第24話 「近づく嵐」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第24話



麗華に亮を渡さないと自信たっぷりと言われたこのみ。
だが、だからどうしたと言うのだ。今は彼は私のものだ。
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彼はいずれ、永遠の証をプレゼントしてくれると言ってくれた。
私はその言葉を信じてる。


だから不安になる事など一つもないのに…。
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「亮さん…」


「ん?」
「あの…何度もすみません。チームの事…本当に大丈夫なんですか…?」
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「さっきも言ったろ?大丈夫だって。君が心配する事は何もないよ。
しばらくはゴタゴタするだろうけど、そのうち落ち着くさ」
「そうですか…」


「こらこら、何をそんなに心配してるのかな?恋人が無職になったら困るぅぅ…とでも?」
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「違います(笑)それに、無職になってビンボーになっても平気ですよ。
私、ビンボーは慣れてますから(笑)」


「あのね、俺、そんなに不甲斐なく見える?
言っとくけど例え無職になってもしばらく食ってけるぐらいの蓄えはあるぜ?」
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「わ~お金持ちなんですか?」
「そこそこ」



「じゃ私、玉の輿ってわけですね?(笑)」
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「そこまでじゃないけど(笑)」



「よいっしょっと。けど、君を食わせるのには困らないし、そんな事は絶対にしないよ。
心配しなくて大丈夫だから」
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「心配なんかしてません(笑)」



「亮さん…」
「ん?」
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「本当に本当ですか?」
「なにが?」



「その…私達は本当に…。さ…さっきの永遠の証をプレゼントしてくれるって言う話です…」
「本当だよ…。これが落ち着いたら必ず君にプレゼントする。キラキラ輝くお約束の品をね…」
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「約束ですよ…」
「ああ、約束だ(笑)」



「プロポーズの前予約ってとこかな?」
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「はい(笑)」



(嘘…。キラキラ光るものなんていらない…。そんなのが欲しいんじゃない…)
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(ただ…ずっとこの腕の中にいられればそれでいい…。ずっと…)



― 数日後 ―



「………」
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(監督…)



「…どうしたんですか?」
「ああ…亮か…」
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「ルビーちゃんの具合でも…?」
「それもあるがな…。だがそうじゃなくて…そうじゃ…」



「スポンサーがいっきに降りた。ほとんどと言っていい…。
どうやらあのお嬢様が裏で手を引いてるらしい…。まいったよ…」
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「麗華が裏で…」
「ああ…。どうもそうみたいだ…」



「監督…すみません…」
「何がだ?」
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「実は…監督には言ってませんでしたが…俺…以前、麗華と付き合ってました…」
「お前が?」



「はい…。新聞にも二人でいるところを何度か載りました。なので監督も知ってるとばかり…」
「いや…全然知らなかった…」
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「そうですか…。もしかしたら今回の事は俺と麗華が別れた事に原因があるのかもしれません…」



「そんな事はないさ…」
「すみません…」
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「お前が謝る事なんかない。
例えそうだとしても、今回の事は俺の不甲斐なさが原因だ…。情けないな…俺も」



「それに、本当はもっと前に二宮家がスポンサーを降りてもおかしくなかったんだ…。
それを予想していながら俺は何の対処もしていなかった…」
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「ルビーの事があってな…。そこまで気が回らなかった…」



「すまん…。全部俺の責任だ…。俺が二宮家に頼りっきりになっていなければこんな事には…」
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「とにかく俺が麗華と会って話して来ますので…」
「そうしてくれるとありがたい…。すまんが頼むよ…」



「ルビーちゃんはどうですか?」
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「最近はちょっとはいいんだがな…だがまだドナーの順番が来ないんだ…。
ルビーの前に何人か待ってる人がいる…。そっちが優先だ…」
「そうですか…」



「あと少しなんだが…。けど…例え順番が来てもこの状況じゃ…」
「金…ですか…?」
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「ま、そんなとこだ。はは…お前にそんな事を言っても仕方がないな…」
「監督…」



