第1話 「アンラッキーな日」

*二度目の恋 君に逢いたくて…第1話


―ジーンとリンダの結婚式から半年後ー
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リバービュー美術専門学校



「中山さん…残念だけど今回はダメだったの…」
「そうですか…」
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「そう落ち込まないで。本当におしかったと思うわ。
けどまた次があるじゃない。次こそは必ずいけるわよ!頑張って!」



「ありがとうございます。でもすみません…
先生に色々とアドバイスまでしてもらったのに結果がこんな事になってしまって…」
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「何を言ってるのよ。私はあなたの絵が好きなのよ。だからあなたを応援したいの。
今回は残念だったけど、だからと言って落ち込んでたらキリがないわよ」



「さあ、元気を出して。そんなにしょげてる暇なんてないわよ。
すぐに次の作品に向けて頭を切り替えなくちゃならないんだから」
「はい、そうします」
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「じゃ次のコンテストの時までに又一点仕上げてね」
「ええ」



カチャ
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(あーあ…又ダメだったか…)



(今回がダメだったじゃなくて毎回ダメなんだけどな…。
でもそんなに簡単には行かないわよね。私より上手な人なんていっぱいいるもの)
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(いいわ、次があるわ!先生も言ってたじゃない?毎回落ち込んでたらキリがないって!
そうよ、絵で食べて行けるようになるなんて、早々簡単じゃないわ!さ、次、次!)



中山このみ。この物語のヒロインだ。
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彼女は以前、サンセットバレーのオレンジ荘に住んでいたが、
2年ほど前にここ、リバービューに移り住んでいた。
そして現在、リバービュー美術専門学校に通っている。



「このみ~!」
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「ちょっと待ってよ、一緒に帰ろう!」



「ローリー!授業は終わったの?確か午後は特別授業に出るって言ってなかった?」
「ああ、やめたの。人数が多すぎてさ、とてもじゃないけど息が出来ないわ。
ね、それよりコンテストどうだった?もちろんバッチリだったんでしょ?」
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「だめ。落ちた」
「え?」



「落ちたって……入選は?」
「それも出来なかった」
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「ちょっと…何かの間違いなんじゃないの?ちゃんと確かめた?」
「先生から直接聞いたわ、今回はダメだったって」



「マジなの!?金賞は無理としても入選は絶対にすると思ったのに!」
「しょうがないわよ。画家への道はそう簡単じゃないって事ね」
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「ゲー!このみのあの絵がダメなら私なんかどうすんのよ!
一生かかっても画家になんかなれっこないわ!」



「ローリーったら(笑)
ところでローリーも次のコンテストに応募するんでしょ?作品はもう出来たの?」
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「全然。イメージがわかないの。あーあ、私はこのみと違って才能がないからな~」
「そんな事ないわよ!私はローリーの作品って好きよ。
なんて言うかな…元気が出るっていうかさ」



「この間のなんか凄く楽しい気分になったわ!」
「楽しい…?」
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「そうよ!ローリーの絵って人を楽しませてくれるわ!」
「私は悲しみを表現したつもりだったんだけどな…」



「え…あ…えーと…そ、そう…悲しみも伝わってきたわ…。…淋しいって言うか…」
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「プッ!このみったら(笑)無理しなくてもいいわよ(笑)」
「無理じゃないわよ!」



葉山ローリー。彼女も同じ美術学校に通っている。
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偶然にもアパートも隣同士で彼女とはすぐに気が合った。



この美術学校の周りには学生たちが暮らす、
値段が手ごろなワンルームのアパートがたくさんある。
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そのアパートはほとんどが同じような作りで、まるで団地のような感じだ。
そしてこのみとローリーもそのアパートの一つに住んでいる。



「ね、このみ。今夜は飲みに行かない?バイトも休みでしょ?二人で残念会しようよ」
「ごめん、今夜は無理なの。隆君が来るのよ」
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「これだから男持ちは…」
「ごめんって。今朝急に来るって電話があったのよ。なにか話があるみたい」



「話?」
「うん。なんの話かな?そう言えば最近、なんとなくソワソワしてんのよね。
私に何か言いたそうな……そんな感じ」
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「バッカね~!」
「何よ?」



「相変わらずあんたはトロいんだから!結婚よ、結婚!」
「結婚?」
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「このみにプロポーズしようとしてんのよ!」
「嘘…」



