第40話 「怒りの連鎖」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第40話


隆に思いもよらない告白をされたこのみ。
隆の告白に、ただただ呆然とするばかりだ。
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いったいどう言う事なのだろう。
なぜ彼は急にそんな事を言い出したのだろうか。



もう一度付き合う?しかも今度は結婚を前提として?
それってプロポーズって事?なんで?どうして?
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まさか…結婚なんてありえない。だって私には亮さんが…
そうよ、私には亮さんがいる。もうすぐ結婚する亮さんが…



結婚……私が亮さんと結婚。結婚…?
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…ううん、それはできない。
だって小さな少女の命がかかっているのだから。



ルビーに時間がない事は火を見るより明らかだ。
何が正義で何が悪かなんて、彼女の命の前ではどうでもいい事ではないだろうか?
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いま何を優先すべきか、
自分の中ですでに出てる答えに決着をつける時がやって来たのだ。



もう迷ってる時間はない。泣いてる時間もない。幼い命を助けるために、
そして愛する彼の未来のために、私に出来る事をするだけだ。
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とても簡単な事ではないか。ただ一言、亮に別れると言えばいい。
そうよ…「さようなら」と…言うだけだもの。



この時が、彼女が亮との別れを決意した瞬間だった。



数分が経ち、隆はずっとどれだけ私を好きか、
どれだけ忘れられなかったか、などを延々と喋っていた。
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だが実のところ、さっぱり頭に入ってこない。いま彼女の頭にあるのは、
たったいま決めたばかりの亮との別れの事で頭がいっぱいだった。



どうやって言おう?いつ言おう?それとももう少し待ってから…
いいえ、それではダメだ。決めたのなら一刻も早く言った方がいい。
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けれど私はその後どうしたらいいのだろう。どうやって彼を忘れたらいいの?
忘れる?そんなの絶対に無理だ。彼を忘れるなんて出来る訳がない。



ならば一生、彼を思い続けて生きて行く事になる。
それでも仕方がない…。
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このまま亮と結婚をし、ルビーへの罪悪感と後悔を背負って生きていくよりはましだ。
そして何よりも、亮の苦しむ顔を見なくても済む…。



「僕は君と生涯を共にしたい…」
「え…」
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このみは慌てて現実に戻った。



「都合がいい話なのは分かってる。けど考えてくれないかな…」
「でも私…」
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「お願いだ…。僕にもう一度チャンスをくれないか?」
「隆君…」



「…ごめんなさい」
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「ごめんね、隆君。私は隆君と結婚出来ないわ…」
「このみちゃん…すぐに返事をしてくれなくてもいいんだ…。少し考え…」



「ううん。ダメなの。私ね…凄く大切な人がいるの…」
「大切な……?」
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「うん…」
凄く凄く大切な人…。



「だから…」
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「そ…そっか……そんな事、考えてもみなかった…。
でもそうだよね…君はこんなに可愛いんだもの…恋人がいるに決まってるよね…」



「ごめんね…」
「いいんだ…」
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「いいんだよ…」



「私…そろそろ帰るね…」
「あ、うん…分かった…また…」
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「うん…またね…。じゃ…」



フラ…



「このみちゃん!」
「ごめ……ちょっと飲み過ぎたかな…」
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「大丈夫かい?送って行こうか?」
「ううん、いいの、一人で大丈夫よ…」



「送っていくよ。いまも前のアパートに住んでるんだろ?すぐ側じゃないか」
「でもほんとに…」
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「いいから。このまま君を一人で帰らせるわけにはいかないよ。さ、行こう」
「だけど…」



「カップルばっか。酔った彼女を優しく介抱してその後は…ってか?
ん?あの男…誰かに似てるな…隆君?…え?…女は…」
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「ほら…歩けるかい?」
「うん…」



「って…このみじゃん…。なにやってんのアイツ?しかも何故隆君と一緒…?」
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一方、ローリーは偶然にも一人でこのお店にやって来ていた。
不思議と偶然とは重なるもので…