「それよりお前には悪いがお嬢様の件…早めに頼む…」
「分かりました…。すぐに…」
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「悪いな…。お前にいつも頼りっぱなしで…」
「何を言ってるんですか、監督らしくもない(笑)大丈夫ですよ。
麗華もそんなに頭の固い人間じゃないんで。ではこれから連絡取って会ってきます」



(亮…すまん…)
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(金か…)



一方、沙織にかっこよく婚約破棄を言い渡した鈴之介。
言ったのはいいがやはり辛い。
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これから自分は沙織とゴルゴの恋の行方を見て行けるだろうか?
こんな事を考えてばかりで絵だって描けやしない。



(どこか遠くへ行きたいな…。僕を誰も知らないところへ…)
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(行こうか…?そしてもう一度絵を最初からやり直してみようか…?
僕はきっとこのままではダメだ。このままじゃ沙織さんどころか絵も失ってしまう…)



カタ…
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「鈴之介…」



「ローリーさん…」
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「大丈夫?」
「何がです?」



「何がって…ゴニョ…婚約解消の事とか…婚約解消の事とか……」
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「沙織さんから聞いたんですね…」
「うん…」



「はは…金賞を取れれば何も問題はなかったんですがね…。僕はどうしても金賞が取りたくて…」
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「僕の我がままです。沙織さんには本当にご迷惑をおかけ…」
「違うでしょ?そうじゃないでしょ?」



「本当は金賞が問題なんかじゃなくて違う事が原因なんだろ?
私には分かるよ。あんたが沙織より絵の方が大事なんてそんなの嘘に決まってるもの」
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「ローリーさん…」



「本当にそれでいいの?」
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「僕は……」



「いいの?」
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「ゴルゴさんの事…知ってるんですね…」
「うん…ちょっと前にね…」



「ごめん…。本当は沙織の様子がおかしい事は気づいてたんだけどさ…。
だけどあんたには言えなかった…」
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「そうでしたか…。ここ最近、沙織さんがボ~っとしてたのは恋煩いだったようです…。
そんな事も知らず僕は……金賞を取る事にばかりに気を取られていました…」



「ローリーさんは沙織さんのあの顔を見ましたか?」
「顔?」
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「はい…。彼女がゴルゴさんに向けてる時の顔です…。彼女はとても綺麗でした…」
「鈴之介…」



「僕には見せた事がないような顔でゴルゴさんを見ていました。
僕には一度も見せた事がないようなキラキラした顔で………微笑んでいたんです…」
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「それはまるで天使のようでした…。僕はあの笑顔を守りたいんです。
辛いですが…出来る事なら彼女の恋を叶えてやりたい。それが僕の願いです…」



「鈴之介…」
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「あんたはバカだね…。大バカものだよ…」



「ええ…僕は本当に大バカものです…。絵も中途半場で何をやってもうまくいかない。だから…」
「だから…?」
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「だからせめて絵だけでもちゃんとやろうと思いまして…」
「どう言う事…?」



「この町を離れ…いえ…この国を離れて海外へ一人で絵の勉強をしに行こうかと…」
「なんで…?だってあんたには家があるだろ?」
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「そうですが…。でも僕はこのままではダメなような気がするんです…。
絵も諦め、家に逃げても僕はいつかダメになるような気がします…」



「僕は自分に甘えていました。
僕以外の学生さんは、絵を描く時間がないほどアルバイトをしながら暮らしています」
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「それでも彼らは必死になって絵を描いている…。すばらしい絵を…」



「それが僕はどうですか…。親に甘えて食うに困らない。
絵を書く時間はたっぷりとある。それなのにまともな絵一つ描くことも出来ない」
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「僕にはどこか、絵に対する真剣さが足りないのかも知れません…」



「そうかな…。そんな事はないと思うけどね…」
「いいえ、僕は世の中を知らな過ぎる」
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「世の中の明と暗、ましてや人のなんたるかも まるで分かっていないのに、
人を魅せられるような絵を描く事なんて出来るわけがない…」