「それしかないでしょ!」
「でも…だって私たちは付き合ってまだ一年だし…」
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「一年も付き合えば十分だって!
いいじゃない、隆君!優しいし素敵だし。それに…彼の家はお金持ちだしね(笑)」
「やーね」



「いつまでもアルバイトしながらなんて大変よ。
隆君ならこのみの夢の事も理解してくれてるんだしさ」
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「結婚しても学校には通わせてくれるわよ!」
「そうかな…」



「あーあ、このみもとうとう結婚か~いいな~。
誰か私にもいい人紹介してくんないかな~。このみ、隆君に言っておいてよ」
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「うん…」



― アパート前 ―



「じゃ隆君によろしくね」
「OK~♪」
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「もちろん明日は質問攻めよ?分かってるわね?」
「分かってる(笑)」



「じゃね!」
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(プロポーズ…?私が隆君に…?)



そう、彼女には恋人が出来ていた。 
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ローリーの言ってた通り、とっても優しくて素敵な人だ。
理想の恋人と言えるだろう。



金城 隆。会社員。
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二人は付き合ってちょうど一年が経っていた。



出会いはこのみがこの町に来てすぐの事、彼女がアルバイトをしてるお店、
パブ『ウオンテッド』でしつこいお客にからまれている所を彼に助けてもらった。
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「彼女をはなせ!」



パブと言ってもそこは町の小さな居酒屋&食事所のようなお店だ。
昼間のアルバイトが一番理想だが、昼は学校があり、それに昼のバイトは収入が少ない。
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とてもじゃないがそれだけでは生活なんか出来やしない。
美術学校の生徒達は、たいがいが夜のバイトをして生活をしている。



いくら食事所と言ってもそこはアルコールを出すお店。
時には嫌な客にからまれたり、
耳をふさぎたくなるような下世話な言葉を投げかけられる事もある。
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だがしかし、今はグッと我慢の時だ。
苦学生たちは我慢を堪え、自分の夢に向かって日々努力をしている。



そしてローリーも苦学生の一人だ。彼女もここでアルバイトをしている。
それもそのはず、このみはローリーの紹介でこのお店に入ったのだ。
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彼女にもしつこいお客がつきまとう時がある。
だが、彼女は強かった。



彼女はしつこいお客もなんのその、鋭い目でキッと睨み、
うるさいお客を一発で追い払う目力を持っていた。
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「私の尻に触るなんざ100万年早いっつーの!」



このみと隆はこれを機に会って食事をするようになり、
それから半年後、二人は付き合い始めた。
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おだやかな時間が二人を包んでいた。



「よし、じゃ何か作るか!」
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「隆君の好きなパスタにしようかな?」



「材料はと…」
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「私が結婚か~。リンダもビックリするかな?」



― 夜 ―



ピンポ~ン♪
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(来たわ…。なんだかドキドキする…)



(しまった!洋服を着替えればよかったかな?でももう遅いか…。
…って、私、凄く緊張してない?だってプロポーズなんて初めてなんだもん…)
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(息を吸って…落ち着くのよ…)
と、彼女は大きく深呼吸した。



カチャ
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「いらっしゃい、隆君」
「やあ」



「どうぞ、入って」
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「うん…。ごめんよ、急に…」



「ううん、いいのよ。バイトも休みだったし」
「そうだ。コンテスト、どうだった?」
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「ああ…又ダメだったわ。でも次があるから平気よ!次こそは頑張るわ!」
「そっか…」



「食事はまだでしょ?隆君の好きなパスタを作ったの。一緒に食べない?」
「そ、その前にさ…君に話があるんだ…」
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「話…?(いよいよだわ…)」ゴクリ…
「あのさ…あの…」



「なあに?(プロポーズね…。落ち着くのよ…このみ…!)」
「単刀直入に言うよ…。…僕と…」
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「僕と…?」
「僕と…」



「ごめん!僕と別れてくれないか?」
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「え?」



「好きな娘が出来たんだ…」
「あの…(プロポーズは…?)」
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「本当にごめん…」
「ごめんって…(…どうしよう…顔が戻らない…)」



「君の事は本当に好きだった…。
ただ…ときどき君が何を考えているのか分からない時があるんだ…」
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「だから…本当に僕の事が好きなのか分からなくて会社の女の子に相談してたんだ…。
そしたらその相談に乗ってくれた女の子が僕の事を好きだって言い出して…」



