第38話 「突きつけられた現実」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第38話



数時間後、鈴之介は空想にふけり、気がつけば夜になっていた。
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そして先程の、どんぐりころころを唄う可愛らしい子供の歌声も、
いつの間にかニュースを読むアナウンサーの声に変わっていた。



あの悩ましげな姿で現れた沙織はもういない…。
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「はあ…」



ああ…毎日毎日…僕はどんどん落ちて行くような気がする。
何故気がつけばあんな事ばかり考えてしまうのだろう。
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あんな…あんなスケスケの衣装で沙織さんが僕の前に現れるなんて…
あんな姿を思い浮かべたら、どんなに紳士で誠実な僕だって…僕だって…



ボ~~…
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と、どうみても紳士で誠実とは思えない想像をする鈴之介。
 


その時、ドアを小さくノックする音が聞こえた。



コンコン…
「鈴之介さん、いらっしゃいますか?」
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「あの…沙織です…」



ギクッ…
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「沙…織…ひゃん…?」ひゃん?(笑)



「鈴之介さん、あの…少しよろしいでしょうか?」
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「…鈴之介さん?」



カチャ…
「ああ、よかった、いらしたんですね。ごめんなさい…遅くに…」
「いえ…」
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「あら?鈴之介さん、どうなさったのですか?なんだか元気がないようですが…」
「え…」



「大丈夫ですか?お顔が真っ青ですよ…。どこかお体の具合でも?」
「い、いえ!全然…全然…元気…すごく元気……」
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確かに、元気は有り余るほどある。もちろん、下半身に限っての事だが…



「でもお顔の色が…大丈夫ですか?」
「ほ、本当に大丈夫です!ええ…大丈夫ですとも!本当に…」
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「そうですか…」
「あの…沙織さん?沙織さんこそ元気がないように思えますが…?」



「鈴之介さん…私って凄く嫌な女ですよね…」
「え…?」
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「私…私……凄く自分が嫌なんです…」
「ぼ…僕にはなんの事だかさっぱり…」



「でも…私は後悔なんかしていない…」
「あの…?」
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「だって……私は諦めたくないんです…。どうしても彼を…」



カバッ!
鈴之介さん!私怖い!
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「え!?…いや…あの…さ、沙織さん…」



「私、自分のやってる事が凄く怖いんです…ヒック
どんどん嫌な女になって…鈴之介さんもそう思いますよね?こんな私、最低ですよね…?」
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「で…でもその…僕には事情が読み込めませんし…それにあの…もう少し離れ…」
「鈴之介さん…鈴之介さん…」



「で、ですから沙織さん…少し落ち着いてですね…」
「少しだけ………こうしていて下さい。
今は鈴之介さんの胸をお借りしたいのです…ほんの少しだけ…お願いします…」
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「そ…それはその……でもそれは…あの……」
と、しどろもどろな鈴之介



(ああ…困った…とても困ったぞ!こんなに彼女が近くては僕は又変な妄想を…)
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(いいや!そんな事は考えちゃダメだ!彼女は僕に信頼を寄せてこうしているのだから!
もう決して変な妄想は絶対…絶対…)



(だけど彼女はなんだか……とてもいい匂いがする…。とても爽やかで甘くて…)
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鈴之介は彼女のジャスミンのような爽やかな香りを吸い込み、
ひと時…その香りに酔いしれた…



くんくん…くんくん…
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うっとり…



数分が過ぎ、やがて沙織は『ごめんなさい…』と小さくつぶやくと帰っていったが、
鈴之介はその時の事はあまり覚えていなかった。
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覚えているのはジャスミンのかぐわしい香りだけ…



「はあ…」
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「なんて素敵な香りなんだ……」



-翌日-



ピンポ~ン♪
「入るよ~」
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「鈴之介、悪いけど赤い絵の具、貸してくんない?切らしちゃってさ。
私ってなんでか赤い絵の具が無くなるのが早いんだよね」



「後で新しいのを買って返すから…ね、聞いてんの?ちょっと…」
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鈴之介!



