴之介さんの婚約…」
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「そうですよね…」



午後  ― 町のジム ―



「このみちゃん♪ 俺だよん♪」
「やだな~ゴルゴだよ!俺の声を忘れるなんてつれないな~」
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「はは!冗談、冗談。元気だった?」
「俺は相変わらずさ♪」



「あ、でも一つだけ…」
「あのさ…このみちゃんに会えなくて淋しいな~なんて…あは…はははは…(って…何故黙る…)」
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「と、ところで明日、行ける?」
「飯食いに行こうって約束したじゃん♪」



「あ~ダメダメ。俺の車は一人しか乗れないんだよね~。
(あの女をロープで引きずってもいいってんなら連れてってもいいけど)」
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「残念だけど隣の女は又今度ね!」
「OK~♪ じゃ明日な!」



カチ
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「二人っきり…」



(これってデートって事かな?でも食事をするだけならデートって言わないよね)
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(いや、やっぱデートか…)



「どうしたの?真面目な顔して?」
「ローリー…。別に真面目な顔なんてしてないよ…」
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「そう?…」



「ね、明日は暇?一緒に映画でも見に行かない?」
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「え…」
「暇でしょ?」



「そ、それが…さっきゴルゴさんから電話があったの…。食事しようって…」
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「な~んだ、デートか」
「デ、デートかな…やっぱり…」



「二人で行くんでしょ?ならデートじゃん」
「そうだよね…」
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「なに?何か気になる事でもあんの?(例えば亮さんの事とか?)」
「別に何もないわよ…」



「ふ~ん…」
「ふ~んて何よ…」
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「このみ…」
「ん?」



「あんたさ、亮さんに惹かれてるでしょ?」
「え?」
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「この間から変だもん、あんた」



「そ、そんな事ないよ!」
「ほら、ムキになってる」
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「ち、違うわよ!変な事言わないで!」
「このみ…。私はあんたと亮さん、合ってると思うよ?
あんたには亮さんのように強く引っ張ってくれる人が合ってる気がする」



「やめてよ…。それに亮さんには心の中に思ってる人がいるんだから…」
「ああ、あのセレブの恋人の事?」
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「ううん、恋人とは別れたんだって…。亮さんの思ってる人はその人じゃなくて…
ほら、前に話した事があったでしょ?私の幼馴染のリンダの事」
「ああ、そう言えばなんとなく聞いた事あったね」



「亮さんが思ってるのはそのリンダなの…。もちろんリンダもそうだったわ。
少なくとも二人は愛し合ってる時期があったの…」
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「だけどタイミングが悪かったのかな。二人とも色々な事が起きてね…。
結局、二人は思いを伝える事もなく離れて暮らしてたの」



「けど亮さんが数年後に彼女を迎えに来たのよ。そう…あれはきっと迎えに来たんだわ…。
だから私は二人が結婚するもんだと思ってた…」
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「けど悲しいかな…その時はすでに遅くてさ…。リンダには亮さん以外に愛する人が出来てたの…」



「まあ…ありがちっちゃ~ありがちだけどね」
「もう!真面目に聞いてよ!」
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「聞いてるって。んで?」
「彼は小泉ジーンって言うの。聞いた事ない?」



「小泉ジーン…。はて…?」
「彼もサッカー選手よ。少しの間亮さんと同じチームだったの」
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「…ん?」



「もしかして亮さんと対張ってたイケメン?」
「そう、そのイケメンがリンダの愛した人よ」
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「うわ~私ならどっちも選べないわ~!
って言うかそのリンダって何者?!イケメン二人を相手に凄いね~」
「凄いでしょ?(笑)」



「二人はまるで運命の出会いのように惹かれて行ったわ…。
ふふ…きっと運命の相手だったのね。二人の愛に私も亮さんも適わなかった…」
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「へえ~。…って、え?」



「どういう事?あんたもって?」
「彼は私が初めて真剣に恋をした人よ。小泉君は私の恋人だったの」
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「ゲっ!複雑~~!」
「ふふっ…。リンダと小泉君はこの間結婚したわ。要は私と亮さんは二人仲良く振られたってわけ」



「なるほどね…。で、亮さんはその彼女がまだ忘れられないと……。そう言う事か…」
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「それはちょっと辛いね…」



「ね?!だから私が入る隙間なんてないのよ」
「って、やっぱ亮さんが好きなんだ?」
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「だからそんな事言ってないでしょ!」
「あんたは?あんたは忘れられたの?そのもう一人のイケメンの事は?」



「私は…う~ん…今でも思い出すと胸が痛むけど…けど…何て言うかさ…バカらしくなっちゃってさ」
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「なんで?」
「だって二人は本当に愛し合ってるのよ?私がいくら思っても無駄だもの」



「そう思ったら私も次へ進まなくちゃって思ったの。
いつまでも泣いてなんかいられないしさ。だから隆君とも付き合おうと思ったのよ」
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「結局振られちゃったけどね(笑)」