「最初は僕には君がいるからってずっと断ってた…。
けど…僕も彼女が気になり始めてしまって…。彼女がほっとけないんだ…」
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「いつの間にか僕も彼女を好きになってた…。本当にごめん…」



「………」
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(プロポーズどころじゃないじゃない…)



「このみちゃん…君とは今日で終わりにしたい…」
「………」
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「本当に悪かったと思ってる…」
「…分かったわ…」



「もう分かったから…そんなに何度も謝らないで…」
「ごめん…」
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「正直に言ってくれてありがとう…」
「このみちゃん…」



「一年間、ありがとう…楽しかったわ…」
「君…大丈夫かい?」
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「大丈夫よ、心配しないで。さ、もう行って。私も一人になりたいから…」
「分かった…。じゃ僕は行くよ…」



「さよなら、このみちゃん…」
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「さよなら、隆君…」



(振られちゃった…)
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(なぁ~にがプロポーズよ!ローリーのバカッ!)



(あーあ、料理が無駄になっちゃったな…)
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(何を考えてるか分からない…か…)



プロポーズだと思っていたのが別れ話だなんてとんだ笑い話だ。
さっきまでの浮ついた気分は一気に奈落の底に落ちた。
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だが…彼女は気づいていた。



隆の言ってる事はまったくの的はずれではなかったのだ。
彼の言っている事は正しい。
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彼と一緒にいて、トキメキやドキドキを感じてなかったわけではない。
けれど、彼に切ないほどの情熱を感じた事は一度もなかったのだ。



彼と初めてキスをした時も…
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そして、初めて彼に身をまかせた夜の時も…。



私は彼に一度も熱くなった事はない…。
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その事に、本当はずっと前から気がついていた…。




同時刻
― 高級ラウンジ『ブルーライト』 ―



「よ!」
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「何だよ、話って?」



「俺、恋した」
「は?」
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「恋したんだよ、恋」



「恋ならいつでもしてんじゃん」
「今回は真剣なんだよ!」
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「毎回そんな事言いやがって。で、それを言うために俺を呼んだのか?」



「な、その娘に会いに一緒に行ってくんね?」
「会いにって…家に行くのか?」
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「違うよ。その娘さ、町の小さなパブでアルバイトをしてるんだ。
たまたまこの間入ったら彼女がいてさ。一発でノックアウトさ」



「へえ~一目惚れなわけ?」
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「そ、人目惚れ。超可愛いんだって!な、付き合ってくれよ」



「悪い、今夜は付き合えない。これから麗華と会うんだ」
「麗華?ここに連れてくればよかったじゃん」
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「俺もそう言ったんだけど静かな所がいいんだってよ。
何か話があるらしいぜ。これから俺の家に来るんだ」



「話?話ってもしかして別れ話だったりして?」
「かもな。そろそろ俺に飽きたんだろ」
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「マジかよ…。お前はそれでいいわけ?」
「いいも何も最初から俺と麗華はそんな付き合いだ」



「それに…俺もそろそろ別れようと思ってたし。潮時だな…」
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「麗華は一人の男で我慢出来るようなタイプじゃねーよ」



「確かに麗華じゃ無理だな。所詮、金持ちお嬢様の火遊びってか?」
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「そんなとこ」



「ま、お前も麗華もすぐに次が見つかるからいいわな。
けどお前もそろそろ誰かと真剣に付き合った方がいいんじゃねーの?」
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「まだ引きづってる訳?初恋の可愛い娘ちゃんの事」



「ゴルゴ、余計な事言ってねーで自分の事だけ考えとけよ」
「へいへい」
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宮沢 亮。
彼はこの町で有名なサッカー選手だ。



彼は2年ほど前、
幼いころから思い続けてきた彼女(リンダ)に最悪の失恋をした。
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そしてその彼女が半年ほど前、めでたく愛する男と結婚したと言う知らせを聞いた。
彼女の愛する男の事もよく知っている。



彼は(小泉ジーン)一時期、一緒のチームにいた事がある。
彼を知れば知るほど、彼女がジーンに惹かれた訳が分かったような気がした。
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ジーンは最高にいい奴だ。今ではジーンともよき親友になっていた。



だが…心はまだ重い…。
人の心はそんなに簡単に割り切れるものではない。
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確かに今は一人の女性と付き合っている。だが、真剣とは程遠い付き合いだ。
その彼女とも今日でおさらばだろう。



