第11話 「それぞれの夜」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第11話



― さかのぼる事1時間前 ― 



パーティーをとっとと抜け出し、このみの家へとやって来たゴルゴ。
少し遅いような気もするが、お茶ぐらいご馳走になれるだろう。
そしてあわよくば……と、想像し、ニヤリとしながらチャイムを鳴らした。



ピンポ~ン♪



「こ・の・み・ちゃ~ん♪ 俺だよ~ん♪」
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ピンポン~♪



「このみちゃ~ん♪」
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「??…あれ?…いない?…そう言えば真っ暗だな。もう寝ちゃったとか?」



このみならいないよ!
わっ!ビックリした~!
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「なによ…人をお化けみたいに…」
「急に声かけんなよ!驚くだろ!」



「このみはお出かけ中よ」
「え?どこへ?」
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「さあ…」
「なんだ…せっかく来たのに…」



「ここで待たせてもらうよ」
「いつ帰るか分かんないよ?(帰んないかも?)」
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「つってもそんなに遅くなんないだろ。もう少し待ってみるよ」



「ふ~ん…」
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(…ちょっと可哀想かな…)



「お茶」
「あ?」
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「飲んでく?」
「茶?」



「別に嫌ならいいけど」
「なんも嫌だなんて言ってねーだろ?」
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「じゃ来れば。安い酒もよければあるよ。それ飲んで待ってればいいじゃん」
「…もらうよ」



「へえ~意外と女らしい部屋なんだな?」
「なによ、なんか言いたそうね?」
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「いや、結構綺麗に片付いてるなと思って」
「あのね、私はこう見えても綺麗好きなのよ。
お料理はいまいちだけど、お掃除は得意よ。そんなに意外?」



「意外」キッパリ
「ムカつく~~!ったく…!」
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「お茶でいいの?それとも酒?」
「酒!」



「ところであんた、なんでそんな格好してんの?」
「パーティーだったんだよ。それがビックリでよ、鈴之介とあの許婚がいただろ?
今日はあの子の家のパーティーだったんだよ。親父のバースディーだとさ」
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「え?沙織?そう言えば今日は沙織のお父様のお誕生日だったけど…
なに?そこに行ってたんだ?」
「ああ、会社の命令でな」



「つーかあの鈴之介が芦屋の坊ちゃんなんだってな。すげービックリ」
「ああ、鈴之介はあそこの一人息子さ」
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「その一人息子がなんでこんなちんけなアパートに?」
「ちんけってあんたね…」



「何でか知んないけど…どうしても絵のコンテストで金賞取りたいんだってさ。
そんで親に無理言って美術学校に通わせてもらったらしいよ」
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「このちんけなアパートに住んでるのは、家に居ると集中出来ないんだってさ。
で、このアパートに少しの間住んでるって訳。それにここは学校にも近いしね」



「変わった奴だな。俺なら豪邸の方がいいけどな」
「ま、変わってるって言えば変わってるでけどさ。
所詮、金持ちはそんなもんよ。てかそれについてくる沙織も変わってるかもね」
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「ああ、あのお嬢様ね。あの二人、もうすぐ結婚すんだろ?」
「でしょ(たぶん)」



「結婚か~いいな~。俺もしたいな~」
「誰と?てか相手いんの?」
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「…このみちゃん……とか?」
「無理じゃね?」



「むっ。分かんねーだろ!」
「まーね…。何が起こるか分かんないしね…。あーあ…結婚か…」
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「なに?お前も一応夢見てんだ?お前こそ無理じゃね?」



「むっ。何よ!私だって結婚願望ぐらいあるわよ!」
「つうかお前だってその前に相手がいねーだろ?」
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「なんかムカつくっ」
「お前が先に言ったんだかんなっ」



―沙織の部屋の前―



「遅くなってしまいましたね。疲れたんじゃないですか?」
「ええ、少し…。今夜はもう休みますわ」
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「そうしましょう」
「はい」



(ゴルゴさんと話してた時の沙織さん…なんだかとっても楽しそうだったな…。
僕ももう少し沙織さんと打ち解けた方がいいのではないだろうか…)
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(そうだ…僕達はいずれ結婚するんだし…)



