第10話 「切ない夜を乗り越えて…」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第10話



「俺のベットへ運ぶからいい」
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気がついたらその言葉が口から出ていた亮。
何故自分のベットなのか、彼自身、よく分かってはいなかった。



ただ彼女を自分のベットへ寝かせ、もっと身近に感じたかったのかも知れない。
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そして例えカイルと言えども、水着姿のまま、彼女を違う男に抱かせるわけにはいかない。



彼女は、自分はローリーのようにスタイルもよくなければセクシーでもないと言っていた。
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だがそれは大きな間違いだ。



彼女は俺にとっては十分にセクシーだし、実にヤバイ存在だ。
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「さてと…」



「よいっしょっと」
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(軽いな…。子供のように軽い)



その時、このみが急にしがみついてきた。
体は眠っていても本能が誰かに抱かれている事が分かったのだろう。
落とされまいと必死に亮にしがみついてきた。



ギュッ…
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亮はなんだかクスぐったかった。
そして…なんだかとても愛おしかった…。



パサ…
「…や…ね…むい…」
「シー…。分かったから…まだ寝てろ…」
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「ん…」



「…って…この角度…すげーやらしい…」
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「なんだかイケナイ事するおっさんみてー…」



(あーあ…無防備な顔しちゃって…。いいのか?俺は優しい狼なんかじゃないぜ?
それどころか今すぐにこの邪魔な布をはがしたい程、ヤバイ男だ)
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(だけど今は我慢する…。…あくまでも今は…だ!)



― 伊集院家 ―



一方、このみとのデートがダメになり、パーティーに無理やり出させられたゴルゴ。
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こうなったら片っ端からうまいもんでも食って帰らなきゃやってられない!
ふざけんじゃねーよなー?



「あ~食いすぎた。腹きっつー」
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「もう帰ってもいいかな?いいよな?」



「監督、もう帰ってもいいですか?」
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「駄目に決まってんだろ!」



「ええ~~!もういいじゃないですか~だって朝からですよ?」
「おまえな~」
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「だいたい、いい年したおっさんのバースデーなんてつまんないですよ!
そんなの、ロウソクをフ~と吹けばお終いでしょ?俺はもう限界」



「あのな!メインはこれからなんだよ!とにかく伊集院家のお嬢様に挨拶しとかないと」
「お嬢様?」
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「ああ、そうだ。それに今日はお嬢様の婚約者、芦屋家のお坊ちゃんも来てるんだ。
顔を覚えてもらわない事には帰れん」



「芦屋家ってあの芦屋家?」
「そうだ。二宮家と肩を並べる財閥さ。芦屋家と伊集院家がくっつくんだ。相当な力になるはずだ」
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「へえ~。やっぱ金持は金持ちと結婚すんだな」
「お前には縁がない話だ、心配すんな。とにかく挨拶するぞ。お嬢様はどこだ?おい、探して来い」



「へいへい…ったく…」
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「探して来いったって顔も知らねーのにどうやって探せっつんだよ…」



「ゴルゴさん!」
「あ?」
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「ゴルゴさんじゃありませんか!」



「おお!鈴之介じゃん。なに?なんでここにいんの?」
「なんでって沙織さんのお父様のお誕生日ですからね、今日は」
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「はあ?」
「ここは沙織さんの家ですよ!」



「マジ!?」
「ええ、そうです」
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「って事は…え?お前が芦屋のお坊ちゃま?」
「ええ、僕は芦屋鈴之介ですが…。それがなにか?」



「ゲッ!そんな大金持ちの息子だったんだ!すげー」
「僕は大金持ちじゃありませんよ、両親がたまたまお金持ちなだけです」
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「でもいずれは家を継ぐんだろ?じゃお前もいずれ大金持ちじゃん」
「まだまだ先の話です(笑)」



「あ、沙織さん!」
「はい?」
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「ゴルゴさんがいますよ!ほら、この間一緒に山へ行ったゴルゴさんです」
「あ…」



「よ!」
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「こ、こんばんわ…」ポッ



(ポッって…)
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(だからなんで赤くなる…)



「き、君、ここのお嬢様だったんだってな、ビックリだぜ!
そう言えばどこか普通の人と、ちょっと違う雰囲気だったもんな~」
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「そ、そんな…私は別に…モゴ…」



「沙織さん、どうしたんですか?お顔が赤いようですが?」
「え?あ、ええ、ちょ…ちょっと暑くて…ひ、人が多過ぎて逆上せてしまったのかも知れません…」
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「それはいけませんね。少し風にあたった方がいいですよ。
でも困ったな…。僕はちょっとご挨拶しなければならない方がいますので…」



「そうだ!ゴルゴさん、沙織さんをちょっとお庭の方まで連れて行っていただけますか?」
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「え?」
「お願いします、僕は後で行きますので」



「いいけど…」
「すみませんが、お願いします」
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「あ、でも鈴之介さん…私はだいじょ…」



「大丈夫じゃありませんよ。ゴルゴさんと一緒にお庭の方で休んでて下さい」
「けど…」
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「さ、行って下さい。僕は知人へのご挨拶が済んだらすぐに行きますので」