「あんたって意外と強いね…。けどさ、その結婚した二人が運命の相手なら、
亮さんにだって運命の相手が待ってるって事じゃない?」
「え?」
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「逆に言えば亮さんの運命の相手はリンダちゃんじゃなかったって事でしょ?
って事は他にいるって事よ、彼の運命の相手がさ」
「そんな事考えて見た事もなかった…」



「ふふ…案外近くにいるのかもね~運命の相手が♪(例えばこのみとか?)」
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(運命の相手…)



「あ、そうだ、絵の具貸してくんない?ちょっと切れちゃってさ。白なんだけどいい?」
「ごめん、私もちょうど切らしてる。鈴之介君なら持ってるよ。借りてくれば?」
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「そっか鈴之介がいたか。じゃそうするわ」
「うん」



「運命の相手か…。私の運命の相手はいつ現れるのかな…」
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「今度こそロクデナシに捕まりませんように…」



(婚約式…。私と鈴之介さんの婚約…)
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「…織…」



(ボ~…)
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「沙織ったら!」



ガタッ
「あ、はい…」
「どうしたの?ボ~として」
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「え?そ、そんな…私…ボ~っとしてなんか…」
「してる。大丈夫?」



「え、ええ…大丈夫です…」
「ま、いいわ。鈴之介は?ちょっと絵の具を借りたくて」
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「どうぞ、中にいますので」
「分かった」



「………」
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(もしや…ゴルゴの事を考えてるとか?だとしたらかなり重症じゃね?)



「鈴之介、絵の具貸してくんない?ちょうど切れちゃってさ」
「ええ、どうぞ。適当に持っていって下さい」
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「サンキュ~」
「絵の具ぐらい、いつでも言って下さいよ!」



(のんきな顔して…。分かってんのかね?絶対に沙織はゴルゴにのぼせてるってのに)
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「ねえ…」
「はい?」



「あんたらさ、キスとかした事あんの?」
「は?」
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「は、じゃなくて。キスだよキス。沙織とあんたの事言ってんの。どうなの?」
「キス…」



「体はまだとしてもキスぐらいはしてんだろ?」
「そ、そんな事はした事なんかありましぇん!」
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「しぇんって…」
「ぼ、僕と沙織さんはいずれ…け…結婚するのだし…
そ、それに…そ…そう言う事は…け…結婚してからじゃないと…」



「バッカじゃないの?いったい何時代の事言ってんのよ?あのね、今は昔じゃないの!
今時キスぐらい、小学生だってしてるっつーの!」
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「小学生…」
「そうよ!いい?おやすみのキスとか何でもいいからキスの一つでもしてやんなさいよ!
チュッ!でいんだから。分かった?」



「でも…」
「でもじゃないの。何も舌を使えっつってんじゃないんだから!」
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「し、舌…ですか?」
「そうよ、舌なんかいいからちょっと唇を触れるフレンチキスぐらいしなさいよ!」



「し、舌…」
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「そこに引っかかるな!」



(し、舌…?お互いに舌を出してくっつけるんだろうか…?
僕の記憶が正しければ、キスとは唇と唇とを触れ合わせる事なはず…)
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(舌同士とは…。最近のキスはずいぶん進化したな…)



― 町のジム ―



「明日はデート♪ デート♪」
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「うぷぷぷっ!楽しみだな~」



「海かな?ドライブかな?それともプールとか?ワオ~♪このみちゃんの水着姿…うひょ~♪
って、あれ?亮じゃねーか?」
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「おい、亮!」



「ゴルゴか。いやに機嫌がいいじゃない。なんかあった?」
「あったあった、大有り!」
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「なんだよ?」



「ふ・ふ・ふ…。明日はこのみちゃんとデートだもんね~♪」
「このみちゃんと…?」
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「そ、このみちゃんと!さっき電話で約束しちゃった♪どこ行こっかな~」



「ふ~ん…」
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「彼女…一人で来るのか?ローリーも一緒とか?」



「まさか!なんでデートなのにあの女を連れて来るんだよ?勘弁しろよ!
二人っきりで出かけるに決まってんだろ?」
「二人っきり…」
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「海なんていいかもな?夕暮れの海とかさ。夕暮れの海は雰囲気あるからな。
もしかして気分が盛り上がってチュウなんてしちゃうかもな~」
「チュウ…」



「あ、お前この前このみちゃんとキスしたとか何とか言ってたけど、
あれはそんなんじゃないってこのみちゃんが言ってたぜ?」
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「まぎらわしい言い方すんなよな!」



「さ~てと、体でも鍛えよ~っと♪」
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「まぎらわしいね…(キスにまぎらわしいもクソもねーと思うけどな…。だって本当にしたんだし…)」



「お、亮じゃねーか」
「監督」
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「来てたのか」
「ゴルゴもいますよ」



