第27話 「やっぱりお似合い?」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第27話



カチャ…
「あなた、誰か見えてたみたいだけど…どなたかいらしたの?」
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「あなた…?」



「あ…ああ…知り合いがな…。それよりルビーは?」
「今は呼吸も落ち着いてるわ」
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「そうか…」
「ルビー……大丈夫でしょうか…」



「大丈夫さ…。今までだって何度も発作はあったんだ…。それでもちゃんとよくなったじゃないか…」
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「でもだんだんと発作の感覚が短くなって来たわ…。
いくら宮沢さんが助けてくれると言っても肝心のドナーが出ない事には…」



「そうだな…」
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「そう……だな…」



「じゃ取引は成立ね。すぐに亮を説得してちょうだい。
婚約発表をした時点でドナーと現金はすぐに手配するわ」
「今すぐじゃないのか…?」

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「それはダメよ。私はまだ欲しいものを手に入れてないもの。
おたがいが欲しい物を交換して初めて、取引が完了するんじゃなくて?」




「君と言う人は…」
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「あなたの娘さんには可哀想だとは思うわ…。けれど私も必死なの…。
それに、あなたがすぐに亮を説得出来れば何も問題はないでしょ?」




「亮はすんなりとは行かない…それは君も分かっているだろう…」
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「ええ、分かってるわ。けれどあなたの言う事ならさすがの亮も聞くでしょ?
だって娘さんの命がかかってるんですもの。亮だってそれを犠牲にはしないはず…」




「君は悪魔のような女だな…」
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「何とでも言って結構よ。けれど忘れないでちょうだい。
あなたはその悪魔と取引したって事を…」




「あなたと私は共犯者なの。それを忘れないで…」
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(俺達は…共犯者…)



(亮……俺は悪魔に身を売ってしまった…。
お前になんと言えばいい?ルビーのためにあのお嬢様と結婚してくれと?)
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(やっと掴んだお前の幸せを………俺は……)



「和子…」
「え…?」
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「ルビーは助かるよ…。大丈夫なんだ…」
「だってまだドナーは…」



「大丈夫なんだよ…。数ヵ月後には元気に走り回ってるさ…」
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「あなた…?」



― 数日後 ―



「沙織?なに?私になんか用事?」
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「ローリーさん…」



「どうした?そんな顔して…」
「ええ…」
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「またゴルゴの事で相談?」
「いえ…そうではありません…」



「実は夕べ、鈴之介さんが実家へ謝罪に来たそうです。さきほど母から電話がありました…」
「そっか…」
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「私…なんだかじっとしていられなくて。
ローリーさん、これでいいのでしょうか…。すべて鈴之介さんに責任をなすりつけて…」
「沙織…」



「鈴之介さんはすべて自分の我が儘でこうなったと説明したそうです…。
けれど私の両親は本当は私のせいだと言う事を知ってるんです…」
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「だからこそ…そんな鈴之介さんに本当に申し訳なく思っていると…」
「そりゃ…そう思うだろうね…」



「彼のご両親からも私に謝罪の連絡がありました…。申し訳ないとひたすら謝って…。
でも私は……そんなご両親に対しても何も言えなくて…」
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「私は…本当にこれでいいのでしょうか…」



「いいんじゃない?」
「え…」
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「沙織は何も言わなくていいと思うよ…」
「でも…」



「鈴之介はきっとプライドを守ったんだよ。あんたのプライドも、自分のプライドも」
「プライド…?」
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「そう、プライド」



「きっとそれが鈴之介のプライドだったんじゃないかな…」
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「最後まであんたを守る事を。そして最後まで自分が男である事を。
きっとあいつはそれを守ったんだと思うよ」
「私を…守る…」


「鈴之介は絵ばかりやってるように見えて、実はちゃんと考えてる…。あんたの事も、自分の事も。
それから…自分の将来の事もね…」
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「鈴之介さんの将来…ですか?」
「うん。このまま家を継ぐ事に疑問を感じてた。ただの坊ちゃんだと思ってたけど、
そうじゃなかったな。奴は奴なりにちゃんと考えてたよ」



「今回の事も、鈴之介は自分が全部背負う事なんてちっとも気にしてない。
それどころか、沙織……あんたを守る事の方が大事だったんだ」
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「それを沙織がさ…鈴之介の両親や周りに余計な事を言い出したら、
せっかく鈴之介が守ったものが崩れちゃう」



「だから沙織は鈴之介に甘えてればいいんだよ…。
何も言わず、黙って受け入れればいい。それが鈴之介の願いだと思う…」
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「鈴之介さんの願い…」
「そう…。それが奴の願いさ…」



「って噂をすれば鈴之介じゃん。鈴之介!」
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「やあ!こんにちわ」



「あ……沙織さん…」
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「や、やあ!沙織さんも一緒でしたか!こんにちわ♪」
「こ、こんにちわ…」



「ところで鈴之介。
最近あんたアパートにいないけど、いつも何処行ってるわけ?絵も描いてないようだし」
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「ああ。アルバイトを探していたんですよ」
「アルバイト?」



「ええ…。社会見学と言うか…そんなものを経験しようかと…」
「社会見学…?…今更…?」
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「え、ええ…」



「嘘だろ……?」
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「本当は親に仕送りとか止められたんじゃないの?
急に留学なんて言い出したから…だから止められたんだろ?」



「え…」
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(留学…?)