もちろん、ここにはゴルゴもいる。
なぜならここは沙織と待ち合わせをしたお店だからだ。
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「沙織ちゃん…もしかしてバックレ?マジっすか?
って言うかさ…俺としてはちゃんとはっきりしねーとローリーに…ローリーに…」



「って…ローリーじゃん…。あれ、ローリーだよな?マジ? 嘘…」
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ゴルゴは偶然、ローリーを見つけてビックリした。まさかローリーがいるなんて!
そして彼女の姿を見たとたん、つい笑みがこぼれてしまった。



どうしてもニタニタが止まらない。誰か止めてくれ。
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彼はとっても嬉しかったのだ。特に今夜は無性にローリーの顔が見たかった。
ルビーのあんな場面を見た後では、あいつの顔が無性に見たかった…。



「まったくこのみったら…なんで昔の男と一緒なわけ?しかもあんなにくっついて…
酔ってんのかな…フラフラじゃん…。連れて帰った方がいいか…」
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「あ~~もう!しょうがないな!ほんっと!世話がやけるったら!」



「でけー声。なに怒ってんだよ?店中に聞こえてんぜ?」
「え……え?ゴルゴ? なんであんたがいんのよ?」
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「なんでって、飲みに来たに決まってんだろ?悪い?」
「別に…。って今はそれどころじゃなくて…私はこのみを…」



「あれ?…いないし…」
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「このみちゃん?」
「う、ううん…何でもない…」



「お前こそ何で一人なんだよ?一緒に住んでる男はどうした?」
「べ…別にいいでしょ。あんたには関係ないし」
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「へいへい、そうですか…」
「あんたこそ何で一人なのよ?可愛い可愛い沙織とデートでもすればいいじゃん」



「それこそお前には関係ねーし…」
「ああー言えばこー言う…」
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「それはこっちのセリフだ!」



(やっべ…またやっちまった…。なんでこいつの前に出るとこうなっちまうんだよ…)
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(いや、このままじゃダメだ。今日はちゃんと勇気を出して優しく…)



「ところであんた、もうすぐ引越しでしょ?」
「ああ」
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「で、沙織はどうすんの?」
「あ?」



「沙織よ。遠距離恋愛でもする訳?」
「遠距離って…なに言って…   さあな…」
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「さあなって…ちょっと…ちゃんとしなさいよ!
沙織はうぶなお嬢様なんだからね。いい加減に付き合えるような子じゃないんだから!」
「うるせー…」



「なによそれ!私はしんぱ…」
「お前に心配してもらわなくて結構ですぅ~」
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「ムッ。あ、そう!それはそれは失礼いたしました。なら勝手にすれば!」
「するよ、勝手に。お前もな、勝手にしろよ、あの男と。いい男じゃん。
ちょっといい加減そうに見えたけど、お前にはピッタリ」



「なんなのよ!さっきから!」
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「お前こそなんなんだよ、さっきから!いきなり突っかかりやがって!」



「私はなにも言ってないし何もしてないじゃない!
あんたでしょ!さっきから突っかかってくるのは!」
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「それはお前だろ!余計な事をベラベラと!何が遠距離だよ!ムカつくんだよ!」



(って…だからなぜこうなる…)
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(くっそ~…)



「だ、だいたいな~!なんで決めつけんだよ!」
「なにがよ!?」
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「俺が沙織ちゃんを好きだとか何とか、勝手に決め付けてんじゃねーよ!」
「え!じゃなに?!あんたは好きでもない女と付き合ってる訳!?」



「はあ?付き合うって…意味分かんね~~!」
「んで沙織に向かって抱きたいとか言った訳!?だからチャラ男なのよ、あんたは!」
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「それに勝手に決め付けたとか言うけど、あんただって勝手に決め付けてんじゃない!」
「なんの事だよ!」



「私と一緒に住んでる男の事よ!どうして住んでるってだけで!
私と何かあるような言い方すんのよ!あったまくる!もう帰る!」
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「なっ…!普通そう思うだろーが!そのせいで俺がどんだけ…」