「監督こそ病院じゃないんですか?」
「ああ、たまには体も鍛えないとな」
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「ところでどうですか?ルビーの容態は?」
「ああ、相変わらずだ。けど日に日に体力が落ちてる事は確かだな…」



「そうですか…。早くドナーが見つかるといいですね…」
「それが中々な…」
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「子供の臓器は中々出ないんだよ。出たとしても順番待ちだ。
厳しい状態にあるのはルビーだけじゃないからな…」



吉田ゴロウ 
彼は亮とゴルゴが所属しているチームの監督だ。
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話でも分かる通り、彼には8才になる娘、ルビーがいる。
だが残念な事にルビーは心臓病を患っている。



それが分かったのはルビーが3才の頃だった。
ルビーの異変に気づき、そして原因を知り、妻の和子と呆然とした。
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すぐに手術をするにはルビーの体はまだ小さく、とても手術に耐えられるような体力はなかった。



そしてその手術とは移植しかない。
ルビーは病気が分かってからは入院生活を余儀なくされた。



月日が過ぎ、ルビーがようやく手術に耐えられる大きさにはなったものの、
今度はドナーがすぐには現れなかった。
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どうする事も出来なく、時は過ぎて行くばかりだ。



だが、それもそろそろ限界が近づいていた。
彼女の心臓は体が大きくなるにつれ、働きが悪くなってきていた。
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心臓が体についていけなくなってきているのだ。今やれる事は心臓の負担を少なくするため、
出来るだけ体を動かさないようにするのが精一杯だ。



しかし、ルビーは8才という遊び盛りの年頃だ。
いつまでもベットにじっと抑えてつけて置くのはあまりにも可哀想だ。
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かと言って他の子と同じように走り回れるわけでもない。
そして体力は日に日に弱まっていた。



一刻も早く体力があるうちに手術をしなければならない。
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時間が過ぎれば過ぎるほど、体力が無くなり手術が難しくなるだろう。



そう…医者から宣告されたタイムリミットが近づいている。
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死へのカウントダウンは容赦なく時を刻み続けていた。



「けど希望は捨ててないさ。大丈夫だ、まだ時間はある」
「監督…」
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「それまで一生懸命働かないとな!
なんせ移植に莫大な金がかかるんだ。俺はまだ休むわけにはいかない」



「そうですよ!監督にはまだまだ頑張ってもらわないと」
「ああ、けれど頑張るのは俺じゃなくてお前らだ。
お前らに頑張ってもらわないと俺はクビになっちまうからな(笑)」
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「次の試合も頼んだぜ!我がチームのヒーロー殿」
「ええ、分かりました(笑)」



「そうだ、お前、明日は暇か?」
「明日?どうしたんですか?」
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「お前、伊集院家って知ってるか?
そこの家でパーティーがあるんだ。それに出席しなければならない」



「伊集院?聞いた事あるな…。あれ?あそこってうちのスポンサーでしたっけ?」
「違うさ。けどなってくれそうなとこには顔を出しときたいんだ」
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「うちのチームの財政状態も厳しくてな…。
一つでも多くのスポンサーがつくように打診しとかないと」



「選手を何人か連れて行きたいんだ。お前、行けるか?」
「明日…明日か…」
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「ダメならいいんだ。違う奴を連れて行くから」
「違う奴…?違う奴ね…。そう言えば…暇そうな奴を一人だけ知ってるな…」



「ゴルゴならあいてる…かも?」
「ゴルゴ?」
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「確か明日は暇って言ってたな~~なんて」
「そうか、あいつなら調子いいからパーティーに連れて行くならちょうどいいな。
分かった、ゴルゴを連れて行くよ」



「おい、ゴルゴ!ちょっといいか?ゴルゴ!ちょっとストップ!」
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「さ~てと♪明日はお友達でも呼んで遊ぼっかな~♪」



「え!ダメダメ!明日は絶~~対ダメっすよ!」
「うるせー!いいから来い!」
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「あの…監督…明日はそのデートって言うか…」
「お前…俺に逆らうのか?あ?」



「そ、それは…」
「いいか?チームの一大事なんだぞ?
お前のような大、大、大スーパースターに活躍してもらわないで誰に活躍してもらんだ?」
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「大、大、大…ス、スーパースター…?」



「おうよ!お前は我がチームのスーパースターだろうが!」
「でも…だって亮の方が…」
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「ここだけの話、俺は亮よりお前の方がスーパースターの素質があるって思ってんだ!」
「マジで…?」



「いや~ゴルゴ君、悪いな~。やっぱ君は我がチームの英雄だ!」
「や、でもやっぱり明日は…」
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「ヒュ~ヒュ~、よ!スーパースター!」
「ま、まいったな~」


そして亮は…


「では僕はお先に失礼しま~~す♪」
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ニンマリ♪


と、満足そうな笑みを浮かべ、とっととズラかった。





続き、第9話へ 「動き出した時間」
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