「バッカじゃないの?いったい何時代の事言ってんのよ?あのね、今は昔じゃないの!
今時キスぐらい、小学生だってしてるっつーの!」

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「小学生…」
「そうよ!いい?おやすみのキスとか何でもいいからキスの一つでもしてやんなさいよ!
チュッ!でいんだから。分かった?」





(おやすみのキス…。よ、よーし…今日はおやすみのキスを一発…)
ゴクリ…
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「さ、沙織さん…」
「はい?」



「あ、あの……その…」
「どうなさったのですか?」
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「ええ…その…お、おやすみのキスをひとつ…」
「え?」



「キ、キスをしてもいいですか?」
「…キス?…」
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「お、おやすみの…」
「あ、ああ…おやすみのキス……ですね…」



「………」
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「…はい…どうぞ…」



「…は、はい…では…」
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「し、失礼して行かせていただきます…」



「では行きます!」
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「ん~~~」


(さあ…沙織…瞳を閉じるのよ…)
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(そうよ…そう、瞳を閉じて鈴之介さんのキスを受け止めるの…。鈴之介さんのキスを……)



「ちゅぅぅぅぅぅ…」
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「キス……を…」



はっ!
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バシっ



「え?」
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「バシ?」



「えーと…沙織さん?」
「あ…」
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「あの…私……ごめんなさい…」



「い、いえ…あの……?」
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「アブ…」
「え?」



「そう、アブが飛んでたんです!い、今にも鈴之介さんを刺そうとしてたので!」
「アブ…ですか?」
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「え、ええ…怖いですね…。刺されたら死んでしまうかもしれませんわ。
あの…私もう疲れましたわ!ごめんなさい、私はもう休みます」



「ではおやすみなさい!」
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「沙織さん!」
バタバタバタ…



「………」
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「…アブ?」



「しっかしお前顔がまっかだぜ?
そんなにガブガブ飲んでたんじゃ、いい男なんか捕まえらんねーな」
「あんたも相当赤いっつーの!」
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「俺は男だも~ん♪」



「いい男ね…。本当に見つかんないな…」
「は?なに急に?」
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「ふふ…私さ…男を駄目にするタイプなんだよね…。
友達にも言われちゃった。ローリーは男を駄目にするタイプねって」
「なんだ、それ」



「なんでかしんないけど私の付き合う男はロクデナシばっかって事。
浮気されるか、さもなければ借金男か」
「どう言う意味だよ?」
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「付き合った男はほとんどがそんな感じの男だったけど…中でも最悪なのがいたな…
浮気や借金なんて当たり前…」
「どんな奴だよ?」



「昔さ…めっちゃ惚れた男がいたんだけどさ…最初はいんだ、最初は。
でもだんだんと浮気されたり博打に走ったりしてさ…」
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「不思議な事に、その時はそれでもその男が嫌いになれなかった…。
結局、そうなると当然、男は決まってお金をせびりに来る」



「もっと悪い事に、私は言われるがままにお金を渡しちゃうんだ、これが…。
すると決まって連絡が取れなくなって結局泣きを見る。お決まりコースって訳」
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「んで友達には男を駄目にしてるのはあんたよ!とか言われてね…。
私が男を甘やかすからそう言うめにあうんだってさ。ふふ…確かにそうだ…」



「お前、バッカじゃねーの?」
「え?」
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「バカだよ、お前」
「なによ…分かってるわよ…バカなのは…」



「そうじゃなくて…勘違いすんなよって事」
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「どう言う意味?」



「いいか!悪いのはその男だ。
お前はなんも悪くない。惚れた奴を助けたいって思うのは当たり前の事だろ?」
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「その男から困って金をくれって言われたら、惚れてたら渡すだろ?
その男のためにならないとかそんな事いちいち考えてられっかよ」



「ゴルゴ…」
「だってそうだろ?困ったのを見たくない、助けたいって思うのは自然な感情だ。
そりゃ時と場合にもよるけど、たいがいがそうすると思うぜ」
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「もちろん、その男のためには確かに助けない方がいいとは思うけどよ…。
けどそれをキッパリと断れる人間はいったい何人いると思う?」



「男と女は愛情だけで繋がってんだ。
それを失うかもしれないと思ったらビビって絶対にお前と同じ事をする」
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「悪いのは、惚れた弱みに付け込んだその男だ。
勘違いすんなよ?悪いのはお前じゃねー、その男だ」