は、はい!
「って…あんた…その顔…」
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「顔がどうかしましたか?」
「どうしたも…こうしたも…」



「あんたのその目の下のクマはなに?怖いんだけど…」
「怖い?そうですか?僕は全然怖くありませんが…?」
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「あんたじゃなくて私が怖いんだっつーの…。なんかあった?」
「まあ…あったと言えばありましたが…」



「なによ?言ってみなよ。なにがあったの?」
「それが…」
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「なんなのよ、言ってみなって」
「ローリーさん…僕…もうどうしたらいいのか…」



「イラつくな~。だからどうした?」
「沙織さんの事です…。僕はもうこれ以上、彼女と一緒にはいられないような気がするんです…」
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「なんで?」
「体がもたないと申しますか…何と申しますか…」



「どう言う意味?」
「ええ…実はその…沙織さんといると僕は…モゴモゴ…」
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「何?!はっきり言いなさいよ!」
「で、ですからその…沙織さんといると僕は……僕は……」



「へえ~…じゃ何?
これ以上沙織に抱きつかれたりすると、野獣のように沙織を襲っちゃいそうって事?」
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「そ、そこまでは言ってませんよ!」
「言ってるっつーの…」



「って言うかさ、そもそもあんた達はもう別れたんだろ?婚約解消したんだろ?
なのにその『お友達ごっこ?』それ自体がおかしいんだよ」
「そうでしょうか…」
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「当たり前でしょ。男と女が別れた後も今までと同じようになんて、無理があるし」
「そうですよね…」



「だいたい、沙織も沙織だよ。あの娘、いがいとカマトトぶってんじゃないの~?
あ、ありえる~絶対にそうだよ。あんたの気持ちを知っててわざとからかってるとか?」
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「私に言わせれば悪気があってやってるとしか思えないね。悪女のような女だわ~怖い女~」



「沙織さんの悪口は言わないで下さい!」
「別に悪口じゃないじゃん…」
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「さ、沙織さんはわざとなんてそんな…そんな事は絶対にありません!
あの天使のような彼女が悪気があってやる訳はないのです!」



「バッカじゃない?悪気がなければ何をしてもいい訳?それ、おかしいから」
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「ど、どこがおかしいんですか?どこもかしこも全然おかしくありませんよ!
ローリーさんこそいい加減な事を言わないで下さい!そちらこそおかしいですよ!」



「逆切れしてんじゃないわよ!」
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「って言うかあんたさ、いま私に言ったように沙織に声を荒げた事ってある?」
「そんな事は一度もありません!」キッパリ!



「なに威張ってんのよ…。
いい?あんたがいっつもそんな風に甘やかすから沙織もつけあがるんだよ!」
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「男ならビシッと言ってやんな!ビシッと!」



「ビシッ…?どうやって?」
「だ・か・らぁ~!ガッツリと言ってやったらいいのよ!」
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「ガッツリ…?」
「そう、ガッツリ!沙織の顔をキッとひと睨みしてさ…」



好きでもねー男にベタベタ抱きつくんじゃねーよ!ボケ~~!
犯すぞ、このやろ~!

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「てな感じ?」



「おか…おか……侵す?オカス?おかず?」
「犯す!」
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「む…無理……とても無理です…」
「無理でも何でもちゃんとそう言いな!」



「でも…そ…そんな事…ぼ、僕の口からは…お…犯すなんて…犯すなんて…
お…犯すと言う事は彼女の洋服をむりやり剥ぎ取ったりすると言う行為であって…」
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「洋服を剥ぎ取ると言う事は彼女の美しい裸体があらわになる訳で…
美しい裸体があらわになると言う事はこの上ない喜びな訳であって…」



「喜びなんだ…あんたの本性見たりだね…」
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「まあ…今のは大袈裟としてもさ…
でもそう言う事されたら男は変な気分になるんだって事を分からせないと…だろ?」



