第32話 「僕の初体験」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第32話



― 翌朝 ―(ホテル)


「おはよう」
「おはようございます…」
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「よく眠れた?」
「はい、ぐっすりと♪」



「ところで俺、腹減って死にそう。メシ食いたい」
「お腹がすいたんですか?(笑)」
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「夕べ頑張ったから。ルームサービスでも取ろうか?」
「もう(笑)起き抜けにメシ、なんてムードないな~」



「結婚したら毎朝言うよ。俺の体は燃費がいいからね。特に、頑張った翌日には」
「エッチ(笑)」
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「エッチついでにもう一回頑張っちゃう?」
「お腹がすいて死にそうなんじゃないですか?(笑)」



「一回分ぐらいの体力なら残ってる」
「私はないです(笑)」
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「君は動かなくていい。俺が頑張って動くから。それとも君が上に乗っかってくれる?」
「嫌です(笑)朝っぱらから恥ずかしくてそんな事出来ません(笑)」



「恥ずかしい?おかしいな~だって夕べの君は…」
「もう!」
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「ほんとの事だも~ん♪ なんならもっと詳しく説明してやろうか?」
「結構です(笑)」



「ほんとにダメ?」
「ダメ(笑)」
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「ケチっ」
「ケチだも~ん♪」



「今日はこれからどこかに行く?デートしようか?」
「デートですか?」
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「それとも真っ直ぐに市役所に行くか。入籍だけ済ませるとか?」
「入籍って…あの…いくらなんでも今日は…」



「なんで?」
「だってその…両親にも先に報告したいし…」
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「そっか…それもそうだな。いくらなんでもそれが先だな。気づかなくてごめん」
「いいえ。それに今日は学校にも顔を出して先生にも色々と相談があるし…」



「ほ、ほら…引っ越すとなったら学校もやめなくちゃならないし…
そ、それに家の整理とかもあるし…。だから今日は帰ります…」
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「分かった。じゃ今日は仕方ねーな。整理がついたら連絡して。
一度サンセットバレーに行って君のご両親に挨拶に行こう」
「はい…」



「さてと…帰るか。もうチェックアウトの時間だ」
「ええ…」
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「夜もちゃんと電話しろよ?それと、もうすぐ引っ越すけど俺の家の鍵、渡しとく。
俺がいなくても勝手に入って適当にしてくれて構わないから」
「…鍵?」



「行くぞ」
「あの…でも…」
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「でももクソもない。持ってなさい」
「だけど…」



「いいから。ほら、早く行くぞ」
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「はい…」



一方、シルヴァーを家に入れたローリー。あのまま見捨てるのも何となく後味が悪い。
もちろん、元の関係に戻る事はありえない。
ほんの少しの間だ。ただ…ほんの少し助けてあげるだけ…それだけだ…。



「じゃ…これ…。少しだけど小さい家なら借りられると思うから…」
「ああ…」
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「今日はこれから家を探して、それから仕事を探しに行こう。私も付き合ったげる」
「いや…そこまでは甘えられないよ。俺が自分でやる」



「ほんと?ちゃんとやれる?」
「やれるよ。夕べお前に言われた通り、俺もそろそろちゃんとしなきゃな…」
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「夢はさ…しょせん、叶わないから夢なのかもな…。
俺も最近になってそう思うようになって来たよ…。とにかく、ちゃんとするから」



「分かった…」
「金は必ず返すよ。それと…俺がお前とやり直したいと言ったのは本当だ。
ちゃんと生活を立て直してもう一度やりなおそう」
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「だからそれは夕べ言ったはずよ…。ただ少しの間助ける…」



「頼むよ…もう一回だけチャンスをくれ…。お前がなんと言おうと、
俺は今度こそお前を幸せにしたい。本当に後悔してるんだ…」
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「だからそれは…ああ!もういいわ、とにかく行って。
もし部屋がすぐに見つかるようだったら連絡して。ダメなら又明日探せばいい」
「分かった…行くよ…」



「行ってらっしゃい…」
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(ローリー?)