「いや~ローリーさんは勘が鋭いな~!実はそうなんですよ!
仕送りどころか、カードもすべて止められてしまって(笑)さすがの僕もまいりましたよ(笑)」
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「笑ってる場合じゃないっつーの」



「あの…鈴之介さん…留学って…」
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「ああ、沙織さんには言っていませんでしたが、実は僕、
絵の勉強をしに留学する事にしたんです。それを言ったら両親が怒ってしまいまして…」
「そんな………まさか私のせいで…」



「まさか(笑)そんな事はありません(笑)」
「でも…」
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「本当にあなたのせいなんかじゃありません。どうしてあなたのせいなんですか(笑)
僕はどうしても絵の勉強をしたいんです。そのためにはもっと世界を見たいと思いまして!」



「で、アルバイトは見つかったの?」
「それが中々…。ローリーさん、どこか知ってませんか…?」
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「ない…事もないけど…」
「え?それは助かります!留学費用も作らなきゃならなくて、困ってたんです!」



「うちの店…来る?」
「ローリーさんのお店…?」
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「私とこのみがバイトしてるところだよ。店長に頼んであげる」
「本当ですか!」



「うん…。だけど本当にアルバイトするの?大変だよ?」
「もちろん大変なのは分かっていますがそんな事を言ってる場合じゃありません」
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「それに、いずれ海外に行ったらアルバイトをしながらの生活になると思います。
なので今のうちに経験しておかなければ…」
「そんなに…?…いくらなんでも両親もそこまではしないだろう?」



「いえ…すると思います…」
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「僕の父は意外と厳しい人なんですよ…。
自分で言い出した事の責任は必ず取れと…そう言う父です…」



「へえ~やっぱ普通の金持ちとは違うわ…。よし、分かった。
さっそく今から店長に電話してあげる。OKなら今夜からでも働けると思うよ」
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「ありがとうございます!助かります!では僕もさっそく履歴書なんぞを書いて来ますので!」



(鈴之介さんが留学…?)
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(そんな…きっと私のせいで…)



「では僕はこれで」
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「鈴之介さんっ!」



「沙織さん、どうしたんですか?」
「ごめんなさい…」
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「沙織さん?」
「本当にごめんなさい…」



「何がです?沙織さんが謝る事なんて一つもありませんよ(笑)」
「両親から連絡がありました…。……夕べ…鈴之介さんが謝罪に…」
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「ああ!その事でしたか!沙織さんのご両親には本当に申し訳ない事をしました。
ですがご両親は何もおっしゃいませんでした。お優しいご両親ですね…」



「違うんです!」
「え…」
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「違うんです…。本当は両親は婚約破棄の事を知っていました…。
あなたには、私の方から断ろうとしている事を知っていたんです…」
「沙織さん…」



「ごめんなさい…。謝らなければいけないのは私の方なんです…」
「そんな…」
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「私は……私は……鈴之介さん以外の人に…ゴ…ゴルゴさんに心を…」



「言わないで下さい!」
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「言わなくてもいいんです…」



「鈴之介さん……やっぱり知っていたんですね…」
「僕は…」
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「どうして…どうして何も言わないんですか…
私がゴルゴさんに惹かれてる事をどうして怒らないんですか?!」



「本当は全部私の責任なのに……それなのに…」
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「ごめんなさい…ごめんなさい…」



「沙織さん…泣かないで下さい…」
「ごめ……」
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「いいんですよ…。あなたがゴルゴさんに惹かれた事は悪い事でも何でもありません…。
むしろ僕は、あなたの恋を叶えてあげたいと思ってます…」



ヒック…私の恋を…?」
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「ええ…。僕が留学する前に…なんとかして叶えてあげたい…」
「鈴之介さん…でも…」



「そうだ!僕、いい事を思いつきました!」
「え…?」
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「沙織さんの恋を叶える作戦をたてましょう!」
「作戦…?ですか…?」



(なんじゃそりゃ…)
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「題して!ゴルゴさんを必ずゲットしちゃうぞ~~作戦です!」



