第39話 「突然の告白」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第39話



一方、ルビーの厳しい現実を目の当たりにし、病院を後にしたゴルゴ。
つい少し前まで、あんなに元気にはしゃいでいたのに…。
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ゴルゴは自分が当たり前のように生き、当たり前のように明日を迎える事が、
どれだけありがたい事なのか改めて実感させられた。



そしてルビーに比べたら、自分はなんてちっぽけな事で悩んでいるのだろう…
いまこの瞬間を、もっと大事に生きるべきではないのか?
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いつまでも意地を張り、無駄な時間を過ごしてなんになる?
ゴルゴは苦々しく思いながら自分にそう、問いかけていた。



そう、意地を張ってる場合ではない。もう子供ではないのだから。
振られたっていいじゃないか。バカにされたっていいじゃないか。
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あいつに好きだと…いま言わなければいつ言うんだ?
そうさ、男がいたって構うもんか。あたって砕けろ…だ!



だがその前に、けじめをつけなければならない。
沙織にきっぱりと断り、それから行動に移したい。
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冷たいと言われようが泣かれようが、あやふやな態度に終止符を打たなければ。
彼はゆっくりと携帯を手に取った。



(ルビー…お前との約束を守れるかどうか分からないけど…やってみるよ。
あんなムカツク女…冗談じゃねーけど…しょうがねーよな…惚れちまったもんは…)
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(けどその前に、きちんとけじめをつけるぜ。俺は男だ。やる時はやるんだ。
お前との約束を守れるように…応援してくれよな…)



やがてゴルゴは電話をギュッと握り締め、意を決したようにダイヤルを回した。


そして…
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「遅くにごめん…。俺…ゴルゴ…。悪いんだけどこれからさ…」



ようやくゴルゴは動き出そうとしていた。
ルビーとの約束を守るために。ちっぽけな悩みにケリをつけるために。
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そして何よりも、ムカツク女をゲットするために!



1時間後、ゴルゴに呼び出された沙織は待ち合わせの店の前でウロウロしていた。
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どうしてもこの扉を開ける事が出来ない。
何故なら、この扉をあける事の意味を知っていたからだ。



私に会いたいと言う彼の口調は、どこか毅然としていた。
そう、きっと彼は答えを見つけたのだろう…。
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今までのような、私の無理やりなゴリ押しはもうきかない。
そして…この扉を開けたら恋が終わる。私の初めての恋が…。



恋の終わりは何故こんなにも苦しくて切ないのだろう。
恋の終わり?いいえ、それは自分の中では終わりでない。
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沙織の胸の中ではゴルゴと出会い、彼の熱い腕の中を知り、
ドキドキした瞬間が今でも瑞々しく鮮明に残っている。



そのトキメキを、どうやって忘れたらいいのだろう。
私と同じ経験をした人は、それをどうやって乗り越えてるの?
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私は……私は……




著作権者様から許可を得て、お借りしているBGMです。
よろしかったらお流し下さい。音量にご注意ください。







「キャッ!」
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「おい!」



「ちゃんと下を見ろよ!石がいっぱい落ちてるだろ!顔面からすっ転ぶとこだったぜ!」
「す…すみません…」
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「大丈夫か?走らないで歩けよ!」
「はい…」



「だいたい山に来くんのになんでヒールなんだよ?
運動靴かなんか履いて来なくちゃダメだろ!?」

「そ、そうですよね…本当にごめんなさい…」トクン…トクン…
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「別に謝らなくていいって」
「はい…」



「てか君さ、違う人と間違えてんじゃないの?」
「間違えてませんよ(笑)」
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「ほんとかよ?俺と似たような髪形の奴が何人かいるからな。
そいつを見て、あれがゴルゴさんね…とか思って見てたんだろ?」

「違いますよ(笑)」



「怪しい」
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「絶対に間違ってません(笑)」



「わーほんとだ!凄く気持ちいい!」
「だろ?なんだかあの空を見てると吸い込まれそうだよな」
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「ほんと…。なんだかスーっと飲み込まれて行くみたい…」
「ああ…スーッとな…」



(ほ、ほんの少しだけ…)
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(少しだけ…)



「なんだよ、元気がねー よっ!だな~」
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「あっ!ご、ごめんなさい…私までつられて…よっ…なんて…」
「別にいいよ(笑)」



「いいえ、大丈夫でした(笑)」
「マジで?本当は俺のイビキがうるさくて先に帰ったんだろ?」
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「違いますよ~(笑)」
「嘘くせー」



「こらこらこらこら!酔ってんじゃねーの?フラついてんで?」
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「私…ごめ……」