「バーカ!せいぜい沙織にも『ふにゃ○○やろ~~!』なんて言われないようにね!」
「なんだとーーーーーー!」
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「じゃね~ん♪ ふにゃ○○息子によろしく~」
「ふ、ふざけんな~~~!!!いいか!耳をかっぽじてよく聞け!俺の息子はな~~!」



「鉄より硬く!うまか棒より(カレー味)ぶっといんだぁぁぁ~~!!!」
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「分かったか~~!!!」



ゼイ…ゼイ……
「あいつ…マジでむかつく!」
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「って…」



「だからどうしてこうなるんだよ!」
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「俺のバカ~~」



でも…あれ?あの男…あいつの男じゃねーの?
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あれ…?



バン!
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「お釣りは結構です!」



「あいつ!一発ぐらい、殴ってやればよかった!
好きでもないのに『抱きたい』なんて沙織に言った訳!?ほっんと!信じらんない奴!」
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「だいたい沙織にそんな事言ったらすぐにのぼせ上るに決まってるでしょ!?
どうすんのよ!沙織をあんなにメロメロにして!!!!!」



「え?私?」
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「私がどうかしましたか?」



「わっ!びっくりした~!」
「あの…私がどうかしましたか?いま私の名前を言ってたような気が…」
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「う、ううん…聞き違いだよ…聞き違い…」



「そうですか…」
「そうだよ…耳垢がたまってるんじゃないの?」
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「え?」
「いや…なんでも…」



「今夜は冷えますね…」
「う、うん…」
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「では、私はこれで…。おやすみなさい…」



「…………」
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「沙織…」



「はい?」
「あのさ……あの……ゴルゴの事なんだけどさ…」
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「ゴルゴさん…?」
「ゴ、ゴルゴとはさ……ほんとにその…真剣なの…?
ご、ごめん、急にこんな事聞いて。でもゴルゴはこの街を近々出ちゃうしさ…」



「真剣です…。もしゴルゴさんがこの街を出るなら私もついて行きます。
きっとゴルゴさんもそう言ってくれると…」
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「いえ、言われなくてもついて行きます。もし両親が反対しても構いません。
それに…ゴルゴさんと私は……」



「付き合ってるんだろ?」
「はい…」
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「でもさ…」
「ローリーさんには関係ない事です。これは私とゴルゴさんの問題ですから」



「なっ…」
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「心配してくれるのは分かりますが、ローリーさんはご自分の心配をしたらどうですか?
あのシルヴァーさん、いつも家に居ますね?」
「だから何よ…」



「シルヴァーさんとは何にも関係ないと言っておきながら、
いつまで一緒に暮らしてるんですか?私には理解出来ません」
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「それに、仕事もしないでフラフラと…。何とかしてあげた方がいいんじゃないですか?」



「それこそ沙織には関係ないから…」
「そうですか?なら私の事にも口を出さないで下さい。余計なお世話です」
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「沙織…」
「失礼します」




沙織は胸を張り、あごをツンと上げて歩き出した。
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だが歩き出したのは自分の部屋の方ではない。



それは当然…
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奴の部屋だ!



「大丈夫…?」
「迷惑掛けてごめんなさい…。
車のシートも汚しちゃって…タクシーの運転手さんに悪い事しちゃった…」
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「平気だよ。ちゃんとクリーニング代を渡したから」
「ありがとう…。後で返すね…」



「そんな事いいから。それよりだいぶ良くなった?お水を持って来ようか?」
「ううん…もう遅いから帰るわ。本当にありがとね…」
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「全然。かえって僕は君の意外な一面を見れて楽しいよ(笑)」
「隆君ったら…」



「けど君がこんなになるまで飲むなんて珍しいね。ほんとうに何かあった?」
「な…なにもないわよ。ただちょっと疲れてただけ…」
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「そう?だけど君があんなに飲むなんて…」
「ほんとうに!」



「なんでもないの…」
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「そっか…分かった。じゃ家まで送るよ。行こう」
「うん…」