「変な気分って…僕言いましたっけ…?」
「言ってないけどそうなんだろ?どうみてもそうなんだろ?誰が見てもそうなんだろ?」
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「まあ…変と言いますか…興奮すると言いますか…鼻血が錯乱すると言いますか…」



「鼻血…あんたは赤い絵の具を切らす心配はないね…」
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「ローリー…うらやましー…」



-週末-



「こ・の・み♪ どこ行くの?」
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「ローリー…」



「病院よ。
あれ?なに気軽に声かけてんの?私とはしばらく口聞かないんじゃなかったっけ?」
「ガキ臭い事言ってんじゃないわよ…」
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「ふんっ」



「病院って事は監督の娘さんのお見舞いに行くんだ?」
「うん…」
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「ずいぶん歯切れが悪いじゃん。あ…そっか…容態があまり良くないんだ?」
「それもある…」



「それもって…意味深な言い方ね。なにかあった?もしかして亮さんと何か?」
「ううん…そうじゃないけど…」
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「ふ~ん…」
「ローリー…悪いけどルビーちゃんが待ってるから行くね…」



「行ってらっしゃ~い…」
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(なんかおかしいわね…マジでなにかあったな…。亮さんとケンカしたとか?
あーあ…このみも一人で考え込むタイプだからな…。大丈夫だといいけど…)



このみは病院へ向かう途中、このまま理由をつけて引き返そうと何度も思った。
ルビーの顔を見たら、また余計な事を考えてしまいそうになると思ったからだ。
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けれどルビーのあの夜の電話の事を思うと、それも残酷な事だと思った。



「亮さん!」
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「よう。俺もちょうどいま来たとこ」



「…ん?どうした?元気がないな?」
「いいえ…そんな事はありません…」
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「そうか?ならいいけど。引越しの準備で疲れちゃった?」
「ほんとに大丈夫です。ただルビーちゃんを思うとなんとなく…」



「ああ…それは俺も同じ気持だ…。
でも考えてもしょうがないよ…。俺達にはどうにも出来ないんだし」
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「ええ…それは分かってます…」
「じゃ行くぞ。ルビーが待ってるから」



(私達にはどうにも出来ない?
いいえ…一つだけ出来る事があります…。そうすればルビーちゃんは…)
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(ああ…又だ…。
結局そこに戻ってしまう。どうすればその考えを吹っ切る事が出来るのだろう…)



「あれ?ゴルゴだ。何やってんの?あいつ?」
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「おい!ゴルゴ!」



「よう!お~このみちゃんも一緒か♪」
「ゴルゴさん、こんにちわ~」
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「久しぶり~相変わらず可愛いニャン♪ 食べちゃいたいぐらい♪」
「お前はいちいち一言余計なんだよ…。つーか…人の女捕まえて何が食べちゃ…」



「さあ、スイートハート!久しぶりの再開だ。僕の胸へ思いっきり飛び込んでおいで♪」
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「何がスイートハートだよ!俺の話聞けよ!」



「亮…なに一人でわめいてんの?
ってゆーか亮に言ってないし。別にいいだろ?減るもんじゃなし」
「減るんだよ!」
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「ケチな男だね~」
「ああ、俺はケチな男だ。絶対にお前には触らせない」



「聞いた?このみちゃん。この男、器が小せーと思わね?
こんなのやめて早いとこ俺のとこに来た方がいいって!今すぐ別れちゃいなさい♪」
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「別れねーよ!このみ、ゴルゴの話なんか聞くなよ!」



「呼び捨て?いつから呼び捨て?俺の許可なしに呼び捨て?じゃ俺も呼び捨てにする」
「なんでお前の許可が?それにこのみは俺の女だ。お前こそ俺の許可がいるだろ?」
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「ふ~ん…。じゃ、いい?あ、そう。サンキュ」



「このみ~~会いたかった~~♪」ムギュウ~~
「ひっつくな!」
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「このみ…ラブ…」
「ラブじゃねーよ!」
と、どうみても亮の敗北(笑)