「ではゴルゴさん、お願いします」
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そういい残し、鈴之介はパーティーへと戻って行った。



「あの…」
「行こうか?」
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「え…」
「庭。行こうか?」


「俺が一緒に行ってやるから。行こうぜ」
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「はい…行きましょう…」



「それにしてもデっカい家だな~」
「そ、そうですか…?」
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「ああ、俺の家が何軒も入りそう。さっきトイレも行ったけど俺の部屋より広いぜ?」
「え?」



「だからトイレ。あそこに俺のベットが4つは入るな」
「4つ…」
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「いや、5つかな?」
「トイレにベットが…?」



「ぷっ!」
「あ、な~にがおかしんだよ?だって本当に入るぜ?」
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クスクス…
「よし!俺ももっともっと稼いでこの家!  …とは行かないけど、デッカイ家を建てるぜ」



「ゴルゴさんはサッカーをやってらっしゃるんですよね?」
「ああ。テレビで見た事ない?これでも結構有名だぜ?ま、亮ほどではないけどさ」
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「実は私…亮さん達が出てる試合をこの間初めて見たんです…。
あ、たまたまテレビをつけたらやってたから…。ほ、本当にたまたまなんですが…」
「じゃ俺も見た?」



「ええ、見ました。ゴルゴさん、凄い勢いで転んでましたね?(笑)」
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「な~んだよ、そんなとこかよ。もっとかっこいい場面を見てくれよな。
って言ってもこの間の試合は全然かっこよくなかったけどな(笑)」



「いいえ…」
「え?」
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「かっこよかったです…。汗がキラキラ光っててとっても素敵でした…」
「素敵?マジで?」



「てか君さ、違う人と間違えてんじゃないの?」
「間違えてませんよ(笑)」
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「ほんとかよ?俺と似たような髪形の奴が何人かいるからな。
そいつを見て、あれがゴルゴさんね…とか思って見てたんだろ?そうだろ?」
「違いますよ(笑)」



「怪しい」
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「絶対に間違ってません(笑)」



カサ…
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(…沙織さん?)



(沙織さんがあんなに笑ってる…。凄く楽しそうだ…)
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(珍しいな…彼女があんなに大きな声で楽しそうに笑うなんて…。
ゴルゴさんがよっぽど楽しい話でもしたのだろうか?)



「お!ナイトの登場だぜ」
「え…」
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「鈴之介が来たぜ。じゃバトンタッチな」
「あ、はい…」



「やあ、すみませんでした」
「いいよ。挨拶はすんだのか?」
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「ええ、ほぼ終わりました。後は沙織さんのご両親にご挨拶するだけです」
「そっか。じゃ俺ももう帰るわ。じゃ又な!」



「さ、僕達も行きましょう。沙織さんのご両親が探しておられましたよ」
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「沙織さん…?」



「あ、はい…」
「ついでに両家のご両親に婚約式の事を話しましょうか」
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「…ええ…そうですね…」
「さ、行きましょう」



「ええ…」
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「行きましょう…」



「監督、俺もう帰ります」
「って、おい!さっき言っただろ?!ここのお嬢…」
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「もうした」
「は?」



「もう挨拶はしましたよ。お坊ちゃまにもね」
「え?どこにいた?じゃ俺も挨拶を…」
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「俺がちゃんとしときましたから大丈夫ですってば!もう帰りますよ」
「おい、でも…」



「さ~帰ろ~っと♪」
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「おい、ゴルゴ!」



(ちょっと遅いけどこのみちゃんの家に行ってお茶でもご馳走になろうかな~ついでに、
今夜はもう遅いから泊まってく?な~んて言われちゃったりなんかしちゃって?うぷぷっ)
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(よし!このみちゃんちに行こ~っと♪)



― 亮の部屋 ―



一方、このみは亮のベットでスヤスヤと眠っていた。
なんだかとっても気持ちがよかった。
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ふかふかのベット。甘い香り。
その匂いは、ずっと求めていた物のように思えていつまでも包まれていたかった。



亮は彼女の側でずっと寝顔を見ていた。
ローリーに指摘された通り、そして昼間気づいたように俺は彼女に惹かれている。
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恋と呼ぶにはあまりにも気恥ずかしいような気もするが、それしか言いようがない。
彼はそれを否定するほど子供ではなかった。



ふと、彼は気づいた。
この数日間、亮はリンダの事を思い出しもしなかった。
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それどころか、頭の中はいま目の前にいる、愛しい彼女の事でいっぱいだ。
ああ…そうか…。こうやって人は乗り越えるのか…。



しゃかりきになって忘れようとしてもダメなはずだ…。
時の流れに身をまかせ、自然と構えていればよかっただけなんだ。
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それは、こんな風に思わぬ時に思わぬタイミングでちゃんとやってくるのだから。
けれどその反面、どこか淋しさを覚えていた。



リンダはあまりにも長く自分の心の中に住んでいたからだ。
彼女を忘れると言う事は少年の頃から始まった初恋を断ち切ると言う事だ。
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初めて人を愛し、がむしゃらに走って来たあの頃を…。
あの時の自分も消えて無くなりそうで…なんだか淋しかった…。そして…