「………」
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「………」



「あーあ…沙織に叱られちゃったな…」
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「余計なお世話か…確かにそうだ…。だけどこの性格は直りそうもないよ…」



バンッ!
「鈴之介さん!」
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ギクッ…



「鈴之介さん…鈴之介さん…ヒック…」
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「あの…ぼ、僕は何も見てないし何も想像してません!
て、テレビの前に釘付けなのは字がよく見えなくて…け…決して変な妄想では…」



「最低です…」
「さ…最低…ですよね…で…でも全部丸見えではなくて…中身は想像して…あわわ…
そうではなくて…中身と言っても微妙にスケて…でもそれがかえって刺激的…あわわ…」
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「私、最低な女です!」
「え?私?」



「鈴之介さん……鈴之介さん…」
「沙織さん…どうされたのですか…?」
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「私…私……!!」
「は、はい?」



(来る…?)
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(もしやまた…彼女が僕に…)



「鈴之介さん!」
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(来たーーーーーー!)



「隆君…。今夜は迷惑かけて本当にごめんね…」
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「だから迷惑だなんて思ってないって。気にしないで」
「うん…」



「そうだ!そう言えば君に借りてたCDがあったんだ。
返そうと思って忘れてたよ。今度持って来ようか?」
「送ってくれればいいわよ」
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「いいよ、仕事でよくこの辺を通るし。今度持って来るよ」
「分かったわ」



「じゃ僕は行くよ。今夜は君に会えて嬉しかった。ほんとだ…」
「私も嬉しかったわ…」
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「もう休んだ方がいいよ、おやすみ…」
「おやすみなさい」



「………」
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(私…何やってんの…)



(ほんっと…最低…。それに頭も痛いしすっごいお酒臭いし…)
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「なんで隆君と一緒なの?」
「ローリー…」



「あんた、なにやってんの?亮さんはどうしたの?」
「亮さんとは病院で別れた…。た、隆君とは偶然会ったのよ…」
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「偶然って…あの店で?」
「え…ローリーもいたの、あのお店に?」



「いたよ。あんた達がちょうど帰る時に見かけたんだよ。
それより、なんで一人でなんか飲みに行ってんのよ?亮さんは知ってるの?」
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「ローリー、うるさいよ…私いま頭が痛くて…」



「このみ!あんたもうすぐ結婚するんでしょ?それなのに昔の男とって、どういう訳?」
「なによ…ローリーだって昔の男と一緒にいるじゃない。
それに私はローリーと違って隆君と同じ家に住んでる訳じゃないわ」
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「ムッ。なにそれ?私に対する嫌味?」
「そう聞こえた?ならそうじゃない?」



「ちょっと~~!なんなのよ!
この間の事まだ怒ってるわけ?根に持ち過ぎじゃない?性格悪いよ、あんた!」
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「なによ!ローリーに言われたくなんかないわよ!」
「なにその言い方!私はあんたが心配…」



「だいたいローリーはさ、そうやって私の心配ばかりしてるけど、
自分の事を心配したらどうなの!?ゴルゴさんの事好きなくせに!」
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「いい加減、素直になりなさいよ!意気地なし!」



「な、なんで私が意気地なしなのよ!」
「意気地なしよ、ローリーは!意気地なしで根性なし!」
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「だってそうでしょ?昔に色々あったのは分かるけど、
でもローリーはそれにこだわり過ぎて全然前に進めてないじゃない!」
「なに言ってんのよ…」



「ローリーはね、ゴルゴさんを自分の複雑な人生に巻き込みたくないって言ってるけど、
ほんとはそうじゃない、怖いのよ!」
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「また昔のように捨てられるのが怖いんでしょ!?
だからゴルゴさんに飛ぶ込むのが怖いんだわ!だから素直になるのが怖いんだわ!」



「なっ…」
「ローリーは彼と別れた時から一歩も動き出してない!今もその頃のままよ。
ちっとも傷が癒えてない!動き出してない!人を愛する事にビビってる!」
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「このみ!いい加減にしなさいよ!」
「いい加減にするのはそっちよ!もう『私は可哀相』ごっこはやめたら?!」