「絶~対っ酔ってんね~(笑)そうだろ?な?」
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「ご、ごめんなさい…」かーーーーー!
「いいって(笑)」



「ゴルゴさん…私はあなたに恋をしています…。私はあなたが好きです…」
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「え…」



「あの!」
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「又デートをしてもらえますか?!」



「沙織ちゃん…」
「今日はほんの少ししか一緒にいられませんでしたが…
でもこれはデートでしょ?あなたがさっきそう言ったじゃないですか…」

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「確かにそう言った…。だけどあれは…」
「なら又デートをしていただけますよね?」



「だけどお願いです…。私…またゴルゴさんに会いたい…ヒック…会いたい…」
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ヒック…どこにも行かなくていいです…会ってくれるだけで…それだけで……」



「…れだけで…」
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「…とても嬉しかった…」



「とても…」
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「幸せだったんです…」





突然、沙織はきびすを返し、来た道を走って戻り出した。
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涙が溢れて前が見えない。
つまづき、転びそうになったが それでも沙織は走り続けた。



やがて沙織は立ち止まり、しゃくりあげるように泣き出した。
涙を拭っても拭っても、壊れたポンプのように後から後から溢れてくる。
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初めての恋だった。初めてのざわめきだった。
あの、ガッシリとした胸に包まれる事は二度とない。



そう思ったとたん、彼女の心臓はドクドクと早鐘を打ち、千々に乱れた。
胸を貫くこの痛みを、どうやって拭ったらいいのだろう。
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誰か……誰か…



この時ふと…沙織は何故か無性に鈴之介に会いたくなった。
彼に会いたい…。
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理由は分からない。ただ彼の、春の風のような優しい声が聞きたい。
そしていつものように、大丈夫ですか?と言って欲しい。



満点の星空の下、彼女は背を丸めて泣きじゃくった。
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やがて、幼い迷子になった子供が母親の名を呼ぶように…「鈴之介さん……鈴之介さん…」
と、いつまでも鈴之介の名を呼んでいた…。



結局、待ち合わせから1時間が過ぎたが沙織は現れなかった。
もちろん、電話も通じない。
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ゴルゴはその場で立ち尽くし、大袈裟に肩を落とした。



-病院-



数時間後、
亮は病院を出ようとしたが、このみの姿が見当たらない事に気がついた。
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どこへ行ったのだろう?
帰った?俺に何も言わずに?まさか…



ツルルルルルルル…
ツルルルルルルル…



「亮さん…」
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このみは麗華が去った後、すぐに自分も病院を後にした。
どうしてもあの場にはいられなかったのだ。



監督の、あの悲しげな叫び声を聞くのが耐えられなかった。
亮の、罪悪感に襲われたあの姿を見る事が耐えられなかった。
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あれ以上、あの場所にいたら自分がどうにかなってしまいそうだった。



カチ…
「はい…」
「ご…ごめんなさい。私…あの場にいれなくて…ルビーちゃんがあまりにも…」
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そして何よりも、麗華のあの問いかけが頭から離れなかった。
あなた達はそれでも幸せになれるのか…と…あの言葉が離れない。



「いいえ、もうすぐ自宅に着きますので…」
「ええ…ええ…引越しの準備が出来たらすぐに電話します…はい…おやすみなさい…」
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このみは恐怖に近いものを感じ、逃げるように病院を出て来てしまったのだ。



こんな事で逃げ出すなんて、私はなんて弱い人間なのだろうか。
ルビーは息を切らして苦痛に耐えていた瞬間でさえ、親を思っていたと言うのに…
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「強めのお酒を下さい…」



あんな…私はもういいのなんて…どうして言えるのだろう…
まだほんの8才の子供ではないか…。
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どうして自分の事より、人を思いやれるのか…



そんなあの子を私は助る事が出来る?ほんとに?
私が一言、彼と別れると…そう言えばいいの…?
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私が…一言…



「このみちゃん?」
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「このみちゃんじゃないか?」



「嘘…」
「やっぱり君だった…。君に似た人がいるなと思ってたんだ…」
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「隆君…」



「久しぶり…元気だった?」
「隆君こそ…元気だった?」
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「僕か……僕はあまり元気ないな…」
「そうなの…?」



「一緒に座っていい?」
「え…」
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「隣、いい?」
「あ…うん…いいわよ…」



「君にここで会えるなんて思わなかったな…」
「私も…本当に偶然ね。
ところで隆君はどうして元気がないの?彼女とラブラブで幸せなんじゃないの?」
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「彼女とは別れた」
「嘘…」



「とっくに別れたよ…」
「そ、そうだったの…なんて言ったらいいか…残念ね…」
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「残念か……。残念なのは僕の間違った行動さ…」
「隆君の行動?何か悪さでもしたの?」