「ところでゴルゴ、お前もルビーに会いに来たのか?」
「ああ。監督がたまにはルビーの顔見に来てくれって言ってたから…」
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「何で入んねーの?」
「ん~ルビーの顔を見たいは見たいけど…俺、泣いちゃいそうで…」



「は?」
「だってこの間変な事を耳にしたんだよ…。久しぶりにチームのメンバーと会ったらさ…その…」
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「なんだよ?」
「ルビーがさ…かなりヤバイとか何とか。だから俺…ルビーの顔見る自信がなくて…」



「バーカ!ルビーなら大丈夫だよ、心配すんな!」
「そう…だよな?うん…だよな!」
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「ほら、行くぞ」



(まさか…そんな事には絶対にならない)
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(間違っても…)



カチャ
「ウイーッス」
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「あ!亮お兄ちゃんだ!このみお姉ちゃんも一緒だ~♪ 会いに来てくれたのね!」



「お~!我が姫!今日も一段とお美しい!」
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「クスクス!よくぞまいったぞ!皆の衆!」



「わ!ゴルゴお兄ちゃんも!お兄ちゃんも会いに来てくれたなんて!久しぶりね!」
「おうよ!俺はお前に振られてから放浪の旅に出て先ほど戻ったばかりだ」
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「そうだったの!?だから眉毛も一段と伸びたのね!」
「このガキ…放浪の旅と眉毛とどう関係あんだよ…」



「関係あるの!それよりゴルゴお兄ちゃん、彼女は出来たぁ~?」
「あったぼうよ!いっぱいいすぎて困ってるぐらいだ。モテる男はつらいんだぜ?」
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「うっそだ~~!絶~対にうそだもんね~!ゴルゴお兄ちゃんのうそつきィ~!ベ~だ!」
「嘘なもんか!俺はな~…」



「このみお姉ちゃん!この間の続きの絵本、持ってきてくれた?」
「もちろんよ!」
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「聞けよ!」



ルビーはとても嬉しそうだった。ただ、気になったのは青白い顔だ。
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亮はいつにも増して白く、透き通ったようなルビーの顔色に不安を感じでいた。



「おう、来てくれたのか。悪いな」
「監督…」
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「ありがとな…」
「なに言ってるんですか。俺もルビーの顔を見たかったんです」



「ところで監督…ちょっといいですか?」
「ん?」
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「ちょっと話が…」



「ルビーの状態なんですが……大丈夫なんですか…?」
「その事か…」
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「監督…?」



「いいとは言えない…」
「移植の順番は…?」
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「まだなんだ…。だがもう厳しい状況だ。ルビーの体力がどんどん落ちている。
このままでは手術に耐えられるかどうかも分からないんだ…」
「そんな…」



「たぶん…もう覚悟はしといた方がいいだろう…」
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「なに諦めてるんですか!今日にでも移植の順番が回ってくるかも知れないのに!
監督らしくありませんよ…」



「俺らしくか…」
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「監督…」



「亮…」
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「ルビーがな…あいつ……たぶん………自分がもう長くない事を知ってるんだ…」
「まさか…」



「俺もずっと自分を励まして諦めないようにして来たつもりだ…。
だがな……ルビーが……ルビーが…俺に……俺にな…」
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「監督…?」



「俺に…パパの子供に生まれて来てよかったって言ったんだ…。パパとママの子供に…。
ルビーはそれだけで幸せだって……だからもう泣くなって…」
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「あいつは…俺とママが笑ってる顔を見るのが一番幸せなんだとさ…。
それさえあれば、人形もゲームも…大好きな絵本も何もいらないと…」



「だからパパ……元気出してって…。ママと二人でいつも笑ってて…。そう言ったんだ…。
あれがまだ8才の子供が言う言葉か?俺は…娘に励まされてる情けない父親なんだ…」
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「亮…俺はな…諦めたんじゃない、受け入れる事にしたんだ…。ルビーが言ったように、
泣いてばかりの毎日を終わりにしたい。これからは娘とは笑って過ごそうと…」