「その駄目にするっつった友達?その友達がお前と同じような状況に追い込まれた時、
惚れた男の前でどんだけ気丈に振舞えるか見てみたいもんだね」
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「もしキッパリと断れるような女だったらそれは情がねー女だ。俺はそんな女はやだね」



「ゴルゴ…」
「なんだよ?」
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「あんた…なんだかカッコよく見えるよ…」
「バカヤロ~俺はいつでもカッコいんだよ!」



「ぷっ!」
「なに笑ってんだよ」
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「それがなきゃね(笑)」
「なんだよ!」



クスクスクス…
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(ほんと…カッコいいよ…)



私は誰かにそう言って欲しかったのかもしれない…。「君は悪くないよ」と。
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それを言ってくれたのが、顔を付き合わせればムカつく事ばかり言うこの男だったなんて…。



どうしてこの男は私の欲しい言葉をいとも簡単に言うのだろう。
ほんとうにムカつく男だ。
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だけどもっとムカつくのは私だ。
またバカな恋をしそうでムカつくったらない。



著作権者様から許可を得てお借りしているBGMです。
よろしかったらお流し下さい。音の音量にご注意ください。







博打好きな男に惚れるよりも、女好きな男に惚れるよりも、
自分に振り向いてくれない男に惚れる方がもっと始末が悪い。
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私は……そんなヘマはしない。絶対に。



カチャ
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「ちょっと強引過ぎたのだろうか…。僕とした事が…」



「沙織さん…僕は…僕はあなたに初めて会った時からあなたに恋をしました…」
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「そう…ずっと昔…幼い頃…
あなたに初めて絵を褒めてもらったあの時から僕の恋は始まった…」



―鈴之介8才―



「わ~素敵~!」
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「この絵、凄く素敵だわ!」



「この絵、あなたが描いたの?」
「う、うん…。あの…君は…?」
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「こんにちわ、初めまして。あなたが鈴之介さんね?」
「う、うん…そうだけど…」



「私は沙織よ。私達はね、許婚同士なんですって。パパとママが言ってたわ。
鈴之介さんも聞いてるでしょ?」

「き、君が沙織…さん…」
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「そうよ、私が沙織。私達は将来結婚するのよ。よろしくね」
「う、うん…よろしく…」



「この灯台の絵も鈴之介さんが描いたの?」
「そ、それは違うんだ…。それは去年、金賞を取った作品で…」
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「金賞?」
「うん…。この絵はコンクールで金賞を取ったんだ。とても凄い事なんだよ」



「じゃ将来は鈴之介さんも金賞を取るのね!だってとても上手なんですもん!」
「ぼ、僕なんか…」
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「ほんとうよ!凄く上手だわ!」
「あ、ありがとう…」



「いつか私にプレゼントしてくれる?」
「え?」
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「金賞を取ったらその絵を私にプレゼントしてくれる?
そうだわ!私と鈴之介さんの結婚の記念にどうかしら?」

「も、もちろんだよ!プレゼントするさ!」



「わ~ほんとにほんと?」
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「う、うん…ほんとにほんとうさ」



「沙織、嬉しい!」
「あ…」
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「約束よ!」
「う、うん!約束する。必ず金賞を取って君にプレゼントするよ!」




「君にプレゼントするよ…」




「あの時の約束を覚えていますか…?」
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「あなたに金賞をプレゼントすると…あの時の約束を覚えていますか…?」



「……」
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「ゴルゴさん…」



ヒック…いまらんじ…?」
「12時…ヒック
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「やっべ…もう帰るわ。それにしてもころろちゃん、遅いら~」
「ころろちゃんだって!ころろちゃん!キャハハハハハハ!」



「え?俺、ころろちゃんっていっら?」
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「いっら~!」



「あんたさ…このみの事マジなの?」
「マジマジ…大マジ~~!」
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「へえ…」



「じゃ帰るれ~~!ごっそ~さん♪」
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「気をつけてね…」



(そうか…マジか…)
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クス…変なの…。今日はやけにあいつがカッコよく見えるな…)



「へっくしゅんっ!う~~」
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「…亮…さん…」



「唇…もっと開いて…」
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「開いて…」



「あ…」
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「君の唇は甘いな…」



「最高に甘い…」
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続き、第12話へ 「素直になれない私」
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