「忘れるのではない…思い出す日が減るんだな…」
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と、彼はそう小さくつぶやき、淋しそうに笑った。



「…ん…」
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このみは少しずつ眠りから覚めてきていた。
でもまだ目を開けたくない。もっともっと眠っていたい。



だが、少しずつ今の状況が少し変な事に気がついた。寝心地がいつもと少し違う。
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(あれ?私…どうしたんだっけ?えと…)



「起きた?」
「え?」
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「まだ寝てれば?朝にはまだ早いぜ?」
「亮さん!」



そう言いながら、彼女はすぐにベットから飛び降りた。



「ビックリした?」
「って…あの…ここは…」
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「俺の部屋」
「えと…(俺の部屋って事は…このベットは亮さんの…)」



「す、すみません!」
「いいよ(笑)」
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「わた、私寝ちゃったんですね!本当にすみません…」
「いいって(笑)」



「あの…誰がここへ…?」
「カイル」
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「うわ~重かっただろうな…悪い事しちゃったな…」
「大して重くないけど?」



「亮さんならそう思うでしょうけどカイルさんはそうは思いませんよ~!」
「全然重くないって」
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「もう!だから亮さんは…」
「運んだのは俺だもん。すげー軽かった。もっと飯食った方がいんじゃね?」



「りょ…亮さんが運んだんですか…。や、やだな~人をからかって…」
「俺の首にしがみついてくんだもん。苦しかったな~」
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「え?し、しがみついたんですか?」
「ああ。ギュッって」



「嘘!?」
「嘘」
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「もう!」
クス…(ほんとだけど)」



「あれ?亮さん…サングラス…」
「ああ、外してるよ。変?」
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「いえ…全然変じゃないです…」
「ほんとかよ?怪しいな~」



「ほんとはサングラス取ったら超変な顔ぉ~~とか思ってんじゃねーの?」
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「そ、そんな…ほ、ほんとに…」



(本当です…。全然変じゃない…。それどころか凄く綺麗な目をしてる…。
薄いコバルトブルーの瞳…。亮さんがこんな綺麗な瞳をしてたなんて…)
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(吸い込まれそう…。どんどん吸い込まれて行きそう…)



(ダメだ…。これ以上見たらダメ…。
これ以上見たら私の心臓がおかしくなる。今でもクラクラしてるのに…。)
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「わ、私帰ります…」



「このまま寝て行けば?」
「や、でもあの…明日は学校だし…」
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「ビビってる?」
「え…」



「俺にビビってる?」
「ビ、ビビビってなんかいませんよ!」
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「ビビビ?(笑)」
「もう!からかわないで下さい!」



「もう少しここにいてくれないか?」
「え……」
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「もう少しいてくれ…。君と一緒にいたい…」
「亮さん…」



著作権者様から許可を得てお借りしているBGMです。
よろしかったらお流し下さい。音の音量にご注意ください。






このみはこの時、何故か亮を抱きしめてあげたくなった。
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一緒にいたいと言う彼は、とても淋しそうに見えたからだ。
淋しそうで今にも泣きそうに見えた。



そして思った。彼はずっと一人だったのではないだろうか?
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リンダと離れてからずっと一人だったのではないのだろうか?
誰にも癒される事なく、一人の夜を過ごして来たのだろうか?



そう思ったら胸が締め付けられた。何度淋しい夜を過ごして来たのだろう?
この町へ一人で戻って来た最初の夜は?リンダの結婚式の夜は?
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二人が抱き合ってるであろう夜を思って何度こぶしを握りしめたのだろうか…?
そのどうしようもない刹那に涙がにじみ出た。



「泣いてるのか?」
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「いいえ…」



「ごめん…俺…ちょっと強引だったよな…悪かった」
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「送るよ、行こう」



やがて、彼女は顔をあげ、真っ直ぐに亮の顔を見上げた。



「亮さん…」
「ん?」
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「亮さんを抱きしめてもいいですか…?」
「抱きしめる?」



「私、亮さんを抱きしめてあげたいんです…」
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「このみちゃん……」



「抱きしめさせて下さい…」
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そう言いながら、彼女はふわりと彼を包み込んだ。



自分より、頭一つ分も小さい彼女が両手を広げて包み込んでくれる。
そして、子供をあやすように頭をなでてくれた。
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亮は体が溶けていくようだった。



「君って…あったかいな…」
「そうですか?普通ですよ(笑)」
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「いや…凄くあったかい…」



ギュッ…
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「あったかい…」



そこには何人もの女性とベットを共にしても得られなかった安心感があった。
ただ抱き合ってるだけなのに…
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それは、裸になって親密な行為をするよりも、遥かに強く彼の心を暖めていた。



ふと気づくと、まつげに縁取られた彼女の瞳が濡れていた。
彼は気がついたらそこにキスをしていた。



チュッ…
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「あ…」



そして…



「あの…」
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「君は俺の妹なんかじゃない…」



「りょう…さ……」
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「よかった…君が本当の妹じゃなくて…」



そう言いながら、亮は彼女の唇を捕らえた。





続き、第11話へ 「それぞれの夜」
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