「だがもし…もしもルビーが俺より先に逝く事になっても、それがあいつの運命だと…
それがあいつの人生だと…そう…受け入れる事にしたんだ…」
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「もう娘に励まされるような父親はやめなくちゃな…
お前にも無茶な事を言ったりして、ずいぶん悪あがきをして困らせて本当に悪かった…」



「その事はもう…」
亮は監督にかける言葉が見つからなかった。
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愛する娘の死を受け入れなければならないなんて、
どんな慰めの言葉でも癒す事など出来ないだろう。



そして思った。神は、何故こんなにも過酷な運命を強いるのか。
まだ小さいあの子に…
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大人の気持を汲み取らなければならないような運命に何故したのか…。
亮は、胸の奥にどんよりと広がった曇を散らすかのように静かに息を吐いた。



「またな!次までには絶対に彼女を連れてくるかんな!」
「うそつきィ~~」
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「このやろ~~!」
「クスクスクス!」



「あーよかった!なあ、亮、ルビーが思ったより元気そうで安心したな~」
「ああ、まあな…」
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「さ~てと、ルビーと約束した事だし~~彼女でも見つけに街に繰り出すかな~」



「あれ?いるじゃん、彼女」
「あ?」
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「いるだろ?可愛い子ちゃんが………な?」
「なんだよ…」



「え?ゴルゴさん、彼女いるの!?」
「いるいる。ロ…リー…お~っとと…じゃなくて…沙…織ちゃ…お~っとと…」
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「てめー…」



「えーと……二人とも彼女?ありえるね…」
「こ、このみちゃん…そう言う冗談はさ…。
え?ちょっと待って…って言うかさ…このみちゃん…もしかして知ってる?」
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「知ってると言えば知ってるけど…」
「やっぱり?じゃさ…その…さ、沙織ちゃんの事とかさ…それとかさ…その…
ローリーと俺が…えーと…ゴニョゴニョ…やっ…ちゃった…事…とか…も…?」



「は?」
「だからさ…俺と…ローリーが……やっ……ちゃっ…た…事…とか」
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「は?」
「だから…」



「嘘!」
「え?聞いてないの!? え?じゃ何を知ってんの?」
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「それはだからローリーのきも…じゃなくて……その…沙織ちゃんの気持の事の方を…」
「あ、な~んだ!それしか知らないのね。びっくりした~~
俺はてっきりローリーと俺が一発…じゃなくて、二発?…ん~~四発はやっ…」



「あ…」
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(ばーか)



「えーーーーーーー!ローリーと一発やっちゃったの~~!!!!!!!?」
「こらこら…ゴルゴの真似して一発って言うのはよしなさい…」
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「亮…どうしよう…」
「知るかっ」



「ビックリ~~~!って言うか亮さんはどうして驚かないの?あ、知ってたんだ?」
「偶然にもローリーとゴルゴの熱~い一夜の出来事を立ち聞きしてね…」
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「ま、まあ…俺とローリーも大人の男子と女子だし…。
それにほら…たまにはそう言う事もあるよな? 亮、…分かるだろ?」



「で、ゴルゴさんは誰を好きなんですか?」
「はい?」
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「好きじゃないんですか?ローリーも沙織ちゃんも?だとしたら、
ローリーの事は好きでもないのにやっちゃったんですか?しかも一発も二発も三発も?」
「ず、ずいぶん過激ね…ヒ…ヒーハー…なんちゃって…これ…もう古い?ね、古い?」



「どっちなんですか?!
誰を好きで誰と一番やりたいのか、自分の気持が分からないんですか?!」
「こ、このみちゃん…だからちょっと過激…」
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どっち!



ローリー!
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キッパリ!