そして彼はゴルゴ。
彼も亮と同じサッカー選手で同じチームに所属している。
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彼はいつも惚れたはれたとやっては女性に振られっぱなしの人生を送っている。
だが、彼はそんな事にはちっとも負けていない。前進あるのみだ。



ガタ
「じゃ俺は行くわ」
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「麗華に振られたら慰めてやっから戻って来いよ」
「サンキュー(笑)」



(さあ~てと、では引導を渡されに行きますか…)
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(お互い楽しんだんだ。引き際はサラリと行くぜ)



(あーあ…俺は何やってんだか…)
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と、彼は深いため息をついた。



― 亮の家 ―



パタン
「麗華!」
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「早かったな?もう来てたのか?」



二宮麗華
ただ今現在、亮の恋人だ。
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しかしそれも数分までの事、
数分後にはお互い他人同士になっているだろう。



彼女の父親は大手コンピューター会社を経営している。
そして彼女はそんな父を持つお嬢様である。
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いわゆるセレブと言う人種だ。



「亮…」
「ごめん、ちょっとゴルゴに呼び出されて飲んでた」
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「ううん、私もさっき着いたばかりよ…」
「そっか。…で、話って?中で話す?それともここで?」



「ここでいいわ」
「OK」
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「亮…私…私ね…」
「麗華…言いづらいなら俺から言おうか?」



「…いいえ、私から言うわ」
「分かった…」
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「私ね…」



(さあ、来るぞ…。あなたとはもう終わにしたいの…って。
それともズバリ、もう飽きたわ!…かな?)
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「私、妊娠したの」
「了解。俺も引き際はサラリと……って……(あれ?)」



「妊娠したのよ、私…」
「妊娠…?」
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「子供が出来たの。あなたの子よ」
「なん…だって……」



「私は絶対に生みたいわ。私と結婚してちょうだい」
「麗華…」
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「あなたが思うほど私はもう若くないのよ。
あなたもそろそろ結婚してもいいんじゃなくて?」



この時、亮は彼女の言ってる事が嘘だと思った。
もちろん赤ん坊が出来るような行為はしている。
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本当に子供が出来たのなら結婚だってするつもりだ。
そんなに自分は卑劣な男ではないつもりでいる。



だが、何かがおかしい。



彼女は最初、結婚なんか興味がない、
ましてや子供なんて絶対に産みたくないと言っていた。
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体系が崩れるのが我慢がならないからだ。
だから気軽に付き合うのが自分には合っていると。



彼女と出会ったのはちょうど半年前。
彼女は会社が主催するパーティーに友人と来ていた。
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そう、リンダとジーンの結婚の知らせを聞いた直後だった。



忘れたはずの感情が胸にうずき、やるせなさを感じていた。
忘れた?いや…まだ忘れてなんかいない、思い出さないようにしていただけだ。
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彼はそんな女々しい自分が嫌になっていた。
そんな時に出会ったのが麗華だった。



彼だって生身の男だ。
魅力的な女性に言い寄られ、ついふらふらと暖かい素肌に温もりを求めた。
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気軽な付き合いが自分にはちょうどよかった。
愛などなくとも楽しかった。もちろん彼女もそのつもりだっただろう。



それがなぜ急にこんな事を…?
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彼女が嘘を言っていると思ったのは単なる直感だ。
それが間違いかもしれない。避妊に100パーセントなんてないからだ。



「亮?聞いてる?」
「ああ…聞いてる…」
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「驚くのも無理は無いと思うわ、私もまさかと思ったもの。
でもやっぱり子供を殺すわけには行かないわ…。あなたもでしょ?」



「とにかく、私はイエスの返事しか聞きたくないわ」
「…何か月?」
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「え?」



「赤ん坊。何ヶ月?病院に行って調べたんだろ?」
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「え、ええ…そう…調べたわ。2ケ月……ですって…」



「麗華…」
「亮、私はあなたと一緒に子供を育てたいの…。
それに、私はあなたの結婚相手に申し分ないはずよ」
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「そして…私の結婚相手にもあなたなら申し分ないわ…」



「話はそれだけよ。じゃ今夜はもう遅いから私はこれで失礼するわ」
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「………」



やはり彼女は嘘をついている。
何故なら、彼女は嘘をつく時は必ず右の眉が上がるからだ。
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そして今も又…彼女の右の眉は上がっていた。




続き、第2話へ 「再会」
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