「ゴルゴさんを…必ずゲットしちゃうぞ~~作……戦……?」
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「ええ、ローリーさんにも手伝ってもらって、
デートの練習とか、後は告白の練習とか、そう言うのをするんです!」



(鈴之介…どうみても言ってる事おかしいから…。
いっくら天然ボケの沙織でも『うん』って言うわけねーっつーの…)
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(告白の練習や…デートの練習…)



「どうですか!僕はとてもホットな案だと思います!」
「それは……」
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(だから…んな訳…)



「とっても素敵!」
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ズルっ…



「本当に手伝ってくれるんですか!」
「もちろんですとも!ゴルゴさんを必ずゲットしちゃうぞ~~作戦、頑張りましょう!」
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「はい、ありがとうございます!」



(やっぱりこいつらって……)
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(お似合いなんじゃ…?)



― 夜 ―



「さあ、言ってみな」
「はい…。…ヘ…へい…いら…いらっしゃい…いらっしゃ…」
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「へいって何?普通に ”いらっしゃいませ” でいんだって」
「あ…そうでしたか…」



「ほら、もう一度」
「…い、いらっ…いらっ…いらっさいましぇ…」
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「ましぇ…?」
「いら…いらしゃ…いら…」



「もういい。じゃお客様の注文取ったりカクテルを勧めたりしてね」
「あの…どうやって?」
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「カクテルはどうですか?とか。今はサービスタイムですよ~とか」
「は、はい、頑張ります!」



「ね、ローリー…。かなり無理があるんじゃない?」
「大丈夫だって。すぐに慣れるさ」
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「だけどさ……」
「大丈夫だから。ほら、お客さんだよ」



カランコロン♪
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「いらっしゃいま…」



「………」
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「このみ…この女…」
「うん……」



「あら…偶然ね…。ここでアルバイトをしてらしたの…?」
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(ウゲー!白々しっつーのっ)



「ええ…ここでアルバイトをしています。それが何か?」
「いえ…ただ大変そうだと思ってね…」
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「別に…」



「そこの店員さん、カクテルを一杯下さる?」
「売り切れました」
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「まあ…。では他の飲み物でいいわ」
「申し訳ありませんが、全部!売り切れました」



「あら…」
「あんたね~!何しに来たのよ!あんたのせいで亮さん達のチームが…」
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「ローリー!やめなって!」



「まあ…あなたのお友達?
クスクス…野蛮な人ね…。けど類は友を呼ぶって言うものね…」
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(ムカつく~~~!!!!!)



「帰っていただけませんか。ここはあなたのようなお嬢様が来るような場所ではありません」
「そうね…飲み物も売り切れたようだし…」
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「ええ、売り切れました。ですから帰って下さい」
「相変わらず気が強い事…」



「あなた…」
「何ですか…?」
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「私も来ないけど……亮も来なくなるかもしれないわね…」
「え…」



「きっと来なくなると思うわ。こう言うお店…私達には合わないんですもの…」
「私達?それはどう言う意味ですか?亮さんとあなたを一緒にしないで下さい」
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「そうね、まだ一緒じゃないわね…。でもそのうち私達は一緒になるわ…。きっとすぐにね…」
「なっ…」



「あんた、なに訳の分からない事言ってるのよ。頭がおかしんじゃないの?」
「頭がおかしいかどうかはもうすぐ分かるわ」
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「なにこの女…」
「私はこれで失礼するわ。
それにしても…お店の飲み物がなくなるなんて、ずいぶん繁盛してるお店ね?ふふ…」



「だからどうだって言うのよ!」
「きっとあなた達のような同じ人種の人で賑わっているのね…」
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「同じ人種って…あんた…何様なのよ…」
「ローリー…」



「では失礼」
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「………」



「このみ、気にする事ないよ!」
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「うん…」



(大丈夫…気にしてなんかいない…。でも…彼女はなぜあんな事を…?
まるで亮さんとすぐにでも一緒になるみたいに…)
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(ううん…きっと単なるはったりよ…そうに決まってる…)



「あ…」
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「ヘ…ヘイ…!いらっ…いらっ…いらっしゃいましぇ!カ、カクテルはいかがですか?
い、今はちょうど大売出し中です!ぜ、是非、この機会に…機会に…」



「………」
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「結構よ」



「あ、あの…でも……一杯ぐらい…」
「そこをどいて下さらない?」
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「あの…」



「失礼」
「あの…お客様~~!本当にお得なんです!飲まなきゃ損でございます!」
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(あの…バカっ…)



「お客様~~!お待ちを~~!」
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「ローリー…今すぐクビにするって言うのは…どう?」
「その考えに一票…」


 


続き、第28話へ 「嘘つきな恋心」
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