「もっと世界を見、経験を持ち、心を大きくしたいんです…。
僕は今まで、ただ上手に描く事にばかりにこだわっていました」
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「ですがそれじゃダメなんです。
ローリーさん、あなたの絵が佳作に選ばれたのはなんとなく分かるような気がします」
「え…?」



「あなたの表現力はすばらしい。生き生きとしていて夢があります。
多少荒削りのところがありますが、その中に…どこか人を惹きつけるものがある…」
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「僕もそんな表現が出せるよう、もっと絵を勉強したい…。
それには親元を離れるのが一番なんです…」



「マジで?マジでこの国を出るの…?」
「はい。せめて絵ぐらいは、人に頼らないでやってみたいんです…」
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「…鈴之介…」



「あんた…きっと凄い絵描きになるような気がする…」
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「とてつもない絵を描く人間に…」



「僕がですか?(笑)ローリーさんは大げさだな~(笑)」
「ううん、凄い人になるよ…あんたは…」
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「本気にしちゃいますよ(笑)」
「ほんとだよ。なんだかそんな気がするんだ…」



「ローリーさんにそんな事を言われるなんて、とても大きな太鼓判をもらったようで嬉しいです!」
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(沙織…。鈴之介がこんな男だって知ってた?)



(こんなにも男らしくて頼もしい…)
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(そんな男だって知ってた…?)



― ホテル ―



「話って何かしら?」
「何じゃないだろ?!」
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「何よ…いきなり…」
「どう言う事だ?」



「何の事かしら?」
「とぼけるのはやめてくれ。スポンサーの件だ。スポンサーをいきなり降りたのは俺のせいか?」
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「それだけじゃない。他のスポンサーにも圧力をかけてる。それも…君がやっているのか…?」



「………」
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「麗華…」



「ええ…そうよ…」
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「どうして…」



「どうして?どうしてですって?よくもそんな事が言えるわね。言ったはずよ?私と結婚してと」
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「麗華…。俺と君の間にはそんな感情はないと言ったろう?」
「あなたには無くても私にはあるわ」



「そうよ…。一度も消えた事なんてないわ…。
私はあなたを今でも愛してる…。あんな子よりも私の方が…」
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「やめてくれ!」



「やめないわ!私があれで引き下がると思った?この私が?」
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「その話は終わった事だろ…?」
「いいえ、終わってないわ!」



「あなた…私にチームの事を頼みに来たんでしょ?なら話は簡単よ。
あなたがもう一度私のところへ戻ってくるのならスポンサーの件を考え直すわ」
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「いいえ、すぐに元通りにすると約束するわ。それ以外はいっさいお断りよ」



「………」
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「俺は戻らない…」



「そう…。じゃこの話は終わりね。クスクス…これからチームはどうなるのかしら?
監督さんは?…あの監督さんは大変なんじゃなくて…?」
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「君は…それを知ってて…」
「だからどうだって言うの?私はあなたを取り戻すためならどんな事だってするつもりよ」



「最低だ…。君はそれがどんなに最低な事か知ってるのか?」
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「ええ…分かってるわ…」



「監督はどんな事があっても俺がなんとかする。君の助けは借りない」
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「そう…。せいぜい頑張ってね…」
「ああ。せいぜい頑張るさ。必ず俺が何とかして見せる」



「例え、一文無しになっても」
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「あなたならそうすると思ったわ…」



「麗華…。俺はどんな事があっても君の元へは戻らない。やっと愛する女を見つけたんだ…」
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「俺は彼女を愛してる…。何よりも…。誰よりも…」



「もう君と話すことは何もない」
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「………」



(愛してる女…) 
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(愛してる…愛してる…愛してる!)