「ほんとにヒーハー…」
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「な~んちゃって…」



「あ、でもだからと言ってあいつに余計な事は言っちゃダメだよ?」
「どうしょう…」
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「知ってるだろ?あいつには一緒に住んでる男がいるって事。
それに俺は好きと言ってもたぶん、一時の気まぐれっつーかそんな感じで…」
「どうしよう…」



「ね?だからさ…間違ってもローリーには…」
「ね、亮さん…どうしよう…」
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「どうした?」
「って言うかこのみちゃん…俺の話、聞いてる?ね、聞いてる?」



「ほんとにどうしよう…」
「だから何が?」
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「実はね………ヒソ……ローリーもゴルゴさんの事を…」
「え…」



「マジ?」
「マジです。この場でゴルゴさんに言った方がいいかな…」
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「けど…ローリーには男がいるんだろ?」
ヒソ……あれはそんなんじゃないんです。ちょっとした事情があるんですよ…。
それにローリーもなんだか色んな事を気にしてるって言うか…」



「そうか…。ならその事は言わない方がいいと思う。二人に任せた方がいいよ。
二人ともガキじゃないんだし。…って言うかガキより始末が悪いけどな」
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「ほんと。ガキより始末が悪い…」



「何二人でゴチャゴチャ言ってんだよ!とにかくあいつには余計な事は言わなくていいの!
これは立派な大人の男女の、ちょっとしたよくある話なんだから!」
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「ガキだな……」
「ガキですね…」



バタバタバタ……
「急いで!」



「え?…なに…?亮さん…なんだか様子が…」
「ああ…ルビーの病室だ…」
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「担架が運ばれてるぜ…。おい、亮…誰かに様子を聞いた方がいいんじゃねーか?」



「ちょっとすみません、何かあったんですか?あそこの患者の知人ですが…」
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「ああ、いつもお見舞いに来て下さる方ね。それが…ルビーちゃんが突然倒れたんです。
それでいま集中治療室に運ぶところですが…すみません、急いでますので…」
「そんな…」



ダッ!
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「ルビー!」



「お母さん、どいて下さい!」
「ルビー!ルビー!」
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「和子…和子どきなさい…和子!」



「ルビー!」
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「………」



「ハア…ハア……パパ……恐い顔……」
「ルビー…喋るな…すぐに良くなるからな…もうすぐだから…」
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「パパ…今日は楽しかったね…みんなにも会えたし…ルビー…とっても嬉しかった…。
だからね……だから…」
「喋っちゃダメだ、ルビー!」



「パパ…ママ…ルビーはもういいの…もういいの…」
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「ルビー…喋るんじゃない…」



「パパ……ママと仲良くね……」
「なに言ってるんだ…当たり前だろ…」
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「パパ……ママ……大好きよ…」
「ルビー…分かってる…分かってるよ…パパとママもお前が大好きだ…」



「お父さん、すみません…もうそろそろ…」
「ルビー…パパもママもずっと側にいる。だから大丈夫だから…な?
元気になったらお前の好きなケーキを買ってやる…大っきいケーキだぞ~…だから…」
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「お父さん!」



「監督!」
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「嘘なんだ……受け入れるなんて嘘だ…そんな事は絶対に出来ない…
嫌だ…嫌だ……パパはお前を絶対に逝かせやしない……絶対に……」



「監督…」
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「………」



-数時間後-



「じゃ…容態は安定したようだし、俺は先に帰るわ…。君達は?」
「うん…亮さんがまだ居ると思うから…」
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「分かった…」



「このみちゃん…」
「え…」
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「こんなのあんまりだよな……ふざけんじゃねーよな…」
「うん…」



「俺…あいつは…ルビーは絶対に大丈夫だって信じてるから…」
「もちろんよ…絶対に大丈夫よ…」
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「早くあいつとの約束を守らなきゃな。
また馬鹿にされないように、真剣に彼女でも作るか…。じゃな…」
「うん…」



(絶対に大丈夫よ…。そうよね?そうでしょ…?)
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(嘘よ…大丈夫ですって?これのどこが大丈夫なの!)