「いや…そうじゃない。そうじゃなくて…僕は間違っていたんだ…」
「隆君ったらさっきから変な事ばっかり(笑)何を間違っていたの?」
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「全部さ…。目の前の幸せに気がつかなかったんだ…」
「隆君…?」



「それより、君こそ元気がないね?今にも泣きそうな顔してたけど?」
「そんな事ないわよ…。ちょっと疲れてただけよ」
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「そっか…ならいいけど。てっきり失恋でもしたのかと思った(笑)なんてね、冗談さ」
「失恋か……。そんなようなものかな?」



「そうなの?僕は冗談で言ったのに(笑)ほんとに?」
「さあ、どうかな…」
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「その言い方、あやしいな~」
「うそうそ、冗談よ(笑)」



「よし!今夜は飲もうか?久しぶりの再会を祝してさ♪」
「いいわよ。私も今夜は飲みたい気分だし」
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「あれ?な~んか君、性格変わった?前は酒なんてあまり飲まなかっただろ?」
「私、大人になりましたのぉ~」



「ぜ~~ったいに変わった!さては君、僕に隠してたな~~?」
「あ、バレた?(笑)」
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「隆君こそいっつも真面目くさった顔してたけどぉ~たまにはハメを外したら~?」
「言ったな~~」



「言ったわよ~~(笑)」
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このみは意外にも隆との再会が嬉しかった。
少しでも亮を知らなかった頃に戻れたようで、懐かしかったのだ。



けれど、亮を知らなかった頃に戻りたいとは思わなかった。
もう彼がいない世界なんて考えられないからだ。
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あんなセクシーでゴージャスな男はどこにもいない…。



あんな…あんな素敵な人はどこにも……
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「………のみちゃん」



「…このみちゃん!」
「あ…」
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「ボ~としちゃって(笑)もう酔っちゃった?」
「う、ううん…まだ全然平気よ…」



「それならいいけど…。ところでさ…あの…さっきの話なんだけど…」
「さっきの話?何?」
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「僕がさっき目の前の幸せに気づかなかったって言ったよね…。間違ってたって。
あれは君の事なんだ…」
「え?それはどう言う…」



「君と別れる時に言ったろ…その…会社の女の子の話。
僕はその子とさ…すぐに付き合ったんだ。けど……何かが違うんだ…」
「違うって……何が…?」
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「驚かないで聞いてくれ…。だけどいま言わないと後悔しそうだから…」
「隆君…さっきから何を…」



「僕が君に別れを告げたとき、僕はその子を好きだと思ってた。
彼女に相談しているうちに、彼女が気になって…あの時はそう思ってた。けど…」
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「はっきり言うよ。僕は君が僕の事を好きかどうか分からなくてイラついていた。
いや、君が憎らしかった…」



「僕が会社の女の子と食事に行っても嫉妬の一つもしない。
君とキスをしても君はどこか上の空だった。その事に僕はイラついていたんだ…」
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「それは…。ごめんなさい…私が悪いの…」
「君が謝る事じゃないよ。ただ僕の我慢が足りなかっただけなんだ」



「それは違うわ…」
「違わないよ。君はあまり感情を表に出すようなタイプじゃないと分かってたくせに…
それでも僕はそれ以上が欲しかった…」
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「…がうの」
「このみちゃん…本当に君のせいじゃ…」



違う!………違うのよ…」
「このみちゃん…?」
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「隆君の言う通りよ、あの頃の私は確かに上の空だった…。
隆君が会社の女の子を好きになるのも無理はないわ…」



「僕の方こそ違うんだ…」
「も…もういいわよ…終わった話なんだし…」
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「いや、聞いてくれ…。虫がいい話だとは思うだろうけど…僕は…」
「隆君…もう…」



「僕は君がいまだに忘れられない。本当は君と別れてすぐに気がついたんだ…。
気がついたけど…もう後には引けなくなってしまって…」
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「付き合った会社の女の子もすぐに僕の気持に気がついた。何故なら僕は…」



「僕は………いつも君の事を考えていたから…」
「隆君…」
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「ずっと君に会って伝えたかった…」



「も…もう本当にやめよう…。昔の話は終わりよ…ね?私…そろそろ…」
「さっき言ったろ?昔の話じゃない、今の話だ。今日、君と会えた偶然に感謝してる…」
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「このみちゃん…。僕を許してくれるなら…もう一度僕と……」
「隆君!」



「後悔してるんだ!」
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「たか………」
「お願いだ…僕ともう一度付き合…………いや…」



「今度は結婚を前提に…」
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「僕ともう一度付き合ってくれないか?」



 

続き、第40話へ 「怒りの連鎖」
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