「どう言う意味よ!」
「まんまの意味よ!」
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「このみ…あんたマジで…」
「いつまでシルヴァーさんに捨てられた可哀想な自分を演じてるつもり!?
もうあの頃の自分を乗り越えて成長したらどうなのよ!」



「このみ…」
「なんの障害もなく一緒にいられるなんて…そんな幸せな事なんてないのに…。
ローリーはバカよ…。いいえ、ローリーもゴルゴさんも…二人とも大バカ者だわ…」
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「そんなガキ臭い恋愛には付き合っていられない…」



「もううんざりよ!」
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「このみ!」



バタン!
「はあ…はあ…はあ…」
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「やっちゃった……どうしよう…」



このみはすぐに言い過ぎに気づいたが後の祭りだった。
けれど二人に素直になって欲しかったのだ。
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思いあってる二人が離れる事なんてない。愛し合ってる二人は一緒にいるべきだ。
だって離れる事はとても辛い事なのだから…。



そしてローリーはこのみの言った言葉に衝撃を受けていた。
何もかもが図星だったからだ。
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そう、私は一歩も動き出していない…。
あの頃のまま…一歩も…。



「ゴ…ゴルゴさんには気になる方がいると…以前、鈴之介さんに言いましたよね?」
「え…」
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「彼は……彼は私よりその方を…」
「そ…そう言えばそうおっしゃってましたよね…。
すみません…うっかり(妄想のせいで)忘れてました…」



「私…頭が真っ白になって…ついその方にひどい嘘を…私…私…」
「さ…沙織さん…あのですね…いつも言うようですが…ちょっと離れた方が…」
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「鈴之介さん!私、今夜はとても鈴之介に会いたかったんです…。
何故かあなたに会いたくて……」
「僕に…?」



「鈴之介さんといると…そう…まるで母と一緒にいるようで安心するんです…」
「は……母…?」
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「はい……とてもあったかくって癒されます…」
「母…ですか…」



「母のようにすべてを包み込んでくれるような……そんな感じで…」
「母…」
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「不思議です…。以前、婚約していた時よりも、あなたが近く感じます…」
「母…」



「それもそのはずですわ。だって鈴之介さんは母のよ…」
「……加減にして……さい…」
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「え?」
「僕から離れて下さい…」



「沙織さん…もう僕を惑わすのはやめていただけませんか?
こんな風にいつもいつも抱きつかれたら僕は…僕は…」
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「鈴之介さん…?」
「それに…僕はあなたの…母……んか…じゃ……」



「どうされたのですか?」
「どうされたもクソもありません…」
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「ク…?まあ…」
「あなたは何にも分かってない…」



「私が…ですか…?」
「ええ、あなたが!です。あなたはなんにも分かっていません…」
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「何の事でしょうか…」
「あなたがやってる事は罪だと言う事をご存知ですか?
ええ、僕にとっては空恐ろしい程の甘味な罪なんです!」



「甘味な罪…ですか…?あの…私…何の事なのかさっぱり…」
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「………じゃ…ねーよ…………け~…」
「あの…?鈴之介さん?」



やがて彼は大きく息を吸い、目をカッと見開いた。
そして…



「だ、誰が母ちゃんだ!僕はあなたを生んだ覚えはない!」
「あ、あの…」
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「僕は立派な男です!!!!」
「す…鈴之介さん?」



「いつもいつも僕の脳を刺激しやがって!」
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「す、好きでもない男にベタベタ抱きつくんじゃねーよ…ポ、…ポケ~!
お…おか…おかす…オカズ…こかすぞ…このヤロ~!」




「こかす?」
「犯すです!」
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「犯す…ですか…?…誰を?」
「あなたをです!」



「え…私…?」
「そうです…」
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「私を……」
「ええ、僕があなたを! です…」



「鈴之介さんが私を……」
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「まあ…」



「まあじゃないよ、ポケ~……」
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