カタ…
「亮か…。帰ったんじゃなかったのか…?」
「ええ、ルビーの容態が安定するまでは心配で…」
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「悪いな…。…ルビーはとりあえずは安定した。けど…もう……」
「監督…」



「亮…受け入れるなんて……俺には出来ない…やっぱり出来ないよ…」
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「なんでルビーなんだ?なんであいつなんだ?
世界中には何十億って数の人間がいるのに…なんて俺の娘が……」



「監督…」
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ほんとうに何故なのだろう…。あんなにもいい子が、どうして…



(亮…さん…)
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「大変そうね…」



「麗華さん…どうしてここに…」
「あなた…あの子を助けたくない?」
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「あの幼い子を助けたいでしょ?」




著作権者様から許可を得て、お借りしているBGMです。
よろしかったらお流し下さい。音量にご注意ください。







「なんですか…いきなり…」
「私ならあの子を助ける方法を知っていると言っているのよ…」
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卑劣な条件付の方法を! ですか?!」
「あなた…知っているのね?」



「私は…」
「そう…知っているのね、私が何を言っているのか…。亮から聞いたのかしら?」
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「いいえ…」
「そう。いずれにしろ、私の言っている意味は分かってるって事ね?」



「りょ…亮さんはすぐに監督に断りました…。あんな話、受け入れる方がおかしいわ。
それに私と彼はもうすぐ結婚します…。だから…」
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「あなた…本当に亮とこのまま一緒になって幸せになれると思ってるの?
もしあの子に何かあったら…それでもあなた達は幸せになれるのかしら?」



「どうして私達は幸せになれないんですか?あの子の事と私達の事は関係ないわ!」
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「けど…そう簡単に割り切れるの?
あの子を犠牲にしてまで手に入れた幸せに…心から喜べるのかしら?」
犠牲になんかしていない!



「でも結果的にそうなるわ。
あの子を助けることが出来たのに…そう思わずにはいられない日々を送る事になる」
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「そんな事にはならないわ…」
「いいえ、なるわ。少なくとも亮はそう思うはず。そして彼はきっと苦しむわ…」



「亮さんが…苦しむ…?」
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「お願い…あなたの協力が必要なのよ…あの小さな命を助けられるのはあなたよ。
あなたが一言、亮に別れると…そう言ってくれればいいだけ…」
「バカバカしい…」



「そのバカバカしい事で幸せになれる人間がたくさんいるわ。あの子も、あの子の両親も…」
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「そして亮も苦しみから解放される…。それに彼はいずれは二宮家の当主になれるのよ…。
彼の将来を考えたら何が一番いいか分かるでしょ?」



「あなた…私を脅してるの?」
「脅してるんじゃなくて提案しているのよ…何をすれば亮にとって一番いいのか…」
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「あなたは悪魔のような人だわ…最低よっ!」



私だってここまで最低な事をしたくなかったのよ!
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私が何の考えもなしにこんな事をする人間だと思ってるの?
あなたは何の苦労もなしに亮の心を手に入れた。私が一番欲しいものをあなたは!




この時このみは、麗華の本心を垣間見たような気がした。
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ああ…きっと彼女は亮を心底欲してるのだ…。
彼を欲し、そして愛してる…。そう…私と同じように…。



「とにかく…あなたはあの光景を見てなんとも思わないの?亮のあの顔を見ても?
亮はいま苦しんでるわ。あの子を助けたいと……苦しんでる…」
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「それを解決出来るはあなたよ。
あなたが鍵を握ってるの…。すべての人の苦しみを取り除けるのはあなただけ…」



「それじゃ…いい返事を待ってるわね。早くしないと時間がないわよ…」
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「これで失礼するわ」



私が鍵を握っている…?
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このみは、以前もその事が頭をよぎった事を思い出していた。
自分が鍵を握っていると…。



突然、このみは病院の白い壁が急に目の前に迫って来るように感じた。
早く逃げなければ…早く…
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ここから逃げるためには鍵を差し込めばいい…。
そして後はカチリを回すだけだ…。



だけどそれをしたら…
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私は彼を失う…




続き、第39話へ 「突然の告白」
二度目の恋…タイトル一覧は 「こちら」   
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