(あの人誰だろう…。それにさっき何か渡してた?何?)
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(何か封筒のようなものだった…。お金…?まさか…)



「ローリー…」
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「今の人、誰?」



「このみ…」
「誰?」
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「うん…」
「誰?」



「あいつだよ…」
「あいつって?」
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「夕べあんたに言った最低野郎…。昔付き合ってたろくでなし…」
「嘘…なんでここに…」



「探して来たみたい」
「それは分かるけど…だけどどんな用事で?さっき彼に何を渡したの?」
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「見てたの?」
「見えたのよ…。ね、何を渡したの?」



「なんでもな…」
「ローリー!」
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「なんでもないって言ってるでしょ!?」
「なんでもなくないでしょ!」



「ごめん…。あいつさ…今住む所もないんだ…。
だから住まいが見つかるまでちょっとだけ私の所に置いてあげる事にしたの…」
「だから?だからさっき渡したのは何って聞いてるでしょ?」
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「お金…。お金がなきゃ住むところも見つけられないでしょ…」
「お金って…。ローリー…何やってるのよ…」



「何やってるのよ!?彼がひどい人だって分かってるでしょ!?
ローリーがどんな目にあったか私に教えてくれたばかりじゃない!?」」
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「分かってるわよ!」
「分かってるならどうして…」



「私だって何やってるかちゃんと分かってるわよ!」
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「だけど放っとけないじゃない!昔惚れてた男が私に助けを求めてる。
黙って見てられないの。どうしても放っとけないのよ!」



「そんなのおかしいよ…」
「世の中にはね…あんたの愛する亮さんのように何でも出来る人ばかりじゃないのよ」
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「アイツのように、何をやってもうまく行かない人間だっているのよ!」
「何それ…」



「もうこの事に口出ししないで」
「そう、そうね!亮さんは何でも出来るわよ!だからどうしたって言うのよ!?」
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「このみ…」
「何にも知らないくせにっ!」



「もう分かった。勝手にすれば?お金でも何でもあげなさいよ。
私はもう何も言わない。だけどローリーがそんなにバカだなんて知らなかったわ!」
「あ、そこまで言う!?」
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「言うわよ!」
「何よ!」



ローリーはむしゃくしゃしていた。
原因は一つだ。ゴルゴと沙織の事が気になって仕方がない。
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だけど、それをこのみにぶつけるなんて私はどうかしている。
本当にどうかしている…。



「こんにちわ」
「沙織ちゃん…」
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「どうしたんですか?こんな道端で大声出して…」
「う…うん…ちょっとね…」



「あ…そうだ…ローリーさん…」
「え…」
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「私…夕べゴルゴさんに伝えたんです。自分の気持ちを」
「そ…そんな事を私に報告する必要なんてないのに…」



「いいえ、ローリーさんには色々と相談にのっていただきましたので。
まだ返事は聞いてませんが、もしダメだとしても私…諦めません」
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「沙織…」
「諦めないって決めたんです。私…絶対に諦めません」



「例え、傷つく事になろうとも…」
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「私は諦めない」


そう言いながら、彼女はローリーを真っ直ぐ見据えた。


沙織の挑むような瞳に先に気づいたのはこのみだった。
どこかいつもの沙織と違うような気がする。
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彼女は……変わった…?
あのおっとりとした彼女ではない、むしろキリリとして見える。



そして彼女は美しかった。
沙織独特の透明感に強さとたくましさが加わり、彼女を光輝かせていた。
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恋はこんなにも人を変えるものなのだろうか。



「では私、鈴之介さんとお話がありますので失礼します」
「ああ…うん…」
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「ごきげんよう…」



ローリーは沙織を真っ直ぐに見られなかった。
見たら、嫉妬の嵐で沙織に何を言うか分からない。
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そして彼女の迷いのない決意にも圧倒されていた。
ローリーに残ったのはイライラとやるせなさだけだ。

 

このイライラをどうすればいい?
このやるせなさをどうやって沈めたらいい?
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(教えてよ…ゴルゴ…)



「ローリー…」
「何よ?あんたとは当分話したくない」
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「あ、そう。私も話したくないわ!」
「あら、お互い様ね。何でも出来る亮さんとお幸せに」



「言われなくたって幸せになるわよ!ローリーもあの元彼とせいぜい仲良くね!」
「ええ、ありがとう。それじゃ私も失礼するわ。ごきげんよう」
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「わ、私だって失礼するわよ!ごきげんよう!」



バタン!
(なによ!ローリーったら!なにがお幸せによ!)
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(全然幸せなんかじゃないわよ…。今は全然そう思えない…ローリーのバカっ)



このみもローリーと同様、イライラしていた。
亮からプロポーズされ、今朝はすぐにでも入籍しようと言われた。
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なのに素直に喜べない。
ヘタな言い訳で誤魔化し、幸せな時を先延ばしにしている自分がいる。



だけど彼が私にプロポーズしたと言う事は監督の申し入れを断ったと言う事だ。
亮の中ではすでに解決しているのだろう。
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だから私が不安になる事も、イライラする事もない。
ないけれど…



けれど監督があんな事を言うなんてよっぽど差し迫っているのだろう。
ルビーの状態が最悪に近づいていると言う事だ。
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でもだからと言ってどうして私達が犠牲にならなければならないのか。
それを受け入れない事がどうしてこんなにも罪悪感に苛まれるのか。