(なぜあの子は何の努力もなしにその言葉を貰えるの!?)
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(私が喉から手が出るほど欲しいその言葉をいとも簡単に…)



(そう…分かったわ…。
やってみればいい。だけど亮…世の中にはどうにもならない事があるのよ…)
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(いくらあなたにだって…どうにもならない事が…)



ピンポン♪



「亮さん!」
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「よっ…」



「どうしたんですか?今日は仕事ですよね?」
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「あれ、来ちゃいけなかった?まさか違う男と逢引でもしてるんじゃ?」
「わ!バレちゃった(笑)紹介しますのでどうぞ中へ(笑)」



ギュッ…
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「亮さん…?」



「このみちゃん…」
「はい…?」
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「俺…マジで貧乏になってもいいかな…?」
「え…」



「少しの間、ちょっとだけ貧乏になるかも知れない…」
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「ど、どうしたんですか…?」
「実はさ…監督の事なんだ…」



「え!監督の娘さんが心臓病を…?」
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「うん…。それには移植しかないんだ。もちろん莫大な金がかかる…」
「そうだったんですか…」



「だから俺の家を売ってでもなんとか助けてやりたい…」
「チームはやっぱりダメなんですか…?もう麗華さんはスポンサーには…?」
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「ああ…。麗華と話したがダメだった。チームもこのままではすぐにダメになる…。時間の問題だ…」
「そんな…」



「ごめんな…」
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「亮さん…」



クス…亮さんッたら…。私に謝らなくてもいいのに(笑)」
「だけど当分は結婚どころの話じゃなくなる。
住む家も探さなくちゃならないだろうし…。本当にごめん…」
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「私の家へ来ますか?」
「ここへ?」



「ええ。狭いですけど二人ぐらいならなんとか住めますよ♪
それに、狭い方が何かと便利じゃありません?」
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「ん?」



ギュッ…
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「ほら…いつでもこんな事が出来たり。わ~スーパースターの亮さんを独り占め~ラッキー♪」
「ぷっ…」



「私なら平気…。お金なんかなくても構いません。
私がやりくりしてみせます!貧乏暮らしをナメたらいけませんよ?」
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「そっか(笑)」



「ここに住むかどうかは別にして、君の肝っ玉が座っててよかった(笑)」
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クスクスクス…頼り甲斐がある恋人でしょ?」
「まいった(笑)」



(平気…。貧乏なんて少しも怖くない)
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(それにこれが済めば不安が消える…。きっと…)



このみはこの時、麗華がスポンサーを降りた事にホッとしてさえいた。
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これであの人と関わらなくて済む…。
そしてあの瞳を二度と見る事もなくて済む…。



― 翌日 ―



「すみません…結局なにも出来なくて…」
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「いや、いいんだ…。俺の方こそすまなかったな…」



「それより、このチームがダメになったらどうする?移籍を考えなきゃならんぞ。
たぶん時間の問題だろう。行くあてはあるのか?」
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「はい…一応あります。…地元のチームへ行こうかと…」
「ジーンがいるところか…」



「ええ…。前から来ないかと誘いが来ておりましたので…」
「お前ならどこでも欲しいだろうよ。…で、ゴルゴも一緒に連れてってくれるのか?」
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「アイツにはまだ言ってませんが、それを条件に出そうと思っています。
もっとも…アイツさえよければの話ですが…」



「はは!ゴルゴは絶対について行くに決まってんだろ?
お前が行くところならアイツは一も二もなくついてくさ(笑)」
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「俺もそう思います(笑)」
「俺もそれを聞いて安心したよ。お前とゴルゴの事だけが気がかりだったんだ」



「けれどそれはあくまでも最後の手段です。
ここのチームがあるかぎり、俺はここにいます…。あなたがいるかぎり…ここに…」
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「亮…」
「俺はまだ諦めたわけではありません」



「…さんきゅ…」
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「…で、監督は…?もし…そうなった場合…。俺にはそれが心配で…」



「俺か…。はは…俺はこのまま引退だろうな…。
せめてルビーの手術代だけでも何とかしたかったんだが…。情けねーな…」
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「…その事なんですが…」



「ん?」
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「実は俺…」



バンッ!
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「監督!」



「どうした?」
「びょ…病院から連絡が…」
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「なに?」
「…ルビーちゃんの容態が……容態が…急変したそうです…」



「なん…だって…」
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続き、第25話へ 「それぞれの愛…」
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