きっと亮も同じ気持ちだろう。罪悪感で苦しんでるはずだ。
そして一番怖いのはただ一つ。
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そう…この先、ルビーに何かあったら…それが一番怖い…。
そしたらどうなる?そうなったらきっと、私達は一生後悔する。



私達はそれからも何事もなかったかのように幸せに暮らしていける?
それとも…?
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このみはその先が目に見えるようでギュッと瞳を閉じた。
麗華が描いたシナリオ通りにどんどん突き進んで行くようで怖い。



どうしてこうなってしまったのだろう。ただ、彼に恋をしただけなのに。
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愛する彼にプロポーズされると言う幸せな時を、
どうしてこんなに不安な思いを抱えて過ごさなくてはならないのか。



このみは麗華が心から憎い…と初めて思った。人をこんなにも憎んだ事はない。
彼女は亮も、監督も、そして小さな命をも利用した。
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決して許される事ではない。
彼女をぶるぶると振るって何を考えているのかと問いただしたい。



だけど何を言えるだろう。もう事は動き出してしまった。
硬く閉ざされた扉の鍵はもはや彼女が握っている。
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私も彼もそこから逃げ出す事が出来るのだろうか。
鍵は見つかるのだろうか。



この時このみはふと思った。本当の鍵は誰が握っているのだろうかと。
彼か…私か…。
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何故か麗華ではなく、私か亮、そのどちらかが握っているように思えて仕方がない。
そんな彼女の背中を一筋の汗が伝わり落ち、このみはブルっと身を震わせた。



パタン
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「鈴之介さん!」



「沙織さん…」
「あ…ごめんなさい、勝手に入って来てしまって…」
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「いえ…それは構いませんが。
そんな事よりどうかしたんですか?ずいぶんと息が荒いようですが…」
「え…ええ…ちょっと興奮したもので…」



「あの…鈴之介さん…」
「はい?」
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「私…夕べゴルゴさんにちゃんと伝えました…」
「そうですか…」



「けど…」
「え…?」
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「けど…けど…うっ…」
「沙織さん…」



ガバッ!
「鈴之介さん!」
「は…はい…?」
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ヒック…ヒック…私…私…!」
「さ…沙織さん…どうしたんですか…その…」



ギュッ!
「私…私!」
「や…あの……お…落ち着いて…」
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「鈴之介さん!鈴之介さん!」
「沙織さん…お…落ち着いた方が…おち…」



ドサッ
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「ドサ…?」



「鈴之介さん!聞いて下さい!」
「あ…さ、沙織さん…あの…ちょっ…」
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「ゴ…ゴルゴさんには……ヒック…」
「さ…沙織さん…あの…もうちょっ離れ…」



「ゴルゴさんには気になる方がいらっしゃったんです!」
「え?それは…って…そうじゃなくて…その…ちょっと近い…」
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「だけど私勇気を出して伝えました!」
「さ、沙織さん!こ、ここはベット…ベッ…」



「伝えたんです!あなたが好きですって…。あなたが好きですって!」
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「そ…そう…ですか……あの…でもですね…ここはベッ…」
「私…(ゴルゴが)好き!」



ギュッ!
「好き好き好き!(ゴルゴが)」
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「や…だからその…そ…そんなに密着したら…あの…ぼ…僕…」



ギュギュギュ~~~ッ!
「たまらなく好きなんです!(ゴルゴが)…ヒック…ヒック…」
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「な…なんだか僕…のぼせ……」



「だ…だけどこれは初めての……快…感…じゃなくて…初めての体…験…」
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鈴之介は沙織の甘い密着に失神寸前だ(笑)



「あの…沙織さん…」
「はっ!わ…私ったら!」
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「ごめんなさい!」
「…いえ…全然…全然…」



「本当に……ごめっ…ヒック
私…本当に勇気を出したんです…。怖かった…怖かった…ヒック…ヒック…」
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「鈴之介さん…」



ビクッ
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「…はい?」



「ティッシュを…」
「え…」
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「すみませんがティッシュを取って下さいませんか…?」
「ティッシュ…ですか?…」



「はい…お願いします…ヒック…私…お鼻がいっぱい出てしまって…」
「鼻…」
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「お願いします…」



「………」
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「申し訳ありませんが…ご自分で取っていただけませんか…。
僕はいま、立ち上がるのが非常に困難な状況にあります…。何故なら…」



「鼻血らしきものが体内から大量に流出してしまい…」
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「ちょっと無理…」





続き、第33話へ 「止められない恋心」
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